そんな作品。
私にとって、大河内に驚くほど感情移入ができないお話でした。
普通主人公に少なからず共感してしまうのに、冷めた感情しか湧きませんでした。
大河内がライバルである植木の部下というだけで、青池に存在を無視するように酷くあたった。その事実が明らかにされた時点で、大河内に同情しようという思いは最後までありませんでした。
青池が可哀相で仕方がなかったです。青池好きな私の意見ですが。
抑え切れないほど恨みを持った青池は、大河内を犬として扱い、放尿、全裸に首輪、ドッグフード、嘔吐、素晴らしい調教に拍手でした(笑)
大河内も「やっ…やめっ…」ではなく「うわぁぁあああああああ」。
調教系が苦手な方には本当にオススメ致しません…(^_^;)
青池の「愛しています」にゾクッとしましたね。木原先生怖いです。
本当に木原先生の攻め様は魅力に溢れています。
後半「ADDICT」にて。
青池が大河内を好きで好きで、優しくしたいのに受け入れてくれない事に不安がってなかなか監禁道具を外せない。
段々好かれているかも…?と思い始める青池。
初めて枷を外した時の青池のドキドキっぷりと言えば…。本当に健気なんです。誰よりも。
それから二人のラブラブっぷりに知らぬ間に涙が出ていました。ラブラブというより、青池の想いが溢れていた、という感じですが。
しょうもない大河内がどうしようもなく好きな青池。
今まで犬のように扱ってきたのに、いざ本番の時はすごく優しくしようとするのが伝わって、涙がぼろぼろ零れました。
痛い表現が多い分、このシーンは最高でした。
二人は本当恋人だなと思い、幸せモードでラストに突入。
私も青池と同じで完全に気を抜いていました。今読んでるのは木原先生の作品だということを忘れて幸せに浸っていました…。
家に帰ると大河内の荷物が全て無くなっていて焦る青池。
私も信じていなくて、「お母さんがどうかしたのかな…大丈夫かな」と思っていました。
しかし大河内が書き残した
「死ね」
この言葉が目に入った瞬間、「あ、木原音瀬先生だ」とふと思いました。最後数十ページになっても。普通には終わらせてくれない。
前に読んだのが「薔薇色の人生」だったもので!
当然の如くラブラブエンドだろうと浮かれたのが、ガーンと殴られた感覚です。
ラスト、あの憎しみが戻って来ました。
大河内が憎い。大河内が好きな自分も憎い。それでも狂うほど愛している。
大河内も自分を否定して、青池への憎しみで自分を守ろうとしている。
この作品は、ただ感想を述べろ、と言われても何て言えばいいのかわからないのです。
魂ごっそり持って行かれました。他にはない作品です。