無性に年下攻が読みたくなり、購入。
読み始める前は、あちらこちらで章彦(受)が「お花畑」だの「可愛い」だのと言われていたので、一体どんな不思議ちゃん受が来るのかと身構えていましたが、そんな心配は必要ありませんでした(笑)
全体的な雰囲気はほのぼのアットホームですが、章彦はちゃんと地に足のついた28歳の社会人男性(ただし極度のブラコン)としてきちんと書かれてました(笑)
最初は、重度のブラコン故に妙な勘違いをし始めた章彦を、余裕の態度でからかっていた高林(攻)ですが、本当に章彦に惚れていくうちに、逆にどんどん純情化していくのが可愛かったです。
当初は「(好みとして)アウト」判定だったのに、最後は自分の発言を想像して妬き始める始末。
でも、妬き方も可愛かったです。
読了後の後味がとても良い作品でした。
原作が好きなので、初めてこの作家さんの本を購入しました。
原作で振られた横澤が報われてよかった、というのが率直な感想です。
しかし、桐嶋がどのタイミングで横澤を好きになったのかが、いまいち分かりませんでした。
原作者さんがどこまでプロットを書いてるのか(または書いてないのか)は分かりませんが、この作家さんは膨らませて書いて欲しいと思うような美味しいエピソードを、あっさりとした説明文で終わらせてしまうなぁ、というのが正直な印象です。
あと、読み落としていたら申し訳ないのですが、最後に横澤が手にしていたものが、何の描写もなく、いつの間にかなくなっていたような気がします(不思議だったので何度も読み返したのですが…)。
原作がお好きな方にはおススメです。
こちらのサイトで評価が良かったので、初めて購入した作家さんでした。
表紙も綺麗でとても今風だったので、期待せずに読み始めました(ごめんなさい)。
1話目(蓮視点)は「まぁ、そうならなきゃBLとして成立しないよね」ぐらいにしか思わなかったのですが。
2話目(蓮視点)は、どちらの言い分もよく分かる。染み付いた不幸体質のせいでマイナス思考から抜け出せない蓮の気持ちも、甘えてもくれない・本音も見せない恋人に対する加賀谷の淋しさも。
無欲であることで自分を保とうとする蓮が、クリスマスの夜に加賀谷へ欲したものは、それを願うことすらも蓮にとっては怖いことだったんだろうと思います。
でも、蓮はそれを言葉にして伝えるほどに強く望んだ。それは蓮にとってさぞ勇気の要ることだったんだろうなぁ、と思うと、思わずほろりときてしまいました。
3話目に加賀谷視点を持ってきたことで、1話&2話の蓮の切なさがすべて報われたような気がします。
加賀谷がプレゼントを贈ろうと思った経緯や想い・願いに、加賀谷の静かだけれど深くて揺るがない想いをひしひしと感じました。
決して大号泣するような、派手な作品ではありません。
しかし読了後、温かくて心地の良いものがじわじわと心に沁みてきます。
それは日に日に大きくなり、気がつけばこの本を手にとって読み返してしまいます。
まさに表紙イラストのように、ゆっくりと水面に広がる波紋のような、灰色の空に静かに降り積もる雪のような、そんな癖になる本です。