デザイン会社に務めるデザイナーが主人公のお話です。
この主人公がかなり苦手な性格のキャラクター(うじうじ系)で最初の方はわりとイライラしながら読み進めていたのですが、途中から心配の方が勝りました。
メインの恋愛部分よりも、仕事関係の方が心配になるストーリーだと思います(恋愛と仕事が密接に関係している内容ではある)。
危機管理能力も自己肯定感も低い主人公が、デザイナーの同業者である黒木にコロッと騙されてしまう様子に終始ヒヤヒヤ。
この黒木というキャラクター、当て馬と言うより詐欺師に近い存在です。
初心な主人公を弄ぶ形で、主人公の未発表のイラストを見たり、コンペに提出したデザインについて聞き出したり、第三者目線では主人公を利用していることが丸わかり。
そのため、これからどんな大変なことになってしまうのかとかなり胃が痛くなりました(主に仕事関係で)。
本文中黒木関連の描写がとても多く、その間本来の相手は深く話に入り込んで来ません。
そのため、メインカップルは最後の方にスルッと成立してしまったような状態で少し物足りなさを感じました。
表題作の他に短編が二本収録されています。
かなり人を選ぶ内容でした。
表題作も短編も色々と最低なことが起きているので、苦手なものが多い方にはオススメ出来ません。
明確には書きませんが、結末についても軽く触れるレビューですのでご注意ください。
・『二世の息子』
因習村のお話です。
因習村で崇められている天珠様の絵面が本当に美しかったです。
結末についてですが、天珠様の境遇が元からハッピーとは言い難いので、元の状況に比べたら圧倒的に幸せだろう、くらいのハッピーエンド感でした。
結末に関わらず設定から苦手な方の多いであろう作品だと思います。
・『夜は未だ明かぬ』
私は表題作よりもこちらの方がキツかったです。
とても綺麗にまとまっている短編で創作物としては面白かったのですが、主人公と攻めを最終的に祝福出来るかと言うと無理でした。
・『STAND BY ME』
アイドル事務所のお話。
アイドル研修生の主人公が成長し、憧れの人と同じアイドルグループでデビューしたお話。
恋愛ものとしてはハッピーエンドか微妙なところですが、主人公の恋心に関するオチのつき方がアイドルものとして良かったです。
綺麗なアイドルものではありません。他二作品のような過激なエロシーンはないものの、同種の薄暗さはあります。
ずっとアイドルしていそうな二人で良かったです。
ストーリーには深く関わりませんが、『ようこそニューワールド』のルカくんが主人公の同期としてチラッとだけ登場しました。
三作品収録の短編集です。
・表題作『ハリネズミ君の野望』前後編+描き下ろし
謎のイケメン×ハリネズミカフェの強面店員
・『カラダで感じる声のおしごと』
ベテラン声優×新人俳優(声優)
ベテランが新人にエッチなレッスンをするお話です。
短編集の中で唯一エロシーンのあるお話ですが合体まではしません。
・『恋待ちゆうれいとボロ屋敷』前後編
格安賃貸一軒家で大学生が幽霊と出会うお話。
私は三作目が一番好みでした。切なさもありつつ、ほっこり系のお話で可愛かったです。
短編なのでどれも急展開気味。キャラクターの掘り下げはほとんどされません。特に一作目は設定も少し飲み込み難く、お話に入り込めませんでした。
しかし、全体的に優しい絵柄と雰囲気なので安心して読むことが出来ました。
短編集全体で見た時の満足度はやや低いですが、幽霊のお話が好みだったことと、雰囲気がとても良かったので少し緩めの評価にしました。
高校生の青春ものです。
付き合うまでのモダモダと付き合ってからのモダモダが半分ずつくらいの割合で構成されています。
主人公の広久が真面目で優しく善人で応援しやすい人物でした。若干無神経な部分もありますが、若さと人間らしさがあって良かったです。
主人公ではありませんが未成年の喫煙描写があることと、攻めが女の子とかなり軽い気持ちで肉体関係を持つ人物なので、その辺は苦手な方も多いかなと思います。
2005年の作品ということで、主人公の思考回路に前時代的なところが若干あると思います。
私はセックスに至るまでのやり取りだけ少しモヤモヤしました。
とはいえ、登場人物どちらも好きになれるキャラクターで、青春を感じたりしながら最後まで楽しく読むことが出来ました。
主人公以外の登場人物を誰一人好きになることが出来ないまま読み終えてしまいました。
とはいえコミカルな作品なので野次を飛ばしながらも楽しく読めたと思います。
攻めは突き抜けたストーカーでキャラがたっていて良かったです(好きになれるかはさておき)。
特に描き下ろしで語られた主人公へ恋に落ちたキッカケとその後の行動が気持ち悪くて最高でした。
しかし、主人公との恋愛を応援出来るような要素はありませんでした。
主人公もわかりやすく攻めを拒絶していたので、どのような展開で両想いになるのかワクワクしていたのですが、結局のところ押しに負けてしまったとしか思えず残念でした。
しかし、そんなことよりも主人公の周辺人物の言動に腹の立つ作品でした。
主人公の親友、当て馬二人、主人公の父親。全員嫌いです。
特に親友。ストーカーである攻めに主人公の盗撮写真や近況、使用物品を横流しする最低の人物でした。
何故かストーカーの肩を持つ親友にめちゃくちゃ腹が立ちました。
主人公は応援の出来る人物です。
というか、周辺人物が皆攻めの肩を持つ(主人公の対応が悪いと責める)ので、そこに私を召喚してくれと思いながら読み進めました(笑)
ちなみに主人公は作中でかなりハッキリと攻めを拒絶しています。更にはストーカー(攻め)が原因で体調を崩しているのにも関わらず、何故周りに味方が居ないのか……。
何度も警察と弁護士を呼びたくなりました。
言いたいことは山ほどあるのですが、そうやって読みながらツッコミを入れるところ含めて結構楽しかったです。
主人公に寄り添えたところ(多分)は良かったと思います。
面白いところは面白かったけれども事件はスッキリせず。悩みに悩んで萌評価としました。
因習村(孤島)クローズドサークルものです。
ストーリーはミステリーというよりサスペンスで、推理では無くハラハラドキドキを楽しむタイプのお話だと思います。
島や住民たちの少し不気味な雰囲気と、因習村にありがちな謎の建造物がそれらしくて楽しかったです。
私は主人公の実家の構造と、それを探索する様子に、ホラーゲームらしさを感じてワクワクしました。
因習村の設定自体は緩いと思います。結構気になるところ多め。
恋愛要素も描写が薄く、主人公の片想いを軸に何故か分からないけれど丸く収まる(主人公も分かっていないと思う)ので物足りなさを感じました。
しかし、主人公に恋情を寄せられている串田というキャラクターが非常に不思議な人物で、何だかよく分からない思考回路も魅力の一つだと思うことが出来ました。
エロは結構しっかりあると思います。一回が長く感じた&青姦をしていました(笑)
しかし、読後感は悪かったです。良い後味の悪さではありません。ただただモヤモヤしました。
私が一番モヤモヤしたのは、事件の顛末とそれに関する主人公の心情についてです。
仔細は省きますが、事件の真相が判明するにも関わらず、罪を犯した人物が罰せられることなくお話が終わります。全てにおいてお咎めなしです。
裁けなかった……というようなお話でもありません。
そして、事件に関する主人公の心情についても釈然としないものがありました。
事件解決後、主人公は親族の事件への関与について責任を感じている様子なのですが、それがとても中途半端でした。
主人公は幾つか起きた事件のうち、串田が密接に関係する事件にのみ気に病んでいる様子で、その他の出来事については思い起こすことが殆どありません。
その様子から本質的には串田に嫌われたくないだけで、事件についての責任はあまり感じていないのではと思ってしまいました。
そもそも主人公に何らかの責任があるかと問われれば、そんなものは無いと私は思いますが、モヤモヤは残りました。
それら含めて事件のまとめ方を雑に感じてしまい残念でした。
終盤にかけて釈然としない部分が積み重なって行きましたが、全体的には楽しかったです。
KindleUnlimitedで読みました。
あらすじの雪山遭難サバイバルという部分が気になって読み始めました。
該当シーンはかなり終盤で、雪山遭難がメインのストーリーではありません。
スピンオフ作品ですが、元作品未読です。
古のBL王道学園っぽい学園もの。
主人公たちの周辺人物について説明がされるのですが、なかなかぶっ飛んでいるというか、人物説明だけでかなりのツッコミどころがあって面白かったです。
スピンオフ元で恋愛関係になったのであろう御曹司転校生(攻)の元に妹の身代わりとして嫁いだ生徒会長(受)。モテモテの生徒会長を不埒な輩から護る番犬二人(本作の主人公たち)。さらに転校生の兄二人(恋愛関係にある)が登場します。
これだけでスピンオフ元とんでもなさそうだなと思いました(笑)
肝心のメインカップルですが、最初から主人公(受)が相手に落ちているような状態で、攻防を楽しむストーリーではありませんでした。
ケンカップルを求めて読むとちょっと違うと思います(スピンオフなせいかもしれない)。
この作品から読むことは全くオススメしませんが、モテモテなキャラ(主人公以外の受)の扱いや周りの反応、様々なところに古のBLファンタジーを感じる趣深い作品でした。
しかし、そういった登場人物の言動から、本作の主人公たちはその他の作品の超強い攻めと超可愛い受けの踏み台になったのだろうなと感じてしまい(憶測でしかない)、何だか悲しい気持ちになりました。
スピンオフ元から読むべきだったかなと思います。
片想いの相手に騙され借金を背負った主人公が店ごと異世界転移して異世界で洋食屋を営むお話。
主人公があまりにも分かりやすく不憫なキャラクターなので応援しやすくて良かったです。
しかし、攻めであるルシアンのことはあまり好きになれませんでした。
子どもたち(アリンとヴァジル)との接し方に好感が持てず、悪人では無いのですが、やや悪い印象のまま読み終えてしまいました。
幼い子どもたちから嫌われているので距離を置こうという発想がちょっと……。
彼らの関係改善の過程が長めに書かれているので、そこでモヤモヤしてしまったのは残念でした。
波乱は幾つも起こりますが、基本的に安心して読むことの出来るお話だと思います。
とはいえ、主人公の店が悪意を持った人に放火されたり、当て馬(女性)や主人公に嫌がらせをする料理人が複数人登場するので、そういった展開が苦手な方にはオススメできません。
私の場合は苦手な展開だったものの、世界観がかなり緩かったのでメインキャラクター以外のことはあまり深く考えずに最後までサラッと読むことが出来ました。
初恋の人ヤマを追いかけて芸能界を引退(休業)した超人気顔だけ俳優のウミと、ウミの奇行に翻弄されるヤマのお話。
シリアスな展開もあるシュールな作品でした。
コメディの圧が強いけれどもコメディだけで突き進むわけではなく、真面目な部分はあるけれども深堀はされず、私にはコメディとシリアスのバランスが悪く感じられてしまいました。
周辺人物の癖のある外見もかなり苦手でした(これを理由に一年積んだ)。
ウミとヤマの基本的なキャラクターは良かったです。
突き抜けた変人(通報されたら終わり)のウミと、ごく普通の若者なヤマ(とてもノンケ)。
しかし、ストーリーはしっくり来ず、モヤモヤする部分も多かったです。
モブの描き方は苦手でしたが、絵はとても綺麗。
全体的に独特の雰囲気を持っており、私は肌に合わずあまり楽しめませんでしたが、記憶にはしっかりと残る作品でした。
ノーマルだと思っていた主人公が実はサブで偶然そばに居た犬猿の仲のドムと仮のパートナーになるお話。
主人公が可愛かったです。ツンツンしすぎないツンデレ。無神経なところはあるものの、憎めないキャラクター。
性別に翻弄されたり、恋愛ごとでモダモダはしますが、主人公が明るい性格かつ基本的に潔よいので、深刻になりすぎず読むことが出来ました。
しかし、ちょっとどうなんだろうと思ってしまう描写が多く、総合的には満足度やや低め。
ストーリー上それほど重要なシーンではありませんが、一番気になったのは攻めが受けに固形石鹸を咥えさせたところです。
飲食店のトイレでいきなりだったのでかなり驚きました。パッケージを破っていたので新品だとは思いますが、そういう問題では無く冷静になってくれと言いたくなるシーンでした(店に置いてある物を勝手に使用したのか固形石鹸を持ち歩いているのか謎だがどちらにしろやめて欲しいと思った)。
このシーンによって一気に我に返ってしまいました。
そのせいか、他にも根本的なドムサブの設定(命令を理解しないまま従ってしまう)、当て馬の言動(悪人では無い)、それに対する周りの反応など、モヤモヤしてしまう瞬間が多かったです。
とはいえ、主人公の性格や、二人のケンカップルっぽい関係性など、萌えたところはたくさんありました。