原作自体が重苦しく暗い雰囲気の作品なので、購入するのを暫くためらっていたのですが、これは本当に買ってよかったとリピートするたびに感じます。何度リピしたことか…。
メインお二人の文句のつけようのない安定感のある演技力に加えて、阿部さんの演出ですからね。
当然ですが神がかっています。それを差し引いてもここまで完成度の高いドラマCDも中々ないように思います。
帝王の実力を改めて、まざまざと見せつけられました。
感情の篭もっていない美声がこんなにも恐怖心を煽ってくるとは…。
怖い。とにかく怖いんです。震えあがるほどに!
ただ、感情こそ表には出してきませんが、その裏が時折垣間見えてくるというか、心の奥底は涙で濡れているんだろうな…と、憎悪と恋慕の情という矛盾した想いが入り混じった痛くて苦しくて切ない恭一の気持ちが汲み取れるんです。
だからあんなに酷いことをしているのに恭一を憎み切れない。
流石の演技力に平伏しました。
終始鬼気迫る演技をなされてますが、特におすすめは最初に恭一が琢紀を犯すシーン。
バスの車内で行われる完全なるレイプなのですが、「嘘」から「じゃあ中」まで、森川さんの紡ぐ台詞全てが泣きたくなるほどに怖かったです。
優しい森川さんのお声が恋しくなりました。
そして遊佐さん。
怯える演技が絶品です。
すれ違いが取り返しのつかない過ちを生んで、自分の望んでいたものとは全く違った方向へ進んでしまった二人の関係。
じわじわと追い詰められていく琢紀を丁寧に演じられています。
無理矢理犯されていたはずが、何度も抱かれるうちに体が勝手に反応するようになってしまう。
そして追い打ちをかけるように過去の恋心と自らの恋心に気づいてしまい…。
苦悩のあまり、気が触れたように笑い出すシーンは圧巻です。
「死ねば?」
と半ば病んだようにいう琢紀の台詞はぞっとするほどの迫力でした。
辛くて苦しくて、琢紀のことを考えると涙がじわっと溢れてくるんです。
琢紀を犯しながら恭一がお前は一生俺のことを忘れないと、ざまあみろと言うのですが、私には複雑に捩れてしまった愛の告白のように聞こえました。
なんでこんな悲劇が生まれてしまったんだろう。
その答えは琢紀の「俺はたぶん…お前のことを好きになりすぎたんだ」に集約されているのでしょう。
好きになってごめん、という琢紀に涙腺が完全に崩壊しました。
ああもう、お二方とも凄すぎる…!
ちなみに最終夜まで糖分ゼロで進みますが(特に帝王ボイス)、その分想いが通じ合ってからはぎゃああああああああああああああああって叫びたくなるほど甘いです。
反動でめちゃめちゃ甘く感じます。
ラストのモノローグが優しくてまたしてもじわじわ。
……もっと幸せになってからの二人を味わいたいと思ってしまうのは我が儘でしょうか。
最後に、梶さんと演出の阿部さんの素晴らしさを少々。
梶さんは森川さん演じる恭一の中学生時代を演じてらっしゃるのですが、これがまた絶品!
無邪気で朗らかな恭一からの悲壮感溢れる泣き演技…!
必死で声を抑えながら泣くシーンとか、聴きながらすごい…と思わず声を漏らしていました。
中学生時代を演じているのが梶さんで本当によかったです。
そして神の演出、阿部さん。
やっぱり演出がモノをいいますよね~。1枚で2枚組を聴いたような満足感を得られたのはひとえに阿部さんのお陰かと。
BGMやSE一つとっても素晴らしい。特にバスのSE凄すぎです。
というわけで、とにもかくにも完成度が高いCDです。
原作の繊細さがここまで完璧に表現されるとは…!
テーマがテーマなので好き嫌いは別れると思いますが、声優陣・制作陣ともにこれ以上ない仕事をしてくださっています。
購入を迷われている方がいらっしゃったら是非お手に取ってみてください!
スピンオフの発売が発表されたので久々に聴き直していますが、本当に日高作品の独特の雰囲気がよく表現されているなあと思います。
起伏が少なくて淡々としていますが、なぜかドキドキするんです。
BLドリームでもファンタジーでもないので、そういったものを求めている方にはおすすめしがたいですが、大人のリアリティー溢れる恋愛ドラマとしては最高の出来だと思います。聴き終わった後のしっとりとした余韻が堪らなく好き!
声優陣の演技も言うことなしです。(中森さん以外の女子社員は拙さが残りますが…)
特に森川さんのモノローグは絶品です!本当に惚れ惚れする。
中村さんや鈴村さんもそれぞれがしっかりとキャラを掴んで演じていて、もう文句のつけようかないです。
皆さん間の取り方が本当にうまいんですよねー。
3人の声のバランスもよくて、これまで何度リピしたかわかりません。
本編最後のトラックで、ノンケとの恋愛に酷く臆病な榊に対して「少しくらいは俺と貴方の気持ちが重なる可能性を考えてみてよ」と言った岡田が、いざ体が触れ合うと「やっぱり怖いな」と漏らすところがぐっと心にきます。
やっぱりセクシャリティーを超えるのってかなりの覚悟が必要ですよね。
思わずほろりと涙が零れそうになります。
『嵐のあと』
原作の読後もそうでしたが、CDを聴き終えた後もまた改めて、タイトルの意味を考えさせられました。
スピンオフで美山君の声が鈴村さんから間島さんにかわってしまったのは残念ですが、(鈴の冷めきった演技が好きだったので、この美山君がどうなるのか聴きたかった…)嵐のあとから4年後のお話ですし、間島さんも大好きなのでなんとか自分の中で整理しておきたいと思います。
吉武きめええええええwwwww
と思いながら読みました。もちろんいい意味で。
いやー、本当に史上最強に気持ち悪い攻めだなあと思いました。それはもういい意味で。
守屋先輩に対するアプローチの仕方が周到過ぎて、うわあ……っとしょっぱい気持ちになります。
どんどんほだされていく守屋先輩に、落ち着け!冷静になれ!そいつはワンコの皮を被ったオオカミだ!と思わず声をかけながら読んでしまいます。
そんな二人のやりとりがテンポよく描かれていて、最後まで本当に楽しく読めました!
吉武の策にまんまと誘導されてハマっていく守屋先輩は非常に可愛いです。
肩の力を抜いてただただ楽しく読める作品なので、疲れた時などにおすすめです。
ドラマCDもよくできているので、是非併せて聴いて頂きたいです(*´∀`*)
じわーっときました。少し時間がたってからほろりときました。
木下先生の描かれる作品は綿菓子みたいで、読後のほんわかした空気感が大好きなのですが、この作品はかなり毛色が違いました。最後まで胸が痛かったです。
紆余曲折あって結ばれる関係はもともと大好きなのですが、木下作品でこの感覚を味わうことになるとは…。
てっちゃんの大人のずるさだとか弱さだとかが透けて見えていたからこそ、この作品の現実味が増してたんだろうなあと思います。
すれ違ってすれ違って、お互いがお互いを好きで、どうしようもなく必要としているのに上手くいかない。好きという感情だけで一緒にいられるほど現実は甘くない。
高校生だった宙があのままてっちゃんに甘えてしまっていたら、この二人は上手くいかなかったような気がします。
一度ダメになったからこそ、めでたく幸せになれたんだろうなと。
自分が手を放さなければいい。
男前な宙が心の狭い(5ミリ四方くらい)てっちゃんを幸せにしてくれるでしょう。
『もっとぐずぐずに七王さんを甘やかしてあげたい…!』
と前作を読んでからずーっと思っていたわけですが、やー満足です。
出来上がったとはいえ“すぐに一歩引いてしまう癖”のある七王さんの心を相川がどうやって溶かすのかしらと思っていましたが、(王道なのでなんとなく先は読めるものの)求めていた通りの展開でした!やはり王道には王道たる所以がありますからね。ギュンっと萌えました。キュンとできます(*´∀`*)
個人的には中盤で七王さんが畳み掛けるように相川に気持ちをぶつけるシーンが一押しです。
相川が発した台詞がNGワード過ぎておろおろしました。言葉選びを間違えたにもほどがあるよ相川…。
しかしながらお蔭様で直後のシーンの萌えがとてつもなく高まったので結果オーライですね。
ああもう、七王さんの表情本当によかった…(反芻)。
七王さんの相手が相川でよかったです。
執着心も独占欲強すぎなくらいが人を好きになることに対してどうしようもなく臆病な七王さんには合ってるんだろうなあと思いました。
七王さんがもっともっと素直にどーんと甘えられるように、相川にはさらに頑張っていただきたいものです。
いっそ飼い殺すくらいにぐずぐずに甘やかしてやってください。(2回目)
願わくば続編を…!
もう少しこの二人のお話が読みたいです><