タイトルとカバー(とレーベル)から何かすごく濃厚な感じが醸し出されていますが、お話はすごくハートフルな純粋ラブストーリーなのでした。
悪ぶっている人間の神父(天使に使われている)と、それに捕らわれた悪魔。
神父なのに暗い過去を持ち、やたら腕っぷしが強くてオラオラ系というギャップがまずよいです。
一方の悪魔ですが、信じられないくらいのピュア。こちらのギャップもなかなか。
悪魔のお腹を満たすためという設定ですが、体の関係を続けるうちに、お互いの本質が見えてきて、すごく純粋な愛という絆で結ばれていく2人の物語でした。
Hを求める方にも、ラブラブなストーリーを神父x悪魔の設定で読みたい方にもおすすめの作品。
他に、魔界第二王子のベート様とその主治医のお話、恋獄の太陽編も収録されています。
こちらはつよつよ王子が謀計によって不治の病になってしまったところ、見た目はかわいいが凄腕医者(あっちも凄い)によって治癒を見、魔界の治世とラブともにハッピーエンドというお話でした。
この画力とハートウォーミングなストーリー、しかもダクダクのHでお得な単行本です。
オメガポルノシリーズの第2巻。
ふと思いましたが、オメガバースではありますが、ポルノという言葉から想像されるようなエロティックな内容ではなく、どれも割とキュンとする恋のお話です。
第2巻は、オメガの千昭とアルファの虎のカップル。
高校の同級生で、発情期に体から始まった関係ですが、4年も続いているのはなぜ?
千昭は虎のことが好きなのですが、虎には常に彼女がいて、千昭とはただの体の関係だと思っています。
千昭が言葉に出来ない思いをかかえる切ないストーリーですが、千昭のことを大事に思う第三者があらわれて、やっと自覚しはじめる鈍感攻めという設定でした。
こんな鈍感彼氏は嫌だ(鉄拳風)、っていうお話なんですが、最後には自分の執着に気づき、自分のものだと主張するかわいらしい虎なのでした。
宙出版後期の作品。最近公式本などが出ていますが、最後の単行本が出てからかれこれもう10年になるんですね。
初期の、不良ややくざなどの悪い人達やクズの内に宿る真の部分をえぐるようなセンスはそのままに、ハッピーやおバカなキャラも出だして色々なカップルが登場しています。
その中で共通しているのが、お互い好きだけど強がって素直になれず、ふざけたふりで体を重ねるというパターン。
初期の痛く切ない感じより、二人の恋の関係に焦点が移っている感じです。
最後の描き下ろし「穴」が秀逸。
ラストまで恋の予感を漂わせて盛り上げていったところで、あのラスト、というのが返って強く印象に残ります。さすが。
アイドルとしてキラキラした塁と、ジャーナリストの嶺人。
取材で何度となく一緒に仕事をする仲だが、なぜだがいつも塁は嶺人に絡んできて。。
イケメン、優しい、王子イメージの塁ですが、実はあけすけでざっくばらんな性格。
服装も全然気にしない。
そんな素のままの塁の姿と、キラキラまぶしいアイドルの姿。どっちも本当の塁なんだよね、って嶺人が肯定したところから、二人の関係はスタートしたのかもしれません。
なかなか本音を見せない、あるいは見せることができない嶺人と、そこを勢いでこじあけていく塁の対照的なカップルです。
ちょっと塁の性格がとびすぎかな、という気もしますが、嫌な人が出てこないハッピーなBLです。
ヤマとシマの続編です。
おっぱぶでボーイとして働くシマですが、中身は純情でかわいい。
同級生だったヤマは人付き合いがうまく誰とでもうまくやれるタイプ。
割と正反対の二人ですが、ヤマが気軽にシマを誘ったことから交友が続いていました。
そんな二人が、シマの仕事をきっかけに、友達から恋人に関係を変えていきます。
2巻では、恋人なのかそうなのかはっきりしないけどなんとなく一緒にいる、という一番おいしい時期のあまずっぱい恋が描かれています。
相変わらず個性的な職場仲間もところどころに登場。
当て馬くんも登場しつつ、基本的にはラブラブな二人の恋が固まるまでのプロセスを、イクヤス先生ならではの(超)Hなテイストでお楽しみ下さい。
タイトル通りですが、イケメンながら気難しく自分の信念をつらぬくデザイナーと、失業しているところをデザイナーに拾われた元リーマンの話。
再就職の面接に向かう途中、これを届けてくれ、と事切れた(いやいや、倒れただけ)見ず知らずの人からの頼まれごとを優先した桐島。
その届け先が、著名デザイナー住之江だったのですが、桐島の事情を知った住之江が自分のところで雇うことになります。
鶴の恩返し?
絵が独特で私はこういう個性的な絵が好きなのですが、人によってはイケメンの定義が違う、ということになるかも。
とにかく桐島の料理の腕がすごすぎて、生活では何も出来ない住之江のハートをぐっとつかみます。
前の職場でハラスメントを受けていた桐島ですが、晴れて恋人となった住之江が過去のトラウマも払拭してくれて、めでたしめでたしなお話でした。
なんと初の単行本だそうです。これがデビュー作なんですね。
勢いがとてもあるのですが、やはり最初からお話が描ける作家さんというのは違うなぁと再読して思いました。
さて、若干つながっているお話もありますが、基本的には短編集です。
自分をカラオケで襲った(ほぼレイプ)とんでもないヤクザのクズ男がなぜか忘れられない漫画家の菊ちゃん。この二人がメインカップルです。
以下、短編のまとめ。
ESCAPE
とんでもなく素行の悪い同級生との逃避行。最低の奴だが自分のことだけは大切にしてくれた。
ソウルフルチェリーボム
コインランドリーで出会った軽そうな青年。なぜか自分にアプローチしてくるのだが、実は因縁があって。。
つきあっている塾講師より自分をずっと大切にしてくれる青年は、しかし中学生!?
何処へも帰らない
家にいれてもらえず所在なげに玄関に座り込んでいた隣人、ヒロ。自宅で過ごさせてあげようと家にあげたら、Hなことをされて。。
怖いヒロの同居人、カツローに因縁をつけられるも、ヒロと一緒に生きようと決めた主人公はお金を支払って上京しようとするが。。
ハートフルなお話。
明日どーやって笑えっちゅうの
強面編集と漫画家のお話。無表情な編集だが、なぜか漫画のネタのためならHなこともしてくれるという。しかし二人には因縁があり、編集の鮫島は彼の前から去ってしまう。明るい未来はあるのか?
昔の名前で出てんじゃねェよ。
漫画家菊池と二階堂あらためクズのお話。襲われてしまった菊ちゃんですが、なぜか彼のことが忘れられない。分かれたりまた出会ったりを繰り返して、やっとこのカップルは明るい未来をつかむ。
どれも一筋縄ではいかない愛のお話で読み応えあります。短編集なのに濃いというか。
今はもう購入できない模様。
お気に入りのEDGEコミックスなので全買いしている関係でこちらも購入していました。春泥さんは「がんばれ!中村くん!!」が好きだったので安心していましたが、こちらは打って変わって猟奇的なお話でした。
BLではないですが、嫌がってる君が好き、にテイストは近いかもしれません。
美しい少年、山田くんがなんとなく気になる主人公。クラスで浮いている自分になぜか親切にしてくれる。しかし彼には秘密があって。。
刺されても死なない少年山田。男色であったホラー作家の生まれ変わりか、関係して殺した少年たちから殺されるために現代に転生しているという設定でした。
特に救いなく終わってしまいますが、彼なりのつぐないだったのか、あるいは最後に出会った少年に心を変えられたのか、読者に答えを委ねるようなラストでした。
それほど残酷なシーンはないので、ホラー苦手な方でもたぶん大丈夫だと思いますが、甘いほのぼのBLでは全然ないのでご注意下さい。
魔術師であるシルヴァンと、彼が営む店で働くティムのお話。
ひょっとすると1話読み切りだったかも?という滑り出しですが、その後お店のお客さんが抱える恋の悩みのお話や、メインカップルの甘々ストーリーで1冊の単行本になっています。
池さんですので絵は綺麗、一方レーベル的に嫌な人物が出てこない甘ーいお話になっています。
シルヴァンは魔力をまきちらさないためになるべく肌を見せない、という設定。
その下で働くティムは、元は隣国の奴隷。命からがら逃げてきたところをシルヴァンに救われ今に至ります。
美麗で優しいシルヴァンを慕うティム。そして、純粋無垢なティムを愛するシルヴァン。
1話目はティム目線のお話ですが、それ以降は次第にシルヴァンの心情が描かれ、二人が想い合う課程がごく自然に思えるようなお話でした。
疲れたときに、ぜひ。