雨の日に子猫を拾ったところカフェの店員に声をかけられ、寄り道したカフェで高校の頃好きだった相手と偶然再会します。ぐいぐい距離を詰めてくる攻めに受けが高校の頃、攻めのことが好きだったことを告白し、「もうお前のこと好きになりたくないから放っておいて」と拒絶しますが、攻めは自分も受けのことを好きだったと告白します。そこから恋人としての関係を新たにスタートさせるお話でした。
攻めは最初こそ強引でしたが、自分より他人の気持ちを優先させてしまう優しい性格なので、いきなり性的な関係にはならずにゆっくりと距離が縮まっていきます。
1巻はキス止まりで、エチは2巻以降に持ち越しのようです。
攻めも受けもすごく好きなキャラでストーリーも、両思いだからとすぐにはうまくいかないところがよかったですが、受けの職場の同僚♀が受けが同僚の女性社員をフッたことについて理由を問い質してきて、たまたま攻めと受けが水族館デートしているところを見かけていたことから、男が好きなんじゃないかと詮索してきたのは、デリカシーがなさすぎて不快に思いました。
お付き合いを始めた二人が沖縄に旅行に行く話でした。攻めの親がバケーションクラブの会員権を持っていて、実家がお金持ちであることが発覚。
旅行先で受けの中学のときの先輩と偶然出会い、攻めがわかりやすく嫉妬します。
美形で一途な受けが可愛いのはよくわかりますが、そういう子は過去に出会った中にもいただろうし、一、二巻を通じて、なぜヤリチンの攻めが受けにだけ溺愛モードになっているかがまだ見えてこないので、「嫉妬する攻め、可愛い♡」という感じにはなりませんでした。
ただ、攻めと親との関係はあまりよくないのかなという印象で、攻めがヤリチンになった理由もこれから明らかになってきそうなので、そこに期待したいと思います。
他人のエロい顔を妄想するのが好きな男子高校生の南谷くんが主人公。何故かバイト先の先輩である北山くんだけエロい顔を妄想できず、いつも顔をガン見していました。同じバンドを好きなことが判明し、グッズを見せてもらうために北山くんの家に行き、あまりにも南谷くんが顔をガン見してくるものだから、北山くんが「俺のこと好きなの?」と訊ねますが、前半を聞いていなかった南谷くんがバンドのことだと勘違いし、好きと返事をしたことから北山くんが実は南谷くんのことを好きだったことを打ち明け、勘違いだったことはすぐに判明しますが、北山くんのエロい顔を見たいという下心から付き合う流れになります。
北山くんが、そういうことはちゃんと段階を踏んでから、という真面目な性格なので、すぐにエッチな流れにはならず、健全なデートをする中で、北山くんのエロい顔だけ妄想できなかったのは、北山くんのことが好きだったからだと気づくことができました。高校生の間はキス止まりで、卒業式の日に初めてベッドイン、という流れでした。
コメディ寄りなので切なさは皆無でしたが、本人も家族も同性が好きなことを自然に受け入れられている感じで、軽い気持ちでサラッと一気読みできました。
高校生の頃、他のクラスに好きな人(攻め)がいて、休み時間に廊下で話しているその人を見るためにいつも廊下に出ていたら、卒業式の後、その人から「お前って俺のこと好きなの?」と訊かれて、正直に「好きです」と答えたことで一週間後に会うことになり、その日のうちに体の関係になります。受けは一度だけだと思っていたようですが、帰り際に「また会いたい」と言われてお付き合いする流れになりました。
高校卒業後、攻めは就職して受けは大学生となったため、攻めが仕事で忙しく、会っても毎回ホテルに行くだけというセフレのような関係になります。受けが不安になる中、攻めの携帯に「今日はありがとう。次も楽しみにしている」というメッセが入って来て、デートする相手がいるのだと思い、受けは別れ話を切り出されることを覚悟します。
攻めが忙しくしていたのは受けの家の近くに引っ越すためで、携帯のメッセも、職場の同僚と食事をした際に恋人のノロケ話をしていたため、「また話を聞かせて」という意味のものでした。
告白から始まる話で、それまでは話したこともない二人だったので、お互いに容姿以外でどこに惚れ込んだのかはわかりませんでした。初デートで最後までした後は、お互いのことを思い合っていることが伝わってきます。
多忙によるすれ違いや携帯のメッセージで浮気を疑ったりはよくある話ですが、一途で健気な受けに感情移入して十分に切なさを感じられました。
男子高校生の性的な興味からはじまる恋愛。
攻めの方は彼女がいたけど、受けのオナニーを目撃してしまい、彼女とのエッチで失敗してフラれてしまう。それ以来、受けのことを可愛いと思い始めて、性的な欲求に引き摺られる形で手コキから徐々に行為がエスカレートしていきます。攻めの方が積極的ですが、受けも気持ちいいことは嫌いじゃないし、イケメンの攻めに求められるのは満更でもないようでした。
キスまでするようになり、受けの方は攻めの自分への気持ちが気になるようになります。エロ目的で好きとかそういんじゃないならもうしない、ちゃんとつき合うっていうんならやってもいい、と言いますが、攻めは「おまえ男じゃん」と返します。
受けはフラれたと思いますが、攻めはフッたつもりはなかったようです。翌日、「エロいこといっぱいしたい。桜井のこと好きだから」と返事をし、その流れで学校で最後までしちゃいました。
高校生くらいで自分の恋愛対象が男か女かあまり深く考えずに性的な欲求に引き摺られて同性同士でエロいことをするというのは、ちゃんと段階を踏んでいくよりもリアルに思えました。
イケメンなのに残念な攻めや流されやすい受けのキャラもよかったです。
大学の同級生同士。気遣い屋の攻め×思ったことをすぐに口に出す受けのモダモダ恋愛。
受けの塁が攻めの槙志から「ヒカリ」という人物に間違われたことで二人は友達になり、サークルも同じオセロのサークルで、一番近しい存在になります。
塁は槙志のことを知るにつれ、彼にとって大事な相手らしい「ヒカリ」との関係が気になるようになります。それに並行して徐々に互いが友達以上の存在になり、槙志が塁に不意打ちでキスしますが、二人ともそれについては触れないまま友達以上恋人未満の関係がしばらく続きます。
夏休みに槙志の実家のある離島に塁が遊びに行き、槙志の母に「ヒカリ」のことをこっそり訊ねたことで槙志が激昂し、家を出て行った塁を槙志が追いかけて、「ヒカリ」について説明し、同時に好きだと告白します。
「ヒカリ」というのは、槙志が子供の頃、両親が共働きで忙しく、寂しさから頭の中に作り出した架空の友達のことでした。塁に似ていたのは、そういう顔が好みなのでは、と結論付けられています。
塁も好きだと告白しますが、付き合い始めて以降、ぎくしゃくしてしまいます。初めて性的な流れになったときも、塁が槙志の恋愛経験を訊き、高校生の頃付き合っていた彼女と初体験を済ませていて、彼女とは自然消滅で疎遠になった話を聞き、盛り下がって家に帰されてしまいました。
塁を悩ませたくないという理由で槙志が「お互い頭冷やそう」と提案し、またちょっと距離ができますが、槙志が従妹を家に泊める電話をしているのを、女の子を連れ込む話をしていると勘違いした塁が泣いて「絶対別れない」と言い、冷却期間は終了し、その流れでベッドインしました。
恋愛するより仲のいい男友達といるのが楽で、ずっと二人でいたら、自然と友情が恋愛になっていた、という話として、すごく自然にも思えるし、でもなんとなく納得いかない部分もあって、いまひとつ話の波に乗れないまま読み終えてしまいました。
最初に槙志が不意打ちでキスをする場面は、言葉にしたくない曖昧な関係というのもわかりますが、その理由をはっきりさせないまま塁が自分の母親や槙志の従姉に嫉妬するので、嫉妬するより先にキスした理由を本人に聞いてほしいと思いました。あと、自分の母親や、同じ家で姉弟同然に育った従姉に嫉妬するのは、ちょっと共感しづらいです。
「頭冷やそう」と槙志が言った理由である「塁を悩ませたくない」についても、悩んでもらうのも嬉しいという結論に至ったからベッドインという流れになったのでしょうが、「ヒカリ」について告白したときとの違いがあまり感じられず、個人的には「あっさり解決したな」とちょっと拍子抜けしました。
個人的には、嫌いなところはないけど、「好き」とまではいかない作品でした。
新婚さん限定のアパートに住むためにセフレになった幼馴染同士の話の3巻目。
前巻でラブホを出たところを雑誌記者に写真を撮られて脅しで仕事を依頼されたのと、仁が大事な話をしかけたところで実家から電話がかかってきたところからの続き。
実家からの電話は仁の祖父がぎっくり腰になったので、家業(神社)をしばらく手伝ってほしいという依頼でした。速人も一緒に戻って手伝います。その際に仁の両親が「あいつが神社を継ぎたがるとは」みたいな会話をしているのを速人が耳にします。仁が神社を継ぐと早とちりした速人は神社を継ぐなら仁とはこのまま一緒にいられない、と不安になりますが、神社を継ぎたいと言っているのは弟君の話でした。
そのことを明らかにし、仁が付き合いたいと告白してようやくお付き合いが始まります。
その後、雑誌記者に脅されて引き受けた仕事で、速人がかつて共演した外国人俳優のレイと再会します。レイは子役時代の速人のことがずっと忘れられなくて、日本語を覚えて一緒に仕事ができるよう雑誌記者に協力を仰いでいたようです。
仕事を終え、速人はレイに仁と付き合っていることを伝えますが、レイは恋人がいても気にしないスタンスのようです。日本以外の仕事を全てキャンセルしてしばらく日本に滞在することにしたそうで、これから二人の仲を引っ掻き回すことを予想させるところで終わっていました。
両思いだし同棲しているしで二人の仲が安定しているからか、神社の後継ぎの話が出たときも「弟くんのことかな」とすぐ予想できたし、レイのアプローチもあっさりしすぎていて、最初の頃に比べると面白みが薄れてきたように思います。
付き合いたいという告白のシーンも、個人的にはあまり気持ちが盛り上がりませんでした。
絵柄もキャラも好きなので、もう少しハードル(障害)の高さが上がればなーと次巻に期待しています。
文章が好きな作家さんですが、残念ながらこちらはあまり刺さらなかったです。
あらすじには受けのことを「極端な二重人格」と書いてありましたが、外面と内心に解離があるのは誰しもそうだし、二重人格かそうでないかは、内心を表に出すかどうかの違いではないかと思います。
赤信号で横断歩道を歩いていて、ぶつかろうとした自転車が転倒し自転車は破損していて相手は怪我をしている。自分がよろけただけで無傷ですんだのは相手が衝突を回避してくれたからなのに、被害者をほったらかしで牛丼の蓋がずれてないか確認し、逃げようとするのは、人気商売であることを差し引いても、人としてありえないと思いました。
本性を知られてもいい相手には、要領のよい愛されキャラの後輩の陰口を言ったり、アホとかブスとか死ねなどと言うところも気分が悪かったです。
志望していなかったアナウンサー部に配属され、必死に努力していたところや、自転車事故で攻めが手を怪我したため、作業を手伝うように言われて素直に来るところは好感が持てますが、努力しているのは先輩や後輩アナウンサーも同様で、自分が怪我させた相手に償うのは人として当然に思えるので、それをもってマイナス面が相殺されるほどではなかったです。
攻めとの付き合いがはじまったあと、当て馬の後輩アナウンサーが自分のことを好きだと知っていて、家に上げてキス寸前までいったことにもがっかりしたので、その後、怒った攻めに対し、「他人と分け合うなんて気が狂う」と受けが泣いて後悔する場面にも、感情移入できませんでした。
攻めが受けに惹かれた理由については、作中の言葉を借りれば、攻めが「ドM」なんだろうなと納得し、「割れ鍋に綴じ蓋」なカップルという印象で終わりました。
個人的に萌えや切なさは薄かったですが、文章のテンポのよさや言葉選びは好きですし、日常の中で徐々に気心知れた仲になっていく過程には、すごく説得力を感じました。
高校生同士のお話で、最初は攻めのトヨ視点で始まり、話の中で視点は変わっていく。
トヨは中3のとき、第一志望の受験の日に雪でスリップした車に人が跳ねられるのを目撃し、その人に付き添って病院に行ったため、第一志望の受験を諦めることになります。滑り止めで入った高校で、その事故で助けた相手である受けの伊吹と再会しますが、受験の日にトヨは幼馴染で親友の洋平の定期券を借りていたので、伊吹は助けてくれたのが洋平だと思い込んでいて、最初は洋平のことを好きになります。
そんな伊吹のことをトヨは好きになりますが、事故で助けたのが自分だと言えば、救急車に同乗して第一志望校の受験を諦めたことを伊吹が知り、負い目を感じるだろうと思って、洋平と口裏を合わせて助けたのは洋平だということにしていました。
あらすじだけ読んで三角関係ものかと思いましたが、洋平はノンケで伊吹が告白する前に彼女ができて、その後、助けたのが本当はトヨだったとわかり、伊吹の気持ちもすぐにトヨに向いたので、三角関係というほどの切なさは感じませんでした。
トヨが息吹を好きになった理由についても、きっかけとなるエピソードやそれまでに伊吹の人物像を知る描写はなく、「伊吹のことは昔から好きだったと思う。言葉選びが柔らかく、しかし自分の意志ははっきりと言う」という感じでトヨのモノローグでさらっと語られているので、好きな気持ちへの共感は薄かったです。
萌えや切なさは少なめですが、出てくる人物がみんないい子ばかりなので、最初から最後まで爽やかな気持ちで読めて、読後感もよかったです。
会社の先輩後輩で人がよく面倒見のいい先輩の真壁に後輩の吉成が懐いているところから話が始まります。吉成は長身イケメンで仕事ができるインテリ系モテ男で女性社員に人気がありますが、ゲイで「真壁さんが結婚したら、自分も好きな相手にプロポーズする」と言って真壁の婚活を後押ししています。
社員に真壁のことを好きな女子がいて、その子と真壁が食事デートに行き、その帰りに寄った真壁が吉成の家に行きます。吉成は真壁への思いを断ち切るつもりで酔って寝ている真壁に手を出し(最後まではしていない)、それを手紙に書いて朝食の買い出しに行きますが、それを読む前に真壁は吉成にメールをしていたらしく、メールの内容は吉成の手紙とほぼ同じ内容で、「実はお前のことが好きだった」というものでした。
この二人の思いが通じ合った瞬間は、じんときました。
その後の、吉成に中国への転勤の話が出て、真壁が背中を押してあげるエピソードもよかったです。
全体を通してハートフルなお話でした。