歳を重ねれば重ねるほど、自分には無理だと遠ざけることの方が簡単だし楽になって。そうすれば傷つかないで済むし、惨めな思いをすることも減るし、山はないけどどん底すぎる谷もなくて、そこそこそれなりに生きられると言い聞かせるのがある程度の大人なのかなと思います。
まさに雀さんはそんな感じの人で。
でもやっぱりそんな中でも誰かに見出されることを諦めきれなくてでもそんな気持ちを見透かされたくなくて、なのにどうしようもなく慶司に惹かれていく。
自分に好意を抱いてくれているから。
それがきっかけだったとしても
振り返った過去にそんな欠片を見つけて、隠さずに近づいてくる今にときめく心を呼び覚まされていく。特別じゃない恋の芽生えに納得してしまう過程がしっかりとありました。
立場の違いも年齢も性別も、簡単には飲み込めない要素ではあるんだろうけど
それを越えても一緒にいたいと選べたふたりで良かったなと思いました。
健気な受けにピュアを呼び起こされて純真な恋心に踊らされる攻めはいつ見ても良いものです。
こちらは流行りの(これから流行る?)童貞返りをぶちかます攻め様のおひとりなのかなと拝見しました。
仕込み屋をしている忍くんと、仕込んでほしい戌峰くん。
断りきれない忍くんは、やっぱり根っからのソッチの人ではなかったのかな。断ろうとするのにほだされて、突き放そうとするのに手を伸ばして。
池袋の人口が100人なのは忍くんの心に戌峰くんが根ざしてしまったからですよね。
変にひねくれていないふたりがそれぞれに恋心を自覚してピュアに恋を結んでいく朗らかさが、始まりからは予想外の流れでもありキュンが詰まっていました。
描き下ろしの寝起きふたりがかわいいの塊でした。
寝顔残しておきたい攻めも寝顔かわいいと思ってほしい受けも、心まるごとで相手に向かっている感じが微笑ましくてこの先のかわいいが見たいなと思えるふたりでした。
獣人と半獣人が共存する世界で生きるノアとディオンのモフモフファンタジー。
ノアのモフモフしっぽ!ふさふさでかわいくて、時にはえっちなところを隠すセクシーさもあって、にむまひろ先生の描かれる世界の美しさが一層際立つ作品だと思います。
ずっと近くにいて、お互いが大切だとわかっていて
だからこそ関係性を変えることが怖くて踏み出すことが出来なくて……
そばにいられるならそれだけでいい
そう思っていたはずなのに本能の前ではそれすら建前でしかなかったと思い知らされる
そんな葛藤はファンタジーではなくとも通ずるものがあると思いました。
ノアが健気ででもどっしり芯があって、
何ならディオンよりもずっと早く覚悟を決めて。
動き出せたきっかけは「他の人に奪われたくない」
だったかもしれないけれども、
何が起こるか分からない状況でもディオンのすべてを受け止めるノアの意思の強さに愛を感じました。
告白のシーンでもディオンの想像の斜め上を行くノアの言葉……大変心強いですね。
本編最終話では理性的に収めていたディオンが
描き下ろしでは抑制剤打ちながらもガンガンに本能を爆発させていて
隠しきれない愛情深さが溢れきっているところもまた良かったです。
すっかりレビュー済みだと思い込んでいたもののまだだったことに我ながら驚きです。
さがみしか先生の描くキャラクターの線の美しさが好きです。
クズと博士はまさにキャラがドンピシャに好きで今回の配信とてもうれしく拝読いたしました。
5日間じっくり描いていただけて大変ありがたいです。
ポリネシアンの良さはそのじっくり焦らす感もそうですが提案した側が先に我慢効かなくなるところだなぁと思います。
今回もマキちゃん側がねだっておいて、
我慢できなくなりそうなのは透先輩の方なのにそうじゃないのが良いんですよね。おねだりする受けの子をたしなめる攻め、良きです。
えっちなことに振り切ったお話ではあるものの、特に攻めの溺愛っぷりが感じられますし疲れたときに読むと癒しを得られるお話だなと思いました。
スピンオフ元の作品は未読です。
なのでふたりのもともとの関係値、どういう経緯で最初の関係があったのかを知らないまま読んだのはちょっともったいなかったかなと思いますが、事前知識なくても楽しめました。
明るく奔放なフリをしているけれども叶わない恋から目をそらすように投げやりに身体だけを満たすような佐久間を理解できなかったはずなのに
その淋しげな背景に気付いて、どうしても放っておけなくてその存在を少しずつ心のなかで大きくシていく穂刈さんの生真面目さが好きでした。
時には少し冷たくも聞こえる穂刈さんの言葉の嘘のない誠実さかがじわじわと染み込んでいって、
ずっと兄のことを思っていたはずなのにいつしか恋をしている佐久間の戸惑いや不安もよくわかりました。そんな簡単に吹っ切れるもの?というより、それは自然な流れに感じられました。
とてもひねくれているように見えるけどそれは自分を守ろうとしていたからで、穂刈さんへの好きに向き合ってからの行動や言葉の素直さが本来の性質なのかなと思えました。
かわいいは沼。ほんとそうですね。
甘え甘やかして、(穂刈さんの方は)無自覚溺愛カップルになりそうなふたりに幸せをもらいました。
表紙のふたりでいわゆるジャケ買い的に。
バーで出会ったワンナイトの相手と職場で再会してから動き出す恋。
イイ男ふたりが仲睦まじく過ごす様子は見ていてとても心地よいですし、特に真澄さんの甘やかしっぷりの潔さに癒されました。
真澄さんのねちっこい攻め感がじっくりと描かれていて見応えもありました。
私自身、溺愛ものを好んで読む傾向にありますが
今回はそこまでハマりきらなかったのが本音です。
というのは、真澄さん側の心情があまり深掘りされていなかったからかもしれません。
理央くんのことが好きでやさしく甘いのは見ていて十分に伝わってくるのですが、じゃあどうしてそこまで好きになったの?ということが見えず。
もちろん理央くん自身も魅力的な人ではあるのですが、どうしてもこの人がいい、この人じゃなきゃだめ、そういった真澄さんの心のうごきも読んでみたかったなぁと思います。
すごかった。
なんかすごいものを読ませていただいたなという読後です。
攻めの執着、それはとても好ましいものだと私は捉えてきていたけれどそれは全然甘い考えだったなと上下巻通しての岸部先生の圧に思い知らされました。
離れていた期間、ナオトのこと絶えず想ってその気持ちを深く大きくしてきたのは言ってしまえば岸部先生の勝手で。
ナオトがそこに罪悪感を感じる必要も、その気持ちと自分の心を比較する必要も全然ないんですよね。
岸部先生のナオトへの想いは、私にとってはそれを愛と呼ぶには少し、いや、結構しんどい。
だけどそれを愛と呼ぶかどうかは、部外者には何もわかんないんだなというのをこのふたりを見ていて改めて感じさせられました。
ナオトの心のあり方が確実に岸部先生に近づいていく様が、嬉しいのか怖いのかもうわからない。
だけどそれは、このふたりにとっては確実に愛なんだなと見せつけられました。
本編すごくずっしりしていたところのラストシーン。
ずるいですね。
堕ちていく幸せを怖れていた自分を見透かされていたかのような晴れやかさにしっかり溶けました。
からの描き下ろし。
岸部先生はやっぱり岸部先生でした。
前作が好きだったので発売日に早速。
1話から助走なしで岸部先生全開だな、と読み始めて終始その重みに圧倒されっぱなしでした。
岸部先生の執着の強さ思いの深さが明らかに異常なのですが、それに飲み込まれていくように。
私はそれを怖いとさえ感じてしまいましたが、ナオトがその執着に気づき始めてもなお心地よささえ感じてしまうような感覚もわからなくはなくて。
思いの釣り合わなさに言葉を飲み込みながらもいつしか岸部先生の異常な愛を擁護したいとさえ感じていることに気付いたナオトの揺らぎ。
ふたりの間にある愛みたいなものを理解できるようなできないような、理解したいようなしたくないような。
いったいどこまで行ってしまうんだろうと見届けることに使命感すら抱くような心持ちで上巻が終わりました。
ガッチリしたふたりがぶつかりあうシーンは圧巻で、エネルギーがすごいです。
えっちなんだけどそれ以上に岸部先生の情の注ぎ方に圧倒されました。
この不思議な魅力は何なんでしょう?
都会に憧れて仕事を見つけて上京した太王。
だけど仕事は激務で思ってた都会の暮らしとは全然違っていて、地元にいる新との電話で糸が切れたように限界を迎えて全てを投げ出して田舎に戻ってきて……
で、新にやさしく迎えられてほだされてハッピーエンド。
かと思えば全然そうじゃない。
何なの?禊って!
ツッコミどころありすぎる展開なのにシリアスっぽく進んでいって、頭回っていない太王は流されちゃうし新はポーカーフェイスっぽくもありながらどこか必死感をにじませつつ事が進んでいって。
とにかくふたりのゆるっとしたテンポ感が不思議で、
穏やかなようでいてヤることはガッツリヤッていて(こちらの先生初めて読みますが絵の感じだとほのぼのとしているのかな?と思いきやギャップが!)、
理解できるようなやっぱり腑に落ちないようなそんなトーンでずっと進んでいくけど。
何故か?ふたりが愛おしくなっている。
普通っぽく見えて全然ぶっとんでいるふたりが、それでも心の真ん中ではきちんとお互いへの思いを大切にしていることがわかるから
読んでいて楽しくて登場人物もまるっと好きになれました。
にょきにょき会話、楽しそうですね。