自分でも理由が分からないくらい卯一に感情移入ができた。だからとことん幸せになってほしい。あきとらに会えなかった27年の月日を思うと胸が潰れそう。ハピエンだけど27年の2人の空白が痛い。最終的に卯一を幸せにしてくれた先生に感謝。ただそこに至るまでの過程と卯一が過ごした孤独であろう月日を考えると切ない。
辰之の救出後一人で闇に消えた卯一の妄想と現実を織り交ぜた描写に何度も泣かされた。さすがに先生、神がかった表現力。でもそこが一番好きなシーン。
2人が一度別れるのは本当に必然だったのか、と考えるとやるせないものはあるが。卯一は自己破壊衝動からどこかで何かをして自分も愛する人とその周り(この場合は麻巳、辰之、組員とか)をも壊してしまうから、あの時は離れることを卯一が選択して、あきとらが受け入れたということでしょうけど、私はなりふり構わず卯一の全てを包み込んで引き止めてほしかった。
離れたのは卯一だけど、その実選んでもらえなかったのは卯一だった。
奥さんの麻巳に関しては複雑な気持ち。理解できなくもないし嫌いでもない。しかし3人でという選択肢はあるようでない。危うい均衡は遅かれ早かれ崩れる。どっちかがゲームから退場しなければならない。現実それは卯一だった。話のなりゆき上そうならざるを得なかった。私は卯一の気持ちが本当に痛いほど分かるから、そこは読んでいてとてもつらかった。
欲を言えば、麻見と死別した後にあきとらが卯一を探そうとするところが少しモヤモヤする。本人の意思じゃなくて状況がそうさせたというか。麻見が生きてたら2人の再会はなかったのか。あきとらは卯一を探さないで人生を終えるのか。
一巻の2人の出会い方から再会まで、本当に最高にクレージーでふっとんでる。まるで映画を観ているようだ。ドキドキはらはらさせられて非日常に浸れた。
評価は少し辛口かも知れないけど、このシリーズ多分ここ10年くらいで一番好き。何回も何回も読み返してまた新しい見方ができるかもしれない。