前作では主に航平→太一の恋がメインでしたが、今作は一歩進んで航平→←太一の恋愛模様が1冊まるごと読めて、大満足でした。
航平と同じ難聴の少女・マヤちゃんの登場により、「マヤがいれば、自分は航平にとってもう必要ないのか」「ノートテイク以外に自分が航平のために出来ることはないか」と終始航平のことを考えている太一が本当に可愛いです。中盤で大学を辞めてしまう太一ですが、その理由も「航平の笑顔が好きだから、航平が笑顔でいられるような手伝いが出来ると思った」会社に入社するためという、航平のことだけ考えて動いている様子にきゅんきゅんしました。あと、そこまで航平のことを好きなのに、全然自分の気持ちに気付いていない鈍感具合も太一らしくて良かったです。
航平の方は、読んでて「本当に太一のことが大好きなんだな」というのが前作以上に伝わってきました。あまり表情の動かない航平が、太一のことになると照れたり、動揺したりするところが可愛い。「太一に出会えたから、耳が聴こえない自分でも良いと思えた。」「もし選びなおせるとしても、太一と出会えるこの人生をもう一度選ぶ。」難聴の自分も太一に出会えたから好きになれた、という独白シーンは航平の中での太一の大きさを知り、読んでて思わず泣いてしまいました。
ここまで「幸せになってほしい」と思えるBLってなかなかないと思います。表紙の満開の桜の中で微笑み合う二人の姿を見ているだけで、こっちまで幸せです。更なる続編も決まっているようで、今から楽しみです。それにしても、デビュー作で続々編・映画実写化決定ってすごいですね。素晴らしい作品なので、これを機にもっと広まってくれると嬉しいです。