今回は、精神的に追い詰められる主人公が、神がかり的に素敵な攻めに、救われるお話です。
安西は、高校時代に学校の先生から性的悪戯をされ、なんとその場を、想いを寄せていた奥村に見られ助けられました。若かった2人は何も出来ず離れ離れに。
数年後、偶然再会した時の奥村は成長し、またしても会社でいじめられている安西を、さっさと辞めさせ、鮮やかな手際で救っていきます。
奥村は、どこまでも安西の気持ちを大切に、自然体で見守ります。
一方、若かりし頃の過ちで妊娠できなくなってしまった喜多村はるひ。ずっと好きだった幼馴染に告白されるも、受けられない。(涙)
どころか、気のないそぶりで断るはるひ。
だがその幼馴染の森は、はるひに恋人が出来るまで諦めず。
若い頃の過失に悩み続ける2人が、決してその不運を人の所為にせず、自分の罪とする自立心の高さに、尊敬の念を禁じ得ません。
また、だからこそ救われた時の幸福感が、尋常じゃない。
ちるちるさんでこの感想は無いかも。30年前の私なら喜多村はるひには、ムカついてました。仕事の先輩をだしに使うなんて最低だと。ババァになると、悩みもがき苦しんでいる様子が生きてるなぁと。こんな感想読ませてしまいスミマセン。m(__)m
松尾マアタ先生のイラストもマッチし、月村Worldにひたりました。月村先生、ありがとうございました。
以下、思いっきりネタバレ(たねあかし)です。これから読まれる方は読まないでください。
引きこもりの律をして、ホテルのコンシェルジユに就かせるほどの強い想い。憎しみから始まったかもですが、上司の青山さんが、悪い方向に進ませなかったのですね。タラシの望海さんに恋人ができなかったのは、彼の仕業かなぁ。
一方、同情したばかりに職を追われ、自分に復讐する為捜査対象とされ『ザマーミロ』と、罵られても、彼に愛情を向ける大らかな望海。律の、表面しか愛されてないという疑いの壁は、瞬間的に崩落しましたね。
いえ、壁というほどのものではなかったか。ハムラッシュの死に際したコンシェルジユの涙は、再会の喜びであり、ハムスターの死にも落ち込んでしまう、意外にも孤独な彼への思慕ではなかったか。
本領発揮の一途な律くんを、もっと覗いてみたかった。あらためて考えると、律は、青山さんをも牽制してたのかもしれません。したたかですね。
三月先生、楽しい時間をありがとうございました。