溺愛、というかさらに上の執着溺愛でした。
物語の悪役令息に転生しちゃったから、死亡エンドを回避するために動く…というテンプレですけど、転生前の性格がよかったからか、上手く立ち回るというよりは領地や家族を思って行動する良いお兄ちゃんになってた。
そこへもう一人、物語の展開を知る人物=主人公が現れて…
「もし、どこかに世界の教本があったとしても、従う義理が俺たちにあるか?」
っいうセオドアの台詞がとても好き。
自分は自分の物語を生きる。どんな人生でも自分自身が自分の物語の主役なんだ、と思わせる言葉。サミィと同じくらい胸が高鳴りました!
前半に一行出てくる、前世の祖父の元を訪れた青年。
妙に気になっていましたが、後半しっかり回収されていたのもよかった!わたしもそう思う!
もしかしたらリオを救うために遣わされたのがサミィ=敬人だったのかもしれません。
とっても甘い台詞もよかったけど、ときどき溢す変態みあふれるおかしな台詞もよかった。
今回はテーマがテーマなので、ラブコメ調のお話が多かったです。ほのぼの系もあり。
紳士的なイメージでいざ会ってみたら想像と全然違う!とか、出会ったときはあんなにそっけない…冷たいのにここまで甘くなっちゃうの?性格変わってない?な攻め、はたまたスパダリイケメンだと思ってたら意外な弱点があったり、えっ?精霊さまなのにお料理上手なんですか?ってびっくりしちゃったり、かわいい姫枠だったのに急に男を意識させる仕草で受けを翻弄したり…
現代ものから異世界ものまで、いろいろな場所のいろいろなタイプの攻め様を堪能できました。
ああ〜もうちょっと…もうちょっと続き読みたい…と思ったお話も。
5話あるので、平日の眠る前にひとつずつ読んでいくのも良さそうだなあと思いました。
全てを手にした王者のような振る舞いのライハルトと、何も持たず身体も心ボロボロのミカ。
その特性から身体の傷はすぐに治るけれども、心の傷はなかなか治らない。居場所がやっとできたミカにどんどん降りかかる災難。
序盤はライハルトの態度もひどいので、とにかくミカが不憫。読んでいて苦しくなってしまうくらい。
それでも無自覚ながらもライハルトの見せる好意にどんどん距離が近づいていってからの…!
猫化してしまったミカを見て後悔するライハルトと、そこからの愛ある行動、そして自分を見失ってしまったミカが過ごす白い空間…この辺りに物語の良さがぎゅっと詰まってる。
無事ミカを取り戻したライハルトはもう最初の面影がないくらいでろでろのとろ甘!すごく好きで愛おしいって雰囲気が行間から漂ってきます!
本編の読後感は明るい未来を予感させて。
おまけの番外編は甘くて切なくて、涙なしには読めませんでした…
とにかく最高の一冊!挿絵も素敵なので紙書籍がないのがほんとに残念。