アパートの大家である、純粋で不器用な大家さんとお人よしでカッコいい住人のお話。
BLを全面に押し出すというより、人間模様が繊細に描かれている印象を受けました。登場人物の背景を綺麗に映し出していて、キャラクター1人ひとりに愛着を持つことが出来ます。
終盤うるっとしてしまうような場面もあり。
風景の描写が素晴らしく、この海沿いのアパートがある町に没入できる感覚。
大家さんである松之くんのピュアさと形成された鈍感さに対し、青葉くんは真摯に向き合います。
馬鹿にせず真剣に向き合おうとする青葉くんはめちゃくちゃイケメンです。
松之くんも自分に生まれた感情を一生懸命受け止めようとしていて、この過程がものすごく萌えます。
死ぬほどBLを読み、特にドエロや闇深を読み込んで飽和してきた方へ、ふとした時にこれを読んでそのギャップに萌えてほしい。
なんか忘れていた感情を呼び起こされるような、遠吠えしたくなるような感情に襲われます。
エロなし、だがそれでいい、それがいい。
この街に行って、このアパートに住んで2人の過程を見守りたい。
出来るなら、もっとゆっくり2人が心寄せる過程を描いてほしいくらい。話数的に厳しかったのだと思いますが、数巻に渡って描いてほしいと思う繊細で素敵な物語でした。
飽和したBL作品の中に、一つ淡く心温まる潤いを。
素敵なお話です、気になっている方は是非読んでほしいと思いました。