ドラマ「陳情令」アニメ、ラジオドラマ「魔道祖師」の原作であるweb小説「魔道祖師」の台湾版の翻訳です。
魔道祖師が連載されていた「晋江文学城」では武侠、転生ものが多く見られますが、魔道祖師もまさにこれに当てはまります。
アニメ魔道祖師を見て挫折した方も多いと思うので簡単にあらすじを。
舞台は古代中国。妖魔や邪鬼がうろちょろしている世で、それらを退治する修行者たちがいました。その中で力のある五つのおうちを「五大世家」と呼び、世の秩序を守っていました。
物語は主人公(受)魏無羨が転生し、目覚めるところから始まります。彼は13年前、色々あって手を出してはいけない邪術を身につけ、強くなりすぎてしまい、五大世家を敵に回し殺されます。
そして無羨は生前の知古・五大世家のうちの1人、藍忘機(執着むっつり攻)と再会します。2人で調べていく中で、13年前に何が起こったのか、本当の黒幕は誰だったのか、だんだんわかってきて…?
作り込まれた世界観を表現するための多くの難しい固有名詞、13年前と現在と行き来しまくる時間の飛び方、中国特有の名前の多さ…等読みにくさはあるのですが、全てを理解した時、間違いなくこれは面白い!と唸るはずです。
BL要素は勿論(4巻はもう甘々です)、上記の通り作り込まれた世界観が最大の魅力です。
キャラクターも実に魅力的。名前で混乱するのとなんなら見た目もみんな似ているので相関図を見ながら読むことをおすすめしますが(笑)、すごく愛着のわくキャラクターたちです。
攻めの藍忘機も受けの魏無羨もめちゃくちゃ強くて、戦闘シーンも魅力の一つです。本当にかっこいい。
攻めの藍忘機のむっつりスケベ執着愛(元々仲の悪かった無羨に恋して13年間ずっと彼を探し続け、全然顔の違う生まれ変わりを見て一瞬で無羨と認識する(笑))が凄まじいのに受けの魏無羨(自由奔放で飄々としているのにどこか儚い自己犠牲野郎)は全く気づかず、その辺りは少女漫画チックで最高に楽しいです。
最初訳がわからないのはみんなそうなので(笑)、ぜひそれを乗り越えてこの楽しさを味わっていただけたらと思います!
ちなみに、個人的にはドラマ「陳情令」が1番わかりやすいです。設定の足し引きとぴょんぴょん変わる時代の入れ替えが上手なのですんなり入ってきます。混乱した方でドラマが苦手ではない方はそちらを是非(U-NEXTで1ヶ月無料で見れます)。。
闇を抱えた青年×厳しい母親に抑圧される少年のお話。
痴漢、SM、社会人×高校生、仄暗い雰囲気。決して万人受けする設定ではないかもしれませんが、色んな人に見てもらいたい物語です。
「痴漢」がテーマの本作ですが、される側が可哀想な被害者である一般的な「痴漢」とは異なります。「される側=無知な高校生」の水葵から持ちかけ、彼が主導となって物語は展開していきます。
味覚や感情を失い、終わりを望む大人の忍は変化を求めない。
忍との出会いがきっかけで新しい世界を知った水葵は、日々変化していく。
いつだって切り開くのは無知な少年でした。
最後、どこへも行けるわけないと告げる忍に告げた「1人で降りて楽になるなんて絶対許さない」苦しみながら生きろ、傍にいろという命令の言葉。
仄暗い地下鉄のメトロで始まった歪な関係。彼らはこれからも共に乗車し、共に目的地へと進んでいくのです。
これは、彼等2人の成長の物語です。
色んな方のレビューを見ていると高評価がたくさんある中どうしても登場人物に感情移入できない、という感想を見ますが、私自身は自分の高校時代体験したものとそっくりな恋愛をする彼らに感情移入しながらボロ泣きで読みました(笑)好きすぎて相手がどういう人間か分かりきって付き合ったのに嫉妬してしまう攻の気持ちも、前と変わらない態度で接しているのに相手のイライラが伝わってきて何を考えているのか分からず好きだけど困惑する受の気持ちも。また、その過去があるのにどうしても好きでまた付き合って失敗してしまうのもすごくすごく分かりました(笑)
逆を返せばとてつもなく女々しい恋愛だとは思います。でも好きなんだから仕方ないんですよね。攻くんの態度に腹立った方も多いとは思いますが、恋って醜い部分が全部晒け出されるから。そういう部分を描くのもやはりおげれつさんは上手だし、とにかく表情が豊かすぎて驚きます。同じ笑う、泣く、という表情でこれだけ多くの種類を描ける作家さんはBLに限定しなくても全漫画家の中でおげれつさんくらいなのではないでしょうか。
pixivでこの続きがアップされているので気になった方はおげれつさんの(何故か)二次創作用アカウントにアップされている漫画を読むことをおすすめします!