読んだ後に表紙のイラストをみると
なんだか幸せな気持ちになりました。
しょっぱなからパートナーシップ制度がでてきたり、
先にその制度を使ってるカップルが出てきたり、
だまし討ちみたいな形でカップル成立したのに、二人の間に流れる雰囲気がよかったりして、
読んでて安心して没入できる……というんでしょうか
突飛すぎない設定とキャラクターたちに浸れるというんでしょうかね
読んでて心地よい一冊でした。
特に「惚れるきっかけ」がさりげなくて、
でも「それは惚れるよね!」って納得できたからもう名作!はいこれ名作!って早々に白旗あげました。
ストレスに負けそうな人に読んでほしい一冊です。
893もので、攻めがお偉い方
顔に傷があって、眼光が鋭い。
という設定で
「こんなにモノローグでしゃべるキャラいたかな?!」
というのが読み終わってまっさきに言いたいことです。
とにかくよくしゃべる。
モノローグでもしゃべる。
無駄にしゃべるんじゃないですよ、全然必要なことなの。
でもすっごいしゃべる。
寡黙な設定のキャラになりがちな設定なのに、
まーーーーよくしゃべる(笑)
けど、このキャラクターがいいんですわ。
ほのぼのするんですわ。
脇を固めるキャラクターたちがすっごい人間味のある人たちというのもあるんですが
読み終わった後に残る感情が、すっごいほのぼのするんです。
動物番組みたあとみたい。
SNSで「BLごっこ」なる遊びが流行っている
という世界線でのお話。
おもしろい設定だなーと思って軽い気持ちで読んだんですが
この設定が実によく練られていて面白かったです。
このごっこ遊び、本当に疑似のカップルと、ガチがいるという設定で
それがいいかんじに後に響いてくるんですね。
主人公がいまいち趣味じゃないなーって思ってたのに
読み進めるとかわいく思えてくるからほんともう(頭をかかえる絵文字)
2つのカップルがでてくるんですが、
どっちもかわいいし、ちゃんとぐるぐる悩んで青春してるからいいですよね。
実際にこんなハッシュタグが流行ってたらのめりこみそうで怖いんだけどさ。
この設定おもしろいからドラマ化とかしないですかね。
楽しそうなんだけど。
アルファ、ベータ、オメガ
という第二の性という概念がまだない、
さらに対立する部族同士を結ぶための婚姻
ときいたら興味が出て当たり前じゃないですか。
ポチっとして大正解でした。
あたたかい地域なんでしょうね。
出てくる人たちが「総じて薄着」というか「筋肉見せつけてナンボ」なので
体格の良い男ばっかりなので目の保養になります。
発情期がある
言い伝えによれば男性だが妊娠できるらしい
というこの二つの理由により、
いがみあっている部族をつなげるためにやってきた主人公。
そして反発しつつも発情期にアテられて体をつなげてから
次第にほだされていく攻め。
お約束の展開はありつつ、わくわくしながら読み進められました。
これがデビュー作というのを私は信じないぞ!!!(笑)
それぐらいしっかりと一つの作品として完成度が高かったです。
そして、同じぐらい編集者さんやレーベルをほめたい。
よくぞこれを発行してくださった!!!
ラブラブな二人もみたいので、続編希望です!
山神様と人間のお話。
というとほかにもあるかと思うんですが
別に人間は生贄になるわけでもなければ、
眉目秀麗で見初められる、というわけでもありません。
ふとしたきっかけで接するようになって
山神様の本体にもかかわるようになって……
とまるで田舎の山のようにひっそりと二人のお話がすすんでいきます。
二人がどうやって距離を近づけていくのかというのが
ものすごく丁寧に書かれていて、
読み終わってからの余韻がとてもよかったです。
疲れていてあまりアップダウンのあるお話はきついなぁ、
というときにそっと差し入れたいお話でした。
読み終わったあとに、二人がとても魅力的にみえてくるのもよかったですね。
オメガバースもいろいろ進化してきたなぁと感じた作品です。
圧倒的な力関係がついてしまうもの、という認識があったオメガバース。
そこにしっかりと焦点をあてて丁寧に描いたもの、というと伝わるでしょうか。
ほのぼのとしたパートと切ないパート、現実をつきつけられるしんどいパートがしっかりと描かれているので、
架空の設定のはずのオメガバースがすごく現実味がありました。
メインとなる二人のキャラクターもしっかりしている、というのが大きいかもしれませんが、
わりとシリアスな話の中でも、シリアスにかたよりすぎない部分もあって
多くの人に読んでほしい!!!と心の底から言いたい作品でした。