初見なのでワクワクしながらページをめくってみたが期待はずれだった。
なんだかどのキャラにも共感しにくい。なんせ、主人公である王子テオドールの人称語りからして、作者があんまりこの主人公を大事にして書かれていないのが伝わってくる、どこか作者自身が自キャラクターを馬鹿にしているような鼻につく台詞まわしなのである。おかげで最初から最後までこの主人公には感情移入して一緒に喜んだり泣いたりができなかった。最初の〜なのだ、という癖のあるテンプレ通りの王子口調一人称語りも、通して読み続けるのは疲れてくる。工夫が必要だったと思う。出てくるレギュラーの面々もテンプレート通りの没個性的。番役となるフレデリクも色気が凄いという作者の解説だけがポンと置かれるが、文章表現として彼がどう凄いのかが話を通して全然伝わらなかった。作者のそうであってほしい設定だけが先走っていた。予想のつく台詞回し。次こうだろうなあと予測したものが当たる、冗長なだけのファンタジー展開。届いたその日に特に心動かされなかったからか短時間で最後まで読めたが、良かった点が見当たらなかった。登場人物達の肉感がなく、起承転結もありきたりの展開のまま終わった。
最終話の二人の台詞も、読後は、どこかで聞いた事あるようなクサさとチープさだけが頭に残った。もう少し作者が対人関係を経験するか、あるいは観察をしなきゃ、会話のチープさは中々取れないんじゃないだろうか。