心に沁みる優しい作品です。
紀伊先生の作品はどれも1ページ、1コマの絵の描き込みが多く、映像美が素晴らしいという印象です。とても柔らかく、優しく、どこか懐かしい気持ちになる、そんな温かみのある絵です。
内容ですが、ものすごく大きな起伏があるお話というわけではなく、エロもありません。しかし、繊細な表情や台詞の意味などを感じながら読んでみると、映像美も相まって、読み終えた時に映画を一つ見終えたかのような幸福感を感じることができました。
この一冊ですとんと腑に落ちる感覚と、素敵な作品を読むことができたという幸せを感じることができ、読み終えた後は心穏やかな気持ちでした。
流し読みしてしまうには勿体ない作品だと思います。一冊この本を手に取って、夜にゆっくり読んでみてほしい、そんな作品でした。