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べな コミック

こふで 

出会えた奇跡に感謝

鬼の子「べな」と、見世物小屋で慰み者となっていた青年「壱」の物語。
タイトルを見て、「べなって何?」となったんですが、江戸時代の見世物小屋で実際にあった「見世物」のことなんですね。
最初は嫌悪感を示していた壱が、目の前の少年に同情し、親しみを覚え、そして名前をつけてあげたのが「べな」。
名前をもらう、名前を読んでもらう、ちゃんと自分を見てくれる……そんなありふれたことが、べなにとってどれだけ幸せなことだったんだろうか。
物語を読み終えて、そしてまた読み返すたびに、二人が出会えたことに感謝してしまいます。
どうかふたりで幸せになってくれ!

こじらせ幼なじみBL、ここに極めり

「いい子すぎるから」という理由で「天使」になってしまった受け。
そして、その受けをこよなく愛する腹黒系の攻め。
二人は幼なじみなのですが、天使にされたうえに7日後にはお迎えがきてしまう(=死ぬ)ため、攻めは必死に受けを助けようとします。
その方法が、天使ではなくなるよう「穢す」というもので……!!!
今まで友人として優等生ぶって接していた攻めですが、これを好機!ということで、攻めをどんどんと穢していくわけです。
さらに1日ごとに五感を失う(=死に近づく)という恐怖もあいまって、エッチな緊張感も高まっていきます。
これってホントにデビューコミックス!?と思うほどに、キャラづくり、そして伏線、からの回収、ハラハラ感……。サスペンスのようなドキドキがありつつ、クライマックスエロに近づく高揚感もすごいです。
そして最後のどんでん返し!1冊で何度も美味しいBLです。

ボーイズラブであり、そうじゃなくても最高

もともとはBL誌ではなく、一般誌で連載されていた本作。
それが満を持してBL誌レーベルで新装版通して登場!
しかも「新装版」なのに「このBLがやばい!2020」で1位を取ってしまうとか…!!!
さすが、たなと先生!
元々は一般誌でしたが、今は声を大にして「これってBLですもんね!」と言える安心感。
でもこれはボーイズラブであり、そうではないとも思いました。
単なるジャンルではない、そうこれは青春……。
陰と陽の両方の面を描くたなと先生ですが、これは甘酸っぱい陽の面をふんだんに楽しめる作品です。

タイトルから秀逸

潔癖症の受けと、それを治療するカウンセラーの攻め。
「潔癖症を克服するために、他人との距離を少しずつ縮める10項目をクリアしていく」という設定に沿いながら二人の関係性は深まり、そして性的描写も……!?
項目は「ドアノブに触る」「自分の私物に他人が触る」などから始まり、「素手で人と握手をする」さらには「飲み物のまわし飲み」そして「部屋に他人が入る」……!!項目を見ているだけでとても楽しい妄想ができてしまいます。
10項目、つまり「テンカウント」と共に、物語は進んでいくわけです。
これほど見事なタイトル付け、どう転んでも我々腐女子が期待してしまうような設定は今まであったでしょうか…。
ただ、人物描写、展開もほんとうに面白く、腐女子じゃなくてもマンガとして楽しめる作品だと思います。