肉体的な繋がりではなく、心の繋がりを重視する方に読んでほしい一冊です。
人間の表面しか見ず、あまり深く物事を考えようとしなかった大河の精神的な成長が描かれているのとは対称的に、大河と有馬を取り巻く人々の性に対しての偏見が浮き彫りになります。「性」に固執しすぎず、一人の人間として相手を好きになる大河のひたむきさ、アイデンティティが揺らぎ葛藤する有馬の人間らしさがPEYO先生のあたたかい絵柄で描かれ、まるで一本の青春映画を見ているようでした。
ただ、役と自分を重ね合わせたり、衣装選びでワクワクしたりするなど演劇部ならではのエピソードを入れたお話があれば嬉しかったなという印象です。