隣人で幼馴染の月王から告白された衛星。
あんなに仲が良かったのに、拒絶してしまった気まずさから避けてしまっていた。
そんな時、元カノにSNSで「セックスが下手」と言われてしまった。
不登校になり、一人ネガティブな闇に飲み込まれそうになっていた深夜に、
ベランダから見下ろした先には、女性に送られて帰宅した月王の姿。
「おいで」とジェスチャーで誘われて、久しぶりに月王の部屋に入った衛星は、
そのまま月王の隣で眠った。
それから度々月王の部屋を訪れるようになった衛星だが、
月王は女性に呼び出されて、衛星を部屋に置いたまま出かけてしまった。
告白してきたのは断ったのに、今も好きでいてくれないことにスネる大型わんこの可愛さ。
やっと自分の手の内に落ちてくる、とクモみたいに笑う黒髪ストレート、マスク姿の「待ってました!」感。
いや、こうはならんやろ、って展開になるんだけれども、
不思議とそれがテンポよく描かれるとするっと飲み込めちゃう不思議な魅力の作品でした。
拗らせ系というのかなぁ。
でも、今まで読んできた拗らせ系と一緒に並べるのはなんか違う気がします。
線の細い受けはちょっと……という方におすすめしたい一冊です。
獣人と人間が共存する世界。
トロイが働く研究室に、お手伝いとしてやってきた人間は、
人懐っこく、周りの人間ともすぐに打ち解けた。
「はじめまして」とあいさつされたものの、
人間と主人公には、面識があった。
オメガバースではないのですが、獣人にある「発情期」がポイントになる作品。
オメガバースが苦手な人でもこの作品は楽しめると思います。
寡黙でとっつきにくい攻めと、いわゆる天然の陽キャラの組み合わせは、
BLにおける「基本公式」みたいなものだと思うんですよね。
なお、タイトルの「リリーサー」というのは
動物で、「ほかの個体に特定の行動を起こさせる要因となるもの、だそうです。
読み終えた今、「なるほどー!」と膝を打つタイトルでした。
10年前、ふとした出会いから「救われた」経験をもつ主人公。
その想いを秘めたまま、その救ってくれた「神様」の秘書として傍で働いてきた。
気持ちはずっと隠していくつもりだったのに……
神様は、「恋愛を知りたい」と言い出し、相手に自分を指名してきた。
隠していた気持ちはバレてしまい、神様はぐいぐいと迫ってくる。
崇拝といってもいい気持ちを抱き、
全力で社長秘書として奔走していて、その状況で満足していたのに、
なんせ恋愛童貞の相手はホントぐいぐい迫ってくるっていうシチュエーションがおいしすぎて!
何されてもどきどきするし、翻弄されまくって、それがかわいすぎました。
途中出てくる社長の兄弟やおじさんたちが個人的にツボ。
かっこいい一族はBL読みには宝ですからねぇ。
ブルジョア攻めとしても良作ですが、無理のない金持ち感が読んでいてきもちいいです。
料理のおいしそうな描写や、スーツの描写、
社長室の調度品に至るまで、「目がおいしい」でした!
実家の庭の手入れをする庭師の彼の第一印象は最悪だった。
仏頂面で、愛想がなくて。
けれど、次に会った時にその印象が覆されます。
ピアスがいっぱい、不愛想、そんな彼は、
実は照れ屋で笑顔が可愛くて。
気付けば彼の姿を目で追っていたけれど、
彼は庭の手入れが終われば会えなくなってしまう……。
これ、友達にもおすすめしたんですが、
ピアスで仏頂面の彼、年上なんですが、「受け!」です。
読んでいくとわかるんですが、彼のほうがかわいいので、納得の結果なんですけどね。
可愛いけど主人公の気持ちを受け止めてくれる懐の深さを持ってる。
だから彼のほうが受けなんです!
しっかりやってることはやってるけど、
すっごいピュアでムネアツな作品です。
つか、何日も庭師さんが複数人入る庭持ってる実家って。
主人公ボンボンですなぁ。
わけあって無職の主人公は、安いアパートに引っ越してきて現在休職中。
傷心中とはいえ、そろそろ何か行動を起こさねばと思っていたところ、
買い物から戻った自宅に知らない男がいるのを発見する。
彼は「座敷童子」だと名乗り、出世をサポートしてくれるという。
前職を辞めた原因がけっこうひどくて、
その後の職場の様子も作中に出てくるんですが、なかなか胸糞で、
そりゃあ座敷童子ぐらい出てこなきゃな!と同情を禁じえません。
が、ゲイの主人公の元にめっちゃタイプのおじさま型座敷童子がくるのは
正直出来過ぎだと思うよ?!
しかも200年ぐらい生きてるという座敷童子は家事もお手の物で、
実体化できるほか、姿を消してしまうこともできるっていう。
大抵は現れるな、と宿主は願うらしいんですが、
主人公は途中から彼と共同生活を送ることを選ぶんですよねぇ。
あ、えっちはなかなか煽情的です。
こんなことはしたことない、と言ってたわりにはけっこう煽情的なえっちします、この座敷童子。
そういう点もおすすめなんですが
この作品の一番のおすすめは、全体的な雰囲気。
最初から最後まで、たぶんこの座敷童子さんの持ってるふんわかほんわかした
包容力みたいなあったかさがあるんですね。
人間臭さ、っていうのかなぁ。
じんわりくるものがあります。
ただなんというかタイトルと内容がどうも個人的にしっくりこないので、
それだけちょっとマイナスかなぁ……。
スピンオフ作品なんですね。
知らずに読んだので背景がわかりづらかったです。
というか
・家柄がよい男子が通う男子校(全寮制)
・上級生が下級生を囲う制度がある
あと、わっるい上級生がいて、いろんな過去があって
ふいにわんこ属性の1年か2年生がそれに巻き込まれてしまう、って
どこかでみた設定だなぁと思いながら読んでました。
が、一冊読み切って「やっぱりどこかで読んだことあるなぁ」としか思えなかったです。
作中でちょっとした事件が起こるのですが、
普通なら警察沙汰になるところがさっと場面転換でどうなったか誤魔化されてしまっていて
それってどうなの、そりゃ良家の子息の通う学校だから
内々に済ませてるのかもしれないけど……とモヤモヤしてしまいました。
写真部の主人公は、校内で様々な写真を撮っては、
主に女子生徒に好評をいただいている。
その被写体の一人であるバスケ部の正太朗は、幼馴染。
ファインダー越しに見つめるしかない気持ちを隠し続けていたが、
毎度女子からの告白を断り続ける正太朗から
「好きな人がいる」と聞かされてしまって。
両片思いなんですよ。
お互いにずーっと秘めてた恋心があって。
その想いをどうしたらいいかって思いながら毎日をすごく近いところで過ごしてる。
新装版とのことで、ずいぶん前に発行された作品だったようですが
正直拝見していなくて、この機会に読めて本当によかったと思いました。
こんな作品なんで読んでなかったかね、自分?!
まるで削りすぎた鉛筆が、真っ白なピンとはった紙の上をすべるように
恋愛、というか「恋」と言われて多くの人が思うような
純粋なものを読んだ気がします。
というより、この作品が合わない人っているのかなぁ……
あらゆる年代、あらゆる属性の人に合うと思う。
※『ラブクオリア』『ラブインダルジュ』『ラブイグナイト」と現在3冊続くシリーズの3冊目です。
人肌に触れることで癒しを提供する
ボーイズタッチバー
これ私だけなんですかね。
一作目の東さんと今作の攻めの雪平さんが
「見分けづらい!!!」
二人共黒髪なのが悪いんだ……
わりと大人みのある攻めが続いてきたシリーズ
今回はわんこな年下攻めです。
東さんの経営するダーツバーで働くバーテンダーくんが主人公です。
過去に「手ほどき」をしたことがある攻めが2年越しに現れ、
その夜を過ごそうとしていたモブを追い出してしまいます。
えっちになだれ込んだのもつかの間、ピロートーク…
というところで一瞬のスキをつかれて攻めくんは主人公を逃がしてしまうんですが……
再び目の前に現れて引き抜きの話をはじめます。
主人公は以前攻めの務めるホテルのバーでバーテンをやっていて
取り戻すために攻めくんはやってきたのでした……
過去「手ほどきを受けていた」ときの描写もあるんですが、
それがとっても初々しい。
前半でみせた濃厚えっちを見ただけにそのギャップがすごいですよ~~
(つまり、つたないエッチからとろとろエッチまで一冊で楽しめるんです!!)
ある意味BLのいいとこドリな一冊ですね。
さて、この作品続くんでしょうか。
一通り登場人物出尽くした感があるんですが。
※『ラブクオリア』『ラブインダルジュ』『ラブイグナイト」と現在3冊続くシリーズの2冊目です。
人肌に触れることで癒しを提供する
ボーイズタッチバー
失恋した主人公は、勇気を出してバーへ訪れ、
誘われて自身もバーテンダーとして働き始めることに。
一か月経過したものの、指名はゼロ。
内向的な性格のせいか、と悩んでいたところ、
お店に入ってきた目立つ客。
初指名に舞い上がって、逆にフォローさせてしまい
もらった指名料を返却すると
埋め合わせに、とアフターに誘われてしまう。
アフターはお店で禁止されているのだが……
お客さんはライターさんで、珍しい「ボーイズタッチバー」の取材にきていたんですが、
それを隠しているんですが
当然のようにそれが要因で拗れてしまうんですよね。
さらに相手は恋愛下手で内向的。
そりゃあもう、また拗れてしまうわけですよ。
個人的に主人公のお名前「翔音(ショーン)」がどうにもなれなくて最後まで違和感があったのと、
前作とのテイストの違いがすごくてハマりきれなかったのが残念。
古い人間ですいません。
でもやっぱり登場人物のお名前ってすごく気になる人間なんです……トホホ