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言葉巧みに伊達じゃない

レトリックはトリックの一種ではありませんが、逆転したものを錯覚させる面白さがありました。
作中で示されたのはそのスピーチの文脈での意味であり、うわべだけと言う皮肉でばかり使われる単語ではないと思います(知らんけど)。
命令なりセーフワードなり、言葉のやり取りが鍵になるDom/Subだからこそ、セリフがより響く作品でした。

「10年」という言葉を踏まえての終わり方、背姿での歳月経過演出が最高…。
伊達ですが、伊達じゃないからこの苗字かと思えば、既存作の血縁者なのでこの名前のようでした。

最後のフキダシが奥付にあり、セリフがエンドロールに被る映画みたいな後味です。


最初のComeで大きく鼓動し、仰け反る描写。ここが作品への引き込み所でした。
顔も良いですが、爪が食い込んだ掌や、そうならないように握った手、絵を描く手、海の中で感覚が戻る指先なども良かったです。
vol.1のカラーはvol.0のシーンの差分!海もカラーで見られて嬉しかったです。
個人的にナンマイジャー(電子p157)が気になっています。

壁の手 山田さん 電子 コミック

ハラキ 

推せる結末

新鮮な結末でした。
死んでそうなものとのCPは、どういう人間がレビューするかがネタバレみたいなところがありますが、この作品は結末どっち派でも楽しんで読めると思います。
漫画としても読みやすいですし、終わりかたの秀逸さにも感動しました。
単話で廉価なこともあり、気軽に読まれたいです。

主人公が仕事でミスをした場面の描写について。
口の悪い上司に怒られている一方で、言いすぎな言葉に対して彼をフォローしているフキダシがあります(多分直前にいる井手さん)。
ただ怒られて場面転換ではなく、こういった部分にもあまり物語が怖くなりすぎないように(?)という配慮が感じられて良かったです。

手は確かに死んでいるのですが、心を通わせている間に禍々しい描写はなく、優しいお話です。

No Title

出るたびに新刊がいちばん好きなんですが、感想が大きすぎて保留にしてたら次巻が出てしまったけどやっぱり好きな巻。

和久とアレックスが最初に登場した時は、この巻でこんなにぶわっとなると思いませんでした。ありがとうございます。

複数CPはあるなかで、宗吾の父宗司が色々強くて、彼の血が入ってないCPがあまりないって言うのも(自分が読む作品としては)珍しく感じます。陸くんは翔ちゃんのいとこですし、和久も宗吾と異母兄弟です。
獣属という分類はありつつ、そのなかでも強い一族の話なのかと思ったりもしました。

宗司ももう子供はいっぱいいるのに(そうやって役目を果たしたからなのか)、同時収録の番外編など描かれる程度に今は本命の小原先生とよろしくされていて、翔ちゃんたちちびっこは可愛いし、不思議な魅力に溢れた作品です。
メインCPだけ見たい作品もあるのですが、ケダモノアラシに関してはみんな好きなので、情報の断片が何でも嬉しいです。

シニアBLに欠かせない1冊!しかもケモ耳!(50代・獣属)

このレビューは小原先生が初登場から大好きな人が書いています。

主人公CPの父世代。
総合病院理事長の宗司と小原優(翔ちゃんの保育園の先生)。
プロポーズと、手に入れたことで期待できるこれから。
とても幸せです。

シリーズ序盤で息子に圧をかけていた厳格の頂点、宗司。
優には惚れ込んでおり、名前は呼び捨てでも敬語から年下攻めの片鱗が窺える……これは良い本です。
お年を召しても、若い頃も、いつの年代の彼らも素敵です。

この二人が結ばれると、子を成せない優にとっても翔ちゃんが孫になります。
愛する人とその遺伝子が強い孫が一緒に手に入ることあります!?
ありました。息子も父似。隔世遺伝の孫の成長楽しみすぎでは?

宗司は息子夫夫と孫がいなかったら心の変化もなく、きっと優との再会もなかった。
シリーズが続いたから読めたお話だと刊行のたびに噛み締めています。

性格は違えど小原先生と晶は似て感じる部分もあり、宗司と宗吾の親子それぞれ好きになる相手が彼らなんて、怖い顔してほんと可愛い。小原先生のおちゃめなところも好き。

既刊を知らない方にはHold me baby! で初登場の小原先生も見てほしいし、電子単話の番外編(紙書籍ではLove me baby!に収録)も未読なら年末年始のお供におすすめです。
ちるちるのYouTubeで配信されたケモ耳BL特集では、ネタバレなしの各巻紹介もあります。(配信ありがとうございました!)

BLアワードは「ちるちるユーザーがファンにどれだけ含まれるか」でもあるので今年登録してみました。が、文章力…。

こんなにCPみんな好きで、全員の未来が気になることもなかなかありません。
既存の情報から期待できることをたくさん想像しつつ、続きを楽しみにしています!

海王社さんから出た以前の単行本2冊とケダモノアラシ既刊6冊をあわせた8冊が、カバー見返しに載っているのも壮観です!

関係性が情景で見えるCP

ちるちるで難聴や聴覚と検索して出てきた作品の中で、もっとも手話表現のウェイトが高く、手の作画がたっぷりある漫画。
意志疎通だけなら筆談やアプリなど手段は様々あるなかで、向き合って身体で話すふたり。手フェチは買いです。

手話は一朝一夕で身に付きませんが、物怖じせずまっすぐなフジナガには伝えるセンスがあります。
彼の表現を目の当たりにして驚くケイトの絶賛と、それを受けたフジナガを見てください…。
彼だからできる伝え方は、厘てく先生の描写があってこそ。1話の桃太郎からラストの心理描写まで全ページ必見です。犬まで伝わってる!
2話の大雨などフジナガの独自表現も大好きです。役者として演じるシーンが増えたらもっと見られるでしょうか。

1巻はキスまで。シーンの暗さとわずかな光が、ふたりにとても合っています。性描写を敬遠しているので読みやすいですが、それも今のうちかも。
ヒューマンドラマをと提案されての作品だそうで、ふたりの恋が丁寧に描かれていくことを期待しています。
上下巻で出なかったので、間延びしないなら3巻以降も出てほしい、たくさん読みたい作品。毎話サブタイトルも楽しみです。

レビュータイトルはXのスペースで聞いたイメージカラーと、名前の漢字からの印象(2023年10月現在録音あり。字幕対応)。まあでもケイトは大型ワンコですね。黙って見守りたいのに期待は膨らむばかりです。