里つばめ先生の新刊『東京似非紳士倶楽部』。
もうタイトルからして好きです。
すべて漢字、しかも9文字の長さ、紳士と自称しつつ似非だとあらかじめ断りを入れる矛盾、そして加えられた “東京” イメージ。
もう絶対に楽しそうな予感しかしません。
東京と付くものには整然&無機質&洗練の仮面を被ったカオスと雑多と悪趣味とがある気がします。
その双方併せ持つさまこそが、ザ・東京(かどうかはわからない)。
物語はまさにその二面性の間を駆け巡ります。
第一話で登場する人々は皆ハイソサエティな地位にあるようですが、まず人数が多い上にそれぞれのキャラクターが際立ちすぎています。
それはもう、それぞれに1冊ずつスピンオフが出そうなほどです。
濃いキャラクター達が一堂に会し口々に話し始めるこれをカオスと呼ばずして何と呼ぼうか。
既に面白くてたまりません。
第二話、第三話にならないと主役陣が出てこないのも面白いです。
この主役の二人のキャラ設定もヴィジュアルもまた最高に良く、そして彼ら二人を取り囲む家族や使用人のキャラクターも味わいがありすぎます。
特に煌己さんの侍従である東さんが良いです。
大雅くんと煌己さんの関係性に巻き込まれてまったくその気が無いのに振り回される東さんの話とか、まったくその気が無いにも関わらずしらっと煌己さんへのスキンシップ多めな東さんの話とか(歯噛みする大雅くんの様子を見るのが面白いからわざとやってる)もっともっとあと100話くらい読みたいです……。
ぜひとも続きを拝読したい作品です。
発売を心待ちにしていた里つばめ先生の新刊『落花と破鏡の』。
緑と銀とを基調とした表紙の色合いは、同時発売の『東京似非紳士倶楽部』の赤と金とに対になっているようにも見え、その並びに惹かれて久々に電子書籍ではなく紙の本を購入しました。
里つばめ先生の書かれる作品の登場人物たちの、目が語る描写が大好きです。
台詞になる箇所とならない箇所。人々の台詞にならなかった部分、それをしみじみ読ませてくださる。
その余白のテンポがとても心地よいです。
人知れず迷い悩んでいるさま、想いを口にしかけて結局言葉にはならなかった瞬間、そんな時間があたたかく描かれている、そんな作品でした。
里つばめ先生の作品の全攻めが本当に好きなのですが(造形も設定も性格その他も)今作の攻めの然くんも良すぎて……
長めの黒髪に袈裟で若干生臭坊主感もあるとか……でも実は超一途とか……
過去の重さも相まって犬○叉の弥勒様もびっくりしちゃうくらいの色気でした。
この度の2巻の発売を祝して、あらためて読み返していた『番長!神絵師コイツです!』。
やっぱり最高でした。もう、大好きです、この様子のおかしさが。
司くんの脳内での尋常じゃない勢いの叫び、に対してのプロ級ポーカーフェイスが良すぎます。
彼のその鋼のメンタル(たまにくじける)、大好きです。
ちょこちょこ現れる謎のゆるい絵と、不意をついて登場する超絶いい男モードな伴長のコントラストも素晴らしい。
とにかく絶妙なスピード感のコメディ、かと思えばギュッと胸を掴まれるシーンもあり、の緩急が良すぎて……!
登場人物の表情が良いんですよ……。
漫画って、絵の表現って本当に凄いなと思わせてくれる作品です。
物語終盤、“気づいてしまう” 伴長の描かれ方など最高でしたね。
こういう瞬間を待っていた、こういう瞬間を読みたかったんだ……!と心から思ったシーンでした。
この二人、良いバディではあるけれどそこからの発展の可能性はあるのか……!?
これから2巻を読むのが楽しみでなりません。
初めて熊猫先生の作品を拝読しました。
まず目に留まったのが、和でサイケデリックな雰囲気ただようカッコよすぎるコラージュの表紙です。
TADANORI YOKOO感ある色合いといい、作品の内容に関するモチーフを散りばめたデザインといい、素敵すぎます。
ページをめくると、これまたカッコよくて……!
色の使い方が派手なのにパキッと決まっていて、まず表紙から目次ページまでの4ページを何度も繰り返して眺めてしまいました。
本編は本編で、また絵が良いです!
まず攻めの千代田先生の登場シーンが良すぎます。
逆光、かつ顔の下半分からの登場。そして効果音は「ぬ。」
こんなコマを見てしまったら、図体がデカくて不届きもので怖いもの知らずな美形の登場を期待せずにはいられません。
そしてその期待を裏切らない千代田先生。とてもいいキャラしてます。
オカルトや異世界との絡み、二葉との関係性の在り方に関してはもっと細かく読みたいくらいでした。
素敵な絵を存分に堪能しました。
古矢渚先生の『君は夏のなか』の続編、『君と夏のなか』です。
夏が来るたびに読み返したくなる、夏の空気を存分に味わわせてくれる作品です。
佐伯くんと渉くん、この二人の関係性のあり方は見ていてとても心地良いです。
とはいえ佐伯くんからは、自分からの矢印の一方通行なのではないか?と感じているような節が度々うかがえます。
元々のこの恋の始まりが始まりでしたから、そう考えるのも無理はありません。
でもその、自分自身に言い聞かせて納得させているようなところ、渉くんに期待し過ぎないようまずは待とう、としているさまが健気かつ理性的で……
こんなハイパー大学生に出会えるフィクションの世界って、やはり素晴らしいですね。
今後もフィクションには大いに期待し続けたい所存です。
ラストのほう、手を繋ぐシーンにはグッと来てしまいました。
古矢先生の描く、人々の感情が昂る瞬間が大好きです。
作品を読みつつも、こうしてシリーズ物として二人の成長を一緒に追うことができる楽しさと喜びを味わっています。
先日の『君と夏のなか : 3』の発売を機に、久々にシリーズ1巻であるこちらの作品から読み返しておりました。
眩しさに目がくらんでいるうちに、一瞬で過ぎ去ってしまう夏の儚い透明感。そんな空気を味わうことのできるこの作品が大好きです。
作者の古矢先生も今作の後書きでおっしゃっているように、漫画や小説、そして映画などで描かれる二次元の夏、イデアの夏はかくも美しい。
そこには理想の明るい太陽と澄んだ風ときらめく海があります。
その上、この作品には互いへの想いを大切にあたためながら徐々に心を通わせていく二人がいます。
ストーリーは王道と言えるのでしょう。が、その王道こそがいつも私達人間を感動させるのだと思います。
理想の夏に息づく普遍的な愛の物語。
どの夏にも、何度でも読み返したい一冊です。
本編「ブルー!ブルー!ブルー!」の後日譚があるということを最近知り、大急ぎでオンラインストアに走りました。
本編の余白を残した終わり方、あえて身体の一線は越えないラストシーンを既に完全で完璧だと思っていたのですが、このような大盤振る舞いがあるとは……!
想像で補うこともできるのに、ここまで作者さまによる作品として読ませていただけるなんて。惜しみないアフターサービスに感動しています。
想像はただの想像でしかなく、アンサーではないですから、やはり創造者ご本人からの提示ほど尊く有難いものはありません。
大人で理性的な本条さんの動揺や逡巡、そして一瞬の衝動などの描写が素晴らしいです。
普段硬派な人の心がほどけた柔らかな一面や、理性的な人間の本能がうかがえる瞬間ほど味わい深いものはありません。
凝縮された濃厚な41ページでした。読むことができて本当に良かったです。
個人的に、夏をテーマとした作品といえば思い出すのがこちら、アマミヤ先生の『ブルー!ブルー!ブルー!』です。
どうしても夏のうちにレビューを書いておきたい!と思い、この度読み返しておりました。
この圧倒的な爽やかさと透明感。きらきらと太陽光が乱反射するかのような眩しさ。
そんな空気感を持ったストーリーに、大型犬属性の年下攻め桔平くん、そして誠実で硬派な色気がある大人な本条さんというキャラクターの取り合わせがもう最高です。
秘密を共有したこと、そして成り行きではあるけれど、自身の弱い場所を見せたことにより心が近づいて、そこから徐々に気持ちが変化していって。
桔平くんの、本条さんへの憧れと欲が見え隠れする様子がたまらなく良いです。爽やか大学生感、無害な良い子感出しておいて好いた相手へは結構攻め攻めなのも良い……。
ゆっくりとお互いがお互いを知り信頼度を高めていく様子もとても好ましく、台詞外のちょっとした間や表情、動作などで語られる心理描写に胸が揺さぶられます。
読み終えたあとの余韻まで美しい。
何度でも読み返したい作品のひとつです。
裏社会ものでかつオメガバースとのこと、そしてこの美麗かつ勢いと強さがほとばしる絵柄、もう絶対面白くないはずがないでしょうとも!と手に取りました。
ページを繰れば、躍動感あふれる争いにシリアスに流血にそしてコメディに恋愛に、とすべてが収められたストーリーがそこにはありました。この絶妙なバランス。これひとつですべての栄養素が取れそうです。
いやー面白いです!
飄々とした三白眼の強い男、椿さんのポーカーフェイスがとても良いです。
遥来くんのことを大切に思っているのはわかるけれど、それが果たして恋愛に発展するのか?遥来くんの粘り勝ちは可能なのか?
個人的には、そのあーでもないこーでもないの応酬をあと三巻分くらい読みたいくらいでした。そういう栄養価の高いモダモダはいくらあっても美味しくいただけます。
遥来くんが押してもまるで子供扱いでなびかないように見える椿さんとか、それでいていざというときにはなぜかいつも助けてくれる椿さんとか、それで余計悶々とする遥来くんとか……
いいですね……
椿さんとは別組の組長、柏宜さんのキャラクターが気になって仕方がないので、ぜひ続編を!期待しています!!
待ちに待った『二哈和他的白猫師尊』第6巻、先ほど読み終わりました。
なんてこった、と頭を抱えています。
いやーーーーー面白すぎる。
わかってはいましたが。
もう6巻まで読んできているのでわかってはいましたが、それにしても予想を裏切る面白さ。
展開をまったく予想させず、かつすべての人々がそれぞれの場所で生き生きと動き悩み愛し慟哭する、この文章の力。
肉包不吃肉先生の作り出す世界感、それを文章で描き出す力、それに説得力を与える構成力、そして人間という不思議で愚かで尊いものへの理解の深さ。
ただただひれ伏しています。
↓↓↓以下ネタバレを含みます!!↓↓↓
冒頭こそほんわかイチャイチャがありましたが(非常に良いイチャイチャです)、もうそこから先はのんびりアハハウフフとイチャつく暇はありません。
しかし絡んではいます。大いに、狂おしいほどに絡んではいます。が、痛い。
肉まん先生の手にかかるとその描写は恐ろしいほどの臨場感にあふれ、身体も心も痛いです。
そして第1巻を読んだときに「こんなにも三角関係がハッキリしてる中華耽美もアリなんだ!」と感銘を受けたのですが、その三角関係がまさかこんな形で再度姿を現そうとは!!
ひたすら驚いています。まずこの一件からしても、先を読むのが待ち遠しくてなりません。
墨燃と楚晩寧の関係性にオーバーラップする徐霜林と羅楓華のストーリーも素晴らしかったです。
楚晩寧の生い立ちや懐罪大師との確執に至る話などにも触れ、今巻では過去・現在・更に別次元の世界も絡んでその物語は複雑さを増していきます。
遂に登場人物が出揃った感のあるこの第6巻。
ここから怒涛の伏線回収が始まるのでしょうか。楽しみすぎて11月の7・8巻発売が待てません。
それにしても師昧よ。
誰にも深く理解されず、常に平静を保ち、静かに世界を見つめてきた師昧。
彼のしたたかさ、内に秘められた抑制された感情の奔流を思うと胸が痛くなると同時にワクワクもしてきます。これから一体どうなるのでしょうか。
肉包不吃肉先生がどのような道を彼に用意しているのか、どう転ぼうとひたすらに楽しみでなりません。