なるほど8年越しでつきあって、そのあと甘々な展開になるかと思いきやそうではなく。
持つものと持たざるものと。それぞれまったく生き方が違いながら、自立した大人の二人がどう寄り添い、愛し合っていくか。
この永遠の課題とも思える困難を、つきあいはじめた二人を通して正面から描こうとする作品は、すでにBLの枠を超えている気がします。
P300あたりから続くエドの告白は、3作を通して二人の関係と成長を見守ってきたきた読者にとって山場。
「恋人を傷つけるすべてから守る」というスーパー攻め様があたりまえ?のBLというファンタジー世界のなかで、
「傷ついたお前の心を俺は救うことができない、自分の心を救えるのはお前自身だけだ。それでも俺を捨てずに愛してほしい」
「お前さえいれば、分からない者のことを愛してみたいと思う」
これを言葉にできるって、そしてこう言わせる力があるって、すごい。
コマドリちゃんこと受けのレイは、仕事には前向きに取り組んでいるかと思いきや、相変わらず恋愛に関してはうじうじしていて、カンが悪く、見ていてイラッとすることも多々あるのですが(苦笑)、最後の最後にこのエドの告白を受けて、開き直ったところが爽快。このまま肝の座ったいい奥さんになりそうで一安心。
これはよい両片思い!
中田アキラさん、過去作も読んできましたが、線が色っぽくお上手になっていてまず驚きました!
もともとプロットがしっかりしていた方なのですが、絵の力でより説得力が増したというか、、
とにかく二人がそれぞれちゃんと魅力的なオトコのコで、そのうえでお互いに惹かれてゆく、ストレートでどこかコミカルな関係にもだえます、、!
そして、まったくの蛇足ですが、いまちょうど某名作アニメBを楽しみに観ているところでしたので、、ボスキャラかと思いきやじつはヒロインな白髪美形とピュアで素直な黒髪男子の組み合わせに無駄に重ね合わせてしまいそうに。BGMはfound&lostで!
既刊すべて購入しているのに、いつまでもタイトルの区別がつかない(自分だけ?)まさおさんの新刊。
今回は電子化されるのを待てずにはじめて紙媒体で買いました。
これ以上BLを家に増やしたくないのに、、、ちょうど寒くなった時期にこの表紙は根負ける!ぬくぬくな二人、かわいすぎる!!
中も男性の体のラインとか、まつ毛とか、シンプルな線なのに色気があって、やっぱり好き。メガネじゃない分、目線を交わしているところは2倍微笑ましいです(当社比)。
ストーリーも安定感ありまくりの世間知らず×天然コンビ、そして今回は究極の誘い受けシーンが。。。!
まわりの脇役もいい味出してます。
ただ、途中からあれ?見たことあるなーと既視感。「それでも構わない」の二人とほぼキャラクターの性格および力関係が…同じ?
さらに、あちらは二人に仕事上のつながりがあって、高嶺君の世間知らずなキャラづけにも共感しやすかったのですが、
今回、辰巳くんの職業が最後までわからず、なぜこんな暴君のまま大人になったのか、どうやって生計をたてているのか、もやもやしたまま。。
あとがきにも忙しい時期だったとありますが、そのあたりのキャラ設定は編集さん、フォローしたげて!と叫びたくなりました。
厳しめの萌ですが、次作も必ず買います!
これぞ明日美子ノワール。。。!!
最高でした。
最近お取り寄せエッセイ風漫画やらコミカルな作風やら某楽園くんやら脇道にそれてる感あり、それはそれで流石の落としどころというか、まあ楽しかったのですが。でも。でも。ずっと待ってました!このペシミスティックでおタンビな長編新作を。
悔やまれるのは最終回をなぜか雑誌で読んでしまったこと。これはネタバレされたくない。ゆえにレビューも本当は読まずに感じて欲しい。
明日美子せんせいがこの世に3人くらいいたら!
つまらない毎日をこの漫画の世界に酔って暮らせるのに。。。!
紙の上を自在に流れる墨の線の美しさに見惚れます。
最近は電子書籍派でしたが、この作品だけは、紙がいいです。絶対。
とっくにバブルは弾けて飛び散っていたけどみんなまだ呑気で
ほしいものは全部手に入れて流行を消費していくのが当たり前だと思ってた
エロ本出身の女性漫画家の作品がファッション誌に載ってるってだけで
なんだか大人のオシャレを肌で感じられる気がしていた90年代後半に、
誰かに愛される可能性を信じることができなくて
文学的で退廃的で世紀末的な表現に憧れたり焦がれたりする中の一つとして
まだ少数派ながらボーイズラブっぽいものも存在ていて
「僕は天使ぢゃないよ。」はそんな自分の暗い欲望とうしろめたさと絶望ごと鷲掴みにされた作品。
誰にも見られないところに隠した単行本をなんども読み返してた
岡崎京子とか魚喃キリコとか南Q太とか当時のフィールヤングとかキューティコミック系の
資本主義的な日常の痛々しいラヴ。が流行った時代がたしかにあって
いまのゆるふわ、あるいはリアルご近所ラブなBLとはまた別のところに
小野塚カホリというジャンルがあったんだよな、と
久々にふと思い出したのでレビューを書いてみました。
時代を超えて愛される名作漫画というのはよくいわれるけども
これはヒリヒリするほどその時代の空気を思い出してしまう漫画。
あとがきに笑いました。
編集からの「ボーイズをラブさせてください...!」って。そりゃそうだ。
BL誌に掲載されていたとはにわかに信じがたい低糖っぷり。
でもそれで読み終えて面白くなかったか?物足りなかったか?というと、面白かったんです。続編プリーズです。
どろどろぐちゃぐちゃのBLを読み慣れすぎた腐った頭で忘れかけていましたが、
ああそうだ、お互いにかけがえのない存在になれること、
そんな相手に巡り会えたボーイズ(笑)を見守ることが楽しいんだよなあ。って初心を思い出しましたよちょっとだけですけど。
あと、作中にちょくちょく登場する女の子たちがみんな、悪い子じゃないんだけど、母性本能ちら見せしつつ、夢見がちで、打算的で、リアルですね。
おいしい食べ物さえあればとってもしあわせそうな太一くんとガールズを対比すると、彼のピュアさが際立って、すごくいい。後半の航平くんの成長にもリンクしていて、効果的。
以下蛇足です。
...かくいう自分も相方が軽度の難聴ですが、勝手に母性本能くすぐられてさぞや迷惑だろうと、、BL本の痛女子見て我が振り直せ、と猛反省いたしました。太一くんのように軽やかで前向きなスルー力を身につけたいものです。
ただ、レビューでも身近に患っていらっしゃる方が少なからずいらっしゃるようですし、高齢化社会がこんだけ進み、将来、大切な人の声が聞こえなくなってからもしばらく生きていかなきゃいけない可能性が大いにあるわけで。ボーイズのラブはもちろん、聴力について今後どう描かれていくのかも、個人的にも気になっています。
担当編集はヒヤヒヤしたと思うんですけど、
こういう、少女漫画として発表されてもおかしくない作品が、BL単行本として世に出て、高評価されている状況。膨大な漫画のマーケットの中で、BLの器がより大きくなっているというか、(あくまで女性向けの萌えをおさえつつ)「ほかの人とちょっと違うかも」ってことをどう受けいれるか?を描く作品を発表する場所としても、一大勢力になっているのかなあ、だったらいいなあ、とも思ったり。
ちょっと前に「上質な暮らしBL」とかがまとめサイトで盛り上がってて、
確かに日高ショーコさんとか、よしながふみさんとか、最近の作風はそういう傾向だよなー、うまいこというなー、とか思っていたんですけど。
この作家さんはこれが初単行本ということで、これからどこに向かうのかな。とっても楽しみです。
そんなわけで、支離滅裂に書いてしまいましたが、これからの続編、もちろんBのLがっつりでも嬉しいんですけど、そうじゃない系もどんどん自由に描いていただきたいなー、読みたいなー。という願いを込めて、萌2つで。