非常に叙情的な文章で、恋をして制御しきれなくなった体や気持ちをじっくり描いた作品でした。
前半はアレクサンダーが照葉に熱烈に迫ります。照葉も始めこそ情熱に流されるように関係を持ちますが、社会的な立場や初恋の人をまだ忘れられないため、アレクサンダーに傾いていく気持ちが受け入れきれなくて狭間で悩みます。悩むけど恋する気持ちが止められない。それで、ふたりの関係は主にベッドの中になるのですが、これがもう、赤面もののエロさでびっくり。……大人ってやらしいですね(汗)
後半は、照葉は愛していた彼に巡り会えたものの今度は、別の問題が立ちあがり……。
読み終わり、恋ってなんだろう、と考えさせられました。
というのは、照葉は、初恋の人をずっと心に住まわせていて、毎年春にはその報われなかった恋を思い出す習慣があるのですが、実は、その初恋の彼に再会したときは……、というお話なのです。
愛しているはずなのに、時間も場所も遠くなりすぎてしまった人。恋した思いだけを反芻して、ネタバレになるので言及は避けますが、照葉が深く傷ついた部分は読んでいて痛くてたまりませんでした。
記憶は薄れてしまっても、体も心の奥の部分も敏感にその人を見いだして求めた、けれど、照葉の表面的な心は、初恋の彼を裏切ることができなくて……そんな話でしょうか。
恋する体と心の神秘を感じました。
恋の気持ちもディープでしたが、大人として体で恋する?場面もとても多くて激しかったです。
この著者の前作も読んでいたので、差の激しさにびっくりしました(^^;)
王道のラブロマンスにどっぷり浸れれば楽しめます。
学生時代は遠く彼方になってしまった方、うんと大人になってしまった方にお勧めしたい一冊です。
胸にずしりと来るお話でした。