前作『割れたカップを戻すには』はBLマイベスト10に入るほど大好きな作品です!そのヲリコリコ先生の新刊、やはりおもしろかったです。
電子で読んで、紙でも買いました!
前作でもそうでしたが、読後感がいいんですよね。『ほんとによかったね…』って涙して、安心して読み終えられるのがヲリコリコ先生の作品の良さだと思います。
あと、受けが素直でまっすぐで可愛い♡
ただ、今作『愛しものに蓋』は攻めがめっちゃ魅力的です!
陰キャなのに土壇場では頼りになるし、手を繋いでリードしてくれる男らしいところがあるし、帰国子女だし、外見はオンオフでギャップがあるし、めちゃくちゃ魅力の塊じゃないですか?
続編が叶うなら、時鷹(攻)視点の恋人編を読んでみたいです!時鷹は非常に魅力的なキャラで、性格や生い立ち(特にアメリカ時代)とか深掘りしないのもったいないですよ!
他方、この作品はちょっと好みが別れるだろうなとも思いました。主人公 眞白(受)のトラウマの原因が父親の不倫だからです。
ひとつ釈然としなかったのは、眞白の両親への態度です。
父とは和解しましたが、結局トラウマについては告げませんでした。父子の間に時鷹(攻)が入って、トラウマを解消してくれただけで終わってしまった。
母を傷つけたくないからだろうけど、トラウマの発端となった当時のことも、そしてトラウマのことも母に告白しませんでした。
大好きなお母さんなんだから、腹割って話して欲しかったし、時鷹(攻)との関係も明かしてもよかったんじゃないかな?と思いました。
最後に、眞白にとって、時鷹と出逢い、恋人になれたことはかなりの幸運でしたね。無条件に甘えさせてくれる、トラウマからも手を取って救いだしてくれるヒーローです!(陰キャだけど♡)
『哲学をBLで解く』という、今までになかった新しいBLに出逢えた喜び!
発言の真理を知りたくて、多角的に考察してみたり、哲学書を読んでみたり、このボーイズラブ読んだら賢くなれます!人生に新しい気づきを与えてくれる哲学BLは斬新で、毎回、単話の更新を心待ちにしていました。
瑛人も正孝も、哲学を志す者にありがちな「頭でっかち」なところがあって、考えを巡らせてばかりで自分の気持ちに正直になれず、お互いに本音を言いません。
やっと迎えた最終話、ラストページをめくっても『好き♡』を聞けないなんて前代未聞!
その分、描き下ろしの瑛人の『超好き』『浮気したら殺しますよ』にはぶっ倒れました!
さて、続編決定!ということで、甘々な恋人編を期待しちゃっていいのかな?
恋人編の瑛人は、見かけによらず嫉妬が凄そうなので、今からゾクゾクワクワクしてまーす!
単話も追ってたのですが、やはり単行本に纏まって描き下ろしが読めると感慨深いですね。
描き下ろしがとてもよかった!
翠目線での瑠璃への本心が知れてかなり貴重な話でした。
本編はというと、まだ3巻へつづくということで全ては種明かしされていません。
正直、喉に餅が詰まってる感じで、未消化のままで具合が悪いです。炭酸飲料のような一瞬の息抜きでもあればよかったのですが…。
3人で旅行やデート行くとか、双子ちゃんが宇佐美の誕生日祝いで手料理振る舞うとか、なにか明るくなる一瞬の息抜き、セッとは別に愛し合ってるのがわかるエピがもう少しほしかったなー。
鶫に関しては、自己愛が強すぎて痛いナルシストって印象。
恋をしたら人は変わって当たり前なのに、恋人ができて【自分が好きな自分】が変わっていくのが怖くて逃げ、そしてそれを恋人のせいにする。
去り際に、鶫から宇佐美へ一言
「嫌いになんかなれなかった」なんて調子いいこと言ってるけど
つまり、「憎むほどそんなに愛してなかった」ってことでしょ。愛憎って言葉知らんのかね。
鶫が愛してるのは自分自身、それだけ。
一方、瑠璃と翠は宇佐美をすごく愛してくれてるので心配してません!宇佐美も双子ちゃんのこと迷わず愛しちゃってください。
3人とも今は苦しそうにしてるけど、3巻では相思相愛の幸せなのを期待してます。今から楽しみです。
詳しい内容は他の方々がしてくださってるので…わたしはキーワードの話についてします。
後半から本編ラスト、描き下ろしへと怒涛の伏線の回収は感動ものです!
この作品、たくさんのキーワードが出てきます。
パズルのピースのように散りばめられたキーワードが、最後にピタッとハマるのは爽快です。
下記のキーワードに注目して読んでみてください。何度も出てくるので面白いです。
【お願い】
【願うより叶えたい派】
【星】
【欲の琴線】
【“浅見”の名前入りの傘】
【イルカの耳骨】
【人魚】
【貝殻】
【冷蔵庫】
【卵焼きとおにぎり】
【煮ぼうとう】
【ちくわ】
【ちゅーしたい】☆
あと、千晃(攻)が後半からバンバン攻めていく感じがすごくいいです!
千晃は全てを言葉にして伝えるのは、無粋だと考えるところがあります。愛しさを伝えるときにもそうです。
例えば前半、浅見に『ただ そばにいてほしい』と想いを伝えるときも
「星は落ちなくっていいんだよ。そこにいるだけで結構満足」
というふうに、婉曲的に詩的に伝えました。
ところが後半、伝わってないと気づくと、もっと直接的にズドーンって言葉で伝えてくれるようになって本当にカッコよかったです。
特に、最終話のセリフはときめきました♡
「(砂浜でプロポーズのように跪いて)役に立つから 好きなんじゃない。浅見だから 好きなんだ 」
読後感がすごくいい作品だと思うので、そこも大事なポイントだと思います。要チェックです!
【過去→現在→過去→現在】と展開する時系列の構成がうまい!
先が気になってどんどん読んじゃう面白さ。
【過去】─2年前・高鷹の18歳の誕生日─
↓
【現在】─千歳の20歳の誕生日─
↓
【過去】─3年前・高2で出会い・高3で別れる─
↓
【現在】─千歳の20歳の誕生日─
2年越しの再会♡
キャラ的には、寡黙で照れ屋な高鷹(攻)のほうが、好きが強いのがすごく良い。
再会した千歳の誕生日。
高鷹の部屋で、毎年買ってくれてたっぽいバースデーケーキと2年前から用意してあった飾りつけが出てきてびっくり!
普段クールな高鷹のデレがすごくて…にやけました。
描かれていない空白期間が多くて、二人が別れていた2年間のエピソードとか読んでみたい。
発売日に買ってもう何度も読みました。めちゃくちゃ泣けます!
コッコの夢は『卵を生む』こと。
この物語はコッコとオットが出会い、『卵を生む』までのお話…ではなく
その先の『家族になる』お話です。
BL的には、オットが溺愛攻めに成長していくのがたまらん♡
最初はただのヤリ○ンだったけど、コッコのこと大好き『溺愛スパダリ“夫”』に成長し、さらに家族を守る『パパ』も頑張ってる!
とにかく泣けるので、読んでみてください。
─泣けるシーンをピックアップ─
無精卵と知りながらコッコに卵を用意したオットですが…
亡くなったたまちゃん(孵化しない無精卵)を夜中にお墓から掘り起こしているコッコを見つけます。
『一人ぼっちはさみしいことを私は知っていますから』
と泣きながら卵を抱き締めているコッコの姿を見て、オットは涙が止まりません。
オットは涙を流しながら本音を打ち明けます。
『生まれてから今ほど悲しいと思った瞬間はないんだ』
『無精卵が決して生まれなくても、この卵は俺とコッコの子だったんだ』
一読目は会話の内容が理解できず??『美麗のめっちゃエロい』話でしたが、2回繰り返し読んだら意外にも『相互救済』の話だとわかりました。
この作品の理解が難しいわけは、豊(攻め)の行動原理が理解できないからです。
豊は幼少期に母親に育児放棄され「綺麗に生んでやったんだから、売りでもして生きれば?」と言われたことにより、自分自身を雑に扱ったり、本音を隠したり、愛されることをそもそも諦めていたりしていて、一般論が通じないところがあります。
ぱっと見には、豊の言動は辻褄が合わないことだらけです。
その美青年の豊(攻め)が6000万円も貢いでいるのが、女性向けアダルト系LIVE配信者のレン(受け)です。
レン(受け)も過去に心に傷を負っており、それがきっかけでLIVE配信を始めました。レンは傾聴がうまく、繊細で優しくありながらも男らしく導いてくれる人です。そういう姿勢に豊も惹かれて、リスナーになりました。
1対1のビデオ通話をするうちに、ノンケのはずが配信者側のレンのほうも、美しく魅惑的な豊にどんどん惹かれていき、終には、配信者のレンのほうから『会いたい』と豊にメッセージを送るところから物語は展開されていきます。
ただ、お互い好意を持ってるはずなのに、前述した通り一般論の通じない豊と、レンは話が噛み合わず!?
心に傷を抱えたふたりが、惹かれあい、体を重ね、対話も重ねながら、二人で生きていくための道を探し求める【相互救済・再生】の話です。
極力ネタバレなしでこの作品の良さを語ると…
まずはなんといっても、魅力的すぎる『天授(攻め)』の沼っぷりでしょう!
沼要素を8つ挙げるなら、
【剛腕かつ、3ヶ国語を操る有能さで、周囲に頼りにされる893幹部】
【見惚れるほど美しい刺青】
【曲線美が際立つ筋肉質な身体と丸いおshiri】
【匂い立つ危険なフェロモンとえちの時の甘い言葉攻め】
【悩める(受け)を優しく励ましてくれる包容力】
【カタギの(受け)のため会いたい気持ちを我慢して突き放す優しさと強さ】
【893とギャップのある可愛い響きの方言】
【生い立ちからくる哀愁を帯びた色気】
足を踏み入れたら最後『底なし沼』な男、天授
一迅社さん、帯に偽りなしでしたよ、まさに『沼な男』
沼な男だけじゃなく、この作品の魅力は多岐にわたります
【作画の素晴らしさ】
天授の刺青の作画コストは卒倒レベル!様々なアングルから楽しませてくれる濡れ場シーン
【キャラクター設定の妙】
堅物エリート医師なのに、ちょろくて可愛いピュアなツンデレ受け。舎弟や同僚までみんな優しい世界
【感動的な救済ストーリー】
一読目で2度泣いてしまいました…。
吾瀬わぎもこ先生の作品は大好きで、前作『聞いて、俺の恥ずかしい音』も数冊買ったほどお気に入りなのですが、
今作はよりメッセージ性が強くストーリーが感動的で、沼な男の中毒性もあって、もっと先生の作品が大好きになりました。毎度素敵な作品をありがとうございます。
最後に、まだまだ天授と聖高の生み出す『アフターグロウ』の輝きを眺めていたい人いっぱいいると思います。続編を期待しています!
読者が見たかったもの、全てが詰まった続編!!
1巻を経て2巻を読むと、二人の関係の【友情→愛情→苦悩→成熟】という変遷と成長を感じられて、奥深い作品だなと感心した。
共生契約を結んで、幼馴染から恋人になった二人のあま~くエロい血液交換や本能のままに求め合う繁殖期のシーンは、ズバリこれが見たかったです!というところ。
2巻では、両想いの先にある苦悩が描かれている。
恋が成就し幸せな反面、みつるを死と隣り合わせの世界に引き入れてしまった背徳感に苦しむアンナ(攻)と、守られてばかりの自分の無力さを痛感するみつる(受)。
苦難を乗り越えながら、愛をさらに深め、二人にとって最適なカタチの共生契約とは何か…。
みつるは誘拐され、血液を大量に抜かれてしまう。みつるを助けに来たアンナも敵に刺され出血多量で瀕死の状態。
そこでみつるは、アンナを救うため、自身も貧血でフラフラにもかかわらず、自分の血を限界まで飲ませて気を失ってしまう。
目を覚ましたみつるは、恋人を危険にさらしてしまった自責の念から涙を流すアンナを見て、言葉を発する。
「アンナが俺をお前のものにしてくれたから、 俺にもアンナを助けられた。 俺にお前を守る力をくれてありがとう。」
二人が苦悩を克服した、一番泣けるシーンだった。