文人は自分の性癖を誰にも言えずにいたけれど、新開と高校一年に出会い系サイトで知り合い、趣味を通じて仲良くなり、自分の悩みを打ち明けていました。このときはまだお互いの顔も名前も一切知りませんでしたが、文人の高校の卒業を機に二人の関係が大きく変わり始めます。
高校卒業から大学入学までは二人の間で、大学入学から卒業までは文人の友人や家族もからんできて、二人の関係はどんどん複雑になっていきます。出会いと別れを繰り返す中で文人の繊細な心情がこまかく表現されていて、恋ってこういうものだよなぁとしみじみ思いました。
それでも諦めきれないってことはやっぱりそういことなのでしょうね。
最後にやっと二人で見たかった星を観ることができた、七夕の織姫と彦星みたいにも読めるのですが、この二人にとっては七年越しの逢瀬だったのでしょう。
二人のやりとりが毎回じれったくて早くくっついちゃえよ!と思う一方、そう簡単ではない事情もありきでとにかく切ない。最後には結局予想通りになったのですが、経過した年月とすれ違いの回数を思い返すと涙なしには読めませんでした。読み終わった後ほっと一息つけるような、そんな作品でした。
ただし、文人の友人たちに関してだけずっとなにかひっかかるものを感じてしまったので少し残念でした。
これからの二人とその周りの人たちの行く末が幸せなものになってほしいです。