タイトルとあらすじからわかるように、濡れ場が寄せては返す波のように激しく襲いかかります。少々激しめでもエロ好きだよ!って方には大満足の作品だと思います。
様々なエッチシーンが書かれているので、こんなに色んな種類のエッチを書けるなんてすごいな…!と思いました。
かわい恋先生の文章の不思議となところは、完全に嫌な奴として登場するキャラがいるのですが、最後まで読むとどうしてかこの子達にも幸せになって欲しいよ~と思わせるところです。根っから悪い子じゃないのよ、その歪んだ愛情表現を正しく伝えられればすごい一途な子になるんだよ…!と思ってしまうのです。
主役のふたりはタイトル通りで安心して読んでいました。受けが精神的に痛めつけられる作品はどうしても苦手ですが、この作品はエロは盛り盛りですがそこまで痛くないので安心です(個人差はあると思いますが…)。
そして散々濡れ場が…エロが…と書いてきましたが、私はそちらよりも潤也のような状況に置かれた人間が考え方ひとつで地獄にも思えるしそれほど悪くもないと思えるということに気づかせてくれるラストに、ただエロに特化しただけの作品ではないと、大袈裟に表現すれば感動しました。自分が辛いときって客観的に自分の状況を見ることなんて出来ないけど、こういう人がまわりにいてくれたらいいなと思う素敵な脇キャラがおりました。自分の人生をどんな風に生きるのか決めるのは自分自身なんだと改めて実感できます。
そして脇キャラにスポットをあてたスピンオフに期待してしまいます。カイ・ヤンとキリルは脇役には惜しいキャラです。彼らの物語が読みたい!
こんな感想ですが最後にぜひとも言いたいのが攻めの受けへの執着具合に激しく萌えました。攻め様の独占欲丸出しなのとか嫉妬してるところとか、萌えますよね…!
初読みの作家さんです。
表紙デザインのなんとも言えない古臭さに加え、可愛らしいイラストがあまり得意でないこと、あらすじを読む限りあらすじ以上の展開が期待できないと思ったのですが、『全寮制男子校』の設定がとにかく好きなので、試しに読んでみようくらいの気持ちでした。
萌えとか胸がきゅーーんとしたとか、はぁ~かっこいいわ~///とか、そういうのは全くないのに、読後の感想は「意外と楽しかった!」で自分でもびっくりです。
たぶん、この作品を気に入るか気に入らないかは、攻めと受けのキャラクターをどうに受け止めるか、が全てな気がします。
私は外見的に背が低くて華奢で色白でサラサラのお肌で、中身は弱々しく女の子のような設定の受けがとにかく嫌いなので、この作品の受け(青葉くん)はけっこう好きな性格してました。攻めの尊くんは…可でも不可でもなく、しかしどちらかと言えば不可のような(どっちや)。これといって魅力をいっさい感じなかったんですけど、こういう攻めが好きな人ももちろんどこかにいるのだろうな、という感じ。
イラスト苦手だ~と思っていたけれど本文のイラストは想像していたよりしっかり「男の子」で、それも良かった。
受けがちゃんと男の子らしかったのが嬉しい。男前な受けの子が好き。
青葉くんの性格が私の好みだった。それに尽きます。
情熱シリーズは今作も期待以上の作品でした。
遥×佳人も、東原×貴史も、少しずつ関係性が変化していて、彼らの時間がきちんと流れていることを感じます。
甘く愛されるだけの関係ではなく、それぞれが自分自身を強く持っていて、現状に満足することなく前を向いて進んでいきながら、恋人たちの絆が深まっていく様子や、相手を思いやる姿や信頼しているからこその距離感と、好きだからこその不安や葛藤が丁寧に描かれていて、次回作が今から楽しみです。
読んだ方は皆さんこの台詞にグッときただろうな、という遥さんと佳人の場面や、彼らの日常の中にある甘やかな遣り取りが心をほっこりさせてくれます。
そして今作では東原の過去がほんの少し書かれています。辰雄さんかわいいです。
とても気になる東原の過去なので、彼の生い立ちがいつか読めるといいなと期待。
さらに遥×佳人サイド、東原×貴史サイド、それぞれに新キャラが登場しています。
彼らが今後、このシリーズの中でどんな役回りになるのか非常に楽しみです。
東原×貴史サイドで登場する新キャラさんが大変魅力的なので、私としては彼が山岡社長の恋人になったらいいな…と妄想を膨らませています…