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女性beebeebeeさん

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爆誕

上野先生の十八番であるリアリティ溢れる人間描写と高校球児たちの青春が混じり合って物凄いビッグバンを見せつけられました。どんなに称賛してもしきれない、最高の逸品ここに誕生です。

流石の上野先生、まず漫画としての完成度が素晴らしく高く、物語として全体を読んでいる間も、読み終わった後もとてつもない幸福感を与えてくれます。

高校〜二十歳までの多感な時期に迎える人生の一つの分岐点で、同性に惹かれる主人公千歳君の繊細な心の動き、友人達との関わり方、明るい性格の裏で密かに抱える葛藤の描き方。転入してきた高鷹と出会い、徐々にお互いを知り、惹かれ合い、幸せに過ごしたと思えば、些細な事で疎遠となってしまうまでの流れ。高鷹が徐々にグループに溶け込んで行く様や、少しずつ自分の状況を打ち明け、バッテリーと言う関係を経て千歳くんと惹かれ合う過程の描写もとても細やかでお見事です。二人に愛着が持てる分疎遠になってしまう状況は苦しいですが、そのおかげでクライマックスの感動は絶大です。

さらっと口から出る自然な一言や仕草の一つ一つがキャラクターに命を与えており、より自然にこの2人の存在を受け入れさせてくれて、まるで実在の人達の生活を覗き見させてもらっている様な気持ちになれます。多彩な人間性を確実に描写できるからこそ、人の誕生を祝う「誕生日」をテーマにした作品に重みが出ているのでは、とも思います。

上野先生はこれまで青年誌寄りの雰囲気の作風で描かれる事が多く、その作風もとっても好きでしたが、今回はBL漫画に読者が求めているものに真っ向勝負で挑まれたのかなと個人的に感じました。見てのとおり、千歳くんも高鷹も、とにっっかくキュート!!!この二人の全く違う方向性の可愛さに悶絶しっぱなしでした。いくらでも見たい二人の表情を、時間経過や成長につれて変わる髪型や服装で存分に楽しめるのがなんとも贅沢。そこに上野先生本来の漫画のお上手さとお話のおもしろさが混じり合うのですから、もう向かうところ敵無しです。神評価何度押しても、足りません!「Happy Birthday ちとせくん」と言う作品が生まれてきてくれた事にただただ感謝するばかりです。

2と車 コミック

虫歯 

超莫大感情(&文字サイズ)!!

BL史上最大級の超莫大感情(と文字サイズ)が紙面から溢れんばかりに詰まった迫力満点の渾身の大傑作!
ここにいる方の多くはこういった男同士の巨大感情がお好きなのではないでしょうか。

才能の惹かれあい、感情のぶつかり合い、当人同士にしか分からない言語を用いての激しい愛し合い、これがこの2と車という作品においての音楽(セックス)!!!!(のちに肉体的な絡みもある!!!!)

一歩先がどうなるのか、上も下も右も左も前も後ろもどこへ進むのか最後まで予測不可能な、まるで宇宙空間内のジェットコースター。それでいて、二兎さんの渦巻く感情が直接流れ込んでくる様な、あたかも自分も同じ体験をしている感覚になれる体感型漫画です。

バンドBLとして、作品内での「音楽」の扱いも素晴らしいです。
単なる物語の設定や飾りとしてではなく、「音楽」という物にしっかりと向き合い、圧倒的なものとして音楽が存在しています。
臨場感のあるライブ描写、登場人物の音楽への向き合い方、触れている間の心境など、随所から「音楽」そのものに対する生半可ない感情がこれでもかと感じられる、こんなに真っ当に音楽自体と向き合っているバンドBLはなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
時に人生であり、言語であり、試練であり、恋敵であり、セックスであり、その人自身でもありと、場面ごとに形を変え様々な解釈が出来る音楽の存在にも注目です。

もちろんBL視点で見ても、ドキドキさせられる場面が盛りだくさんです。
終始色っぽい二兎さんの、拍車がかかって行く色気と、ふいに見せる恋に落ちた人の可愛い仕草や表情。来間の、常に天真爛漫で少年の様な雰囲気と音楽に向き合う時に見せる獣の様な強さのギャップ、最後に見せるギタリストならではの手つきは必見です。

そして何よりも、人が持つ感情のパワーに圧倒されます。
動物で唯一、感情を表現する芸術を作り出せる人間は、不完全で醜い存在だからこそ、救いを与えてくれる美しい物を求めて芸術を生み出そうとしているのかもしれません。
私はこの作品から、不完全で醜い人間と言う生き物が目一杯の感情をぶつけて必死に生み出すあらゆる芸術創作行為の美しさと、虫歯先生のそれに対する愛と尊敬を感じました。
作品から読み取れるメッセージに、創作物を愛する人達は共感したり、救われる気持ちになるのではないかと思います。

好きってなんだろうか。
美しいってなんだろうか。
そんな哲学と、BLへの愛、音楽への愛、人間への愛、あらゆる創作物への愛を感じられました。
「恋愛」と言う一言には到底収まらない、別次元で強く繋がった2人が最後に導き出した答えと、圧巻のエンディング。その後に見返すタイトルもまた感慨深いです。

BL作品として楽しんだ事はもちろん、物語を通して「好き」の2文字には収まりきらない感情、「恋人」の2文字では説明できない関係、そして想像と創造を必要とする芸術を唯一生み出すことが出来る人間がまた別の他人と交わる事で生まれる新たな音楽(セックス)を見ました。

…本当に物凄い漫画です。

今回の単行本での95P越えの加筆修正(35P改稿)に、先生のお優しさと作品にとことん拘り抜く作家魂が見えました。連載(単話)版と比べて読んで楽しむ事が出来る「連載作品ならでは」の楽しみ方と表現をされた所も虫歯先生ならではの技法の一つと捉えられて感服です。

くどい言葉を並べてしまいましたが、この作品の素晴らしさはとてもじゃないけど現存する言葉では要約しきれません。

どうか、体験してほしいです。

とにかく「読めて良かった」、そう思う事間違いなしです。

美しい動物園 電子 コミック

笑平 

本当に本当に本当に…

ちゃんとした大人ってなんでしょう
ちゃんとした大人なんているのでしょうか

笑平先生の強烈なインパクトを携えて放たれるど直球で強いメッセージに胸を打たれます。

辛い時に度々読み返したくなる作品です。

主人公はラブホテルZOOでバイトしているフリーター青年。
半年前からバイト先に度々現れる、"いかにも仕事出来そう”な、一見爽やかなサラリーマンがどうやら借りた部屋で極太ディルド女装オナニー配信をしている事を知り、それ以来彼が気になっている。・・と、いきなり濃厚な設定から始まるストーリー。

内容も登場人物も個性溢れていて笑えるのに、最後は思わず涙してしまいます。

生々しく、見ようによっては若干エグみまでも感じる、獣らしさ溢れるエロの描き方がテーマにも合っていて圧巻です。

後半(15P目)のリーマンの表情とモノローグが本当に素晴らしい…。

「ちゃんと出来ない」からと自ら命を絶つ選択をする大人、
「ちゃんとする」為に必死に頑張りながらどこかでバランスを保っている大人、
「ちゃんとしている」と見せかけて上手く渡り歩いている大人、
そんな大人達を傍観する「ちゃんとしろ」と親に言わ続けている青年…
動物的本能をさらけ出す為にあるこの動物園と言う名のラブホテルには、そんな人たちが集まっていました。

今後を想像させてくれる楽しみのある終わり方も素敵です。
21Pでこの世の真理みたいなものが垣間見れ、要点を分かりやすく、力強く表現されている。
こう言う作品、大好きです。 

頑張っている人に、是非読んでほしいです。

(ここで言うのも何ですが、笑平先生のこれまで発表された短編集はどれもパワフルで大変素晴らしいので、いつか1冊にまとまる事を待ち望んでおります!)

身体は朽ちても決して朽ちる事のない愛のお話

ゾンビ・ホラー・さらにはカニバリズム表現と聞いて読むのを躊躇している方がいるとしたら本当に勿体無い事をしているな、と言えるでしょう。

ストーリー、画力、コンセプト、演出、装丁、小物のデザイン1つに至るまで、全てまるっと含めた完成度が凄すぎる作品です。1冊の本=1つの作品としてこれほどまでに完成された御本に巡り会えた事を本当に幸せに思います。

もちろん、紛う事なきガチのゾンビものなのですが、
ありふれた「戦って生き抜く」お話ではないのも注目したいところです。

極限の世界の中で貫かれる数々の愛のお話です。
それぞれ違った形をしていても、強く純粋な愛が沢山詰まっています。
なるほどこれが「ゾンBL」か!!と目から鱗が落ちるでしょう。

ストーリー自体も大変奥深く、あらゆるところに伏線が貼られており、読み終わったら絶対2周目を読まずにはいられません。

これらの「画」を人に届けるには、ハリウッドならばは何百人ものスタッフと何億ドルのお金が必要とされるでしょうが、1人の作家さんの手で描き出す事が出来てしまうんだ・・と言う人間の創造力そのものの凄さを見せつけられます。
あとがきや作者さんのコメントで語られている裏話を知ると、人間の生命力や可能性といったものの凄さまでも感じる事ができます。

個人的に、劇中に出てくる、作家って何なのかという質問に対しての
「世界からうつくしいものを選んで遠くにいるさみしいひとりぼっちの誰かに届ける仕事さ」
「とどくとどうなるの?」
「世界が今より少しマシになるのさ」
という台詞を読んで、私の世界を少し(いやだいぶ)マシなものにしてくれる全創作作家さん方に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

物語を生み出してくれる作家さん含め、人の凄さを改めて気づかせて感謝させてくれる、そんな究極のゾンBLです。

恋の100万回KO 電子 コミック

虫歯 

KO100万回じゃ足りない

2017年発売の「レトロBL」に掲載されていた読み切りの、待望の単話配信版!(リニューアルされた表紙が既に可愛過ぎます)

全体に漂う70年後期〜80年代冒頭ぐらいのノスタルジックな昭和の雰囲気(商店街・喫茶店・番長)が絵柄とも最高にマッチしていて堪りません。
ちなみに「レトロBL」の中でもこの年代の昭和レトロ感を描いている方が殆どおらず、そういった面でも貴重な作品でした。

読み切りの中で虫歯先生ならではの表現や独創的なストーリーがギュッと凝縮されていて、本当に32ページでしたか?と疑うぐらいの完成度。

小さい頃は何でも一番だったのに成長と共に周りに置いていかれ伸び悩む、負けん気は強いが喧嘩は弱い須川(受)と、喧嘩の才能に恵まれて無敗の日々にやや虚しさを感じている真樹(攻)。

自分が持つ事のできなかった素晴らしい才能を持っている男、しかし男はそれを望まずいとも簡単に手放そうとする。

何のために喧嘩をするのか?
その才能は誰の為のものだったのか・・?

才能、運命と言う熱いテーマに喧嘩と言う昭和ボーイズ度高め要素が混じった胸熱青春BLでした。

サブキャラとの関係性や各登場人物の性格を、さり気無い仕草や小物などからも読み取る事が出来る細やかな描写が光っています。性格の全然違う2人のやりとりや表情がいちいち可愛く、その中でふいに見せた攻の「攻の極み」たる表情と眼光には骨抜きになりました。

何よりこの作品は本当にお話のフリと回収、そしてエンディングが素晴らしい!!

虫歯先生の漫画ならではの比喩表現が存分に発揮されている美しい描写に酔いしれます。

限られたページの中で笑い!萌え!胸熱展開!そして素晴らしい表現がこれでもかと詰まったなんとも贅沢な作品だと思います。

パンタレイを愛せ!!!

20年以上の時を跨いだ、愛おしさと幸せが沢山詰まっています。

10年後、20年後に読み返すのがこんなに楽しみになる作品はそうそうないでしょう。

まず登場人物の可愛さ・・小さい頃から可愛い可愛いとチヤホヤされすぎた受、三角の現役時代のぶっ飛んだナルシストぶりが面白可愛いです!そして、歳を重ねてから、イタイけど可愛いかった過去の自分を客観視できるようになった大人三角も、いじらしくてとても可愛い。
攻の吉丸は三角の元バイト仲間。ぬぼーっとしてて何を考えているかいまいち分からないのに、確かな夢を持っていて着々と実現しています。ボンヤリ童貞君だったのに、出会う人の影響でどんどん匠になっていく様子…この成長ぶりがまた可愛い!油断させておいてガツンと決めるとこは決めてくる…侮れません。(大好き)

そんな2人がお互い最初に関係を持ってから、いきなり5年間会わない時間が流れたり、お互いにパートナーがいる期間は会わないセフレ関係を続けていたかと思えば、攻がさらっと結婚・離婚したり、知らないところで入院していたり、随所に人の人生を感じられるストーリーも斬新で面白いです。

長い間会っていない相手だからこそ気づく変化や、逆に昔からブレずに変わらない部分に改めて気づいたり、お話の中で時間が流れる事によって色々な角度から登場人物の人としての成長を感じられます。

そしてなによりも、おじさんの可愛さってこう言うとこだよね!!と言うのを見事に表現されているのは流石、キャンプ先生です。

始まる老眼、全然落ちなくなった体重、疲れたから添い寝だけして過ごす夜、少したるんだお腹も、過去を振り返って笑い、たまには贅沢なディナーをして、旅行先で少しだけ(あくまで少しだけ)はしゃぐ・・おじさん達が可愛い!!可愛い!!可愛い!!!!!

もちろんキャンプ先生の作品らしく、思い切り笑えるところも沢山ありつつ、ふと人生を振り返った時、誰の事を思い出すか。10年後、20年後、横にいて欲しい人は誰なのか。そんな長い目で見た幸せを考えさせてくれるようなとても素晴らしい作品です。

色咲き コミック

四宮しの 

ぎらぎらもえる命の色だ

長い事この作品のレビュー(感想)を書こうと苦戦しておりましたが、結論としては「漫画家、四宮しのは天才である」と言う圧倒的証明のような一冊だ。と言う感想しか私には書けないと悟りました。(文章に凄み?を持たせたかったので、失礼な表記になってしまい、申し訳ないです。)

色がテーマの短編集と言う、7色(7話)の短編で形をなすこの一冊は、コンセプトの時点で既に素晴らしいのですが、どのお話もまさに色とりどりで鮮やかに記憶に残り、ストーリーが全く違う方向に面白いです。それでいて、全てのお話がとても美しくまとまっている、物凄い作品。

優して、可愛くて、美しくて、儚くて、けれど時に不気味な恐ろしさも感じさせる絵と、心に刺さる台詞の数々…四宮先生ならでは世界観がぎゅっと詰まっていると思います。

そして、どのお話もただ読んで終わるだけではなく、幸せとは、愛とは、美とは、正しいとは…と、考えさせられてしまう。この作品こそが、自分の中にある常識や固定観念を塗り替える、そんな「色」そのものです。

「それは君 緑に安らぎを求めるのが間違っているんだ。 緑は ぎらぎらもえる命の色だ」

私はタイトルに引用させていただいた、この台詞が大好きです。

読めば貴方のお気に入りの台詞が、きっと見つかるはず!

オメガバ×裏社会に見る正解

あくまで個人的な意見を申しますと、オメガバ作品はあまり得意ではありません。産まれ持った能力差による階級差別のある世界をエンタメとして求めていないのと、その世界そのものに萌えを感じないからです。
でも、そんなオメガバの世界にさらに裏社会という設定が混じると、こんなにシニカルながらも強いメッセージを発する作品になるのか…と目から鱗でした。

「人間がこんな 生まれながらに身分階級がない生き物やったら こんな理不尽な世界やなかったんちゃうかと 思う時がある」

この作中のセリフがそのまま現実社会への訓戒のように思えてとても印象的でした。
この現実の社会ではオメガバの世界ほど明確な産まれながらの身分階級差はない筈なのに、これほど人種差別、性差別、あらゆるマイノリティ差別が起こっているのはなぜなんだろうと考えさせられます。作中での五嶋の葛藤は、現実世界で今まさに起きている差別問題に置き換えても考えられる…。

商業BL、オメガバと言う設定、さらには1冊完結作品内で、こんなにも風刺の効いた濃厚なストーリーが表現出来るのはお見事です!

完成度が高いだけに、関西弁監修はされているのか、ネイティブ関西弁の方が見たらどう思うかは、ほんの少し気になるところではありますが、その他にもオリジナリティある設定のレイコさんと言うサブキャラクター、和彫×和彫という性癖を刺激する色気ある絡み、物語のキーとなる組長のお話、そして何よりも、最高のラストシーン!オチが秀逸な作品が大好物なので、久々にわぁ!と声が出てしまうぐらい良いラストでした!

たうみ先生だからこそ描ける、オメガバ×裏社会という濃厚異色ミックスの今作に対してこの意見を抱くのも変な話ですが、個人的にはこれ以上真っ当なオメガバ作品は無いんじゃないかな…とさえ感じる素晴らしい作品だと思いました!

スケベを愛せよ

物語全体を通して感じる、「肯定する」ことの大切さが響きました。

三田村は学校内でも言わずと知れた「スケベ」で、自身のスケベを一切否定しないどころか、常にスケベへの探求心を絶やさない男。一方の早見は学校のアイドル的存在。しかし、実は厳しい両親の教育の元、人に言えぬ悩みを抱え、自身のスケベも本当にやりたい事さえも否定して生きていた。

学園のアイドル早見の秘密に気づいた三田村のスケベ探求心はその日から早見に向けられることになり、それをきっかけに距離を縮める2人。三田村にスケベを受け入れろと言われ目を覚ました早見の人生は大きく変わっていく…。

至る所でスケベとはつまりそれぞれの個性、その人の人となりを表すもの…。そして、時には驚きの原動力を発揮するエネルギー!と思わせてくれます。

そんな「スケベ」を基軸として、人と人が惹かれ合い、他人と自分を肯定し、変化していく、ピュアな成長の物語でした。

もうね、何と言っても二人が初めて繋がった後の早見のあの一言が全てです。

スケべなお年頃の二人があんなに待ちわびていた筈の本番。けど実際は全然思い描いた様にカッコ良くいかない。それでも飛びたあの一言・・・あの一言が出る初体験ってなんて幸せなんだろうか。
あれこそが恋愛、そしてスケベの正解だ…!と思いました。

とてもシンプルな言葉なのに、どうしてこれまであまりお目にかからなかったのだろう。と言うくらい衝撃。とにかく、あの一言と笑顔にすごく感動しました!

もう一つ、この物語はスケベと言うどこか懐かしいテーマを題材にし、絵柄も含めてノスタルジー香る作風なのにも関わらず、恋愛対象が同性な事については誰も疑問に持ったり干渉したり否定したりしない世界観が良かったです。

レトロコミカルな作風なのに、この世界は誰を好きになっても良い、理想の未来の図を描いているようにも思えました。

読んだ後、きっと早見のあの一言が口から出る!!記憶に濃く残るとっても素敵な作品でした。

雷神とリーマン五 非BL コミック

RENA 

2人で生きました

人間と雷神の成長記…神の視点から人間の愛おしさを知り、何を大事にしながら生きていくべきなのか考えさせられてきました。

読んだら、お腹が減る事すら何と素晴らしいんだろう!とさえ思える大好きな「笑える哲学書」であり、まさに聖書。

創作時代から追っていた大好きな作品ですが、商業作品としてどのように終わらせるのか気にはなっていました。2人がどのように一緒に時を過ごしたのかとても丁寧に描かれていて、先生がかなり気持ちを込めて描かれているのが伝わりました。終わり方は知ってはいたけど、それでも迫り来る最期を感じながら、ページをめくる手が度々止まりました。

人間が神の存在を創り出したと考えれば、神を縛り付けてるのは人間なんだよなあ。やがて信じる者やその名を呼ぶ者が誰1人としていなくなるまで、ずっと存在していなければいけない…。人からすれば、それは気が遠くなるような孤独。けれど、名前をもらい、忘れる事もでき、痛みを知り、涙する事も覚えた。神として途方もない年月存在する雷遊が憧れていた人間の愛と言う物を、大村と言う男が存在したほんの短い期間に知れた事はなんて幸せなんだろう。
これは紛れもなくハッピーエンド!

人間の一生はなんと短いんでしょうか。この限られた時間の中で経験できる事、出会える人たち、その一瞬一瞬を大事にしよう、そう思わせてくれます。
この作品出会えた事にも全力で感謝したい!!

大声で笑って泣ける、まさに神作品です!!!