運命よりは呪いのような、好きになるもならないもそもそも前世での忠誠だの親愛だのなんだの、いろんな感情をひっさげたままの今生で、いつかの感情を起点に再開している話。
前世では立場だなんだがしがらみになって叶わなかった未練たちを、同い年で自由な立場となった今生でひとつひとつ清算していく。いつかお互いの心残りはすべてなくなって、もしもまた生まれ変わることがあったとしても、今度はまっさらな状態から始まるのだろうなと思った。
雷央は七星の「なにがあっても迎えに行く」という約束を、七星は雷央の「もう二度と私の前に現れるな」という命令を抱えたまま、持ち続けた記憶と手放した記憶の相違によるすれ違いがよかったです。
ストーリーの雰囲気と絵柄の雰囲気の組み合わせが最高でした。
描きおろしの、転生ものだからこそできるネタ好き。
白抜きや黒塗り修正、逆にそこだけとても目立って好きじゃないのですが、この作品は、通常通りトーンで陰影やハイライトいれたあと主線だけ消したような表現で、異様に目立つことなく全体に馴染んでいて好きでした。
Domだけど一方的に支配・服従させようとはしないDomの攻め、オト。
オトには劣るけど一般より強いDomの受け、マサ。オトはマサ嫌がるようなことは基本しないけれど、それでもちょっと嫌だなと思ったら気軽に反抗してみせるマサがツボでした。ガチギレするほど嫌じゃないけど不服なことがあるとき、一応コマンドに従いはするけどブチギレててかわいかったです。
コマンドは濡れ場よりは日常シーンでバンバン飛び交ってます。オトとマサの間で。
受けのマサ、パートナーが3人いるけれど、オトとプレイをするようになったからと突然捨てることはせず責任感ある人物でした。
モブのパートナーくんが「最近、僕ばっかり体調整えてもらって」って言いだす程度には、本当にパートナーくんの体調管理優先している。しかも「都合悪くなったら言ってくださいね」と彼から言い出す信頼関係。それへのマサの回答が「俺のパートナー達は優しいな」なので、他2名のパートナーたちともそんなやりとりもあったのでしょう。
人間関係が完璧すぎる。3人がそろってそんなことを言い出すくらいには、各々のことを大切にして長い間信頼関係を築いてきたのでしょう…短いシーンでそれが伝わってきてとてもよかったです。描かれてはいないけれど、オトとくっつくときにはきれいに後腐れ等なく完璧な身辺整理をしていそう。
一度モブの女の子が当て馬になるけれど、彼らのことだから後日ちゃんと謝罪にいきそう。ふるまいで信頼を得るの大切…
オトが「マサだってDomのプライドあるだろう⁉」とかなんとか怖がって言い訳を並べてるシーンもよかったです。末永く仲良くやっててください。
ハピエンに向かって一直線の馴れ初め漫画でした。