あぁ、愁堂さんのノリだぁ…と安心(?)しながら。
主役はエリートSPレオナちゃんと、アラブの暴れん坊○軍王子サーディクです。
ノンケの親友に想いをよせていたレオナちゃん。
けれど親友の「結婚しようと思っているんだ」の言葉に恋ごころは打ち砕かれ、傷心のままやけ酒。
やけ酒からのノリで好みでもないウリセンボーイを連れホテルに──という途中で、絡まれる外国人男性を救出。
お礼をしたいと強引に連れられた場所はなんとラブホで、レオナちゃんはその外国人男性になかば無理矢理?襲われてしまう。
犬に噛まれて忘れよう!と昨日の出来事に折り合いをつけようとしていた時に舞い込んだ要人警護。
なんとその相手は自分を抱いた外国人男性で、アラブの国の王子様だったのです。
レオナちゃん、なんて可愛い名前なんですが、本人はとってもカッコいい男性なんです。非常に流されやすいですが。えぇ。
今までタチオンリーだったのに、流されるままサーディクにおいしくいただかれちゃったのです。えぇ。笑
お金持ちの王子様、どこかズレてるし強引だし破天荒だし。お約束です。
でも優しくて器が大きいのもお約束。
ついでに命なんかも狙われちゃったりするのもお約束ですかね。
全体的にコミカルで暗さなんて感じません。
無理矢理体からなのに。暗殺とかされかけてるのに。笑
最後にサーディクさん。
任務中にエッチは駄目だと思うの。自重して!
海外モノにハマりだした時に購入、けれどしばらく積み本になっていたのですが、読もうと思うきっかけがあり手に取りました。
ルームメイトのパソコンを無断で使用したアダムは、そこでゲイのSM画像を見つけてしまう。
アダムはその画像に刺激されてしまうわけですが…。
なかば軽いノリで始まった二人の『SM』。
二人の持つベクトルがうまい具合に重なり、プレイも徐々に過激さを増していきます。
プレイの最中はなかなかにエロティックなんですが、オンオフの差がハッキリとしていて、なんだか全体的にさらっとしていた気がします。
二人ともまるでゲームを攻略するかのようにSMを堪能しているみたいで、そこがまたディープさを感じさせないのかも。
普段は優しく温和なジョシュ。
けれどSな部分を持ち合わせており、それが最大限に発揮させるのがSM。
またアダムはセックスにおいて虐げられることに喜びを感じるM資質で、しかし普段は案外ズバッとものを言う。
二人の持つSとMさがそれぞれ絶妙に絡み合っているから、二人はどんどんハマっていったのかな。
こうしたい、こうされたいと思う欲望が、まさに思い描いたようにジョシュから与えられ、アダムが理想の反応を返す、という風に。
海外の雰囲気は充分ありますが、日本向けに訳されていてかなり読みやすい。
挿絵がないのがすごく惜しいです。
中村明日美子さんのイラストでアダムとジョシュのあんなことやこんなことを見てみたかった…。
なんだろう……すっごい憤りを感じるし、イライラするし。
読んでいて、決してハッピーになったわけじゃない。
ひたすらやるせなさを感じていたのだけど、どうしてか最後まで引き込まれるように読んでしまいました。
報われない恋をする望、応えてやれないが離れることもできない俊一。
自分がゲイだと言った瞬間に築かれた壁。
だけど好きになってしまった。いや、打ち明けたときにはもう惹かれていた。
報われない恋をしながら、俊一以上に好きになれる人を探す望のことを、否定はできない。
苦しいなら、誰かに助けて欲しくなる。
だから、好きじゃないのに体を許してしまうのは駄目だとは、わたしは思えないんです。
だけど、俊一ばかりを見る望は他者には鈍感で、その無神経さが仕方のないことだとしても、なんだか辛い。
他の人を好きになれたらラクなのにとは言うけれど、恋って決してラクじゃない。
ラクさを求めるうちは、俊一からは逃げ出せないんじゃないの?と。
一方俊一ですが。
大事な幼なじみが傷つくのは許せないのは、分かる。
けれど、俊一からはズルさを感じます。
『望が最後に頼ってくるのは、俺なんだ』というような。
いっそのこと、望をこっぴどく振ってやれよ!となる。
望を選んであげるの?と期待してしまう瞬間があって、だからこそ余計に辛い。
暴力は絶対に駄目。
だけど、手をあげていないだけで、俊一も望を傷つけてる。
言葉や態度も、立派に暴力です。
心を傷つける。
許してくれるから、傷つけていいわけじゃない。
すべてを許してしまえるのは望の美徳かもしれませんが、許してはいけないものもある。
だから望、怒りなよ。と思うシーンもしばしば。
これは一般的なハッピーエンドじゃない。
だけど、望はようやく『さみしさ』に足掻くことはやめ、うまく付き合えるようになりました。
望としては、良い方向に向かった結末。
果たして俊一にとってはどうなのか。
急に変わってしまった望に、俊一は戸惑いはじめます。
巻末のおまけにある、俊一の変貌の片鱗。
そこから、また期待してしまう。
どうかその期待が裏切られることのないよう祈りながら…次に行きたいと思います。
非常に評価が難しかった。結局真ん中をとって萌。
印象に残る話ではあったけど、やるせない。
自分のその時の気持ち次第で、変わりそうな一冊でした。
ケモミミ!と、表紙に惹かれて。
どんなケモミミくんなのかなぁとワクワクしながら読み始めたのですが。
そ、想像とチガッタ…。というのが第一印象。
タイトルの雰囲気から、この狼の耳を持つ青年は穏やかで優しい人だと思っていたのです。
が。
ひねくれてる……っ。
なんだか全てにおいてひねくれてます、この人。
こんなタイプのケモミミくんは初めて出会いました。
でも読み進めていくうちに、なんだかそのひねくれっぷりが痛いなぁと思うようになったのです。
と同時に愛しくも。
ひねくれの裏には寂しさが隠れていました。
アルは決してドライでもなく、むしろ優しいからこそ、傷ついてしまう。
だから、他者と深く関わることが嫌い。
溝を作っておいた方が、別離のときに悲しまなくてすむから。
一方、アルを拾った(?)奈々斗は、辛さを笑顔で隠した子。
卑屈になるでもなく、嘆くでもなく、頑張って踏ん張っているのですが。
その、笑っている姿がなんだか痛々しい。
上手く隠せない素直さが、アルはたまらなかったんでしょう。
なかなかに痛い過去や不穏な空気が漂う実験話など、ハラハラする内容なんですが…案外さらっとしていて、盛り上がりにはかけるかも?
奈々斗のポヤポヤさが印象的で、「だ、大丈夫かなこの子…」と心配になってしまいました。
そこはまぁ、これからはアルがしっかり護っていくんでしょう。
不器用な狼くん。
読了後印象ががらっと変わり、なんだかそのひねくれっぷりが可愛く思えます。
いつになるかわからないけど、いつの日か、アルが奈々斗の事を誰かに語るとき。
どうか穏やかな顔でいますように──。
島の次は城。『強姦島~あえぐ夜~』のスピンオフです。
今回主役の二人は、同級生。
友達、と呼ぶには遠く、ライバル、と言うには甘さがある、なんだかんだと張り合い続けている二人。
やさぐれた感じが漂う鳥羽を心配半分、鳥羽が他の男に触るのが許せない半分…勢いでゲームに参加した弓弦。
参加したはいいが、いささか甘い!
ゲームを甘くみていた弓弦は初っぱなから餌食になってしまいます。
と、そこに登場するのはもちろん鳥羽。
ピンチの弓弦を助けるのです。
今回も、『強姦』なんてありますが、ゲーム感が漂ううえに、悲壮感もないので、痛々しくはないです。
ただ、『強姦島』とは違い、弓弦はハメられちゃうのですが…。
うん、カップルが他の人に手を出す、出されるが無理な方は要注意です。あ、タイトルの時点で回避するかな…。
学生時代から鳥羽と張り合い続けているわりには、弓弦はあまちゃんな印象。
もうちょっと、ゲームを上手く使って回避したり大立ち回りするなど、あっと言わせる展開があったら良かったのになー。
けど、好きな人のためにがむしゃらになる様子は好きです。
鳥羽は気が気じゃなかっただろうなぁ、弓弦の危機感のなさが(笑)
書き下ろしの『家族記念日』がとても可愛らしくて。
二人の幸せっぷりにニンマリしてしまいました。
女王様、西園寺。
今回もご出演お疲れ様です。
あなたが主役のお話、ぜひ読みたい。
西園寺が主役でスピンオフ出ないかなー。
目を覚ますと、そこは養豚場。
仕事はスマートにこなすけれど、深酒すれば記憶を失いとんでもない所で目覚めることが多々ある神木。
警察へつき出された神木を助けてくれたのは、癖のありそうな探偵、苫澤。
助けてくれたお礼に伺うと、苫澤と青年のキス現場に遭遇!
つい構えてしまう神木だが、猫が集まる事務所に居心地の良さを感じ、通うようになり…。
野性味溢れるオヤジ。不精ひげに漂うエロス。癖あり、包容力あり、意地悪で適当かと思いきや芯は熱い。
なんて好みドストライク!とオヤジ好きぃにはたまらん人物像で、それだけで5割増しの魅力。
神木は真っ直ぐで男前で純粋で、好感度抜群でした。
うん、「かーいいなぁ」と言ってしまう苫澤の気持ち、わかります!
「かーいいなぁ」とからかい半分、しみじみとつぶやく苫澤もまたかっこいいなぁ。
自分のやってることを神木のような純粋なやつに肯定されたりしたら、そらぐっとくるよね。好みならなおさら。惚れてしまう!
刑事時代、引かざるを得なかった事件。
苫澤は今もなおある人物を追い続け、真相に迫ろうとします。
苫澤と出会ったことで神木も巻き込まれていくのですが、これまた神木の肝の据わっていること。
二人の出会いの場がうまい具合に事件と噛み合わさり、ストーリーも読んでいてとても楽しかったです。
そして一番惹かれたのは、なんといっても癒しの猫!
寝てるところにゴロニャンと増えていき…
猫 ま み れ !
なんて素敵羨ましい……。わたしもしたい!
そんな微笑ましい情景、そら苫澤も癒されるわ、と納得してしまいます。
オヤジ好きぃ、猫好きぃにはたまらん一冊でした。
いよいよ最終巻かぁ…と惜しい気持ちで手に取った5巻。
シンゴの頭を寄せる響。シンゴは響の腰に手をまわし、その手を響がぎゅっと握って…ラブラブかっ!とニンマリしながら表紙にツッコミ。
ハイ、お話の始りも大変甘いものでした。
料理男子、響。手伝う!と意気込むも失敗ばかりでハウスを命じられ、かまってもらえないと拗ねるシンゴ。
肉取って、とようやく出番!シンゴは張り切って冷凍庫をがさごそ。
肉の部位書いて日付けまでって、主夫スキル半端ねぇっす、響サン。と感心。
シンゴは肉を落として指に直撃、響はすっ飛んできて心配、痛くなくなってきたけどかまってくれない響に痛いと甘えるシンゴ、かまう響…ラブラブかっ!と二度目のツッコミですよ。
そのままキッチンで…?とおもいきや、まぁちょっとだけおあずけ。うん、ほんのちょっとね。
ラブラブタイムはそこまで!と言わんばかりに突如、響が本庁に身柄を勾留されてしまう。
兄の死の真相を追う響に、黒幕たちがなにか手を出したよう。
今回シンゴくんが頑張っています。
頑固ジジイもシンゴの持つひたむきさにやられたようで。
響のために、無茶も承知で動くシンゴに感動です。
山あり谷あり、ヤバイシーンもあるんですが、なんとか乗り越えていく二人。
ハッピーエンドの定石はなにがあっても主人公無事だ!とは分かっていても、クライマックスに響の命の危険、シンゴと同様にウソ、まさか…響…!とハラハラしてしまいました。
5巻はソファーにキッチンに、とエッチの場所がベッドから範囲が広がっており、大変楽しかったです。なんでシンゴくんパンツ穿いてないの、ねぇ。
初フェラも!響の総評に笑ってしまいました。
いかに響がシンゴを大切にし、シンゴも響が大事なんだと実感した巻でもありました。
一生離れない、離さない。
お互いの気持ちにジーン…と胸が熱くなります。
響のお父さん、響はもうシンゴから離れられないので、手元におくのは諦めてください。
しかし頑固ジジイ、シンゴの持つひたむにさと可愛らしさに、そのうち響よりもシンゴになつくかも(笑)
響もシンゴに相当入れ込んでいるし、結局似た者親子だからね。
ようやく、響の抱えていたものが解決へと進みました。
あとはひたすら甘~くラブラブしてくれ!と願うのですが、トラブルメイカーは成長しても落ち着いてはくれなさそう。
その辺を番外編で楽しませてくれたらいいな。
月イチの楽しみが終わってしまったなぁと名残惜しくあとがきへ進み…終わらずに先に楽しみが待ってる!
番外編集の刊行も考えていますのお言葉、いくらでも待ちます、岩本先生!
ゲイ専門のデリヘルで体を売るシロ。
シロの運転手として雇われた虎は、初っ端から飄々とした態度で体が好みだとシロに誘われタジタジ。
しかし痛々しく体を売るシロのことをだんだんと無視できなくなっていく。
虎は普通の男。
妹思いで優しくて仲間からも慕われて、困ってる人をほっとけない、空が飛べると思ってヤンチャして傷作っちゃうような夢みる少年時代がある、あったかい男。
一方シロは、気分屋で、平気で裸体をさらし、これしかできない、とまるで自分を痛め付けるかのように体を売る。
読み進むうちにシロの印象がガラリと変わっていきました。
詳しくは描かれていないけれど感じる悲惨な少年時代。
諦めたように生きるシロの前に表れた時雨。
普通のガキの手だ、と時雨に握りこまれた手。それを守りたくて初めて客に歯向かい、絶望し泣くシロがイタくて、切なくて。
ようやく救いの手が伸ばされたのにあっけなく散ってしまい、胸に渦巻く苦しさを堪えるように唇を噛んでしまいました。
臆病なシロ。
掴みかけた大事なもを失うのは怖い。
だから、虎のぬくもりが怖い。
優しさもひたむきさも、虎が持つものが、怖い。
ポロポロと涙を流すシロがもうヤバイぐらいに切なくて可愛い。
こりゃもう、抱き締めて愛を注いであげなきゃダメでしょう。
時雨が握ってくれた手を、今は虎が握ってる。
幸せそうに目を細めるシロ。もう感無量です。
時雨があの時さらってくれていたら。
シロは幸せになっていたかもしれない。
けれど、わたしはどうも時雨からは、シロに対して庇護する、護る、慈しむといった類いの愛は感じても、焦がれるような愛は感じとれませんでした。
むしろ、春との方がアダルティな愛を感じました。コイツら絶対体の関係あるよね、と。
シロは時雨に抱いてもらいたくても、もしかすると時雨はシロに手を出さなかったかも。
なんて飛躍して考えちゃったり。
とにかく、シロの運命の相手は、暗い部分のないお人好しで優しい虎だったんだ、と。
明るい道にシロを引っ張って行くような。
言葉にはならなかったシロの本当の名前。
そして、タイトルの意味。
書きおろしの演出が本当に憎い!いい意味で!
本編では描かれなかった虎との本番も込みで。
『M.O.D.S』
愛する空の記憶、ととらえていいんでしょうか。
どこまでも運命的で、最後の最後にゾゾゾっと鳥肌が立ちました。
表紙を外せばキャラのプロフィールやら特徴やらが描かれています。
22歳の春とオールバックの時雨がすんげぇ好みでした(笑)
絶版なのでなかば諦めていたところに文庫化の朗報!
小躍りしてしまいました。
不器用にも程があるぜ、湊サンよ…。
と頭抱えたくなるぐらい、感情の表しかたがとことん下手くそなヤクザさん。
加持は加持で臆病というかなんというか…二人ともすれ違いばかりで、何一つ理解できてないところが焦れったい。
武井さんと志郎がいなけりゃ二人は平行線どころか反比例したままだったんじゃなかろうか。
武井さんの話が切なかった…。
なかなかに重い過去。
武井さんの心に居続ける一人の男性。
ぐっと涙をこらえてこらえて。
だけど、階段を今度はひとりきりで下りていかなくては、の所で限界でした。
やっとくっついた湊と加持の変わり様ににやけてしまいました。
加持は強くなって湊のあしらいかたが上手くなってるし、湊はなんだか子どもみたいに甘えてます。
湊の愛は重いだろうなぁ…でも加持なら上手にその重さと向き合っていきそうな気がします。
情熱シリーズ番外編。
本編で気になって気になって仕方がないカップル。
ぶっちゃけ遥×佳人より好きなんです。
東原との関係について悩む貴史。
愛されていると感じるときもあるが、切って捨てられる程度だと感じるときもある。
本心が見えず、何度も何度もハッキリしない関係を解消しようと思うけれど、結局離れられない貴史。
東原は貴史を守るために、気まぐれで手を出す愛人、といったスタンスを周りにとっているんだけれど。
肝心の貴史に対するフォローが無しなので、貴史は悩むんだよう!
言わなくても理解してくれる、なんてとんだ傲慢ですよ、東原さん!
ある意味東原は臆病で、ヘタレなんだから…。
だからパッと出のちょこざいなキャラ・貴史の旧友武嶋に当て馬されちゃうんですよ?笑
貴史に近づくのがおもしろくないからといって、ひどい仕打ちしちゃいけません!
それでも東原への想いを断ち切れない貴史の健気さに涙が浮かぶよ…。
まぁでもパッと出の武嶋のおかげ?でやっと愛してると言った!
貴史良かったね!ともう嬉しくて嬉しくて。
なんだかんだと言っても、強く結ばれていた二人。
東原が覚悟を決めて、貴史が着いていく。
そこにいくまでに、3年かかっちゃいましたね。
あとはひたすらラブラブしてくれと思っていたのだけど、宗親のせいでラブラブにトゲが。
……なんだかなぁ。
やっと向き合った二人にその仕打ちはちょっとひどすぎるよ…とショック。
だけど、二人はそのことで潰れたりしません。
東原は決して貴史を裏切っていないし、何よりも貴史が深く広~い心で東原を信じ、許しているから。
もうね、貴史がおっとこまえ!です。
この二人のエピソードをもっともっと読みたい。
東原×貴史でまたお話書いてくれないかなぁ。