最近読んだ中で最高でした。
モノローグやセリフがうまい作家さんが好きなのですが、この作品もドンピシャでした。
表題作はノンケ後輩×ゲイ先輩。この受の素っ気なさとドキッとすることを言う塩梅が凄く良かったです。デレが透けて見えるツンが好きではない(こんなこと言う甘えた人現実にいたらヤダなと思ってしまう)のですが、
コトに及ぶ際に少し目をそらして「キスして」って言うシーンにはとても…キュンとしてしまいました。
2作目は兄にキスされたことを悩む弟の話。
兄の諦観のにじむ目つきにやられました。全体にあまりウェットな場面がなく、そうそう男子ってこんな感じ!とリアルで良かった。
弟が大変健気で、何考えてるか分からない兄にいつか嫌われるんじゃないかと不安になっているのが可愛かった。これはお兄ちゃん我慢するの大変だわ…と思ってしまいました。
全体にイチャイチャしたり笑ったりするところが少なく、男性同士の恋愛の難しさ(乱暴にして痔になるとか、遅漏とか)をしっかり描いているこの感じ、
ものすごく好きでした。リアルめなお話好きなら読んでいただきたいです。
心理描写がとても細やかでグッときてしまいました
親友どうしだった2人のうち1人がいつの間にか友情以上のものを抱えるようになってしまう、という話の筋は志村貴子先生の『青い花』にも通ずるものがあります。
ただ、2人が本当に同じ気持ちなのかは微妙だなと。
本作は極限まで性描写が抑えられているのですが、カットされているのではなく本当に2人の間には何も起きていないのでは…と思ってしまいました。
同じ気持ちであることの証明になるような、モトくんからのアクションが見たかった…
もっともっとこの2人の丁寧な心の動きを見たかったです。
でも初めて感想書き込むくらい夢中になっちゃいました。オススメです。