賛否が分かれる作品だとつい『賛』の気持ちをお伝えしたくレビューを書きたくなってしまいます
後宮の件ですが
イスハンがたったひとつ叶えたかった願いはロシェとともにあること
そのためには自らが皇帝になるしか道はなく彼はその過酷すぎる使命をロシェのために受け入れる覚悟を決めたのだと思っています
国と民を守ること、皇室の血を残すことは彼の義務。前々皇帝の兄弟もほかの皇子たちも全て殺され自分以外に血を継ぐものがいない中で、ロシェを心から愛しているのにそれ以外の選択肢がなかった彼の心中は察するにあまりあります
そしてもしも先にロシェを抱いてしまったら多分子どもは作れなかっただろうと想像に難くありません
その辺りの苦悩をイスハン視点で読みたかったというのはありますし、書いてくださっていたら『否』の評価は少し減ったかもと思わなくはありませんがBLとしては蛇足になってしまうかもしれないので難しいですね
私はこのシリーズの世界観、歴史や呪い、魔法などの設定の緻密さや描写の美しさ、魅力的なキャラクターなどBLの枠におさめてしまうのがもったいないと思うくらい大好きで、何度も読み返してます
今作を読んでまたリディルの方を読みたくなりましたし、ロシェが身体を失うに至った過程を知りたいと思っているので続編が出たらいいなと心から願ってます
すれ違い両片想いの作品を読むとキュンとすることが多いのですが、この作品は最後までモヤモヤしてしまいました。
何故だろう?と考えてみたら、メインの2人が相手よりも自分の気持ちを優先するズルさを持っていたからだと気がつきました。
蒼は冬真が離れていくことが許せないから、姑息な手段で槙を遠ざけようとする。冬真は蒼の側にいたいのに、姑息な手段で蒼を手に入れた自分が許せないし蒼を信用できない。2人とも相手を好きすぎるゆえのズルさがあるんです。
なので、こうなってしまったら一度リセットするしかないという結論には納得しかありませんでしたし、モヤモヤしてた気持ちはおさまりました。
ただやっぱり私は、ここから2人が自分のズルさや弱さを克服し、相手を包み込めるくらい成長していく様が見てみたいです。続巻期待しています!
初めてレビューを書きます
ほかの作品では、私が書かなくても私の気持ちを過不足なく代弁してくださる方がたくさんいらして、『以下同文!』『意義なし!』ということが多くて評価ポチだけしてきました
この作品は賛否が分かれているようなので、『賛』の気持ちをお伝えしたくてレビューしてみました
この作品はあまりにも衝撃的でどの視点で読むかで受け取り方が変わってくると思います
私が一番大事だと思ったのは葵兄ちゃん自身の気持ちです
幸せな家庭から一変、次から次へと大人たちのエゴの犠牲になってしまった兄ちゃん、犠牲になったことを誰にも知られず行方不明のまま忘れ去られてしまった兄ちゃん
そんな兄ちゃんの魂を救うには『福太の愛』以外になかったと思うのです
ともに過ごし愛されただけでなく、福太が自分を襲った犯罪を暴き、犯人に罰を与え、自分を見つけてくれたことで兄ちゃんの魂はやっと安らぎを得ることができたのではないかと思いました
最後の最後も、別の終わり方があったのかもしれませんが、私は魂の結び付きをより感じることのできるあの最後が、哀しいけれど嫌いではありません
世の中で起こりうる問題や目を覆いたくなる犯罪をBLで描くという挑戦に賛辞を贈りたいと思います