まず、表題作の小野寺律の話が1本。
話はやっぱり大して進まず。
相変わらず、『律が勝手に勘違いして、ちょっかい出してくる高野に困惑しては悲劇ぶる』という手に負えない展開のエンドレス・ループ。
もう、そのネタはお腹いっぱいですよ。
どんなに良いものでも食べ過ぎると胃もたれ・胸焼け・腹痛にもなります。
そんな胃もたれ・胸焼け・腹痛になっても高野の「あとどれだけ~」の台詞には思わず「おぉっ!!!」と感嘆してしまいました。
中村春菊さんは使い回しの設定がウンザリしますが、いざっていう時の台詞回しと心情表現はピカイチだと思います。
で、本命の木佐翔太。
2本入ってる時点でこっちがメインではないのか?と思いつつ、小野寺律以外が読みたかったので購入。
こっちのカップル、読む前は「エゴイストの二番煎じなんだろうな…」と思っていたんですが、雪名は100%別物だし、木佐も悩みつつも自分を理解した上でのウジウジなのでイラッとくるモノが少なく、凄く後味サッパリ爽快!に読めました。
レモンシャーベットみたいな爽やかなストーリー。
「中村春菊さんの作品で似たようなのを前にも読んだことがある…」という感じはしなかったです。
ただ、ラストが「これからっていう時に!」って感じの終わり方なので、続編が出るならば小野寺律よりもこちらが気になります。
兎のような医者に惚れた、虎のようで実は動物愛好家なヤクザが徐々に距離を詰めていこうとするお話。
と、『兎みたい』だと散々描かれてますが、残念ながら兎のようには思えなかったのがマイナス点。
どちらかと言うとミーアキャットみたいなキャラでした。
寂しくても死ななそう(笑)
設定やシチュエーションは好みだったんですが、
中身としては、迫られては拒否しまくっていた医者(受)が心変わりするタイミングが???だったり、心情描写が曖昧だったり、ヤクザ間の抗争も中途半端だったりで、
そのため、読み終わっても「ふーん………。で? 何?」と聞き返したくなるような中途半端なイメージしか持てませんでした。
2巻まで引き伸ばすならもう少し内容を濃くしてほしいです。
今のところ、2巻目購入は悩ましい感じです。
「なんかどっかで読んだような内容………」
これが読み終わった後の最初の感想。
基本的な話の流れは『純情ロマンチカ』と同じです。
受の言葉なんか聞かずに余裕顔で押して押してのクール攻に、そんな攻に翻弄されては無限ループに陥りやすい受。
ちょっと前進したかな?と思えば、間男みたいな第三者が出てきて、受はグルグル悶々。
そして、恋愛要素以外では、俺様的な性格の攻に対してキレまくる受………。
同じ作家さんの作品とは言え、違うシリーズのモノを比べるのはどうかと思いましたが、
2巻目だというのにあまりにもキャラの性格や話の流れが同じで、新刊なのに新鮮味が無くて物凄く残念でした……。
2巻目だし、多少の進歩はあるかな?と思ってたんですけど、思いっきり『純情ロマンチカ』の二番煎じっぷりなので読み返しは無いと思います。
(凄く個人的な感想(?)で、参考になるか分かりませんが)
読み終わって真っ先に思ったことが
『小さい頃からこうなりたかった!っていう理想が服着て歩いてる!!!』
でした。
攻(広川)が『歩く自己啓発セミナー』と言われるぐらいに『ザ☆大人の男(20代後半)』という感じで、人並み程度に女性も知り、頼りがいもあり、男臭い雰囲気もあって。
その辺に居そうで居ない理想の一般人でした。
BLでは「このキャラ、好き! 超ステキ☆」とはあまり思ったことがないのですが、
この攻は好きとか抜かして『こんな大人になりたかった!』っていう感じに好意が持てました。
受(須藤)ですが、こちらは人と関わるのが昔から不器用で、それ故に色々と噂されては更に人付き合いの下手さ具合に拍車が掛かり~のエンドレスループに陥ってるところに攻(広川)と知り合い、どんどん人が変わっていきます。
長年培ってきた不器用さに色々とひねくれた考えになりやすく、だからこそ!のまったり・じっくり・ジワジワな展開でした。
ただ、終わり方が「んんん?」と言いたくなるぐらいにインパクトが薄く、無理矢理閉めた感じがしなくもない感じでした。
(分かりづらい例えかもしれませんが)
『中身の見えない器に盛られたフルーツパフェを食べていて、最奥が寒天だった。』
そんな感じのアッサリ目の終わり方でした。
最初から出来上がっている主人公CP。
知り合ったキッカケや主人公(受)の過去が話の途中に垣間見えるといえば見えますが、本当にうっすらと見える程度で、
何故に好き合ってるんだ?
お互いのどこに惹かれたの?
何故にお互いを相棒と呼び合えるまでになってるの?
というような読者に疑問を持たせる関係性ばかりで、上っ面しか見せられていないのに相棒と呼び合う主人公CPに違和感ありまくりでした。
そのため、『探偵モノ・アクション・サスペンスといったストーリー重視で描きたかったけど、そこにBLを無理矢理詰め込んでみました☆』という感じでした。
かと言って、BL要素にページを割いたせいかストーリーもあやふやで………。
その上、これといった濃厚なエロシーンがある訳でもなく、殆どが未遂だったり、数コマだけだったり、朝チュンだったりで。
終始、中途半端な感じで終わってしまいました。
『原作ネタの全く分からない同人誌(二次創作)を読んでいるような感じ』と言えば分かりやすいでしょうか?
本当はこれが2巻で、1巻はどこかにあるのでは……?と、思ってしまいました。
ただ、定評のあるイラストレーターさんなので1コマ1コマに動きがあって、格闘・追跡などのシーンは迫力がありました(^_^)
コマ割も上手くて、そういった点では満足のいく作品です。
そのため、プラス・マイナス・ゼロで『中立』。
ちょっと前に流行った県民性と、微妙にブームだった擬人化をヒントにやっちゃいました☆感がプンプンする1冊。
しかも、drap編集ということでdrap関係の有名な作家さんが名を連ねているのですが、
(あくまで推測ですが)
「この県はこういう特徴があるんで、そんな感じで描いて下さい」
という具合に指示されたような感じがあるせいか、
1冊において同じ県なのに作者によって微妙に性格や立ち位置が違っていたり、読んでいて訳が分からなくなることもしばしば。
とにかく、描かされた感がする1冊な上に、すんなりとは読めない読みづらさに
「2回目の読み直しは無いかなぁ」
と思いました。
自分の意志でキャラ作りから関係性まできっちりと考えられる人に描いて頂きたかったネタです。
気分的に
『甘く・切なく・ちょっとほろ苦い・ハッピーエンド』を
求めていたので手にしてみました。
紺野けい子さんの作品の十八番!
読み始めて数ページで律(主人公)とひろがお互いを意識し合ってるのがモロ分かり。
(ひろは自分の律に対する気持ちが『特別な親友』への気持ちだと思ってますが)
それでも中1~10年来の付き合い、青春を共に過ごしてきた親友に対してそんな気持ちも言える訳なく………。
と、BLに有りがちな、というか、同性愛だからこそのストーリーで『甘く・切なく・ほろ苦く・歯がゆい』を目一杯味わえる1冊でした。
◆◇◆◇◆◇◆
巻末に律×ひろとは全然関係ない作品が1つ収録されています。
『愛する立場か、愛される立場か』っていう感じの話で、こちらも同性愛者だからこその話でした。
表紙とレーベルで買ってしまった1冊。
初めて読む作者さんです。
高校生をメインにした短編集ですが、
全体の8割ぐらいがエロ描写ではなかろうか?というストーリーよりもエロ重視な1冊。
たしかにエロだけではないような話もありましたが、
とにかく『即ヤリAV』の如く、話が始まったかと思えば数ページ後にはH、知り合ったらHという展開がほとんどで
ストーリー重視で読みたい人にはあまりオススメしません。
また、エロ描写重視なせいか背景の白いコマがほとんどで、効果音と喘ぎばかりで各コマに勢いというか動きがなく、漫画というかイラストの寄せ集めみたいな印象でした。
それがこの作者さんの持ち味と言えばそうなのかもしれませんが、単調な印象です。
エロ重視なだけあって、Hシーンの描写はインパクト大ですが。
しかし、単調な上にストーリー性の薄いエロ重視なので読み返しは無いかな。と思ってしまう1冊でした。