お人好し純朴青年×ミルクを出せる雄牛獣人です。
四方月先生は『堅物隊長メスバレブラックアウト』でもスピンオフで搾乳プレイを出していましたが、ついに丸々一冊搾乳してます(笑)。
しかもただお乳が不随意に出て大変、搾乳ついでに恋も成就!という訳ではなく、そのミルクが人助けになったり、はたまたその特性を活かして風俗店で働く人たちが出てきたり…搾乳だけでここまで様々な人間模様を描いたBLはなかなかないのでは。次から次へと出てくるミルクをめぐるドラマに、もうお腹いっぱい(笑)。四方月先生がいかに真摯に雄乳のことを考えてきたか伝わってきます。
物語は、攻・ハルくんの農場で働く受・アキさんが、ハルの側にいるとミルクが止まらないということがハルにバレて、お人好し+雇用主の責務としてアキさんの搾乳を申し出ることから始まる、「お前らそれで付き合ってないのかよ!!!!」系BLです。両思いなのにお互い好きなのは自分だけと思い込んですれ違う…王道ですね。王道だけどやってることは搾乳なんですよね。しかも搾乳だけでなく、初回からアキさんは自らお尻までいじってしまいます。慣れとる。ここのアナニーが唐突でさすがに笑ってしまいました。後半で明かされますが随分前からアキさんはハルのことが好きだったんですよね。だからこその開発済みのお尻だったわけです。
アキさんが世にも珍しい「ミルク種」とわかり、一層搾乳に精を出すハル。四方月先生お得意のラッキースケベを挟みつつ、2人はどう見ても恋人同士でしかない関係になっていきますが、お互いに一方通行の恋と思い込み、じりじりした関係が続きます。
アキさんがミルクでお金持ちの手助けをするシーンは普通に良い話でした。このあたりで「この作品、ただの搾乳エロ本じゃない…」と気付きました。
その後アキさんと同じミルク種の借金持ち・榎戸も農場で働くことに。榎戸は俗っぽいフランク獣人で、榎戸がメインのスピンオフもぜひ読みたいです。
そんな折、アキさんに発情期到来。アキさんだけでなくハルも気持ちが暴走してしまい、お互いに思わぬことをしてしまい気まずい雰囲気に。
距離を取ろうとするアキさんにもめげないハルの思いがようやく通じて、晴れて関係修復。ここのHシーンは短いのですが、いろんな液体の量がすごいです(笑)。
その後榎戸を追う借金取りにより、アキさんともども雄ミルク種専門サロンに連れて行かれてしまいます。ミルク種のキャストたちの服装を見て、四方月先生、本当に好きなもの詰め込んでるな〜とまた笑ってしまいました。
結局借金取りも根っからの悪ではなく、むしろ生活しにくいミルク種を助ける意味もあって店で雇っているのでした。この借金取り・獅子倉も過去に何かありそう。
最後は万事解決して正式に恋人同士になった2人の甘〜い夜。アキさん、普段は寡黙なのにHのときはおねだりとか実況とかしちゃう、隠れ淫乱っぷりがたまりません。
ちょっとだけNL要素ですが、時子さんに思いを寄せる犬くんの童貞ムーブも最高でした。四方月先生の作品に出てくるキャラクターは可愛げがあるところが良いですね。本筋に全く関係ないけど最序盤に出てきた仔牛のモモもすごく可愛かったです。当たり前ではあるのですが牛の模様がどの角度から見ても矛盾しないように描かれていて、すごいなあと思いました。
描き下ろしにはデビュー作『昨日はおたのしみでしたね』の2人も1コマだけ登場!出版社さん違っても、出せるものなのですね〜。うれしかったです。
大学生同士の、バカ正直童貞×大人?なモテ男です。
読んでいると正直なところ、攻受が逆っぽい印象を受けるんですよね!もちろん事前にどちらが攻か把握していたのですが、読み進めると勝手に頭の中で左右ができてしまい、いざ本番となったときに、あっそうだった…となりました。率直に逆の方が好みでした。
攻は童貞であることにコンプレックスがあり、モテモテの受を一方的に嫌っていましたが、受がすごく気遣いのできる人だとわかり、これまで自分が受を理不尽に嫌っていたことや、実は名前すら知らないということまで、言わなくてもいいのにバカ正直に打ち明けて謝ります(笑)。
受はそんな攻の潔さを気に入り、攻との距離を縮めていきます。おもしれー男…って感じですかね。そんな上から目線ではないのですが。確かに本作の攻のように、ここまで全部さらけ出す人は面白いと思います。
攻も受と過ごす時間が楽しくて、童貞で悩んでいたことも忘れるほど。ただ最初に「男試したかったら声かけて」的なことを言われたせいなのか、思わぬところで受を意識してしまっていたのかな?友達では収まらず、だんだん受に惹かれていきます。
そんな中、事件は起こります。受に想いを寄せる女の子を諦めさせるための、攻の突然の「受と付き合ってます宣言」。その直後、攻は受への想いをはっきりと自覚し、衝動的に受に告白してしまいます。
それに対する受の反応のせいで、攻と受はギクシャク…。攻も受も自分の行動をものすごく悔やんでいて、どちらにも共感できました。受は高校時代の元カノに「子供っぽい」と言われたことを引きずっていて、何にも執着しないように振る舞ってきました。そのせいで攻に対する返事も間違えてしまったんですよね。「失恋 忘れ方」で検索する攻は不憫だけど可愛かったです。
最後は受の頑張りもあり、お友達にも公認のカップルになれていて良かったです。エロは薄めの描写でした。でも繰り返しになりますが、逆の方が良かったかな〜(笑)
ケンカ大好きイカれ野郎×攻の暴れっぷりに恋に落ちてしまうケンカ大好きイカれ野郎です(笑)。
マンガとしてすごく読みやすく、楽しく読み進められました。受の腐れ縁ヤンキー・佐波も当て馬ではないのにうっかりメインの2人を焚き付けてしまう立ち位置としてわかりやすく、また受の舎弟ポジ・溝口も、受を慕っているのか危ういツッコミを連発していて、面白かったです。
体格差が攻<受で、攻はヒョロッとしていて強そうに見えないけどケンカが異常に強く、目は光がなく死んだ魚か爬虫類のようで、中身も飄々としていて、ザ・マンガの登場人物って感じの、かなり盛り盛りな設定のキャラクターだと思います。こういうキャラがどストライクな方が一定数いそう。
受はケンカが趣味のヤンキー。ちょっと気になったのは、受が攻のことを「推し」と言っていたこと。最近の若い子はオタクじゃなくても、誰でも「推し」という概念を持ってるんですかね?「宗教」とも言ってたし。ここらへんの言葉ってオタク用語かと思っていたので、特にオタク描写のないヤンキーのセリフとしては違和感がありました。
受が攻のケンカの最中に突如告白して始まった関係は、攻の手が早い+受が攻にメロメロなので、あれよあれよといううちに進んでいきます。合体までは時間かかるかと思ったけど、意外とあっさり(笑)。攻の可愛がり系言葉責めが良い感じです。
ある日、攻に重いと引かれないための接し方に悩んでいる受の前に、攻の過去を知るヤンキーたちが現れ、受とケンカになります。普通なら受がピンチになって攻が助けに来るところなのですが、受のケンカ狂い設定がちゃんと活かされており、大喜びでケンカして圧勝していた(笑)のが面白かったです。
自分のいないところで最高に楽しそうな受の姿に、モヤッとする攻。独占欲が爆発し、最後はラブラブH。受が攻のことを好きすぎて、トロットロです。
攻は飄々としているので気持ちがちょっとわかりにくかったですが、受が他の人と楽しそうにしているときの嫉妬ゆえの行動はよく理解できました。受の体にすっぽり収まる攻、可愛かったです。
30歳まで童貞を貫き、魔法使いとして活躍するイケメン×人生言い訳ばかりの負け組童貞です。
魔法使い要素でがっつりファンタジーで、ツッコミどころも盛りだくさんな一方、攻・受それぞれの生き様や受が人間的に成長する姿にはリアルさもあり、最後はドラマチックな結末で、なんだか良い話だったなーと思わせてくれる作品です。
魔法使いになるには30歳まで童貞を守り、最後の10日間の発情期を何とか乗り切らなければいけません。たいていの人は我慢しきれず発狂して精神を病んだり、発情期専門のソープに行ったりして、魔法使いの夢を断念するという設定です。
ネタバレになりますが、受は先輩魔法使いである攻の多大なる援助(という名のセックス)のおかげで、10日間の苦しい発情期を乗り越え、無事に魔法使いになります。発情期の中、攻の支えのおかげで受の心が変化していき、人間的に成長していく様が良かったです。また、割と序盤で、たぶん攻は昔から受のことを気に入っていたのかなと想像がつくように描かれていたので、発情期に協力する流れも納得して読めました。
魔法使いは多い方が世の中にとってありがたいだろうから、何なら発情期を乗り越えるための強制拘束プログラムとか、もっと穏便(?)に10日間睡眠状態にされるプログラムとか、志願した人には提供されててもおかしくないんじゃないかなどと考えてしまいましたが、そこまで深く考えて読むべき作品ではありませんね(笑)。
そして受が魔法使いになってからの苦悩も描かれているところが良いサプライズでした!魔法使いにさえなれば全てうまくいく訳じゃないというのが、とても面白かったですね。ここでもう一山あることになり、よく考えられたストーリーだと感じました。
受の魔法の属性がわかったシーンは爆笑しました。
読み進めると、まさかの理科のお勉強ができます!!(笑)攻と受、2人の魔法の化学反応…受験生に薦めるBLは本作で決まりですね。試験で役に立つといいのですが。
2人には世の中のためにも、末永くラブラブでいていただきたいですね。
表題作は一本気なきつね×優しい大学生、同時収録作は表題作にも出てくるカフェの店長×表題作のきつねの弟子のきつねです。
いや〜〜きつねかわいい。表題作のきつね、同時収録作のきつねのほかに、あと2匹弟子のきつねが出てくるので、コマにきつねが映り込んでる率が本当に高くて、しかも中身も素直で可愛い子ばかり。もはやきつねたちの会話だけでまるまる一話描いてほしかったぐらい癒されました。あまりの可愛さに本物のきつねの画像を検索したり、きつねと安全に触れ合う方法を調べたりしてしまいましたよ。
作者の小山先生はほしの動物園シリーズも描かれていて、本当に動物がお好きなんだな〜と思いました。
表題作は、命の恩人である人間・仙田に恩返しするため、くそ真面目に11年間修行を積んできたきつね・大和が、真っ直ぐすぎるが故に空回りしつつも、仙田と距離を縮めていくストーリーです。
とにかく大和の真摯な態度が伝わってくるので、仙田がまんざらでもなくなってくるのも、無理ないかも。とはいえ大和の変化(へんげ)がうまくいかず人間の子供姿のときが多いので、色っぽい展開はありませんが。
本作のタイトル通り、大和は基本的に前向きだし、勉強熱心なので、良い教材さえあれば最強のスパダリになれそうです。
同時収録作では、仙田のバイト先できつねたちも頻繁に押しかけているカフェの店長が、年下の男の子好きのゲイだとわかります。そんな店長の前に現れたどストライクなかわいこちゃん…それこそが大和の弟子・麦藁が人間に化けた姿でした。
麦藁は、大和やほかのきつねたちには内緒で変化の術の練習をしていたのですが、そのきっかけが、大和が命の恩人である人間のために修行に励んでいることを知って人間に興味を持ったから、というのが、とても自然で良かったです。
もう最初から店長は麦藁にめろめろなので、あとは麦藁次第な恋でした。店長、貢ぎ癖がすごいみたいなので、たぶんきつねたちの中で圧倒的に麦藁の所持品が多くなると思います(笑)。
最後の、店長からのプレゼントである腕時計をしてるきつね姿の麦藁、めちゃくちゃ可愛かったー!!でもきつねの腕(前脚)にはめられる腕時計って、めちゃくちゃ細い造りの腕時計なんじゃないかと冷静な自分が気付いてしまいました。めちゃくちゃ細い造りの腕時計職人のみなさん、おかげさまできつねが腕時計をはめられました。ありがとうございました。
残りの弟子たち、花葉と蜜柑も、大和と麦藁の影響でこれから人間に興味を持って、またまた恋に落ちたりしちゃうのかな〜と、期待しております。
ラブ的には甘酸っぱい感じで終わるので若干物足りなさもありますが、とにかく最初から最後まできつねが可愛くて最高なので、BLときつねを同時に補給したい、そんな忙しない現代を生きる貴方にオススメの一作です。
DVDではなく劇場に観に行ったのですが、内容は同じだと思いますのでレビューします。
映画は原作とストーリーの流れや設定が大きく変えられていて、びっくりの連続でした。この点について、運良く舞台挨拶で城定監督のお話を伺うことができましたが、媒体が異なるので見せ方も変える必要があった、そして原作サイドが変更にOKを出してくれなければこの映画を撮ることはできなかったとのことでした。内容の大きな変更点については後述しますので、ネタバレを回避されたい方はお気を付けください。ただ、作品のテーマである、「性によって生を植え付ける」という点は、ブレていなかったと思います。
そもそもよく見ると、余田と桂木のビジュアルからして、そこまで原作に寄せようとしてませんもんね(笑)。でも余田役の北代さんも桂木役の渡邊さんも普通にイケメンなうえに、お二人の体が本当に綺麗で、桂木は無駄な肉のないすっきりした体つきがイメージぴったりでしたし、余田は服の上からでもわかる見事な大胸筋が素晴らしく、ドキドキしました。
もちろんお二人の演技も凄まじく、文字通り体当たりの演技(物理)って感じで、圧倒されました。特に映画オリジナルの最後のシーン、海沿いの“謎ホテル”(舞台挨拶で制作陣がそう呼んでいました)でのベッドシーンは、もう最っっっっ高〜〜〜〜〜〜〜すぎて、興奮しすぎて私は次の日も観に行きました(笑)。いろんなことがあってからの両思いH…万感の思いですよ。対面座位で頑なに桂木の乳首をつまみ続ける余田の手がエロかったです。
そう、本作はR-18とはいえ、AVではないのであくまで「性器があるフリ」「体内に何かしら挿入しているフリ」なのですが、乳首だけは治外法権というか(笑)、最序盤からそれはもうこれでもかといじくり倒して撫で回し&舐め回していて、これがR-18映画じゃ!と見せつけられましたね。
そして下半身で行われていることは、絶妙に脚やら余田の手やらベッドの手すりやらで隠れていて、すげー!って思いました。一番すごいと思ったのは潮吹きのシーンで、桂木のモノがあるかのように余田の手がうまいこと配置され動かされていたこと。桂木もそれに合わせて反応していて、役者さんってすごい…。
あと映画オリジナルで桂木が鏡を叩き割って手から流血し、それを余田が舐めるシーンがあったのですが、そこもエロかった。
エロ以外でも余田の手術シーンや、桂木が中華料理を食べまくるシーンを見て、撮影大変だっただろうな〜と思いましたし、それくらい映像作品としてこだわり抜いて作られたんだな〜と感銘を受けました。
2回観に行ったくらいなので全体的には満足しているのですが、原作を知っている人間からすると、なぜそこの設定まで変えたのかな?と疑問に思う点もあったので、評価は萌2です。
以下、原作から大きく変更されている点です。
・余田に過去に男の恋人(ちなみに桂木にそっくりな男で医者の同僚)がいたことになっている
→これは特に!原作では余田の初めての男が桂木で、個人的にかなりお気に入りの設定だったので、びっくりしました。ただ桂木とこの元彼は同じ役者さんが演じられているので、カップリング的にはなんだか安心。あと、元彼と同じ顔だから桂木に執着したというのは、わかりやすい。
・その恋人の自殺が原因で人の生死に特に敏感になった設定になっている
→なので映画の余田が医者を目指した動機は不明。
・桂木は両親を迎えに行く日、同僚の女性とホテルにいて迎えをすっぽかしたことになっている
→それだと確かに自分のせいで両親が死んだって自分を責めるのも仕方ないかもね…。ここでちょっとだけ桂木と女性とのキスシーンがあります。
・桂木が自主退職ではなく無断欠勤を続けていることになっている
→いくら両親の死がショックでもそれは無責任じゃないか…?
・桂木が監禁されていたのがなんと余田の勤務する病院の一室(かなり奥まった場所なので他の人にはバレなかった模様)
・最後、余田が自殺しようとする(桂木が止める)
正直、変えない方が萌えたな〜という点もあります。原作より桂木に同情しにくいし、余田が初めて愛した男が桂木じゃないし。でも制作陣も悩み抜いて変更したと思いますし、映画は映画として受け止めるのが良さそうですね。逆に原作を知らない方が、そういうもんだとスッと受け入れられて、楽しめるのかも。
物言いがはっきりしすぎるエリートサラリーマン×満月の夜に見た目も中身も別人になってしまう同僚です。
満月の夜に人が変わってしまうというのは、例えば獣人とかならわかりやすいですが、人間のまま絶世の美男子になって性格もアグレッシブになるという、何とも風変わりな設定の作品です。ちなみにお互いの記憶は共有しています。
変わっているといえば、本作は久我作品には珍しく?メインキャラが関西弁を喋りませんので、関西弁をお求めの方は久我先生の他作品をお手に取ってください。
メインの2人は同じ小さな製菓会社で働いています。出てくるお菓子、たべ◯子的な感じを想像していました。最近とてもグッズ人気がありますしね。
受の周が攻の神宮寺に気にかけられるようになったきっかけが、圧のある攻の前で、頑張って自分の意見を言ったこと。頑張りを認めてもらえるってすごく素敵なことですよね。ここの始まり方がとても良かったです。
それと同時進行で、満月の夜に絶世の美男子・「カグヤ」の状態の周と出会った神宮寺は、一瞬でカグヤに恋をしてしまうのですが…。
ネタバレになりますが、ここ、もしかして実はカグヤ=周だって気付いてたりしないかな?なんて思ってましたが、結論、最後まで同一人物とは気付いてなかったみたいですね。本格的に見た目が変わっていたことがわかります。しかしいつもの周とたまに現れるカグヤ、それぞれにもう一方の影響が出ることがあるので、神宮寺は「なんかたまに印象が被る…」と不思議には感じていたようです。
周のカグヤへの「変身」は、本来は満月の夜だけなのですが、神宮寺と接近したことによって周がカグヤに強い劣等感を持つと、周期にかかわらず変身してしまうように。そうするといつか必ず起こるとわかる、「変身の瞬間を神宮寺に見られる」場面。
さらにこの「変身」は遺伝的なものですが、だいたい30歳くらいで終わるということで、28歳の周の変身も終わりに近づいていることがわかってきます。そうすると一体周はどうなるの!?カグヤの人格はどこへいっちゃうの!?と、非常に楽しく読めました。
が!!物語の結末は、正直、私が期待していたのとはちょっと違う感じで…。
完全にネタバレですが、周の変身が最後の時を迎えた瞬間、なんと周とカグヤが見た目にも中身にも融合した人間が誕生しました。え、見た目融合しちゃって大丈夫!?って思いますが、顔の印象が概ね周っぽい形で収まったことに加え、もともとくるくる天パだった周がサラサラストレートのカグヤと混ざった結果、髪が良い感じのウェーブヘアになったことから、どうやら「イメチェンして垢抜けた」かのような見た目になったようです。なので周囲の人は混乱せず、そこの点は納得いきました。
ですが中身は、かなりカグヤ寄りになったように思えてしまって…。
神宮寺に対する口の利き方が、周単体では考えられないほど砕けた感じになり、Hも積極的な場面が多く見えたし、その後の関係も、恋人同士になって打ち解けたからといって、威圧感のある上司にここまで気安い感じとは、カグヤの要素出すぎじゃね?と思ってしまいました。
基本的な主人公が周なので、「融合した」ことを印象づけるためのカグヤ要素だったのかもしれませんが、私が勝手に「周1人でもカグヤが持っていたような強さを発揮していけるようになったから、カグヤは消えた」という結末を期待してしまっていたが故に、個人的には逆に周の要素がほぼ消えた(見た目以外)みたいに感じてしまいました。う〜ん、でも私の期待が、ネガティブな二重人格設定をよそから持ってきて重ねてしまっただけにも思える…。周にとってカグヤはあくまで特異体質が生み出したもので、カグヤの存在自体がネガティブなものということではなく、消えるべきと決まっている訳でもないのに。というか単純に周みたいな初々しい人の方が私の好みってだけかもしれない…。
ただ読んでいる方がどんな結末を期待していたかにかかわらず、融合後の周の中身が全然周っぽくないなというのは皆さん感じられると思いますので、結構呆気にとられるのではないでしょうか。
私はその点にしょんぼりしてしまったので、途中までめちゃくちゃ楽しかったけど最後がう〜ん?ということで、評価は間を取って萌2にしておきます。
義理の兄弟モノで、みんなの人気者でモテる弟×喘息持ちのおとなしい兄です。
本当にすいません、私は攻の景輝(ケーキ)よりも受の雪宏(ユキ)よりも、当て馬?的な立ち位置の飯島先輩が気に入ってしまいました。飯島先輩はユキの高校時代の写真部の先輩です。そもそも文中の挿絵では、ケーキを差し置いて先に登場しており、その時点でこいつぁータダモンじゃねぇぜ…という雰囲気はバシバシ感じてましたが、なななんと挿絵に登場すること計3回!!メイン以外のキャラが3回も挿絵に登場したのを初めて見ました。すごすぎません!?しかもユキとのキスシーンの挿絵まであるし。
飯島先輩はユキの良き趣味仲間で良き師匠で、しかもユキのこと可愛がってて何なら手出しちゃえるよ?っていうスタンスでいながらも、本当にユキが悲しむことはしないからケーキとの仲を応援してくれるという、なんともこちらにとって都合の良い男。ユキが、ケーキにつきまとう呉川という女の子にひどく傷つけられた後、「兄弟じゃなくてただの男同士なら何も言われなかったのかな、自分はそもそも男が好きなんだろうか」と悩んでいることを知った飯島先輩は、「じゃあ俺と寝てみる?」と泥酔したユキに持ちかけ、ユキがそうですねと答えたので本当にお持ち帰りしてキスするのです。ここの、リトマス代わりになってあげる、的な飯島先輩のセリフ、ずるい〜〜!!!!なんかもう、意思が弱かったら流されちゃいそう。飯島先輩も、本当に食べちゃおうかなというつもりでいるのがわかるのです。ずるい男!!かっこいい。好き。一家に一台、ていうか私に一台、飯島先輩ください。
ここまで飯島先輩の話しかしておらず恐縮ですが、飯島先輩はストーリーの雰囲気を出すのに非常に重要な役割を担っております。ケーキはユキに対して異様なほど執着しているので、中盤までは、ユキと飯島先輩が、大学生になった今でも仲良くしていることにケーキが気付いたら、ユキを監禁陵辱するんじゃないかという、ものすごく不穏な空気が常にあったんです。私はBLには光を求めるタイプですが、本作に関しては途中まで「もういっそめちゃくちゃに崩れて監禁エンドになってくれ!!」と思ってしまうほど、ツンとつついたら一瞬ですべてが壊れてしまうような、それを期待させるような危うさがありました。その脆さ故に、ページをめくる手が止まりませんでした。
中盤でユキが腹を括って両思いになるので、あ、監禁エンドじゃなかった、と安心したようなちょっと残念だったような(笑)。
終盤には呉川の言葉に苦しみ、ケーキとの関係を見つめ直してしまうユキに、ケーキ以外見えていないのに何を悩む必要がある、と説いてくれる飯島先輩。私が助演男優賞あげます!!
だめだ、また飯島先輩の話になってしまった。最後まで一気に読んでしまうくらい先の展開が気になるストーリーで、面白かったです。何より飯島先輩が何をやっちゃってくれるか気になって…。
ベロチューまではかましてくれましたね。ありがとうございました。
ただ呉川の嫌がらせに対する決着は、スカッとはしない終わらせ方でしたね。ケーキの荷物を勝手に漁り、ケータイの中身を勝手に見て画像を自分のケータイに送るって、犯罪じゃないの…?感情的には殴って顔の骨折るくらいはしてほしかったですが、すごく穏当に終わってしまって、もやもや。いや、殴って骨折ったらケーキが犯罪者になっちゃうか…。
もはやケーキとユキがどんなキャラなのかほとんど説明しておりませんが、それくらい私を夢中にさせてくれた飯島先輩に、みなさんもめろめろになってみませんか。
モテない大学生×年下の幼馴染です。
受のタイガが可愛い!つくも号先生の作品によく出てくる見た目の男の子で、顔は普通っぽいのですが、内面のいじらしさで何割増しか可愛く見えます。
対する攻のリュウくんは、見た目だけで好きになった女の子にフラれて、俺の内面を評価してくれ!などと自分のことは棚に上げてぷりぷりするダメ男。でもタイガの話で、いつもタイガには優しい様子がうかがえて、ろくでもない男ってわけでもないんだと安心しました(笑)。徹夜で看病はキュンとするわ〜。
リュウくんとタイガは家が隣同士。いつもタイガがリュウくんの部屋の窓から入って遊びに来る仲です。
ある日、リュウくんがフラれて気が立っているところにタイガにちょっかいをかけられて、大人げなくやり返したらやりすぎてしまい、2人は気まずくなります。
タイガを泣かせてしまったことを後悔し、謝ろうと決意するリュウくんですが、運悪く先輩に飲みに付き合わされるはめに。しかしそこで先輩にタイガの話をしていると、その幼馴染ってお前のこと好きなんじゃんと指摘されます。
確かにタイガは後学のためと言ってリュウくんの好きなタイプを聞き出そうとするし、やたら構いに来るし、同性だからそこまで頭が回らなかっただけで、タイガの態度は結構わかりやすいかも。
先輩との飲みが終わってリュウくんが家路につくと、ロードに行くタイガと出くわします。酔った体でタイガを追いかけて吐いてしまうリュウくん(本当、だめな部分が多いな…)をタイガが連れて帰り、寝ているリュウくんにキスすると、実はリュウくんは起きていて…。
ここは先輩の話があったから、ちょっとタイガを試す感じでリュウくんは寝たふりをしていたのかなと思いました。
タイガの自分に対する恋心を知り、内面を見てくれる人がいたと、リュウくんも思いを返します。ここがちょっと、同性であるタイガを好きになるまでの流れが早すぎるかなとは思いましたが、短編ですし、よく見るとリュウくんが好きになるタイプはいつも黒髪でちょっとツンとした見た目の子ばかりで、タイガも当てはまりそうなので、潜在的にはタイガはアリだったんだろうなと思うことにしました。リュウくんからキスされて、泣いて喜ぶタイガが可愛すぎます。
エロはつくも号先生なのでがっつり。さっきまで女の子しか好きじゃなかったはずの人がいきなりフェラしてるのはびっくりですが(笑)、両思いになったばかりでテンションも異様な状態になっていたのでしょう。
挿入して即イッてしまったリュウくんのために、タイガが言った「リュウくんのこと大好きだから 何回でもしたい…」というセリフ、全攻めが言われたい憧れのセリフじゃないでしょうか(笑)。
その後もタイガは相変わらず窓から入ってきて、2人は仲良くしているようです。めでたしめでたし。
タイガの思いに気付けたのだから、フッてくれたえみるちゃんに感謝ですね(笑)。
虫歯先生の作品は本作以外はすべて読んでいて、良い人ばっかり出てきて先生の作品超ハッピー!って思ってたのですが、こんな引き出しもあったのかと舌を巻く作品です。もともと本作について、攻受を選べるという驚きの試みをしている作品だという知識はあったのですが、ちるちるさんの以下の記事で紹介されており、面白そうだなと思い、読むことにした次第です。
【エッッ同じ先生が描いてたの!?】同作家のギャグ作品とシリアス作品比べてみた
https://blnews.chil-chil.net/newsDetail/27812/
なので良い人ばっかり出してくれる通常運転の虫歯先生を期待すると痛い目を見ますが、本作を読むことでますます虫歯先生の他の作品にも愛着が湧きますね。いろんな選択肢がある中で、普段はハッピーな作品を自らの意志で選んで描いていらっしゃるのだなと。
なお、攻受を選べる≠同軸リバなので、同軸リバが苦手な方でも大丈夫です。
偽札づくりに本気で取り組む夜野と、人間コピー機・真倉は、狭い世界の中で強固な絆を結んでいきます。2人の間の熱は、偽札をつくっているという社会への後ろ暗さ故に、ますます「この愛だけは本物である」という物悲しさを生んでいます。
2人の印刷工場の仲間や社長である夜野のおじいちゃん、他の印刷工場の樹さんなど、出てくる人たちそれぞれに味があって、人間ドラマとしても優れた作品です。真倉の元先生の絶妙なクズ具合とか、ものすごくリアルです。
読んでいくと、攻受をどうしても決められなかったという虫歯先生のお気持ちがわかります。夜野みたいなキャンキャンしてる子は受かな〜と思っちゃうのですが、夜野の方が包容力って言葉は合うし、真倉の朴訥とした感じも可愛くて受に回したくなる(笑)。読んで絶対に左右はこれ!っていう確信がない方なら、両方載ってても気にならないんじゃないかと思いました。
物語の最後、あれは刑務所の中ということでしょうか。出所したら、今度こそは堂々と世に出せるものを印刷する人生を歩んでほしいです。
作中に出てくるお札の絵って、まさか地道に描くしかないのでしょうか。もしそうであれば、よく偽札なんか題材にしようと思ったなーと最早引くレベルの描き込みです(笑)。あとがきによるとアシスタントさんがいらっしゃったみたいなので、アシさんが描いたんでしょうか。そしてそこにあの村上キャンプ先生のお名前も載っております。
あとシンプルな絵柄ですが人物の描き分けがしっかりしているところも良いですね。組長がイケおじです。
表紙の黒子は「あれ?」とは思っていましたが、あとがきで真相が明かされ、すっきりしました。
同時収録の「君は総天然色」は、4ページだけのお話でしたが、いつもの虫歯先生の作風でした。
全体的に甘さは控えめですが、とても読み応えのある作品だと思います!