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いろんな意味でどきどきする

木下さんが表紙絵だから勝手にほのぼのした話を想像してしまったんですが、結構痛い内容でした…
攻めに片思いしながらも、DVの元彼と共依存の状態に陥っている受けのお話です。


受けの智紘が恋人の崇に酷い暴力を受け、攻めの高藤先生の働いている病院に搬送されてくるシーンから始まります。

先生は、あきらかに男にDVを受けている状態の智紘を心配して、治療後も住むところや働く先を探してくれ、更にその職場の店に何度も足を運び何かと気にかけてくれます。
智紘は優しくしてくれる先生のことを入院中に好きになり、店に来てくれるのを楽しみにしながら、徐々にまともな生活を送り始めていました。

先生からは、崇は最初一度だけ病院に智紘の居場所を聞きにきたものの、それ以降は何の連絡もないと聞かされていて、「崇とはもう一切会わないこと、考えることもしないように」と強く言い聞かされています。
しかし本当は崇は凄い執念で智紘のことを取り戻そうと探し回っているんです。

この崇がかなりやばいキャラで…
ストレスが原因のDVかと思いきや、もう崇と智紘の出会いからして異常でした。
バイト中の智紘を一目で気に入り、無理やり車に連れ込んで誘拐。レイプして監禁…
崇はこんな無茶苦茶なことを普段から当たり前のようにしてるんです。
しかも親が代議士なので何かあっても権力でもみ消してしまえるという…
こんな人間が、街に野放しになってると思うと怖すぎる…
崇の智紘への執着はとてつもなく、作中ひたすら智紘を取り戻そうと追ってくるんですが、これが結構恐いです。
予想外のタイミングでヒヤリとさせられることがあり、サスペンス的な展開が読んでて結構どきどきしました。

そして酷い扱いを受け普通なら好きになるはずがないような男なのに、強く求められることが嬉しくて無意識に依存してしまっていた智紘。
ずっと逃げたいと思っていた筈なのに、いざ逃げると自分がいない状態の崇のことが心配になってきます。
崇がいないことに不可解な寂寥感を感じ、そんな自分に智紘自身も戸惑うのですが、先生からは共依存の典型的な症状だと指摘されます。
父親の義母との再婚で家で寂しい思いをして育ったのが影響しているんですが、崇の暴力を許してはいけないと言われた時の「先生、だけどそうでもしないと俺を求めてくれる人なんていないんです」という心の中での台詞が切ないです。


あと個人的に結構ツボに入った最初のキスシーン。
崇のことでパニックに陥った智紘をショック療法で落ち着かせるためにキスして動きを塞ぐんですが、冷静にこんなことする先生に読んでてちょっとどきどきしました。
キスし終わった後平然としているところが逆にえろい。

先生が作中何度も「いい子だ」って言うのも子供をあやしてる感じがして好きです。
医者だからこういう台詞が似合う…厳しさの中にある甘さが良かったです。


先生の命に危険が及んだりいろいろありつつも本編が一応ハッピーエンドになるんですが、残りページ数1/4以上残ってる!後日談のあまあまくるかな〜とわくわくしてたら…なかった……
ずっと先生のことが好きだった従弟のはるか視点のお話でした。
後日談じゃなくてがっかりしながら読み始めたんですが、まさかの他人目線での2人のセックスとかいう個人的にすごい性癖に刺さるシチュエーションがきて、これにもどきどきさせられました。
本編で智紘に酷い言葉を投げかける小悪魔として何度も登場してたんですが、その時のはるか視点です。
智紘が崇から逃れて先生の家に匿って貰っていた時、智紘への嫌がらせのために先生の部屋に忍び込み様子を伺ってたら、2人がすぐ傍のソファの上で愛し合い始めて出るに出られない状態に。
もう〜これ!こういうの堪らないです。
見てはいけないものを見てしまったような気分でした。
…でもやっぱりその後のちゃんと幸せになったメイン2人の話を読みたかったなあ。

あと崇に踏みにじられた煙草の吸殻は、やっぱり誰かしらに捨てられちゃったんだろうか…ちょっと行くえが気になります。
大事に集めてたの先生にバレる展開も見たかったな。

攻めの群を抜く無神経さ

六青さん二冊目。
『リスペクト・キス』がすごく好みにハマったので、切なそうなあらすじのこちらも購入してみました。

いや〜…攻めが今まで読んだBL本の中で群を抜いて無神経なキャラでした…
性格が悪いというより、精神的に未熟で無神経という感じ。
受けを傷つけまくるんですが、基本的に悪気はないんです。
こういう付き合ってからも世間体とか周りの目を気にして酷い言動するキャラって、過去の恋人とかのモブではよく見るけどメインのキャラとしてはあんまり見たことなかったです(私の選んでる本のせいかもしれないけど)



同級生の向陽(攻め)に片想いをしている勇貴(受け)は、部活で忙しい向陽と少しでも一緒にいる時間をつくるために帰り時間をさりげなく合わせたりノートを貸したりと元々慎ましく過ごしていたんです。

しかし、文化祭で女装したのを向陽に褒められて舞い上がり、祭のテンションだったのもあって、眠っている向陽に我慢できずキスしてしまいます。
途中で目を覚ました向陽に気持ちはばれ、思い切り拒絶され避けられるように。
何とか捕まえて謝るものの、「そういう目で見るの、止めてもらえるか?」と片想いすら許して貰えない…
好きになって貰うどころか自分が片思いしているだけで嫌な気持ちにさせていることにショックを受け、これ以上苦しさに耐えられなくなる前に…と自分からも関わりを絶つんですが…

もう〜このあたりのシーンが切なくて切なくて…
拒絶された後先輩とすぐに寝てしまうのはちょっと唐突で引っかかりましたが、他の男と仲良くしているのを見て、自分勝手にも向陽が日に日に不機嫌になっていくのが私的に結構好きな展開でした。

向陽には関係ないはずなのに苛立った様子で詰られ、同性愛に嫌悪感があるからそんな態度をとられてるんだと勘違いして苦しむ勇貴も更に切なくて胸がぎゅうっとなります。


その後いろいろあって付き合うようになるものの、向陽は過去の経験もあり、過剰に周りの目を気にして勇貴を傷つけます。
関係を怪しまれないように人前では距離を置いたり、「キショイ」と否定したり、挙句カモフラージュで彼女をつくろうとしたり…
もうこのあたりは向陽の行動があまりにも無神経で読んでいて切なさよりもイライラが勝ります。
でも、何だかちょっとリアルな反応だなあ…とも。
高校生なんてまだ精神的に未熟で自意識の塊みたいな時期ですもんね…
告白した段階で避けられてたのも、友達だと思ってた同性に思いを向けられたらまぁどうしたらいいか分からないよなぁとも思うし。
相手を思いやった行動なんて実際そう簡単にできるものでもない気もします。
いや、でも好きな相手に対してとる行動としては最低なんですが…


人にバレたくないという気持ちからのすれ違いって、本音で話し合ったからといって簡単に解決する内容じゃないからハッピーエンドに持っていけるのか結構不安に思いながら読んだんですが、ラストで部活仲間の武田の兄が出てきて向陽の背中を押してくれて、何とか自分にとって一番大事なものは何なのかを見極めることができたみたいで良かったです…
無理やり2人の関係を暴こうとせずにさりげなく気を利かせてくれた武田は凄くいい奴でした。
ほぼ出番ないけど個人的に一番好きだったな。

それまで周りの目を気にして酷い言動をしてきてたのを見てた分、ラストの思い切った行動には向陽の成長を感じられてちょっと感動しました。
もう同じ過ちは繰り返さないんじゃないかな…

しかし、2人が幸せになれてよかったな、とは思うものの、結局最後まで何で向陽が勇貴を好きになったのかイマイチはっきりしないところが気になってしまいました。
好きだったことに後から気がついたって感じでもなさそうだし…
女装姿がかわいかったから意識したの?人に取られて急に勿体無くなったのかな〜?という感じがしたのがちょっともやもや…
勇貴の性格に対して何かしら決定的に好きになった理由が欲しかった…

あと、有馬先輩…まだ自立してない高校生なのにブランドものの時計とか靴とか身に付けてるって設定もいらなかったな…
卒業してから乗っていた車も誰のお金で買ったんだろう…普通に包容力のある年上程度の設定で十分だった。

ちょっと展開や設定に引っかかる部分が多かったものの、途中切なくて辛いシーンがぐっときたので、萌×2です。

なかなか捕まらない野良猫

何とも自由な受けと、それに翻弄される仕事人間の攻めのゆるいお話。

受けの三田は働くのが嫌いで衣食住全て人に施しを受けて生活しています。
でも媚を売って貢がせているわけでもなく、あくまで周りが自分に対してしたいと思ってることを受け入れているという形。
特に欲しいものもなく欲は薄いんです。

一方攻めの片桐は仕事大好き人間。仕事と結婚したいくらい仕事が好きです。
本来働かない人間は嫌いなんですが、行きつけのカフェで受けがヘルプで働いていた時にたまたま出会い、話してるうちに何だか打ち解け、酒に酔ったまま受けに手を出してしまいます。
しかし起きたら受けの姿はなく…

神出鬼没でなかなか捕まらないものの、そんな受けに翻弄されながらちょっとずつ距離を詰めていきます。

受けは衣食住世話してくれるくらい自分を好きな人が周りにたくさんいるものの、決して身体を売ってるわけじゃなく、友達?なのか何なのか分からないけど普通に慕ってくれてる人達もたくさんいる感じなんです。
しかも良い人達ばかり。
招き猫的な能力があるとかも言われてるので、そのせいなのかな…?
たまに交換条件を持ち出してくる人もいるんですが、受けは自分が好きだから何かの代わりに自分を差し出したりは決してしません。
いらなければ着ていた服であろうと脱いで返します。
裸にコート一枚で平気で街を歩いていたシーンは衝撃的です。

そんな受けが攻めにいろいろされるのを受け入れてるのは、適当に生きてるからじゃなく、好きだから以外理由はないんですよね…

仕事大好きな攻めに対して受けは「片桐さんは仕事ちゃんと結婚しな」と特に嫌味じゃなく楽しげに何度も言うんですが、受けが拾った子猫の里親探しを攻めが自らコンサルタントとして手伝った時、「俺 片桐さんの仕事ちゃんになれたの うれしくて楽しかったなあ」という言葉を漏らすのがなんとも感慨深いです。

あんまりストーリーに抑揚はないし、受けの気持ちも大きく変化した様子はないんですが、不思議と読むのが退屈じゃなく、2人のゆるい空気を楽しめました。

コミカルに始まるアラブもの

初アラブもの。
受けじゃなく攻めが性奴隷にされるというシチュエーションに惹かれて購入。

親の借金のせいで大学中退を余儀なくされ、AVレンタルビデオ店で働いていた綾鷹。
ある日突然、店に白装束のいかにもアラブ〜な怪しい集団が現れます。
どうやらその集団の1人だけ色白で若い青年(リイン王子)は、触手もののAVを買って帰りたいらしい。
レンタルビデオだから売ることはできないと何度も説明してるのに全然人の話を聞かない王子。
いくらだ?→売れない。の押し問答が始まっちゃいます。
仕方なく借りることに同意するものの、申込書を書いていたらまだ17歳で結局売れないことが判明。
また言い合っているうちに、王子はAVを持ち帰ることは諦めるのですが、代わりの土産が必要だと言いながら傍に立っている男に声をかけると、次の瞬間綾鷹は鳩尾を打たれ、強制的に意識を飛ばされます。

そして気が付いたらそこは見知らぬ土地…
リインに性奴隷として買ったと言い渡され、逃げられないアラブの宮殿での性奴隷の日々が始まります〜


途中までセックス中はずっと側近のサイードが監視してるんですが、最初は抵抗があったもののだんだん気にならなくなっていく攻めの順応力が高いです。

2人でセックスしているというよりも、リインが綾鷹を使ってオナニーしているという感じなんですが、強力な媚薬を使って勃たせたくせに極厚のゴムを使って綾鷹が生殺し状態になってても自分には関係ないと言うリインが鬼畜でした。笑

奴隷とは言われたけど、夜のお務め以外は基本自由で宮殿内を歩き回ったり、ラクダに乗ったりしてます。
綾鷹は思ったことは結構はっきり言う性格なんですが、リインに歯向かっても罰を受けることもなく、戸籍は消されたもののなんだかんだ人権は損なわれてません。

そしてそんな日々にも慣れ、同時にリインの過去や芯の通った性格も知っていき、気が付いたら綾鷹はリインのことを可愛いと感じるように。
リインの方も綾鷹へは信頼を見せ始め、一方的だったセックスも徐々に形を変えていきます。

でも綾鷹の日本に帰りたいという思いは健在です。
リインへの気持ちとの間で揺れながらも何とか日本へ帰ろうと画策します。
それが仇になって危険な展開になったりするんですが…


リイン王子、性奴隷として買ったとか言うし、やってることもめちゃくちゃだから初っ端読んでる時はただわがままな王子なのかと思ったら結構深刻に国のことを考えてました…

私は王子だ、という傲慢に思えた言葉。
王子だから国の物は全て自分のものだという言葉の裏には王子だからこそ手に入らないものもある、という孤独な面がありました。
自分の欲を第一に考えているのかと思いきや、そんなことはなく、国の未来を見据えて国のために死ぬ覚悟さえ持っているリインがかっこよかったです。

ラストはハッピーエンドになってよかったですが、思ったよりあっさり終わるので、せめて後日談があったら嬉しかったな…


…それにしてもカトラカマルの王族の性教育の設定が何気にすごい…成人前には知識だけでなく実施で学ぶってえろいな〜
あと初めて中に出された時、汚いって言って泣くリインがかわいかった。
精液を汚物扱いされる綾鷹…

エロに関しては結構楽しめました。

心に残る一冊

天使だった男が、何度生まれ変わっても短命の受けを愛し続ける輪廻転生もの。

短命の運命を背負ったリン(受)が、暁天(攻)の兄、瑛仁と不倫しているシーンから始まります。
生まれつき身体の弱いリンは、残りの人生で誰かと恋をすることに憧れていました。
長生きはできないと知らされているリンは、大学へは進まず、弁当屋でバイトをしながら慎ましやかに一人暮らしをしています。
そのバイト先の客として出会ったのが瑛仁で、弁当を買いにくるたびに言葉を交わしているうちに惹かれ、リンは瑛仁が既婚者だと知っていながら不毛な関係に至ります。
家に来ても絶対に私物は置いていかない。好きとは言わない。電話もしない。…愛されているとは感じさせない。
不満はないと自分に言い聞かせながらリンは残りの人生を賭けて彼を好きでいようという固い決意を持っています。
そんな中、唐突に暁天さんは現れます。
「兄から手を引いて俺のところへおいで」

本のあらすじにもありますが、この暁天さん、前世では天使だったんです。
短命の運命を背負ったリンの人生を、ずっと傍で見てきました。
リンの、一つ前の人生が終わりを迎える数日前、ずっと一方的に見守っていただけのリンの目に、唐突に暁天さんが見えるようになります。
リンに自分の言葉が届くことが嬉しい。
リンを幸せにしてあげたい…
でもこの身体ではリンが望むものを与えてあげることができない…
残りの時間を恋人のように過ごすようになり、少しずつリンの寿命が近づく中、暁天さんは、来世では人間になって「リンが生まれ変わるたびに探し出して幸せにする」と約束します。

そして今世、天使の涙を流したことで人間として生まれ変わったものの、リンの好きになる相手である瑛仁の弟という厄介な立場で生まれてきます。
毎日のように弁当屋に通ってリンを口説くのですが、リンの方は不倫相手の弟が近づいてきたことでもちろんかなり警戒します。
それに加え、暁天さんは初対面にも関わらず自分に愛情を示し、まるで透視能力でもあるかのような口ぶり。

けれども、なんだかんだ理由をつけながら外に連れ出し自分の狭い世界を広げてくれる暁天さんに、リンはだんだん思いを変えていきます…


* * *


この本、暁天さんとリンの視点だけでなく、途中で瑛仁と瑛仁の妻の視点も入る珍しい構成をしています。
メイン2人の話をもっと読みたかったと思わなくもないですが、背景が見えるとストーリーに深みが増します。
女性視点に入った時は一瞬戸惑ったものの、それぞれいろんな葛藤や思いがあるのが分かり、読み応えがありました。


なんというか、朝丘さんの書くお話って、朝丘さんにしかない不思議な空気感があります…
読んでると、雨上がりの匂いとか、夏の匂いとか、生温い風の感触が鮮明に浮かんでくるんです。
キラキラしてて綺麗で、幸せで、でもどことなく寂しい空気も漂わせていて、幸福な時間の尊さを感じます…

暁天さんの途方もない愛情と包容力も凄いです。
嫉妬に振り回されて酷いことしたりなんてしません。
本当にリンを大切に思ってるんだなあ、と感じます。
暁天さんは何度も惜しみなく「愛してる」という言葉を使うんですが、この言葉がこれほどしっくりくるキャラは他にいないんじゃないかな…そのくらい暁天さんから発せられる言葉には一言一言に重みがあります。

「俺が泣き虫だってことを きっときみは永遠に知らないままだろう。」という煽り文、これも読後読み返すとすごく胸に沁みました…
もう二度とリンをひとりにはしない、寂しい思いはさせたくないという思いが詰まってます。

暁天さんは何度生まれ変わってもリンを見つけ出して恋人になることが自分の幸せだと言うのですが、リンがいなくなった後、リンのいない世界でひとりで生きていく暁天さんのことを想像すると胸が苦しいです。

それにしても、このまま暁天さんだけひたすら記憶が積み重なっていったらどんな人間になるんだろう…
暁天さん、今世のリンに前世の自分達の話は最期までしないんですが、瑛仁には物心ついた頃から「サクラリンに会ったら教えろ」と予言のように何度もすり込んできていたらしく、客観的に見てかなり変な人なんですよね。
言動が浮世離れしていて、でもそこが魅力的でもあります。
暁天さんの抑揚のない独特な優しい口調も好きです。少し少年っぽさを残した性格も。


あと、リンのバイト先に毎晩通って声をかけていくから、バイト先の人達に、変態なストーカーだと思われているエピソードがちょっと笑えました。
店長に「面倒な客なら来禁にしてやるぞ」って言われてる暁天さん…笑


この本何度も読み返しているんですが、ストーリーが面白いから読み返したくなるというよりも、またこの世界に浸りたくて帰ってきてしまうような、そんなお話でした。
いろんな言葉が心に残ります。
yocoさんの絵も、世界観に合っていて素敵でした。

出逢えてよかったと思える一冊です。



個人的なイメージソングで、歌手名は伏せますが”世界一好き”という曲があって、教育テレビみたいなテンポの曲なんですが歌詞が幸せな2人にすごく合います…

ぐるぐるして攻めを振り回す受け

実はちょっとむっつりな包容力のある大人な男 × 王子様のような美しい見た目に反し中身が地味なことに悩んでいる受け

家柄がよく、完璧に美しい見た目のせいでずっと周りから期待されてきた悠馬。
実際は地味な性格をしているのに、礼儀正しいしっかり者の長男であろうと演じているうちに、中身とのギャップはどんどん大きくなり周りからは完璧な王子様だと思われるように。
悠馬はそれをすごく重荷に感じています。

そんな悠馬は大学に入学して間もなく、ふらりと立ち寄ったカフェで大人で気さくな雰囲気の店長、久保寺と出会います。
久保寺に惹かれた悠馬はそこでバイトを始め、片想いを楽しんでいました。
過去に付き合ってきた女の子逹から「思っていたのと違う」と連続で振られていたことから、悠馬は中身に落胆されることを恐れ、もう永遠に片想いだけしていようと思っていたんです。
しかしある時、一方的に好きだと思っていた久保寺に告白されてしまいます。
もう嬉しいを通り越して空恐ろしい…動揺して 絶対無理っ!と拒絶する悠馬。
飽きられるのが恐くて付き合えない…死ぬのが恐いから生きていられないと言っているようなおかしな状態を自分でも自覚しながらも、本心は隠したままバイトは続け…

その後、いろいろあって他に好きな人がいると勘違いされたり誤解が誤解を生みこじれまくるんですが、最初に訂正しなかったために、もう後には引けない状態に。

自信がなく突飛な言動をする悠馬はかわいいものの、久保寺が結構振り回されていてちょっと気の毒でした(笑)…まぁ触りたくても我慢する1人焦らしプレイを楽しんでしまう彼には大したダメージじゃないかもしれませんが…
なんだか久保寺が普段大人な性格をしているせいか、ちょいちょいエロい言動をするだけでやけにムッツリに感じました。

心に残る話ではなかったものの、コミカルで終始ほのぼのしているので、重い話を読んだ後で気分が落ちている時など、癒される作品なんじゃないかと思います。

ただ結構さくっと読み終わるので、このボリュームでこの値段はちょっと高かったな〜という印象です。

ラストまでひたすら耐えてる受け

嫌われたくなくて我慢する受け、耐えられなくなって攻めから離れていくシチュエーション…私の萌えのツボをめちゃくちゃ押されました…

受けの洵は高校時代から攻めの剛志にずっと片想いをしていて、その気持ちがバレないように気を使って接しています。
剛志は美形でよくモテるので今まで何人もの相手(男女両方)と付き合ってきていて、洵はそれをずっと傍で見てきました。
その誰とも長続きはしていないんですが、バイである剛志が今の今までまったく自分をそういう目で見てくれたことがなかったことから、自分は魅力がなく剛志の恋愛対象外なんだ…と、想いが報われることは諦めています。
けれども離れることもできず…
頑なに本心を隠し、せめて一番心を許された友人としての立ち位置を守ろうとしているところが切ないです。

洵に自信がないのは従兄弟の煌も大きく関わっていて、洵に対しての歪んだ愛情が原因なんですが、美形で魅力的な煌には昔から洵に寄り付くものをことごとく取られてきているんです。剛志も例外ではなく、高校時代には付き合っていた期間がありました。
一度別れていたものの、偶然3人で再会したのを機に、よりを戻したことを知らされます。
そこで我慢に限界がきた洵は遂に剛志から離れることを決意するのです。

洵の、自分の想いに見切りをつけて、その後徹底的に距離を置こうとするところが潔くてよかったです。
剛志は、嫌な予感がしつつもいつも通りに接してくる洵に油断したところで目の前からいなくなられて、絶対に失いたくないと自覚して必死になります。

剛志の方も薄々洵の気持ちに勘付いていたものの、洵があまりにも隠すから確信が持てず、関係が壊れるくらいだったらこのままでいようと現状に甘んじていたんですね。

それで何とか探し出してくっつくわけですが、手放しで幸せにはなりません。
今度は別れる未来に怯えながら、わがままを言わず、嫉妬も見せず…嫌われないように必死で我慢します。
前半で両想いになるにも関わらず洵は最初から最後までず〜っと我慢して苦しんでますが、ちゃんと納得できる理由があってのことなので、もやもやすることなく読めました。
とにかく、こういう受けがひたすら耐えてる話が大好きで…
胸が苦しくなるような描写が多く、最後まで楽しめました。

あと、剛志の洵への想いが何となく好きとかじゃなくて、ちょっとしたことの積み重ねだけど明確に洵を意識するようになった出来事が書かれているところもよかったです。
洵のいいところにちゃんと気付いて選び抜いているところが嬉しい…一過性の気持ちではなく洵が特別なんだと伝わってきました。

六青さんは初読みだったんですが、普段はファンタジーを書かれてる方なのかな?…ファンタジー以外でこういう切ないのがあれば他の作品も読んでみたいです。

恋から愛に

続編でると噂を聞きかじってからずっと楽しみでそわそわしてた大好きな『美しい彼』の続編。初めて読んだBL小説だったし、人気がある作品への先入観で良く感じてるだけなんじゃないかって思ったりもしてたのだけれど、発売前に前作を読み返してやっぱり面白くて、続けて続編を読んでこれまた面白くて、そういうの関係なしに私にとって大好きな作品だなあと再確認させられた。

今回は前作と比べてシリアスさはなくなり甘みとコミカル色が強くなった感じ。
清居と平良のやりとりや心の中でのツッコミが面白くて何度も笑わせられた。

平良が同棲のための初めてのバイトに血反吐吐いてもやり遂げるって言ったのに対して、そんな気負うな、おまえのひとりやふたり食わすくらい…って言いかけて「今のは嘘だ。馬車馬のように働け。俺に迷惑かけたらその場で捨てるぞ」と慌てて言いなおす清居(笑)
こんな素直じゃないこと言った後で、「今日はするからな」と、自ら平良の膝に座る清居が最高にかわいかった。

くっついた後のカップルの話だし、新キャラが2人の関係に亀裂を入れてくるみたいな定番の展開(これはこれで嫌いじゃない)を想像していたけれど、そういう波風じゃなく、それぞれの成長していく姿というか、着実に時間は流れて未来へと歩んでいる姿を軸に書かれたストーリーが凄く読み応えがあってよかった。
前作では、狭い窮屈な世界からの解放感を感じさせたけれど、今回はそこから更に世界が広がっていた。

あとエロシーンが、清居が平良のことを大好きで大好きで堪らないって気持ちが伝わってくるのが凄くよかった。くっついた後のカップルだとマンネリさを感じて読むのが退屈だったりするけれど、前作より断然好きです。
清居の方からの初めてのフェラも想いの強さに突き動かされての行動って感じがよかったし、そのおかげで鏡の前でのプレイとか普段は読者へのサービスって感じがありありと感じられて苦手なのだけれど、これは嫌な気持ちにならなかった。

個人的な見どころは、平良が両親の前とか安奈の前で清居語りを炸裂させて変な空気を漂わせるところ(気まずい清居が面白かった)
と、清居に危険が及んだとき怒鳴る平良が初めて奇跡的にかっこよかったところ。
いざって時は彼氏力を炸裂させる平良。
波乱を経て、清居の想いが恋から愛に変わり、絆が深まったように感じた。
もう読み終わって胸がいっぱいです。

そして言うまでもなく葛西さんの絵もサイコーでした。
カラー絵とかもう神々しいし、凪良さんも書いてる通り「美しい彼」ってタイトルへの説得力が凄まじいです。

電子版出たらまたSSついたりするかな?出たら絶対買います。まだまだ2人の話を読みたい。