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甘くて切ないラブコメディでした

【総評】
★★★★☆
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既刊『それでも好きです笠原さん』が好みだったので購入しました。
昭和のノスタルジーを感じさせる味のある絵柄が特徴的な作家さんです。

本作は帯コメントに『下半身がワンパクすぎるネガティブ攻め×何でも受け入れるフェロモン受け』とあります通り、攻めの春仁くんは幼いころから異性とのほんの些細な接触だけでも勃起していまう体質で、多感な思春期の頃にお付き合いしていた彼女にそれを気持ち悪がられてしまったことから自身の体質が大きなコンプレックスとなってしまいます。
そんな彼が大学時代に会ったのが受けの浅彦くんで、セフレがたくさんいるといった噂も立つような、性に貪欲な浅彦くんから春仁くんの体質について「面倒見るよ」との打診が。それからふたりの関係は始まっていきます。

攻めの春仁くんは体質こそ厄介であれど、恋人に対しては誠実であり大切にしたいとの強い思いがあります。体の関係から始まった浅彦くんに対しても恋人なのだろうと認識してからはセックスだけでなくデートに誘ってみたりと恋人らしくあろうと努めていました。
ただ、浅彦くんに対しては「体質を受け入れてくれた恩人」という思いもあり、それが浅彦くんを苦しめます…。

序盤から中盤にかけては春仁くんと浅彦くん、彼らの友人とで少し笑えるようなコミカルな掛け合いも続いていきます。会話のテンポがよく、作家さんのセンスのよさを感じさせてくれる場面でもあります(カバー裏はもはやギャグ漫画のレベルで小気味よく、必見です)ラブコメディのような印象も受けますが、終盤でグッと切なくなっていきます。

※以下、ネタバレあります

ある日、春仁くんが同級生の女の子に告白をされ、そのときに「体質についても気づいているし、自分は気にしない」と声をかけられている場面を受けの浅彦くんが目撃してしまいます。春仁くんにとって自分の価値は「体質を受け入れてくれた恩人」であることしかないと感じていた浅彦くんは春仁くんへ別れを切り出します…。

受けの浅彦くんは、実は春仁くんのことを中学時代から知っており、春仁くんのちょっとした発言が自分のコンプレックスを振り払ってくれたことから憧れを抱いていました。と同時に、春仁くんが体質により彼女から振られてしまう場面も目撃していて、春仁くんの力になりたいとずっと思っていました。
大人になるにつれ、体質を理由にして春仁くんを受け入れられないなんて人は減っていくと知っていながら、浅彦くんは、春仁くんに「いらない」と言われることが怖くて何も言えませんでした。
春仁くんからすれば、自分には悩みや困り事を明かしてくれない浅彦くんにとって、自分は「いらない」のではないかと思いつめます。

「最後くらいほんとのこといって」と言って涙する春仁くんを浅彦くんは見たくなかったと思うし、「いらないって言われたくない」と言って表情をこわばらせる浅彦くんを春仁くんは見たくなかったと思います。
お互いに好き合っていたからこそ、お互いがほしがっていた言葉をもらえなかったことですれ違ってしまい、傷つけ合っていたことにふたりは気付きました。

最後は、攻めの春仁くんから受けの浅彦くんへ、恩人だからではなく「浅彦だから好きなんだ」と改めて告白し、お付き合いの申し込みをして、晴れてハッピーエンドとなります。

※ここまでネタバレ

要所要所で春仁くんと浅彦くんがお互いに見せる、好きって気持ちがあふれた笑顔がとても印象的で、そことシリアスシーンとの対比がまた切なさを助長させていたと思います。
ラブコメディとして読むにはちょっぴりビターな部分が多い気もますが、すべての場面が次のシーンへの布石となっていた為、私個人としては最後まで入り込むことができました。

甘さと切なさを味わえる、かわいらしい1冊でした。