原作未読。
遊佐浩二さんのBL出演作を求めて辿り着きましたが、キャスト陣がとにかく豪華。
日野聡さん、そして三番手に森川智之さんという布陣を見ただけで、一筋縄ではいかない三角関係を確信しました。
物語は、中学卒業の日に酷い別れ方をした高津戸真(遊佐さん)と倉田泉巳(日野さん)が、数年後に保育園の保護者同士として再会するところから始まります。泉巳は亡き妻の兄・椹木恭介(森川さん)に、父子家庭の生活を公私ともに支えられていました。
再会後、高津戸の口癖「しょうがねえな」を聞いた瞬間に、泉巳の中で一気に思い出が蘇り、気持ちが再燃していく展開には堪らなく萌えました。高津戸は感情の制御が苦手で身勝手な言動が目立ちますが、遊佐さんの声と演技によって、その奥底に秘めた想いが滲み、なんとも言えない気持ちにさせられます。
一方で、義兄の椹木は実直で大きな男。暴力団関係者という立場ながら、泉巳と甥への無償の愛を貫こうと努力しています。高津戸から「離れろ」と言われても恩義と愛情から突っぱねていた泉巳でしたが、ヤクザとの繋がりが息子の保育園生活に影を落としていると知り、心が揺らぎ始めます。
正直なところ、後から割り込んできて「義兄と縁を切れ」と迫る高津戸の男としての小ささや狡さは、遊佐さんが演じていても手放しでは好きになれませんでした。しかし、高津戸の正体が麻薬捜査の警察官であり、ターゲットの一人が椹木であったと明かされたことで、物語の緊張感は一気に高まります。
泉巳が「二人は損得勘定で自分に接していたのか」と苦悩する中、決断を下したのは椹木でした。その引き際の始末の付け方は、まさに「漢(おとこ)」。本当にかっこよく、素敵でした。
その後、警察官と容疑者という立場になった二人が取調室で対話するシーンは、泉巳を大事に想うがゆえの覚悟がどちらからも伝わり、深く心に沁みました。
一貫して裏表のない善き人を演じきった日野聡さんの表現も素晴らしく、愛と情、そしてそれぞれの覚悟が詰まった濃厚なドラマを堪能できる一枚です。
英田サキ先生と山田ユギ先生のファンでありながら、なぜ今まで見逃していたのかと驚くほど、出会えてよかったと思える作品でした。
原作未読でしたが、これから絶対に買います。
原作の魅力である軽妙なセリフの応酬が、ドラマCDになるとさらにリズミカルになっていて聴いていて本当に楽しいです。
絶対的強者の千紘を演じるのは佐藤拓也さん、それに翻弄されるハジメを演じたのは阿部敦さん。このお二人の組み合わせによる掛け合いは、聴いていてにやにやするほどかわいくて萌えます。
千紘は、母性もなく男にだらしない母親のもとに育ち、小さな弟の面倒を見るなど複雑な背景を背負っています。そんな俺様男が子供に見せる優しい言動や、風邪で寝込んだハジメにおかゆを作って看病してくれる姿など、声の演技を通すとより一層そのギャップ萌えが素敵に響きます。風邪の原因はそもそも千紘にあるのですが、そうやって優しくされて、またまたちょろくほだされていっちゃうハジメの様子が、阿部さんの演技も相まって本当に愛おしいです。
物語後半、千紘の職場事情や過去の話が畳み掛けるように説明されるシーンがありますが、音声だと勢いがあるせいか、全く説明臭さを感じさせないのがすごいと感じました。
ブチ切れた千紘がひどい言葉を吐きながら、力尽くでハジメを抱くシーンはヒリヒリする激しさがあり、その後に両想いになってから千紘がハジメを抱くシーンはとろとろに甘い激しさがありました。
エロい台詞、ドぎついシーンが多いのですが、心の距離が縮まっていく様子はドラマCDならではの臨場感があります。「恋愛ってそんなに深く考えなくてもいいじゃない」と思わせてくれるような、体から始まる愛の形をコミカルかつエロティックに堪能できる一枚です。
おわる先生の作品の魅力は、キャラクター設定も物語の展開も「いや、まさかないない!」と笑ってしまうほど突拍子もないところだと思います。けっこうエグかったりすごくエロかったりする内容にそぐわない(褒めてます)キレイ目な絵柄のバランス、そして、軽妙なセリフの応酬でポンポンと進むテンポの良さが楽しいです。
主人公のハジメは、アイドルくずれのAV女優ちーちゃん、を女神のごとく崇める社畜の青年。始発電車の中でその女神ちーちゃんの出演AVを音声ダダ漏れで聴取する男を見かけ思わず凝視したことから、絡まれて濃厚接触。無理難題をふっかけられて翻弄される「超絶ちょろい」青年です。
過去の不運エピソードも含めてかなり不憫なのですが、実直で一生懸命で、その「ちょろさ」が鬼畜な強者、千紘の意地悪な気持ちをそそるのも納得の愛らしさです。
ハジメの女神、AV女優のちーちゃん、と、鬼畜な強者が偶然にも同じ名前、という強烈なエピソードもこの作品に、ピリ辛風味を添えています。
物語後半、千紘の複雑な家庭環境や過去が明かされ、一気にシリアスな深みを増します。前半の軽妙なテンポから後半の重い背景への落差が激しいのですが、それが決して唐突すぎず、絶妙な匙加減で描かれているのがおわる先生の手腕。ストーリー展開が素晴らしくて惹きこまれます。
ハジメの心が、千紘を知るたびに薄皮を剥がすように惹かれていく過程は、硬い殻がピリピリと剥がされて本心が現れてきたような感じで、自然かつ情緒に迫ってくるものがあり引き込まれました。
ブチ切れた千紘がひどい言葉を吐きながら強引にハジメを抱くシーンもありますが、その後、両思いになってからの激しくも愛のあるセックスへの展開、そしてラスト、出会いと同じ始発電車の中というシチュエーションで締めくくられるのは、まさに胸アツでした。
エグい言動やどぎついエロがあるのに、読後感はどこか爽快でコミカルさも感じる、おわる先生の絶妙な塩梅が楽しい一冊です。
BLを普段読まない漫画好きの友人に勧めたらドはまりしてくれて、友情が深まった個人的に感謝でいっぱいの作品です。
ドラマCD聴取後に、改めて1巻を読み返しました。
狼族と兎族、昔ばなしとおとぎ話、獣人もの、いろんな要素があるお話です。
食糧難に陥った兎族の村長に、花嫁を差し出せば全ての村人を救える支援をすると狼族から申し出があり、まるで「人身御供」のように、故郷から遠く離れた狼族の村に嫁入りする兎族の楓。
それぞれの種族のためになる婚姻でしたが、その主役たる錬と楓の気持ちは伴っていません。
楓の結婚相手、狼族の跡取り息子の練は不遜で無頓着です。自分のことしか考えていない、見えていないその言動はあまりにもひどいです。
いわゆる嫁いびりみたいなものはないけれど、故郷から遠く離れ、友達もいない心細い暮らしをする楓に対して、一番の味方として寄り添うべき夫の練はなにもしない、積極的な行動を起こしません。
そんな環境、夫の練に対して、楓が常に考え、努力していく様子がとても愛らしいです。
種族の力の差、体格の差、スキルの差、あらゆる格差がありつつも、狼族に嫁いだことを受け入れ、ひたすらに追いかけて食らいついていこうとする。そんな楓の中からあふれだすようなパワー、明るさ、命の強さが輝いて見えます。
1巻はまだ序の口です。
2巻、3巻と輝きが増して、さらにおもしろくなっていく作品だと思います。
原作は全巻既読。
兎族の村の食糧難を救うため、オオカミ族に嫁入りすることになった楓。物語の結末、ハッピーエンドになることは知っていますが、それでもやはり、この「人身御供」のような始まりには、楓が気の毒でかわいそうで仕方がありません。
故郷から遠く離れた場所にたった一人で嫁いできたのに、味方になるべき夫の練はつんけんと冷たい、友達もいない。そんな絶望的な環境に置かれながらも、楓が自分なりに常に考え、努力し、前向きにがんばっていく様子は本当に愛らしいです。
一方、狼族の跡取り息子である練は、みんなに大事にされ、お世話されるのが当たり前の環境で育ってきました。そのため不遜で、あまりにも無頓着。少しのマイナス感情はありつつも、基本的には悪気はないのでしょう。しかし、それでも楓に対する言動はあまりにもひどすぎます。
種族の力の差、体格の差、スキルの差。いろんな差がありながら、ひたすらに狼族に嫁いだ現実を受け入れ、追いかけて、がんばって食らいついていこうとする楓。そのがんばりが本当に素晴らしく、聴きながら思わず「がんばれ、がんばれ」と応援してしまいました。
ただ、完全に個人の好みとしての感想ですが、練役の八代拓さん、楓役の天﨑滉平さん、お二人とも私の抱いていたイメージとはかなり違い、演出にも少し違和感がありました。最後まで聴いてもどうしても耳に馴染むことがなかったので、今回は中立評価とさせていただきます。
遠距離恋愛が1年を超えた二人。間宮の連休を使い、佐橋の出張に合わせてニューヨークで会うことになります。空港に着いた間宮の前に現れたのは、相変わらずフルネームで呼んでくる、面倒くさくて愛らしい佐橋の兄・天馬。さらに現れた父親は、息子二人とは全然違う完全な陽キャでした。天才肌で「天上天下唯我独尊」を地で行く強烈な父親に、間宮も翻弄されて大変そうです。
二人が過ごしている時、日本の職場から間宮に電話がありますが、それに嫉妬して横からちょっかいを出しちゃう佐橋。テンプレな行動だけど、やっぱり可愛くて素敵です。トラブル発生時に佐橋が仲間を呼び寄せますが、その理由が「父親の仕事や兄を助けるため」じゃなく、「間宮をムカつかせたのがムカつくから」。ブラック佐橋が出てくるのが楽しいし、それを聞いて笑いながら協力してくれる周囲も素敵でした。
佐橋と父親は考え方が違うだけで、父親が嫌な人なわけではないと分かって安心しましたが、それでも間宮が佐橋のために怒り、父親にしっかり意見して「(佐橋は)世界で一番かっこいい」と断言するところは最高に素敵でした。天馬の願いもありましたが、アルバムを見たいという希望から自然な流れで実家に行き、家族が揃ってお話しして天馬が喜ぶ……なんとも可愛らしい展開でした。
またしばらく離ればなれになる二人の、最後の夜。間宮が「ハッキングしてもいいよ、全部取ってもいい」とスマホを差し出すシーンは甘くていいなと思いましたが、佐橋が「スマホを持ってたらハグできない、触っていたい」と断るのがさらに甘くて素敵でした。行為の後に「寂しい時に見るからメッセージを」と頼んで、間宮から「大好き」じゃなく「大大大好き」という言葉をもらう佐橋の笑顔には、ちょっと泣きそうになりました。
トワイライト・プレイラバー リセット
南条と伊織のお話。両思いになったはずなのに、「自分は負担をかけているのでは」と自信をなくす伊織の悪いパターンが出てきます。でも南条が「会話が足りてへんのかもな。わかった気にならず、すり合わせる努力せな」と言ってくれるのが本当にいい男で、拍手したくなります。伊織の難しさを包み込み、思い出の地を巡りながら本音を出し合う解決法は、精神科で勧められそうなくらい素晴らしいです。これからは安心な関係になれそうで素敵でした。
ビターネス・プレイラバー
西園寺に振り回される柿崎ですが、今回は西園寺と連絡が取れなくなり「切られた」と悩む姿が、自分のことが分かってなくて哀れで可愛いです。結局、素直な気持ちを留守電に入れ、直接話して仲直りしたのに、あとで復活したスマホにその留守電通知が届くというオチが最高でした。しばらくいじられそうですが、もうちょっと西園寺さんに甘えてあげてほしいなと思いました。
遠距離恋愛編。
いきなり間宮のエッチな夢から始まって驚きました。
間宮の下に配属された3年目の後輩は、自分でも「クビにならないのが不思議」と言うほどのダメダメぶり。可愛さを通り越して心配になるレベルですが、負け癖が染み付いているという彼の過去を知ると、大袈裟に見えて意外と身近にいる挫折を知る人の姿にも重なり、納得感がありました。
そんな課題を抱えつつも、それぞれが目標に向かってステップアップしていく姿にはワクワクします。8時間の時差がある中、間宮が早起きして、佐橋の寝る前に合わせて通話で励まし合う姿は素敵で萌えました。考えすぎて空回りしそうな間宮に、佐橋がストレートな助言をして助ける。その後に「お節介なところも好き」とフォローできる佐橋が本当にかっこいいです。かつてのチャランポラン男が、倒れそうになるまで真面目に向上心を見せる姿には感動すら覚えます。
パリで必要な限定商品を間宮が自ら届けるという粋なサプライズも最高でした。技術一辺倒だった佐橋がモデルとの信頼関係に気づいて「最強」になる瞬間の高揚感。そして変装している間宮に後ろ姿だけで気づく佐橋、さすがです。
滞在時間はほんのわずか。佐橋の部屋で留守番しながら過ごす時間は、読んでいて一緒にドキドキしましたし、残り6時間で帰らなきゃいけない七夕のような切なさがありました。そんな中、暴風雨で飛行機が運休になるというトラブルは、マンガはこうでなくちゃと嬉しくなる素敵な展開でした。
【同時収録:ビタネス・プレイラバー】
西園寺と柿崎のやり取りは、もうすっかりテンプレの痴話喧嘩……というかイチャイチャに見えます。悪態をつく柿崎と、どこか浮世離れした西園寺。相変わらず噛み合わない二人ですが、少しずつ距離が縮まっているのがまた萌えます。一気にラブラブにならないこの焦れったさが、この二人の良さですね。
美容部員という珍しい職業ものなので興味深く読みましたが、二人の関係の始まりは「秘密を知られてからの脅して無理やり」という、昔のAVみたいな安っぽさというか、あるあるな展開。このいまどきのおしゃれな感じと、ドロドロな昭和っぽい感じが混じっていて絶妙です。最初はかなりゲスな入りなので、長く続くシリーズになって両思いになった今改めて読み返すと、この入りは結構ひどいな(笑)と思ってしまいます。
間宮は、憧れの先輩の情熱や真面目な仕事ぶりに学び、努力を重ねてきました。そんな間宮の言動を最初は小ばかにしていた佐橋が、共に過ごす時間が増えて変化し「本気になっていいですか」と頑張り始めるわけですが……。それにしても、最初の入りがひどすぎたので、普通ならリカバリーできないレベルだと思うんです。それを許せてしまう間宮の懐の広さというか、器のデカさには驚かされます。
間宮はずっと先輩が好きで、彼が結婚した時にピアスを開けるくらいショックを受けて、今でも憧れています。それに対して、間宮を好きになっちゃった佐橋の見ている前で、長年の信頼と付き合いのある間宮と先輩がやりとりをする。佐橋が心穏やかではいられない、という(裏)三角関係のようなシチュエーションがおもしろいです。
また、職場でのリアルなトラブル描写も惹きつけられる要因でした。男性BAは少ない世界だからこそ、嫉妬や場所争いが厳しい。柿崎という男が嫉妬から悪評を振りまくという非常にせこいことをやらかしますが、そんな奴には女性の肌に触れてほしくないなと思ったりしました。バランスよく「いい人」と「すごく悪い人」が出てくるのが、この作品に引き込まれた理由だと思います。
間宮のことが心配で、ちゃんと仕事のことで動く佐橋はなかなかに男気が増しててよかったです。柿崎の「客を取られた」発言は、ホストクラブでもあるまいし、良い商品の方に流れるのは当たり前。そういうストーリー展開が不自然すぎずしっくり来て興味深いです。
体から始まったけれど、ちゃんと毎回エッチになだれ込まないで、引いたり押したり緩急をつけられる佐橋は頭がいいと思います。微妙な関係の二人に「突然の雨」という王道エピソードもありつつ、色んなエピソードが詰まった色彩豊かな一冊でした。
メインキャストお二人の声や組み合わせはイメージ通りでした。違和感なしです。
佐橋斗真のちょっとちゃらくて世の中を軽く見てる感じや、間宮棗の真面目でお客様のことにいつも真剣な様子が、開始3分でしっかり伝わってきました。
佐橋斗真が途中からどんどん間宮棗に対して態度を変え、気持ちが変わっていく様子が、絶妙にいじわるだったりにくたらしかったりします。そんな彼に翻弄され、真面目が故に悩みながら、少しずつ心を寄せて行く間宮棗の様子にときめきます。
お仕事男子BLで、視覚から入る情報が多い原作ですが、メインキャストおふたりの演技やBGMを含む演出のおかげで、原作の雰囲気を壊さず、聴覚から世界観を伝える良作でした。
本編ではあえて具体的な詳細は描かず、読者の想像に託していたと思われる千夏の家族について描かれています。
本作ラスト、有償小冊子では描かれなかった、それぞれの家族とのその後のかかわり方が明かされます。
2人の幸せな未来に対する最大かつ最悪な存在のはずだった千夏の父親の「影」が出てくるという流れがすごいと思いました。
再会して会話をするわけではないけれど、千夏父の意図が伝わる「影」がちらり、と見えます。
佳澄の兄との、強くて深くて暖かい交流も描かれています。
はらはらヒヤリとしたあとに、ほんわか温かくなります。
それぞれの家族との関係に進展があったあとの2人の夜。
2人の愛がより温かく、強く深く伝わってきました。
もりもより先生は絵柄も人物設定もどれも素晴らしい先生ですが、物語のつむぎ方が本当に素晴らしい先生だということを改めて感じる短編でした。