何度も読み返しています。
奥田枠先生って、本当に「何かを必死で欲しがる人達」を描くのが上手です。
登場人物それぞれ欲しいものの方向と熱量がちがって、読み手の思う方向へは行ってくれないモヤモヤ。たまりません。
読むたびに糸永君、真田の両方の立場から妄想して、いろいろ反芻できます。
いじめられっ子のお話はあんまり好きではないのですが、これはちょっと方向がSMなのかなあ…。
いじめっ子の真田君に関しては、マジないです。
イケメンで人気者、さらに拗らせで糸永君をいじめた上に長年ストーキング、シレっと登場して糸永君を手籠めにする。
文字にするとひどすぎますね。。。でも、こういうストーカー気質の無意識ズルい男も、攻めとしてはありって思います。
真田君がまず最初に謝れなかったことはつまり、悪事を秘密にしてでもまず糸永君を捕まえて手に入れたかったということですよね。
執着がスゴイ。
一度手に入れるのに失敗しているからこそ、二度目の攻め方が計画的で綿密。
手段を選んでない感じがあります。
一方の糸永君は、ほんとつらくなるぐらいかわいそう。
目隠しえっちのシーンがめっちゃ悲しいです。
真田にいいように流されてるようですが、やっぱり真田君が欲しいんですね。
ひどい目にあいすぎで、どこかで人生挽回してほしい!とは思いますが、糸永君の幸せはそこだったんですね。
すぐにエッチで流されちゃうところが、ちょっと悲しくなったりしますが、ほっそい鶏ガラ君の受けが割と好きなのでとエッチシーンがいいです。
とにかくつらかったです。
そもそも鳩先生のお話がつらいものの上に成り立っているのですが。
この病気についてはそれなりに知識もあり、ドキュメンタリーなども見ましたが、引き裂かれるという点では、この幼い二人の運命が過酷でつらかった。
作家さんにとって、こういうテーマで描くことがきっと必要だったのだと思います。そしてこの物語は完全に表現できていたのではないかと思います。
鳩先生のほかの作品もそうですが、どうしようもない状況の中で、翻弄される子たちの救われない物語がテーマです。
居た堪れない感もあり、好き嫌いが分かれると思いますが、あまあま、ラブラブではないものを読みたい方にお勧めします。
ほかの作品とはまた違い、わたしは登場人物たちの「愛していた証を残したい」という強い気持ちを感じました。