以前から気になって、このサイトで読んだ訳では無く単行本を購入したのですが、レビューが書きたくなって登録しました。
上下どちらも内容が豊富で絵柄も自分好みで最初から最後まで引き込まれる…そんなお話でした。
※以下ネタバレありです。
上巻では芳野×伊月の身分違いの恋が儚く綺麗だと思った反面、環の存在が大きく2人の間に割って入り邪魔をする立場で正直好きになれそうにないキャラでした。
どうして間に割って入って、邪魔をして伊月にそこまでの執着を見せるのか謎が深まるばかりだったのですが、下巻を見て酷く胸を打たれました。
身を呈して伊月を止め、自分の片足が不自由になったのにも関わらず2人が幸せになれる様な言葉を言った環にその時はこれでもう2人の邪魔をする役割の人が居なくなって良かった。芳野×伊月に幸あれなんて思ってたのですが、その先のストーリーに感動してしまいました。
環の過去の話も芳野×伊月の様に身分違いから交わる事の出来ない2人の話で、その時代だったからこその苦しい描写が描かれていて、本当に辛かったです。
結城視点に移り変わると感動系に弱い私は目から涙が溢れて止まりませんでした。本当は結ばれたいはずの人とは一緒になれず、その気持ちを押し殺したまま違う人と歩んで行かなければいけない。
胸の内所を話せる人などおらず沢山秘密を抱えて生きてきた結城にとって、環が涙を流した時にはもっと早くに言っていたらなんて本当に後悔したんだろうなとしっかり読み取れました。
そして、その先のストーリーでは比喩表現を用いた結城から環への想いを言い放ち、1晩だけでも交わる事が出来たのは報われて良かった。
と思いましたが、結局のところ結城には家族がいて子供も生まれ本当に1晩。誰にも言えない秘密になったっていう事が事実というのがこの時代ならではって感じで…でも本人達が幸せと感じるのなら良かったと思います。
この本はメリバと言われたらメリバかもしれませんが私からすればハッピーエンドと称されても良いと感じました。
他の方が言っていた通り、簡単に読み返せないけれどこの類が好きな人は必ず読むべきストーリーだと思います。
お気に入りの本が増えました!