電子限定の短編です。
「叡山夜話」が良かったので、こちらも鬼がテーマということで楽しみに読みました。(作品同士のリンクはありません)
赤茶の髪とはっきりした目鼻立ちで赤ん坊のころに捨てられていた笠丸。
美貌の舞い手・朱華に拾われ、村に預けられ育てられるも常に「鬼の子」と呼ばれまともに扱ってもらえない日々を過ごしています。
朱華だけが心の支えで、とうとう申楽(さるがく)の一座に入れてもらい朱華と旅をすることになるが…。
攻めの笠丸の境遇がとにかく不憫すぎて…自分でも素性が分からないので「俺は鬼かもしれない」と漠然とした不安を抱えながら生きています。
そんな彼に「お前は鬼じゃないよ」と優しく諭してくれるのは朱華だけ。朱華が人間扱いしてくれるので、朱華に傾倒する笠丸の気持ちがよく分かりました。
時代的な背景もあると思いますが、主人公がそんな感じなので全体的に暗めで少し哀しい雰囲気です。
笠丸の一途な想いや、物慣れた朱華の笠丸への気持ち…哀しくて寂しさもあるけれど、ラストは2人にとっての救済があります。
佐々木先生の挿絵も素敵でした。
個人的には叡山夜話の方が好みでしたが、こちらも読んで良かったと思います。
しっとりとした昔話のような鬼BLです。夜明けの作品が好きな方にはぜひ。
BLアワードのソムリエ部門にノミネートされたことをきっかけに購入しました。
試し読みではクセの強そうな絵柄とノリきれるか分からない不安で少し躊躇いの期間が長かったのですが、
えいや!と買って大正解!!!
久しぶりに1ページ1ページじっくり捲って楽しむような作品でした。
画力と絵力がとにかく強くて、
攻め飯田の圧も強くて、
小学校時代のサクリが美少年で、
2人の距離感が行ったり来たり絶妙で、
飯田の恋心が純粋で諦めずリトライを続ける強さに惹かれ、
それでも待てなくなっちゃった飯田が思いがけない力業でサクリの心を疑似的に手に入れますが、その時の素直で愛らしいサクリが可愛すぎて、
とにかく一途で必死で、
そんな飯田に心を動かされるサクリの揺れ動きも分かるし、
なんだろう、すごくすご~~~~く、この世界観に引き込まれる強さがありました。
とにかく強い。
最初は心の距離離れすぎてて付き合ってる姿が全然見えなかったのに
ラスト2人が付き合ってラブラブしてるのも自然だし、
2人の恋人編をもっと読みたい!とまで思いました。
BLとしてもちゃんと面白い。
すごい作品に出会いました。ありがとう。ぜひ続編をください。
強い男同士の幼なじみケンカップル!
同じ孤児院で育ち、ずーっと親友の2人。
BLによくあるベタッとした幼なじみではなく、ぞんざいな言葉遣い、喧嘩腰の慣れたやり取り、尻を蹴っ飛ばしたり、お姫様抱っこならぬ俵抱きで運んだり…男同士のサッパリとした関係性の2人が好きでした〜。
脳筋シンプルな男前攻め×弱さを見せるのが苦手な不器用美丈夫受け
でももちろん「お前ら時々距離バグってるよな」の面もあるんですけどね。
2人で一緒に寝るし(攻め上半身裸)、しかも腕枕&抱きつくスタイルだし、レーゲン(受け)のピンチには「嫌な予感がする」と言って必ず、必ずブリッツ(攻め)が同伴しに来るし(第六感…!)
お話はβからΩに変転したレーゲンが、騎士を辞め嫁ぐことになったところから。
輿入れ道中で謎のかまいたちに巻き込まれ、護衛をしてたブリッツが瀕死の重傷を負います。それを目の前で見たレーゲンが、ブリッツを助けるためにある魔法を行使したところ、なぜか2年前にタイムリープ。今度こそブリッツを救うため何度もタイムリープを繰り返し、5回目…。
タイムリープの謎や何度も起こるかまいたち現象のこと、そしてレーゲンの運命の番が現れて…β×Ωの2人はどうする!?という面までたっぷり楽しめました!
受け視点なのでレーゲンのブリッツへの恋心を感じながらお話は進みますが、そこはもうそれ…時折垣間見えるブリッツからの嫉妬や独占欲、いやこれすべてレーゲンへの重く深い気持ち現れてますよね?状態です。
レーゲンは辛くても「大丈夫大丈夫」とヘラっと笑って取り繕うタイプで、周囲にうまく甘えられないし弱音を吐けない性格なのをブリッツはよく知っていて。さすが幼なじみ。さすがその頃からの…。(ネタバレ自粛)
前述した数々の距離感バグってる2人の行動に色々な意味があるのです。
そして、この2人の幼なじみが恋愛関係になったときの、ブリッツのストレートな愛情表現とレーゲンの照れっぷり…!甘いのが嬉しいんだけど、そんな距離感がちょっと恥ずかしいなんて可愛すぎるーーー!一読の価値ありです。
終盤、運命の番が現れて2人がぎこちなくなり、一度はブリッツの元を離れたレーゲン。再会したときのブリッツのセリフにグッときました。
「ずっとずっと同じ歩幅で隣を歩いてやる。だからこれからも一生、俺の傍に居ろ」(抜粋)
これを読んだとき、2人の子どものころの思い出や共有してきた時間、歩んできた道のりを思い出し、めちゃくちゃ心に染みました。幼なじみだからこそのこのセリフ。なんて素敵なんでしょう…。
ラストの戦闘シーンはあれ?覇気?と一瞬過ぎりましたが(笑)後日談でのサプライズで納得しました。β×Ωでもこの2人なら大丈夫!と確信した後だったのでひとかけら拍子抜けしましたが、またまたブリッツのセリフで彼の喜びを知って私も心から大拍手を送りました。
なんかほんと、ストレートでシンプルで深くて重くてレーゲンをまるっと愛してて良いこと言うんですよ、彼。
あと、最後のラブラブシーンで、いつもはちょっと抑えちゃうレーゲンの浮かれてる様子が可愛すぎてとにかくやばいです。
君たち、一生隣で幸せでいてくれよ。
電子限定。THEケンカップル~!という作品。
エリートハイスペ攻め×意地っ張り受け
お互い相手が何者か知らず、出会ってすぐ恋に落ちて相思相愛に。
その後相手が仕事上のライバルだったとわかり…!?というお話です。
古今東西読んできた設定ですが、やっぱり良いですよね。ふふふ。
最初の出会いからお互いにビビッときてて、数時間で意気投合。
考え方や好み、話せば話すほどお互いに似てる面しかなく、すぐにホテルへ直行。身体の相性も最高。
ハマりまくって連日のようにデートして1か月ラブラブ状態。
でも実は、相手の通り名しか知らず、勤務先も自宅も何も分からない。でもそんなの関係ないくらいハマっちゃってるしハッピーしかない!
という甘々な2人から始まります。この段階でめちゃくちゃいいです。
ただ、相手の正体が分かってからが…ケンカップルの真骨頂(笑)
許せない、コイツを相手にしてたなんて…!だけど会えば惹かれちゃうし、身体を繋げちゃう…!というジレンマ。
受けの一世がなかなかに意地っ張りでツン対応、攻めに敵意むき出しに噛みついていくので(ちょっと落ち着け~~)と思わないでもなかったですが、冷静に対応しようとして、でもつい口車に乗って攻撃的になっちゃう攻めや2人の熱いバトルが大変楽しかったです。
お互いの仕事面でのお話や立場、またラブラブになれるのか?ライバルとして恋人としてどう決着をつけるか?をちょっとだけハラハラしつつ(←2人相性良すぎるから心配はちょっとだけ)、たっぷり楽しめます!おすすめ~。
挿絵なし
高原のホテルを舞台にした爽やかな空気感をサラリと楽しめました!
イケメンリッチなモテ男攻め×可愛くて健気美人なベルボーイ受け
うぶなベルボーイの日和(受け)が可愛いけれど、女々しいわけでなくまだ成長段階の青年という感じでとても良かったです。
そんな日和が恋しているのが、毎年バカンスにホテルに訪れる客の鳴沢。見た目もずば抜けていて毎年違う女性を連れてくる遊び人。
恋してるけど、自分とは違う世界の人。ただの憧れ…と言い聞かせていた日和だが、ある日鳴沢の部屋に招き入れられて…?と始まります。
2人の距離が縮まるきっかけが、日和が入れたハーブティーなのですが、作品を通してハーブティーがほんわか温まる素敵なポイントになっていて、高原のホテルの爽やかさや日和の人柄ととてもマッチしていました。
憧れの人からの誘いに乗ってしまって、ホテルマンとして躊躇いながらも身体の関係を持ってしまうの日和の戸惑いや恋心が大きくなっていく様子が受け視点でじっくり描かれていました。
攻めの鳴沢もバイの遊び人なんだけど、思いがけない秘密があって…当初日和と話しているときのジェントルマンな雰囲気から、秘密が明かされた後のちょい俺様な感じが一粒で二度美味しい感じで良かったです!
攻め視点もあるので、あの時攻めはこうだった~が分かるのも嬉しい。攻め視点を読んで尚、ちょっと攻めの感情がラブになるのが早い気もするけれど。。
2人が付き合いだしてからの甘々や多忙すぎて離れてる間の切ない展開もあったりと、2人の話がぎゅっと詰まっていて面白かったです。
遊び人攻めがうぶな受けにハマっちゃうのが好きな人にお勧め!
夢乃先生の新作楽しみにしていました
…が、う~ん?ちょっと期待していたのと違うかな?
冒頭は受けエンベルが嵐の奴隷船で宗像瑞月としての記憶を思い出すところから始まります。情報の整理もできずに混乱したまま、エンベルは奴隷としてそのまま競りにかけられ、皇帝の側室候補として王宮へ。
怒濤の展開続きで、分からないことだらけで進むので主人公と一緒に読者もハラハラ。
皇帝に出会ってからも、条件反射のように「逃げなきゃ」と思ってしまうことや見覚えがあること、でも彼は元の世界の記憶があるわけじゃなさそう…彼は誰?どうして恐く感じるの??と全てが謎に包まれています。
この展開が中盤まで続きます。
う~ん、それがちょっと長かった。
正直に言うともう少し行間と内容を詰められたのでは…なんて…。
皇帝と側室と言ってもすぐに身体の関係になるのでもなく、2人の関係もほとんど動きません。何となく皇帝がエンベルのこと気に入ってるようだ…くらい。
前世の記憶が甦り、お互いの記憶が共有されたり距離が縮まって相思相愛になったり終盤は良かったですが、盛り上がりがそこだけという印象だったので全体的に薄めなストーリーに感じてしまいました。もう一波乱、二波乱作り込んでほしかった。
ごめんなさい、私は合わなかったようです。次回作に期待します。
すごく良かったです!個人的にDomSubで読みたいポイントが押さえられていて色々と満たされました~。
1点…1点だけ気になる点があったので迷ったのですが、総合して神評価にさせていただきます!この2人の続編もほしい!
刑事でノンケ離婚歴ありの強い世話焼きDom・武岡と、なかなか懐かない野良猫系ツンツン美人受けSub・桐生のCPです。
個人的にDomSub読みたいポイント…例えば↓
・コマンドプレイだけでなく、日常生活もDomSubの性質が出ること(普段の世話をしたり頼ったり)
・Subだけでなく、Domも満たされる描写があること
もし同好の士がいらっしゃったら、是非おすすめです。
ちなみに、DomSubとしての2人の関係で暴力などはありません。
「世話焼きDom」にふさわしく、攻めの武岡がしっかり男前で頼りがいがある上にご飯をあーんして食べさせたり寝るときは運んであげたり、とにかく甲斐甲斐しい!でもどこか無骨というかノンケの30代男性さがリアルで良かったです。
そして「孤高のSub」らしくツンツンすぎる受け桐生。
頭脳明晰、特定のコマンドによって嗅覚が異常に発達し、それを利用して事件解決の手伝いをしています。自分を客観視して合理的な考え方をするマイペースな情緒迷子な子。
武岡と一緒にいることで徐々に出てくる桐生の不器用健気の可愛さがたまらないです。
(別界隈で申し訳ないのですが、2人で1人の特撮系ヒーローの図書館にアクセスする彼を彷彿とさせました。あんな感じ!※双方へのリスペクトを込めて)
作中で武岡の「じいちゃん家のネコ」の例え話が随所に出てきて、2人の関係性の変化が分かりやすかったです。野良猫だったのが徐々に懐いていく様子や往生まで…終盤には桐生が自らそのネコに自分を重ね合わせてみたりして(可愛い)、ツンで懐かない野良猫がじいちゃんとどう過ごしたのかそちらも必見です(笑)
事件パートではハラハラもあり、先が読めない結末で面白かったです!
その事件を通しての2人のすれ違いや距離感の変化も読み応えがあり、とても満足でした。
総じて満足度が高いのですが、ただ1つ気になったのが…
2人のパートナーから恋愛への関係性の変化がちょっと唐突だったかなという点です。
ノンケで30代男性の武岡がパートナーとしての関係の構築に成功して、それをそのまま恋愛に移行させるのに違和感がありました。桐生も武岡に促され、そのまま受け入れて(その感情の名前を愛として正解かもしれないけど)お互いにもう少しクッキリ明確に意識していく過程が見れたら良かったかなと。そこの説得力が薄く、あっという間に恋人同士になった2人に若干乗り遅れました。
ボーイズラブという観点から言うと恋愛パートの大事なところなので評価を迷ったのですが、でもでも本当にそこ1点だけだったので今回は下げずに評価入れさせていただきました。
幸村先生の美表紙を見たときから思っていたのですが、カラーがSubは首輪Domは腕輪っていうのが最高設定でした!
支給品でなく2人でカラーを買いに行くくだりも最高で、最後は甘々な2人が見れて大満足です。(もっと読みたーい!)
かきのたね先生初読みです。
オメガバースとしてはシンプルなお話だったかなと思います。
運命を受け入れていく話なので、執着や愛憎風味のオメガバース入門として良いかも??
受け倉木(変転Ω)が突然ヒートを起こし、後輩である攻めの田代(α)に校内で抱かれる。2人は運命の番で、その影響でどうやら倉木は変転したらしい。
元々親に倉木と比べられ続けてきた田代は、目の上のたんこぶだった倉木に対して憎しみを感じながら抱き続け…という感じでした。
ところどころ田代の裏がありそうな悪い顔が出てくるので、どこでひっくり返されるのだろう?徐々に心を開きつつある倉木はいつ真実を知り絶望に墜ちるんだろう(これ以上何かあったらさすがに倉木が不憫すぎる)…なんてハラハラしながら読んでいましたが、
最終的に田代によるそのような裏切りや絶望はほぼありませんでした。
普通に番になって卒業後も仲良く暮らしてるし…。お互い最初は「お前なんて」という感じだったけど、運命を受け入れてまるっとOKという感じかな?
西条がやったことが全部田代が裏で糸を引いていた…とかだったら執着にニヤリという感じなのですが。(西条の事件の前の「先輩の匂いがいつもと違う」はどういう意味だったんだろう?)
裏の顔や闇の匂わせがありながら、あまり深掘りされていない印象だったので、もっとそこを描ききってくれたら闇BLとして面白かったかなという気がしました。
倉木の親がとにかくひどいけど、これから生活の心配もなく気兼ねもなく暮らせるという意味では自由になれて良かった気もします。
描き下ろしの巣作りはかわいかったです!
恋人編は甘いんだろうなぁ~~と予想していた通りでした。
高校生で付き合って1年遠恋してからの2人なので、お互いの気持ちは確かで安心して読める~。
…と思いきや、有言実行男の勇成が一人悩む展開に。
決断力も行動力もある男が一人でぐるぐるしちゃって珍しい。
「慧は他のやつと付き合った方が幸せになれる」
なんて、自分でも言ってるけどほんとらしくなくてどうしちゃったの??笑
2人ともお互いのことを考えて尊重しようとする子たちだし、
慧への気持ちが高まりすぎてちょっとした嫉妬と執着と独占欲にがんじがらめになっちゃったのかなと思うと、落ち着きと頼りがいがある勇成の時々出る年下ムーブが可愛らしい。
DDだし、まだまだ発展途上という感じでしょうか~。
有崎くんも幸せになるといいなー。