小椋ムク先生の表紙イラストがあまりにも可愛らしくて購入しました。
悪くはなかったのですが、何がしたいのかよく分からず戸惑ってばかりで読み終えてしまい、「え、これで終わり!?」と言うのが感想です。
初読みの作家さんです。
芸能人はなぜ出てきたのか全く分からない……。後からスピンオフなのかもと思いましたが、結局どうなのか不明です。別に知らなくても良いやと思いました。
バスガイドとしての仕事も興味深いですが、お客さんが戻ってこないことに対しての対応や財布の件で騒ぎ立てる同乗者の描写が愚痴っぽく、なぜこの描写を入れたのか分からないまま。それに対してのオチというか理由が分からないと何だったのかしら……とモヤモヤしてしまいました。
メインの2人は可愛らしかったですが、全体的な印象はよく分からない感じで終わってしまいました……。
ラストがどうしても無理です。
両親を攻めに殺され復讐を誓った受け。
攻めは受けの初恋の相手で愛されていたとは言え、彼が確かに両親を殺したことは間違いないのに、最後の最後は罪も償わせることなく許してしまうのは、正気を失っているのか?としか思えなかったです。
こんな子だったら復讐を誓ったりしないのでは?
両親もこれでは浮かばれないだろうなと、どうしても納得出来ず、モヤモヤした気持ちで終わりました。
虐待していたひどい親だったとか、そもそも受けが歪んでいるのだという設定であれば分かったのですが、線が一本繋がらない気持ち悪さがあります。
信頼している作家さんだけに、とても複雑です。
遠野先生の他の作品が好きだったので読みましたが、読み始めから若干げんなりしてしまいました。
とても残念です……。
そもそも秋成とイズディハールの良さがよく分からないまま2巻目。
何故BLの女性キャラクターってこう男尊女卑的な考え方で描かれる宿命なのかなぁ……。
まず、こういう王子様ものでいつも心配してしまうのが後継なので、弟に皇太子の位を譲って安心したと思ったら、弟までとなるとこの国どうなるの?というのが気になって集中出来ない出来ない。
興味のない人と気軽に婚約しておいて、この先家族となる努力をしようとも全く考えず、相手を悪し様に言いまくるのを見ると覚悟の足りなさに目眩までしました。
だったら婚約なんかするなと思います。
兄思いのはずな弟王子が秋成に横恋慕、行方不明となったら激情を抑えきれず押していくのには戸惑いしかありませんでした。
温室でのことなんて探っていた時に下世話と表現していましたが、事実下世話なことしているのだからとんでもないブーメランなのでは?と女の浅はかさと嗤う姿に疑問しかありません。
所詮は女、とか本当に見ていて気持ちが悪くなる表現が多くて、きっと何か意味があるのだろうと頑張って読み続けましたが、ただ嫌な人を書いただけだった……!
誘惑される男は良心があって賢明だけど、女は浅はかで嫉妬深い、みたいな形式になってしまっているのには、正直辟易しました。誘惑する女が悪い、というのは古くからの魔女狩りにもあった男尊女卑の考え方のように思われます。良心があって立派な人はこんな愚かな裏切りはしないだろ、と頭を抱えました。しかも、男は悪くない、悪辣非道なことなどしていない、誘惑されたのだから、というような流れにはため息が出ます。
しまいにはあの女性悪だからこんな残酷な場面が見たいんだと思う、と言っただけで「美貌、知性、精神性の高さ、品格、全てが素晴らしすぎる!」と褒めちぎられても、今の何でそう思ったの!?!?としか思えない。 もっと素敵なところ見せてほしい!
最後はよくあんなことのあとお互い普通に兄弟が出来るなと感心しました。絆の強さは全く感じないです。秋成を褒め称える美辞麗句と同様、文字ばかり上滑りしていますね。
そもそも国王には無事を知らせて、皇太子には知らせない理由が全く分かりませんでした。
また、遠野先生が後書で秋成の精神構造は男に強く傾いている、と書かれていましたが、あまりそれは伝わって来ませんでした……。