丸木さんらしい、狂気を孕んだ人物がたくさん登場するお話です。実際、本当に良い人も最後の最後まで信じられない気持ちで読み進めてしまいました…。
バッドエンドではありませんが、ハッピーエンドでもないのでメリバ、といった感じの終わり方です。
前情報なく読んでいただいた方が確実に面白いお話なのですが、ある程度のあらすじを知っておきたい方もいらっしゃるかと思ったので、あえてネタバレさせてもらいます。
受けの紡は、自分にとって都合の悪い記憶を全て綺麗な記憶に塗り替えてしまう人物です。実の親はすでに亡くなっていて、夫婦仲の良くない叔父・叔母の元で育っているのに、自分の両親はドラマに出てくるような仲の良い家族である、札付きの不良で前科持ちの幼馴染の事も、見た目がヤンチャなので勘違いされがちだけど、実はとっても優しい…などなど。全てが虚構の世界です。
そんな彼が強迫観念と体から攻めである桐谷によって落とされていく感じなので、お互いに恋愛感情があって…という訳ではありませんが、決して無理矢理に…という訳でもありません。
けれど、そこまで読んで不思議だったのは「なぜ桐谷に言われた酷いことは綺麗な記憶に置き換えられなかったのだろう…」という事です。
もしかしたら桐谷が得意とする人心掌握術が関係しているのかとも思いましたが、すみません、私にはうまく読み取れませんでした…。
共依存的な関係で私はとても好きだったのですが、上記のような疑問が残ったので萌2にさせてもらいました。
そして紡は「周りの人物にとことん恵まれなかった子だな」という感じで、読んでいて少し可哀想になってきてしまいました。