尾上さんとの出会いでもあった天球儀の海がまるっと資紀視点で描かれています。
天球儀を読んでる時「多分資紀もこういう思いだったんだろうけど、でも実際どうなの~~~!?」と思う箇所がいくつもあありましたが、
これを読めばそのもやもやもすぱっと解決。
ほとんど天球儀の海と同じ時系列で描かれているので、天球儀の海を並べて一緒に読むと「あーー二人は互いに勘違いをしてるなあ」とか、「資紀そんな覚悟でいたのね…」などなど、いろんな発見があり素敵でした。
特に正月であった軍内部での出来事と、ガラス玉を叩き割るシーンを資紀視点で読むと彼の胸中に涙腺を刺激されてたまりませんでした。
希の無邪気な思慕に優しく応えたいと願うのに、裏腹の行動をしないといけない資紀の決意は本当に、ただ希のためだけに行っていたこと。
その切実な思いと行動が行き着く先のあの事件も、資紀視点でみると違う色合いに溢れて胸がぎゅっと掴まれてたまりませんでした。
装丁も夜闇にかざすと浮かびあがる星座に、二人の眺めていた景色が呼び起こされますし、私は表紙をめくったその先にあるカラー絵も二人の世界に無くてはならないもので、一冊まるごと本当に丁寧に作られてるな、と感じました。
天球儀の海を読んで、資紀のことをもう少し知りたいと感じた方には絶対におすすめしたい一冊です。