都心で美容師をしていた晴輝は、親との約束を果たし実家の美容院を継ぐため、しぶしぶ藤井沢に帰ってきた。
そこで再会したのは幼馴染みで親友だったおとなりの圭治。
海洋学を学ぶ学生だったはずの圭治は、なぜか父親の後を継いで理髪師になっていた。
近くにいると安心をくれると同時にコンプレックスを刺激される晴輝は、圭治の真意がつかめずに混乱するが……
シリーズ通して再読してきましたが、いよいよ藤井沢シリーズも最後です。
最終巻は幼馴染みで理容師×美容師。
ずっと受のことしか見ていなくて、あらゆることでこっそり彼をサポートしてきた一途な攻と、それにはまったく気づかない、単純だけど悩むとぐるぐる系の受。
本来結構簡単に両思いになってもおかしくない状況なのに、コンプレックスとか勘違いで上手くいかない展開にはじれじれさせられます。
前編のハル視点ではどんだけ器がでかいんだよっていう圭司が、後編ではかなりダメな人っぷりをさらしていて、そんなのがかわいいんだよなあなんて思った。
いままでのキャラ集合のラストもとても素敵でした。
やっぱりシリーズものは順番に読むべきだなあと思います。
死者の声が聞こえる――そんな不思議な力を持つ修悟は、誰にも理解されず死んでいった者たちの言葉を伝えるため監察医になった。
現実離れした力のことは誰にも告げていなかった修悟だったが、ある事件をきっかけに知り合った刑事、垣内に力の存在を漏らしてしまう。
なぜか初対面から疑うことなく修悟の力を認めてくれた垣内は、殺人事件への捜査協力を求めてきて……
一匹狼の刑事×死者の声が聞こえる監察医。
事件自体は重めなのだが、肝心のお仕事部分が割とさくっと描かれているので、そのあたりちょっと物足りないような気分になった。
監察医っていうとどうしても頭をよぎるのは椹野先生なんだよなあ……って、さすがに本職と比べるのは無茶だと思うけど。
先生はクールビューティー眼鏡なのに無鉄砲な意外と可愛い人です。
二人の性格付けとかくっつくまでの流れとかは良かったんだけど、ツッコミ所もわりと多め。
いくら相手の名前を明かしてなくても、攻の父(坊主)に恋愛相談を持ちかけてあっさりばれてしかも受け入れられるとか、ちょっと都合がいいような。
別に父親公認のエピソードはなくてもよかったんじゃないかな。
母親を亡くして、たった一人途方に暮れる諒の前に突然現われた金髪の男。
自らの描いた絵を焼き捨てようとしていた諒に、素敵な絵だと言ってくれた彼は、突然のキスだけを残して行ってしまった。
その後、諒は兄だという日本有数の大企業社長、藤井千真に引き取られた。
賑やかな環境になんとか慣れ始めた諒は、兄の仕事相手だとあの時の男、アイザックを紹介されるが、彼はあの日とは別人のように傲慢な人物で……
ストーリーはや流れは悪くないんだけれど、主人公の感情やら行動やらが謎すぎて着いていけなかった。
攻と出会って殺し文句だけ吐いてキスっていうのは、まあBLではよくあることのような気がするんだけど、再会して俺様モード全開(もはや別人)になった彼に対して強気というか、ややぶっ飛んだ挑発をしかける主人公。
あれ、この人もなんかキャラ違う……
そんな違和感を引きずったまま読み終わりました。
大金持ちの兄弟がごく普通にわいわいしてる様子はちょっとかわいかったです。
これ書いてて改めて思ったけど、タイトルの金髪にはエゴイストというルビが振ってあります。
金髪=エゴイストって、その発想はなかった。
シリーズの1巻と言うことで、もちろん続編も出ている訳ですが、そちらのタイトルもなかなかすごいです。
野獣にシャチョウって書いてあったのには口からなんか出そうになった。
機会があったら読んでみたい、ような気もする。
元気が取り柄のごく普通の高校生、七瀬は最近不思議な夢に悩まされている。
ファンタジーRPGのような世界で七瀬は羽のある男と言い争っていた。
ただの夢だと忘れかけたころ、七瀬の前に夢の男が現われた。
「お前が誰のものか思い出させてやる」と襲いかかってきた男にあらがえない七瀬だったが……
魔界の皇帝の息子×彼から逃げるために人間に転成した下級悪魔。
あらすじや設定からもっとトンデモな内容を想像したけれど、お互い言葉の足りなさからのすれ違いという意外に王道な内容でした。
攻は地位も力もあるせいで自分の気持ちを言葉にすることを知らないし、受は受で意地っぱりだから余計にややこしいことに。
最後、泣き出してしまったた受にあわあわする魔皇子はかわいかったです。
君たちお互いもっと素直に気持ちを言葉にすればいいと思うよ。
ライトに楽しめる一冊。
訳あって弁護士を辞めた花戸は今は俳優をしている友人、依光のマネージャーをしている。
ある日依光の出演する映画の試写会で妙にノリの軽い男、箕島と出会う。会うなり口説いてくるような男は、以前傷心の花戸が一度だけ関係を持ったことが
ある人物。
ルール違反だと責める花戸を悪びれもなく口説いてくる箕島だったが……
俳優さんシリーズ4冊目。
2巻と3巻をすっ飛ばしてここまできたため、途中出てくるサブキャラの色々がよくわらかずちょっともやっとしてしまいました。
自業自得なんだけどさ。
一巻の印象しかないので、監督さんは一体どんな人なの?!っていうのが今一番の謎(笑)
キャリア警官×芸能人のマネージャー(元弁護士)
クールビューティに見えるけど実は結構思いこみが激しくぐるぐる系な受と、ちゃらいようで滅茶苦茶度量の大きな攻。
花ちゃんは過去を引きずっているけれど、あんまりじめっとしていないのがいいよね。
正直もうちょっと揉めるのかと思ったけれど、田方さん事件後は意外とあっさり。
またちゃんとシリーズ頭から読み返そうと思います。
平凡なサラリーマンとして暮らしていた亮は、ある日突然自分の体臭が変わったことに気づいた。
周りの人や妻に顔を背けられ、途方に暮れる亮は、川辺に住む老人からプールに行くように助言される。
藁にもすがる気持ちで訪れたプールで、彼は一人の青年と出会う。
それは言葉では表せないような、軌跡のような邂逅だった……
JUNEっぽい世界観にはどこか懐かさを感じた。
ごく普通の妻子持ちのサラリーマンが、水の中では輝く鱗を持ち雄雌で惹かれ逢うそんな生き物である自分に目覚める。
裏表紙のあらすじの「もしかして、私は。臭っているのではないだろうか。」は秀逸(笑)
奇抜で大胆な設定だけど、あらがえない衝動や二人が強烈に惹かれていく様子は切なくて良い。
どんどん匠との逢瀬にのめり込んでいく亮に、なんて奥さんが不憫なんだと思いながら読んだけれど、そのあたりもちゃんとフォローされていてびっくりした。すごいね。
同時収録の『デリート』
吸血鬼モノは、いいのだが……
かなり盛大にひっくり返るラストに結局なんだったの?感はぬぐえないまま終ってしまった。
フードスタイリスト見習いの知明の元に、ある日一本の電話がかかってきた。
叔母の夫だと名乗るその人物は、ぶっきらぼうに彼女の死を告げる。
墓参り代わりに訪ねた家で見た夫、慈雨は明るかった叔母とは対照的にどこか陰のある男だった。
同棲中の彼女に手ひどく裏切られたばかりだった知明は、酔った勢いで慈雨の家に置いてもらう約束をするのだが……
フードスタイリストの卵×天の邪鬼な翻訳家で甥×義理の叔父。
どこかさみしい人同士が惹かれあって、幸せになる話っていいよね。
素直じゃない年上の男に振り回される知明くんが意外と大物なのが楽しかったです。
恋愛感情ではなくても慈雨が実華子さんに向けていた気持ちがとにかく優しくて切なくて、作中のエッセイはかなりぐっときた。
実華子さんの過去とか、周りを巻き込んだ真実とかは結構ハードだけれども、だからこそこれからの知明と慈雨の幸せを願わずにはいられない。
信頼していた同僚、永瀬に裏切られ、ヤケになっていた京一の前に現われたのは、印象的な声をした謎の男、梶本だった。
京一と同じく永瀬に恨みを持つという梶本は、京一の復讐を手伝ってやるというのだが……
書き下ろしSS目当てにノベルズ版から買い換え。
ダサイ眼鏡は磨けば実はカワイコちゃんだった。そんなお約束の上にありながらも、普通のマイフェアレディものに落ち着かない無茶っぷりが好き。
仕事で自分を裏切った親友に復讐するために、橋の上で知り合った男の力を借りて色仕掛け?!
BLファンタジー全開な世界観かと思ったら実はそうでもない妙なリアリティと展開の意外性が素敵です。
傲慢俺様な梶原が実は子供っぽいダメな人っていうのが結構ツボかもしれません。
書き下ろしもちゃんとラブラブで満足な一冊でした。
人の罪を喰らう天使憑きの聖良は、教会の手から逃げ出したものの天使憑きを憎む悪魔憑きたちに囚われてしまう。
――誰にも「抱いてください」と言わずに生きて朝を迎えられたら開放してやろう――
満月の夜、悪魔憑きのリーダー叶枝から無理矢理隠微なゲームを仕掛けられた聖良の運命は……
天使憑きの男悪魔サイド。
高宮さんのキレイなイラストとハードでエロスな中身とのギャップが楽しいです。
羽に心臓、それから喰罪。
萌えと性感帯がいっぱいで大変楽しいです。
天使憑きや悪魔憑きについての情報が少なすぎて若干もやっと感が残ったまま終ってしまったのですが、悪魔憑きについて詳しく語られる今回やっと色々なものが腑に落ちた気がします。
スピンオフっていうよりは二冊で一つの世界観かも。
天使憑きと悪魔憑きの確執や、教会。
こんな重い過去があったのかと驚いた。
憎しみとか寂しさとか葛藤とかがちゃんと書いてくれるのはうれしいなあ。
慎とユキちゃんが幸せそうでなによりです。
個人的にナユタの今後が気になります。
幼い頃から人として扱われてこなかった彼が、少しずつ人間に戻っていく話とかが読みたいなあと妄想する今日この頃。