第四王子でありながら屈託がなく臣下や民にも慕われ、性愛は奔放で女性にしか向けられず日常的に甘い言葉を囁き、それでいて嫁いできた"男の嫁"を性的には見られないものの家族として丁重に扱う、そんな魅力的なヴィハーン。
彼は所謂箱入りで嫁いできたシャウーリャにたくさんの経験をさせてゆくだけでなく、自身もシャウーリャに対して他の誰とも違う初めての感情を抱いてゆきます。
シャウーリャも惹かれてゆく過程でヴィハーンにとって自分はただの形式だけの夫婦と言い聞かせながら支えようとするところは健気で、石田先生のイラストから伝わる美貌と内面の無垢な美しさにうっとりとしてしまいます。
それでいて、ちゃんと男性らしい好奇心などの魅力も描かれていてヴィハーンの宗旨替えに説得力ある人物像が描かれています。
魅力的な設定が散りばめられながらも、頭の中で難しく考えなければならない描写がなくて、本当に面白くて読みやすい作品でした。
誇り高い狼の一族の長同士の婚姻から物語が始まります。
長のガルムとハテイ。
どちらもとても強くて狼の姿で狩りをする姿が雄々しいです。
亡くなってしまった妹スコールの身代わりのように、ガルムと番になるふたりは体の結びつきはなくても獲物を追う時など息の合った様子を見せていたある日、袂を分かったとはいえ、同じ祖先を持つ巣守の一族である人間の男に助けられていたスコールと再会。
そこに旅マタギに襲われ連れ去られたハテイとスコールを救出したガルムは怪我を負ってしまいます。
周囲から生きていたスコールとガルムを婚姻させる声が上がり、それを長として承諾するハテイに対して、ガルムの意志は揺るぎなく貫かれます。
リアルに描かれる動物達の画の迫力がありながら、作中にたびたび登場する、ふわもこの赤ちゃん狼が可愛くてすごくほんわか〜しました。
太陽に振られた大空が色々と暗躍した9巻でした。
そして賢い彼の揺るがない太陽への気持ちを改めて感じました。
安達が自主退学し、太陽に距離を置かれてしまった大空は太陽と拓也達の窮地を救ったり、後藤健吾に会いに行き、太陽の気持ちを代弁します。
修学旅行では優羽、美月らと楽しく過ごす反面、まだ学園に残っていた男達に襲われそうになりますが、ここも大空の機転が利いて無事に切り抜けられます。
真摯に向けられた大空の想いに、太陽にも変化が起こり、おおこれは!と期待していたのに、太陽の母親から届いた手紙には家を売り、高校卒業以降は縁を切るという内容が。
すごい親だな…と思いながら、それを知った大空がまた不安定になりそうな太陽を抱きしめます。
ゴミ屋敷のような太陽の実家を掃除する太陽が心細そうな背中だったのが辛かったです(涙)
バケモノ・・・というほどではなかったですが、頭の良い学校から底辺の学校に転校しきた礼司が喧嘩の強いアキラとボコりボコられた挙句に気に入られてしまってボコり愛・・・?と思いきや、他のヤツラに絡まれたりして喧嘩するも、他の男に中出しされたりするアキラと仲が進展するわけではなく、どうなってゆくのかなーと期待しながら読んでいました。
そしたら、相棒みたいだったのに卒業して行方をくらませちゃったんです、アキラが!!!
四年後、医学部に進んだ(らしい)礼司が後輩たちから聞いたアキラの近況はヤクザに飼われる身まで落ちぶれていて、偶然再会する2人だったけれど、自分と一緒にいてはいけないと思っていたアキラと、アキラのことを特別だと思っていた礼司はすれ違ってしまって万事休す。
それでも、本当はもう一度会いたいと思っていたアキラが高校時代に交わした約束を守ったことで、ようやく言葉で気持ちを伝え合うことができます。
実はヤクザを裏切っていたアキラがそのまま礼司のいる東京に逃げてからの二年後の様子が後日談で読めます。アキラが変わらずにアキラらしかったのでホッとしました(笑)