私はインタビューなど、特集モノがある時だけ雑誌を買うタイプなのですが、このお話はそうして飛び飛びで読んでいたにも拘らず毎回面白くて、コミックスで通して読むのを楽しみにしていました。
まず初めに、表紙と中身にはいい意味でギャップがあります。優しい色合いのカラフルなカバーデザイン、好きですが、漫画の方が絵もスタイリッシュでとっつきやすく、キャラクターみんなの表情が可愛い。表紙で敬遠している方がいたらぜひ漫画を読んで…!と叫びたいです。
さて、肝心の中身を…。
攻めは、新鮮な野菜を使った創作メニューが売りのカフェ店長・由井。ひどい猫アレルギーなのに動物に好かれる体質。
受けは、そんな由井が惚れ込んだ変わり種野菜の作り手・セツ君。
丸々一冊この2人のお話です。
由井は、自分の料理を食べては「育てた野菜をこんなに美味しくしてくれるなんて」と幸せのあまり泣いてしまう、純なセツが大好き。どうにかこうにかアピールは続けているものの、肝心なところでヘタレなため、「男の人は好きですか?」なんて当たって砕けられるわけがない。
しかし一方のセツも、由井ために自宅の畑で珍しい野菜の研究をしていたりと、実は互いを大切に思っていたことが分かります。この場面で、“由井に喜んでほしかったから”と言うセツに「ほんとにそれだけ?」「それだけじゃないでしょ?」と迫る由井が最高にシビレました。結局いいところでセツ宅の猫にジャマされてしまう残念由井さんでしたが(笑)
と、ここまでが掴みの第1話。
はじめは展開が早く、2人が恋に落ちる過程が分かりづらいなと思いましたが、後々のストーリーや過去編でどんどんと外堀が埋まっていくので、読後の物足りなさや不明瞭感はありません。
一見わかりづらい恋心にも思えますが、親から継いだ畑を盛り返そうと懸命に努力を重ねたセツ、お客さんのために料理を作り続ける由井。2人の間には、野菜と真剣に向き合っている彼らにしかわからない、彼らだから惹かれ合うものがあるんだなぁと感じました。
エロはちょっと少なめ?最後の描き下ろしでは、9割ヘタレの由井店長がエッチの時に出す“残りの1割”の顔が見れます。「ほんとにそれだけ?」にヤラれた私としては大変美味しい逆壁ドン、ありがとうございました。
カフェの店員で由井店長のモブ友(笑)・三木くんの存在感もいい。何度も笑わせてもらいました。この調子で由井のお尻を(お店的にも恋愛的にも)叩いていてほしいですね。また本の紹介にもあるレシピは、真似するのは難しそうですがどれも美味しそう!
そして余談かもしれませんが…私は普段受け視点が好きなのですが(これ視点が攻めじゃなかったらならもっと好きなのに!と思うくらいには受け視点が好きです笑)、このお話は過去編を覗いてずっと攻めの由井視点だったのが、ストーリーとしてとても良かったです。同じお話でも、逆だったら好みじゃなかったかも知れません。そういう意味でも印象に残る作品でした。
レビューや評価が付いていなかったので、もっと読んでほしい!という思いから長々と書いてしまいました…
ヘタレ時々男前攻め×純粋内気健気受けが好きな方、疲れた時に心を温めたい方、少しでも気になったらぜひー!
すでにたくさんの投稿がある作品ですが、初レビューはこの本と決めていました。
望まない異動で、仕事はできるけれど性格の悪いカメラマン・蕪木とペアを組むことになってしまった雑誌記者・尾上。同期入社で、以前から(一方的に)ライバル視していた蕪木の鼻を明かしてやろうと、慣れないゴシップの取材に奮闘…するものの、仕事は空回り、蕪木には呆れられ、散々な毎日。
このいかにも性格不一致な2人が、共に仕事をしていく中で、喧嘩してぶつかって、恋愛以前にライバルとして認め合っていく…本当にイイ「男の子の関係」だなぁと思います。
一見クールな蕪木が純粋ストレートな尾上にあてられたり、向こう見ずな尾上は尾上で、冷静な蕪木が実は複雑な感情を抱えていることを知り、たまらずハグして慰めてしまったり。
(そしてそんな蕪木が、尾上に対する気持ちを自覚した途端「がっつきモード」に切り替わる瞬間がたまらなく好きです。)
尾上はとても騒々しく、何にでも冷めている蕪木じゃなくても「もう少し落ち着けよ(笑)」と言いたくなります。
けれどそこに不思議と「男っぽさ」を感じました。プライドが高くて、単純で、負けず嫌いで、猪突猛進でとにかくうるさい。尾上みたいな女の子はいないと思います(笑)
寡黙でダンディだから「男らしい」「BLらしい」と言われるキャラはたくさんいますが、こういった描き方で上手に「男」を表現する作家さんはなかなかいらっしゃらないのでは。
尾上のようなキャラクターが苦手、イライラするという方にも(私がそうだったので笑)ぜひ一度読んでもらいたいです!イサク先生の他作品が気に入ればほぼ例外なく萌えられる要素があるかと。
雑誌で続編の連載も始まりましたね。またこの2人のケンカップルぶりを拝めるなんて幸せすぎます。もう数えきれないほど読み返していますが、この先何度でも読んでいくだろう作品です。