全体的にほっこり可愛いお話でした。
オメガバースではあるもののオメガバースという概念や知識がない世界での話なので、シリアスな展開を予想していましたが、そんなこともなく。
周りと関わることで生まれるトラブルより、ほとんど二人の間の心情の変化が描かれた作品です。
オメガバースという概念と知識がない世界だからなのか、攻・オズがαっぽくありません。
超美形で真面目で優しい、まではαっぽいですが、優柔不断でコミュ障みたいな部分もあり。
オメガバースの概念がある世界だったら、オズってどんな立ち位置のαなんだろう……それともそういう概念があったらちゃんと自分はαだと自覚してもう少し強気なんだろうか。
イラストがとても綺麗で可愛かったので、もう少し挿絵が多かったら嬉しかったなと思いました。
裏社会ものやシリアスな作品は苦手でほとんど読まないのですが、まず表紙の義一のかっこよさにやられ、帯の『最恐番犬が溺愛攻になるまで』という文句にものすごく惹かれ、とりあえず試し読みしました。
その結果、この関西弁の怖い、超イケメンなお兄さんが溺愛攻になるの……!?:(*°⬠°*):と、もうその先を読まずにはいられず即購入。
いやー……攻・義一がかっこ良過ぎてどうしよう!
( ง//́Д/̀/)ง⁼³₌₃(いや私がどうするもこうするもないけどね)
義一が出てくる度、かっこ良過ぎて見惚れる!の繰り返し。
ビジュが最強過ぎる。
しかも裏社会ものの攻にありがちな乱暴さや強引さは初対面の時に少しあっただけで、あとはむしろ受・ユイに優しいし筋が通った男。
ユイがまた、ナヨナヨしてなくて普通の勝ち気な男の子!って感じがすごく良かったです。
色気がないようで実はある。
ラスト、二人が再会出来た後のHシーンは、何かもう胸がいっぱい。
義一がどれだけユイを大切に思い愛しているか、その表情や行動にありありと滲み出ていて。
それでいてHの時だけちょっとユイに甘えるのが堪らん!
そしてユイがまたとんでもなく色っぽいし、なのに無邪気で可愛い。
そして何より、このシーンは義一の心情をメインに描かれていることが秀逸だなと。
正直、裏社会ものでこんなにあたたかく幸せな読後感を得られるとは思っていませんでした。
素敵な作品をありがとうございました。
出来れば義一とユイの里帰りも読んでみたいなぁ。
あとシンプルに絵がものすごく綺麗で上手いです。
絵を見るだけでも価値がある本ってくらい上手い。
これで初コミックスって……その画力もストーリーの技量もすご過ぎる。
読後翌日になってもあたたかい余韻が残り、何度も読み返したくなり、朝イチで紙の単行本も注文しました。
とても可愛らしいお話でした。
御伽噺のような雰囲気もありつつ、しっかりとBLでした。
受・マルがとても素直で可愛らしく、読み始めて2ページ目で「あ、この子好きだな」と好感を持ってしまうほど良い子でした。
そして攻・ルーカスが本当に素敵。
容姿端麗で王弟で騎士団長という点もさることながら、何よりその内面。
明るく優しく面倒見が良く、挿絵からイメージする印象とは良い意味でギャップがありました。
こんなキラキラした王子様っぽいイケメンが、あんなざっくばらんに優しく接してくれるの!?みたいな。
人を勇気づけ、安心させ、まさしく太陽みたいな人。
帯にも書かれているフレーズ。
「いつも笑顔でいろ。幸せでいろ」
作中でルーカスがマルに言った台詞ですが、すごい台詞ですよね……。
心をガッ!と掴まれる。
こんなに優しく愛に溢れた「〜でいろ」という台詞があるだろうか。
そしてこの台詞をシンプルに帯に書いた出版社さんもすごい。
挿絵もとても綺麗で可愛く、特にルーカスがかっこ良過ぎて眼福でした。
上下巻まとめてレビューを書かせてもらいます。
設定やストーリー展開はとても凝っており、脇キャラに至るまで個性的で魅力的でした。
アシェルが自身の努力によって周りの人達と関係修復していき、愛されるようになる様は、読んでいてあたたかい気持ちに。
とても面白く上下巻一気読みしてしまったのですが、神評価にしなかったのは、攻・セオドアの魅力がいまいち描ききれていなかったのではと(本当に偉そうですみません)。
恐らくとても魅力的な男性であるはずなのに、セオドアの人となりがあまり描かれていないので、その魅力がいまいち伝わってきませんでした。
真面目、強い、英雄、獣人との混血、孤児院育ちなどはわかりますが、現在のセオドアが普段何をしているのか、周りとどんな風に接しているのかいまいち掴めず。
そこをもっと掘り下げて書かれていたら、また違っていただろうなと。
個人的に受・アシェルの一番上の兄・サミュエルがとても好き。笑
いや多分すごく面倒くさい人なんでしょうけど。
でも弟達を思う気持ちの強さは本当ですし。
ただ、神官・リーリアルフ×二番目の兄・ヒューゴの組み合わせより(そもそもヒューゴにその気が全くないので、攻受の組み合わせでいいのかわかりませんが)、サミュエル×ヒューゴのガチ異母兄弟組み合わせの方が萌えるかな……なんて思ってしまう私は根っからの腐女子……。
でもあのサミュエルが恋愛という意味での愛情と執着を誰かに見せる様子を見てみたいなと。
とにかく脇キャラ達も魅力的だったので、スピンオフなども読んでみたいなと思う作品でした。
題名とあらすじ、そして序盤を読んだ段階では、ここまで胸が苦しくなるような深いシーンが多々ある作品だとは予想していませんでした。
申し訳ない……。
BLによくある「年下イケメン×くたびれたおじさん」だと思ったら大間違いで、ストーリーも、攻と受が互いに向ける愛情も、とても深いです。
攻・ウィリアムは金髪碧眼の美青年で、公爵家の長男で国王の甥で、見習い騎士の中でもずば抜けて強く、一見非の打ち所がない完璧な男です。
しかしその内面は、ウィリアム自身も自覚しているとおり、女性に好まれる性格ではありません。
唯我独尊、傲岸不遜な変人。
ウィリアムを愛する実の両親からですら、そう評される男。
自分がやりたいように好きなように生きる。
そのためには権力も金も惜しみなく利用する。
心から愛情を向け慈しむ対象は、リシャールだけ。
受・リシャールがこれまた……。
序盤を読んだ段階では、単に自己評価が低い人かと思っていました。
ところが実は、あのウィリアムすら翻弄してしまう、とんでもない人物……。
常に死と隣り合わせの戦場の最前線で15年間戦い続け、その影響で生死の捉え方も価値観も思考回路もぶっ飛んでいる。
危うい。
とにかく危うい。
ちゃんと力いっぱい捕まえておかないと、すぐにその命をあっさりと捨ててしまいそうな。
意図的にではなくとも、結果的に命を落とすことになりそうな展開に無防備にフラフラと歩いて行くような。
そんな危うさを常に持っていて、ウィリアムの心痛が心配になるレベルです。
まさか王女から侮辱されて、その場で瞬時に自死しようとするとは。
同情を引くとか、謝ってほしいとか、そんな考えなど微塵もなく、単にシンプルに自分の命を終わらせようとしただけ。
ウィリアムが止めていなければ即死だった。
あのシーンで、リシャールの危うさが目の前にドン!と示された気がしました。
騎士団長のザイル視点や、ウィリアムの両親視点の場面があり、それを読むとひしひしと、ウィリアムとリシャールはお互いが相手でなければならない運命の相手なのだなと思いました。
他人に興味を示さずただ自分がやりたいようにやってきたウィリアムが、唯一興味を示し愛する相手がリシャール。
危ういリシャールを、権力と金を惜しみなく使って守り、更にその若さと強気な性格で全力でリシャールを囲い込むウィリアム。
リシャールと出会えなかったら、ウィリアムは一生人を愛することなんてなかったかもしれない。
ウィリアムと出会えなかったら、リシャールはどこかでフラッと命を捨てたかもしれない。
二人だから、愛を知って生きている。
リシャールがどれだけ過酷な経験をしてきたか、それによって恐らくどこかのネジが飛んでしまっていることにも、胸が痛くなったりしましたが。
ウィリアムなら、リシャールがいつか迎える死が老衰以外のものにならないよう、全力で愛し守っていくと信じられるので、途中途中切なくなりながらも安心しました。
あと、表紙のイラストがとても綺麗でかっこよくて良かったです!(実は年下攻もおじさん受もあまり好きではないので、表紙のイラストが違ってたらこの作品を読んでいなかったかも)
原作小説読了しております。
あの世界観を視覚的に読むことが出来るのか!と感激して読んでみましたが、正直原作とは別物です。
原作の挿絵を描かれた方が漫画も描いたそうですが……原作の挿絵としてはとても素晴らしくこれ以上合う挿絵作家さんもいないだろうと思いましたが、漫画となると話は別。
確かに絵は合います。
しかしテンポが独特で、原作からかなり、めちゃくちゃ端折られてます。
足弱がご馳走を受けつけず自分で食べ物を探すシーンもほんの数コマで描かれているので、足弱がいかに文明に戸惑い困っているか、全く伝わってきません。
髪を切られ服を着替えさせられるシーンも数コマ。
原作ではほぼ野人でとても扱いづらい人物である足弱が、漫画だとちょっとおとなしいだけの男性。
その扱いづらさを描かないと、全く別の人物にしか見えません。
ぶっちゃけ、漫画しか読んでいないという読者さんには原作を読んでほしいです。
漫画はあくまで「原作を読んだ人が内容をおさらいするのにいいかも」みたいな感じでした。
原作の素晴らしさは伝わらない……。
想像していたより、ちやほやシーンが少ないかなと感じました。
いやたくさんあるっちゃあるんですけど、あらすじに入れるくらい多いかと言われると微妙。
攻・フィンがちやほやしてくれることを、受・ノアが自分で語るシーンがあるんですけど、そこはノアの説明ではなく実際にちやほやしているシーンをたくさん描いて読者に伝えてほしい。
ノアの口調や思考が微妙に幼いのがちょっと苦手でしたが(いい子なんだけどね)、フィンは魅力的な攻でした。
紳士なのに内面は超執着。
初夜のシーンが、ノアが待つ場面、フィンが部屋に向かう場面から描かれていて、読んでいるこっちもドキドキして素敵な描き方だなと思いました。
うーん……主人公・リンの置かれた境遇があまりにも過酷なため、読んでいてしんどいシーンが多かったです。
ロイに買われてからは、ロイからもロイの部下からも使用人からも溺愛され過保護に世話を焼かれまくっていますが、そんな甘い話じゃない。
リンが異世界で奴隷となってからの六年間、虐げられ人間としての尊厳も奪われて生きてきたので、ものすごく重いトラウマを抱えているし、ちょっとやそっとじゃそれが癒せないのもわかる。
前の主人なんか本当のクズですし。
ただ、ロイの家では奴隷を管理するための首輪こそ着けたままではあるものの、待遇は奴隷ではない。
むしろ丁重に丁重に過保護に生かされている。
しかしリンの心は頑なに凍ったままなので、ずっと考え方がちょっと卑屈……いや、あそこまで虐げられてきたならそれが当たり前なんだろうし、卑屈なんて失礼だと思うのですが……。
でもどれだけ親切にされてもリンはずっとちょっと生意気というか捻くれた物言いを心の中でしていて、それが何かうーん……親切にしているロイ達が不憫になるというか。
終盤でロイと想いを通わせてからはだいぶマシになりますが、根本的に心情がちょっと生意気というか何というか。
逆らう気はないけど根っこが素直じゃない感じ……?説明が難しい。
いやリンの境遇を思えばね、仕方ないんですよ。
重々わかってますが、リンが心を開くまでがあまりに長過ぎて読んでいてしんどい。
ロイがすぐに首輪を外さなかったのだって、逃亡防止と自死防止のためですし。
リンが自死する可能性があると、ロイは見抜いていたから。
夢遊病で夜な夜なや屋敷の中を歩き回り、途中でパニックになって苦しむリン。
ロイは毎晩その後を尾行して見守り、リンが苦しみ始めたらそっと声をかけたり、どうにもならない時は魔法で眠らせたりしてくれてた訳ですよ。
そんな主人、普通いないよ……。
例えば旦那さんとか恋人とか、そういう関係であったとしても、毎晩そんなことをしてくれる人ってどのくらいいるんだろう。
面倒だからと部屋に鍵をかけたりもせず、見守る役目を他者に任せることもなく、毎晩付き合ってくれてたんですよ。
そんなロイの愛情に向き合わず、死のうとするとは……。
リンにも同情して心が痛くなる場面が多々ありましたが、ロイも不憫過ぎる。
あと無理だったのが、リンとの性行為を部下に手伝わせるシーン。
攻と受がお互い以外の第三者とやらしいことをする描写がすごく苦手なので、このシーンもちょっと無理でした。
あのシーン要る……?
強引ではあるものの、真摯にリンに向き合おうとするロイは割と好きなキャラクターでしたが、とにもかくにも読んでいてしんどかったです。