亡父の縁で知り合った攻めを好きになったけど、その父の存在があるから、この恋は実らない…という切ない話のはずなんですが、地の文が受け視点で叙情的に進むわりにキャラの心情変化が唐突すぎてついていけなかったです。
特に最後の攻めの手のひらを返したような態度の変化に、今までの頑なな同性愛忌避や大切な人たちの忘れ形見に手を出したくないという倫理的な葛藤はなんだったんだろうかと、ちょっと遠い目に…お墓に土下座して済む問題だったのなら、さっさとしとけと。
受けも生い立ちを考えれば老成したような落ちついた性格もわかるのですが、周りの大人の勝手を受け入れすぎていて読んでいるこちらが釈然としません。
この作家さんの本を読むのはこれが初めてなので他の作品もそうなのかはわかりませんが、相槌をカタカナで会話の中に入れるなどの独特の表現があり、その度に意識が現実に引き戻されてなかなか話に入りこむことができませんでした。
それもあるのか、最後まで誰にも感情移入できないまま読み終わりました。
話が破綻してるわけではないですし、筋は通っているのですが…読む人を選びそうな印象を受けました。
こちらでの評価が高かったので購入しました。
現代日本のお話かと思いきや、隕石が衝突して再び氷河期を迎えた地球の、千年後の日本が舞台だそうで…人類は過酷な環境に適応するために生命力の強い節足動物と融合し、その原種の能力を受け継いでいる、というSF設定にびっくり。
さらに、この世界の人々は融合した虫の種類によって能力に差がつくので、ハイクラスとロウクラスという階級意識が生まれています。
ミドルクラスはないみたいです。なんという格差社会(笑)
ハイクラスとロウクラスは生活圏が分かれていて普段は交流することもないのですが、ロウクラスであるツバメシジミの翼が憧れの人を追ってハイクラスが通う名門校に入学するところから話がはじまります。
特殊な設定ですが、虫の機能や特徴をうまくキャラに活かしてあっておもしろかったです。
特に、それぞれの持つフェロモンがセックスでお互いに移ってマーキングのようになる、というのはBL的においしい(笑)
お話としてはBLと少女漫画の王道を混ぜたような展開なので、下手すると陳腐になりがちな流れですが、虫の設定でキャラを魅力的に描写しているので最後までぐっと引きこまれました。
シリーズ化しているそうなので他のキャラのお話もそのうち読んでみたいです。
椎崎さんの書かれる、不遇の中でも健気な受けが好きでよく読むのですが、そんな受けが今回は攻めを誘惑するとあったので期待して購入しました。
でも、誘惑…して…る?
終始加藤が慎をリードしていて、誘惑に引っかかってるのはむしろ慎の方のような。うーん、期待していた分、ちょっと肩すかしだったかな。
あと、加藤の本音を最後にもってくるためでしょうけど、加藤の内面がわかりにくく、慎を好きになったことにいまいち説得力を感じません。
慎の昔の友人や、里穂子の依頼の理由、加藤と里穂子の関係、加藤の元婚約者、などの諸々の事情をキャラの言葉として一気に説明させるのも話の都合で喋らされてるようで違和感がありました。
キャラの設定や関係性は好みだったんですが、私にはちょっと合いませんでした。
BLでよくある「体からはじまる恋愛」は、実はお互いに、あるいは受けか攻めのどちらかが相手を好きで、その気持ちが暴走した結果というパターンがお約束ですが、この話の鮫島と美馬は当初どちらも友人以上の気持ちを持っていません。
ささいな意地の張り合いで体の関係を持ったことをきっかけにして、相手の体への衝動につき動かされるように友人関係の均衡を崩していく、まさに「体から」はじまる恋愛です。
美馬は体の相性に引きずられるように鮫島に惹かれていく自分に戸惑いますが、本気の恋愛を意識的に避けてきた美馬には体先行の恋愛の方がちょうどいいのかもしれませんね。
長年の友人としてのスタンスを簡単には変えられなくて、お互いに意地を張ったり、牽制したりするところは読んでいて、もどかしかったです。
頭でずっと思い悩んでるくらいなら、体の反応に素直になった方が案外すんなりうまくいくのかも、そう思わせてくれるお話でした。
考えるな、感じろ!ってことですね。←?
ちなみに個人的にツボだったのが、二人がいざ恋人として向き合おうとした時に、どちらもタチだから入れられることを躊躇ってキスでお茶を濁すところです。か、かわいい…!
結局、美馬が入れられるのですが、普段攻める立場の人が受けるシチュが好きなので、そこもすごく萌えました!
バナー広告に惹かれて電子書籍を購入してみました。
幼なじみ三人による三つ巴エロです。
受けのあゆむがタイトルでいうブサメンなのでしょうが、ちょっと団子っ鼻なだけでブサイクではないような…???
むしろ愛嬌があってかわいいタイプだと思います。隼人や龍二のように世界一かわいいと言いきってしまうとアレですが(笑)
イケメン幼なじみ、隼人と龍二に同時に言いよられたあゆむは二人にうまく言いくるめられ、友情と恋愛の区別もつかないまま、なし崩しに三人でエッチする関係に。
エロはだいたい誰かのツッコミ(主にあゆむ)が入るのでギャグっぽくさらっと読めます。
それでもちゃんとエロを読んだ気になれるのはあゆむの感じてる表情が絶妙ですごく萌えるからでしょうか…二人がところ構わず手を出そうとするのに口では抵抗するものの体が敏感に反応しちゃうあゆむの色気にはたまらないものがありました。
絵がキレイでキャラも魅力的なエロコメディなので、これだけ人気なのも納得。何も考えずにさくっとエロを楽しみたい時にオススメです。
しばらくBLから離れていた頃に移動中の暇つぶしとしてこの本を購入しました。
読みやすい文章と展開のおかげで久しぶりのBL本でも抵抗なく読み進められ、読み終わる頃にはすっかりBL萌えが再燃して今に至るという個人的に思い出深い本です(笑)
受けの汀は父親の部下である八木への恋をどうしても諦めきれなくて遊び慣れてるふりをして八木を誘います。
でも、いざ体の関係になってみると八木への思いは募るばかりで本当の気持ちを言えないことがつらくなってきて…というのがあらすじです。
BLだとよくある設定ですし、実際、最後まで予想通りの展開ですが、汀と八木の誤解とすれ違いが丁寧に書かれているので、汀の切ない気持ちにすっと感情移入できて楽しめました。
キャラの会話や地の文に少し時代を感じるところもありますが、安定した面白さはさすがベテランの方だなと思います。
人づきあいが苦手で研究に没頭しがちな瀬戸と社交的で仕事もできる益原のカップルです。
クレーム処理のために営業の益原と取引先へ向かうことになった瀬戸は口下手な自分と対照的な益原に苦手意識を持ってしまい、うまく会話することができません。
しかし、取引先で再会した元恋人の充輝に復縁を迫られるもうまく断れずに困っていたところを助けてくれたのは益原でした。
益原は強引に瀬戸を自宅に住まわせ、充輝には自分が瀬戸の恋人だと嘘をつき、その方便を盾にとって瀬戸に迫ってきて…というのがあらすじです。
他の方々も仰るとおり、この話の受けと攻めは普通のBLなら役割が逆転してそうな二人です。
セックスすると受けが言葉責めして、攻めが喘ぐという、どっちがどっちなのかよくわからないことになってます(笑)
好みが分かれるところだと思いますが、受けのような攻めと攻めのような受けの話を読んでみたかった私としてはとても楽しめました。
益原は、押しに弱い瀬戸の性格を見抜いて強引に同居に持ちこむ一方で、瀬戸の素直な言葉にいちいち驚いたり、照れたりして、普段の余裕ある態度とはうってかわってかわいいところも。
瀬戸のために料理を覚えたり、ノンケだったのに躊躇いなく受けに回れるあたり、根はものすごく一途で健気なようです。
瀬戸は無神経ではないけれど自他ともに心の機微に疎く、口下手なので読んでいてすごくもどかしい!
でも瀬戸は瀬戸なりに自分に関わる人に誠実に向き合おうとするんですよね、言葉でうまく伝えられないだけで。
益原からの告白に流されるように返事をするのではなく、三週間かけて自分なりのやり方で益原へ気持ちを伝える瀬戸には益原と一緒に感動してしまいました。
全く違うタイプの二人だからこそ、お互いの足りないところを補い合うように寄り添えるのかもしれませんね。
受けの片思いが大好物の私にはたまらないお話でした。
ゲイの皆内はサークルの後輩である進藤をひそかに思っているけれど、ノンケの進藤に告白するつもりはなく、仲のいい先輩後輩の関係で満足しようと思っていました。
しかし、本人からの相談で進藤が同じサークル内の女性を好きだと知ってしまいます。
自分の気持ちを隠したまま進藤の恋愛を応援をしなければならない、でも二人が親しくなっていくところなんて見たくない。
そんな皆内の思い悩む姿が切なくもかわいかったです。
同時収録の続編では片鱗をみせていた進藤の独占欲が遺憾なく発揮されていて楽しく読めました。
あと、進藤は一浪したので普段は後輩として皆内に敬語をつかうのですが、嫉妬で気持ちが高ぶったりすると同い年らしくタメ口になるところが個人的に萌えツボでした(笑)
受け攻めともに体格のいい男の子(身長はほんの少し受>攻)なのに読んでいくうちに、二人ともかわいく思えてくるお話でした。
市村と開士は共通の友人の失恋をきっかけにして親しくなるのですが、市村は開士に、まるで女の子にするような優しい気づかいをみせます。
開士はそんな丁寧な扱いを受けたことがないから最初は戸惑うものの、王子さま然とした市村に優しくされるうちに、だんだん嬉しくなってきて…という話の流れです。
なにかドラマチックな展開があるわけでもなく、ただ受けと攻めが出会うだけのお話なのに市村のちょっと変わった審美眼と開士の乙女メンタルのおかげで、なかなかおもしろいことになっています(笑)
開士がかわいくて仕方なくて大切にしたいのに過去の苦い経験から気持ちを隠そうとする市村や、市村の表情や言葉の変化に乙女のように一喜一憂する開士は本人たちが必死なだけにとてもほほえましかったです。
私からすると、開士に引かれたらどうしようと悩む市村はかわいいし、市村を守ろうと決意する開士はかっこいい、とも思うのですが、それでも市村にとって開士は「かわいい」し、開士にとって市村は「かっこいい」のでしょうね。
いやーごちそうさまでした!