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女性しばいぬさんさん

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褐色ガチムチ美人受を執着超えた愛重すぎ攻が救済する話

他のレビュアー様も書かれているように、この作品は前作の「濡れた王は千夜一夜の夢をみる」のスピンオフ。私はどちらも読みましたが、個人的にはこちらの「暁の鳥は濡れた月に跪く」のほうが好きでした。話の内容的に、前作を読んでからこちらを読んでいただいたほうが作品理解が深まると思います。

ただ、この作品。かなり重たくて、受の心の闇の深さが半端ない。そして、攻の巧妙な救済はお見事なんですけど、攻もかなり重たい。いろんな意味での重厚BLとなっておりますので、ご留意ください。

この作品の主人公である受のシャリフは石油王で超大金持ち。赤い瞳を持つ超美男子で、何不自由ない環境で育ってきたのかと思いきや、実は彼は実父による性的虐待を受けており、心に大きな傷を抱える孤独な青年なんです。

それだけではなく、シャリフは実父からの性的虐待を連鎖的にしてしまうように、自分もまた、幼い実弟であるアザムに性的虐待をしてしまいます。

シャリフは実父に性的虐待を受けていることを誰にも言えず、1人孤独に苦しんでいた。そのうち幼い実弟であるアザムを自分と同じ境遇にし道連れにすることで、深い孤独や苦しみから逃れようとします。

が、しかし。被害者にも加害者にもなった自分には結果的には誰もいない。誰も自分を愛してくれない。だから同じ苦しみを無理やり分かち合わせたアザムの存在だけしか頼れるものはない。

もう、シャリフの心は闇、闇、闇…。もう、精神状態を保つだけでもいっぱいいっぱいなんですよね。

そんな折、シャリフの学生時代の同級生である絢斗と久しぶりに再会します。しかしこれは絢斗の巧みな戦術で、絢斗はシャリフが唯一心を許す幼なじみのアミルを介さずに、自然と社交の場で再びシャリフと出会えるよう、クラブのオーナーになっているんです。

好きな男と再び再会するためだけに、起業してクラブのオーナーにまでなってしまう絢斗。もう根本的なところから執着がすごい。

絢斗はシャリフの心の苦しみを理解し、彼を救済へと誘うのですが、久しぶりの再会からずーっと、シャリフへ崇拝とも言える言葉と態度で接するんです。

「僕の世界には君だけが君臨している」
「僕を君だけのものにして」

絢斗にとって、シャリフって本当に何者なの…(汗)と思うくらいの激重愛。ただ、絢斗はもう心が壊れかけているシャリフを救いたい一心なんですよね。

アザムを犯してアザムに与えた苦痛とその罪悪感に苦しむ一方、男(絢斗)に抱かれると嫌悪感を感じつつも、一方的に己の罪を贖えている錯覚で満たされ、この負のループから抜け出せない。

絢斗の冷静で的確なシャリフの心理状態の解説はすごいの一言。そして、アザムの前でシャリフを抱き、シャリフの罪悪感を開放させる。

絢斗がものすごく言葉巧みで、シャリフも複雑な思いを抱えている人なので、とにかく作品中のセリフが練りに練られていて、私は途中で、えっ?えっ?って何度も読み直して、一言ずつ解釈していく、そんな感じでした。

そしてこの作者様はとにかく絵が美しい。そして、絵も美麗なのも相まって、とにかくセックスシーンがエロい。

私は最初、絵の美麗さに目が奪われ、さらに、何よりもガチムチ受が大好きなので、褐色!筋肉!受!という時点で、もうめちゃくちゃハマりました。

そしたら、もう心の闇が深すぎて、兄貴(シャリフ)も可哀想だし、弟(アザム)も可哀想だし、シャリフと絢斗とのあまりにも濃密な関係性とその救済劇に、もう、これ、BLなの…?と思うくらいのインパクトでした。

ストーリーの重厚さから言えば、前作よりも厚みがあるかなと。好みの問題はありますので、なんとも言えませんが、とりあえず闇度合いは前作よりも勝っていると思います。

そして、前作、今作とも、攻より身体が大きく、(と言っても、絢斗とシャリフは同じくらいか)褐色のがっちり体型が受ってところが、私には刺さりまくりでした。作者様の好みなのかな、とも思いますが、刺さる方にはぜひオススメしたいです。

本当に高校生の世界なの…?ガチな権力ゲームがすごすぎる

ついに5巻まできました!今回の装丁は濃紺!今まで白が多かった装丁でしたが、一気に濃紺へ…。物語も不穏な空気満載でこの巻を象徴するよう…。表紙は和泉先生に後ろから目隠しされる葵木先輩…。震えます…。

何しても葵木先輩が気になる春太。辻や三富のアドバイスもあり勇気を出して、葵木先輩を週末デートに誘います。

春太に合わせてカジュアルなファッションで待ち合わせ場所にくる葵木先輩!もう何を着てもかっこいい!!映画見たり牛丼食べたりして、高校生らしいいたって庶民のデートを楽しみます。

そんな葵木先輩ですが、夜は四逸のメンバーと豪華で洗練されたファッションで四逸御用達のクラブへ。春太と葵木先輩の住む世界の対比がすごいです。

このとき、葵木先輩が春太とのデートを揶揄されるんだけど、蓮宮がフォローしてくれるんです。蓮宮って最初の頃、何を考えているのかよくわからないキャラだったんですけど、何気に葵木先輩の良き理解者であり、実は1番物事を冷静に大局的に見ている人なんですよね。

お酒を飲んでホテルで目覚めたところ蓮宮から葵木先輩に電話があり、すぐにそこを出ろとアドバイスが。こんなふうに自分を崩してしまうほど隙がある葵木先輩は初めてです。

その帰り道、春太とのデートを揶揄した男の罠にはめられ、葵木先輩は大ピンチ!朦朧とする中、春太の家に到着して倒れてしまいます。

本当は春太の家でお家デートをする予定だったんですよね。なかなか来ない葵木先輩を待ってたら、突然Ωの発情に当てられた葵木先輩がびしょ濡れでやってきて目の前で倒れてしまい、春太もびっくりです。

そんな今まで見たこともない葵木先輩の姿を見て、ますます葵木先輩の側にいて葵木先輩の力になりたいと思う春太。

春太が明らかに葵木先輩に特別扱いされているのは傍目にもわかるので、それをやっかむ奴らにはめられそうになる春太。またまた春太のピンチに葵木先輩が駆けつけ、事なきを得ましたが、葵木先輩に激怒されます。

ここの葵木先輩が助けにきてくれるところで、発情誘発剤でできたアメを葵木先輩が春太にキスして口から取り出すんですけど、葵木先輩のキスシーンが!めっちゃかっこよくて、これは今後来るかもしれないセックスシーンとかどうなっちゃうの~と妄想が膨らみました(笑)

春太は和泉先生から葵木先輩の過去に起きた出来事を聞くんですよね。それは葵木先輩の懇意にしていたΩが発情誘発剤の犠牲になってしまったこと。おそらく、レイプされてしまったのかなと…。

それを聞いた春太は自分の不用意さで罠にはめられてしまったことを猛省し、葵木先輩に謝りに行くんです。でも、この事件をきっかけに葵木先輩は春太を側に置くのをやめると春太に告げます。

そして5巻最後の場面。私は読み進めながら、えっ…!!??って二度見してしまいました…。和泉先生のうなじに噛み跡…!?

この作品、もはやBLというジャンルでは語れなくなってきているなと。ほんとにおまいら、高校生なのか…?と思うような校内での権力ゲーム。1度痛い目見たやつのなりふり構わない復讐。四逸出身という肩書を持つものによって綿々と受け継がれる、社会を牛耳る権力者たち。

もうありとあらゆる人間の欲望や権力への渇望なんかが描かれて、高校生の淡いBLとか、なんだっけ?状態になっています。

葵木先輩はそういった権力ゲームのえげつなさ、権力者たちのしがらみなど、表面だけの煌びやかな世界とは真逆の、権力を持つものが見せるドロドロとした裏面を知り尽くしているだけに、春太をそういう世界に引き込んでしまうことを躊躇していたんですけど、春太が発情誘発剤を故意に与えられた事件が起きたことで、春太と一線を画そうとしたんだと思います。

5巻を費やしてもなお、主人公たちの恋愛はなかなか進まないし、葵木先輩もはっきりしない…。それに5巻の最後で、えー!?な展開。ここまで物語の展開を作れる作者様、本当にすごいです…。

本当に最後どうなるんだろう…。それにスイスに行ってる那治が帰国したらまたまたどうなるんだろう…。蓮宮のサングラスもまだ外されていないし(?)、とにかくいろいろ気になって仕方ない。

絶対最後まで見届けたいと思います!

Wet Sand 電子 コミック

DOYAK 

読者を引き込む圧巻のストーリー展開!!

※2023年7月10日時点で未完。韓国語版ではシーズン1が終了(日本語版も追ってシーズン1終了予定)

先日、韓国語版でシーズン1が終わりこのあとしばらくの休載期間を経てシーズン2に移る予定ですが、もはやシーズン1があまりにすごすぎて、シーズン1終了時点ではありますが投稿してしまいました。

以降はネタバレもありますので、ご注意ください。また、読者それぞれの解釈があると思いますのであくまで私の感想です。

この作品はアメリカのアジアンタウンを舞台に、主人公の3人の男(韓国系移民である2人の男と、イタリア人と韓国人のハーフの男)が織りなす三角関係(攻が2人、受が1人)のストーリーです。

攻の1人、オ・テジュン(TJ)と受のシン・ヨンウ(イアン)は出逢ってから19年間も一緒にいる、お互いにたった1人だけの家族であり友人でありセックスパートナーでもある特別な絆がある関係です。(※イアンはヨンウの英語名。以下、イアンで統一記載します)

テジュンは顔に大きな傷、身体にもたくさんのタトゥーがある大柄で筋肉質で色気もあるイケメン。イアンはすれ違えば誰しもが振り返るくらいの美貌と紫色の瞳を持つミステリアスで色気がすごい超イケメン!

テジュンはアジア系移民で組織化されたギャングの幹部。イアンもその構成員でしたが現在は脱退しています。

この2人、テジュンは幼い頃に事故で家族全員を亡くし、イアンは母子家庭でネグレクトな状態で育つというような、非常に不遇な子供時代を過ごすんです。2人がどのようにして出逢って現在のような関係になっていったのかはまだ全て明らかにされていませんが、2人に共通するのは親からの無償の愛を心から感じ、なんの心配もなく育つべき子供時代にそれが失われ、子供時代に受けた大きな心の傷を抱えていること。

テジュンとイアンは子供時代に十分な愛情を受けられなかったことや、親という保護者を失い、この世界に取り残されてずっと2人で肩寄せ合いながら生きてきたんだな、と容易にわかる描写が出てきます。

また、まだまだ親の庇護が必要なときに自分達だけで生きていかなければならない過酷な運命を背負わされ、生きていくためにギャングの道を選ぶに至った。

この2人の過去、現在。そしてそれをバックグラウンドにしたうえでの、お互いへの存在の大きさ、お互いへの愛。この描写がとにかく圧巻なんです。すごすぎる。一コマごと映画を見ている感じなんです。

イアンはミステリアスで色気たっぷりの美貌の持ち主で、テジュン以外にも街で遊び相手を引っ掛けてはワンナイトを繰り返しているのですが、これはビッチというよりも子供の時に負った心の傷が深すぎて人肌を無性に求めてしまうのではと思いました。イアンはあまり多くを語らないキャラクターですが、自分が愛した人々が自分のせいで不幸になってしまうと思い込んでおり、その痛々しさに胸が詰まります。

そんなイアンに執着するテジュンもかわいそうな人で、家族を一度に失い孤独のどん底に突き落とされたテジュンにとって、イアンは自分の半身以上、テジュンにとっての全てなんだと思います。それがわかるだけに、テジュンのイアンへの異常な執着や重たい愛は孤独を怖れるテジュン自身にもどうすることもできないのだろうとまたまた胸が詰まります…。

そんな2人の間に颯爽と現れたのが、もう1人の攻のジョセフ(ジョー)。若くて健康的で真っ直ぐで両親や多くの人からたくさんの愛情を受けて育ったんだなと思うような好青年、緑の瞳が素敵なイケメンです。

イアンは今まで感じることができなかった穏やかな日常を与えてくれるジョーに心惹かれます。まだ、それは愛とは言えないけど、イアンの中で大切にしたい想いです。

シーズン1の中盤、イアンがギャング時代の過去の自分についてジョーに告白するんですが、それは普通の人であれば簡単に受け入れられる話ではなかった。でもジョーはそれを否定せずありのまま受け止めるんです。真っ直ぐで大きな心で受け止めるジョーはめちゃくちゃかっこよかった。イアンも人生で初めて、安らぎとか穏やかとかそういった気持ちをジョーによって与えられ、ジョーの前では笑顔になることも多くなる。

でも、イアンの中でのテジュンの存在の大きさというのはすごいんですよね。イアンはテジュンのことを思ってテジュンから身を引こうと思うんだけど、運命はまた2人を引き寄せる。

イアンにはジョーのような心の安寧をもたらしてくれる存在が必要だと思う一方、テジュンの苦労人生を考えると、テジュンが一生一緒にいたい人と居させてあげてほしい、報われてほしいとも思ってしまう…。それぞれの幸せとは…。

イアンはテジュンともジョーとも身体の関係があるのですが、テジュンとイアンの愛とか情とかいろんな感情が含まれた刹那的なセックス描写は秀逸。テジュンの自分をコントロールしながらも隠しきれない独占欲や内に秘めた愛を感じるし、イアンもテジュンの熱を感じ、身体を重ねることで得られる相手の存在に自分もまた安心しているように思います。

一方でジョーは真っ直ぐで正直でストレートな愛をイアンにぶつけるけれども、セックスについてはちょっと印象が違いました。これは読者ごとにいろんな感じ方あると思うのですが、ジョーはセックスになると粘着的というかなんというか。うーん、難しいんですけど、独りよがり感出ていると感じてしまうんですよね…。あくまで私個人の感想ですが…。

ここに至るまでの3人の人間模様やストーリー展開は緻密で洗練された構成で圧巻。またギャングの事件も絡んだりして、読者を作品世界の中に完全に引き込んで離さない。

ここ最近、こんなにも完成度が高く心を鷲掴みにされた作品はありませんでした。この作品に出会えたことが奇跡です。今後続くシーズンでどんな結末になるのか楽しみです!

美人α同士の攻と受。その美しさに眼福この上なし

※2022年12月4日時点で連載中です。

ちるちるさんで紹介されていて、絵があまりにもキレイな作品で一目惚れしてすぐに購入。2022年12月4日現在まだ連載中ですが、とにかくドはまりして、途中経過だけどどうしてもレビューしたく、投稿してしまいました。

この物語はオメガバースで英国が舞台。主人公のカーライル・フロストは名門貴族の御曹司のαで、当家は優勢αを輩出するために、血の維持に執着するというお家柄。優勢αを輩出するためには高貴な一族同士が結ばれるべきとの考えのもと教育されてきた。

優勢αっていうのは一般のαよりもさらに能力が高く、人口の1%しかいないとされている人々。これもこの作品の中での特殊な設定になっています。

貴族からしか優勢αは輩出できないと固く信じる祖父、そのためαの発情期となるラットの期間には、家が決めたΩ以外と恋に落ちないよう、同じΩとのセックスを禁じるなど、カーライルを取り巻く事情はまったく自由がなく、選択肢がなく、とても制限されている。

この作品ではオメガバースの設定の説明は特にないのですが、αの発情期に当たるラットが設定されています。ラットってαがΩのヒートに当てられて突発的に引き起こるものと思っていたけど、この作品ではαにもΩと同じように定期的に発情期がある設定のようです。

カーライルはそんな自由や選択肢のない生活でも、自身が貴族の人間であろうとすることを忠実に守っていて、本当に痛々しいほどに我慢しているし、なかば諦めに近い感じで従っている。

そんななか、6年前の大晦日、ニューヨークのタイムズ・スクエアで年明けのタイミングを迎えたそのとき、偶然に1人のαと出逢いキスをする。ただそれだけのことだったが、カーライルは初めて見知らぬ人とのキスを交わし、そのことがずっと心に残り続けていた。

一方でカーライルはΩとのセックスを義務や業務の一環としか捉えられず、そのことによる心的ストレスからオーガズムを感じられなくなっていた。その治療の一環として、主治医から提案されたのが、「Ω以外とのセックス」。その相手としてカーライルの弟の恋人から紹介されたのが攻のアッシュで、アッシュは6年前にタイムズ・スクエアでカーライルとキスを交わした本人でもあったが、アッシュはそれを覚えている素振りは見せなかった。

カーライルはセックス・パートナーとして2ヶ月間、アッシュと毎週末を過ごすことになり…というお話。

まず、この作品はとにかく絵がキレイ。あとオメガバースで、α✕αの作品ってここ最近は少し増えてきましたが、やっぱりまだ設定としては珍しいかなと。

また、韓国の作家様の作品なんですが、韓国BLって筋肉質でめっちゃガタイがいいガッチリ系が多いと思うのは私だけなのか。この作品の2人もめちゃくちゃ筋肉ガッチリ系で男らしい体格です。ガチムチ受が何よりも大好物の私にはドはまりでした。

私はカーライルが超好みのタイプで、カーライルにドはまりしていると言っても過言ではないのですが、攻のアッシュは美しいオッドアイが魅力的な超イケメン、受のカーライルも超美形で2人とも完璧な容姿の典型的なαという感じで2人の絡みは超眼福。

若干、攻のアッシュのほうがカーライルより背が高いんですけど、これが超絶萌える。カーライルも背が高くて美形でスパダリαって感じなんですけど、そのカーライルが顔を赤くしてアッシュを少し下から見上げる描写がとにかく萌える。

カーライルは頭も良く聞き分けも良く忍耐強く、本当に真面目で忠実な人。冷静ではあるけど、大人しくて引っ込み思案な部分もある。そんなカーライルを紳士的に優しくおおらかに包み込みながら、だんだんと緊張の糸をほどきカーライルを誘っていくアッシュが神的にかっこいい!

いくら治療のためとはいえ、αとセックスをすることに戸惑いを隠せないカーライル。アッシュはそんなカーライルを気遣い、無理やりにはせず少しづつ距離を縮めていくんですけど、押したり引いたりして駆け引きも上手。あんなに雄みたっぷりに押されたら、誰でも陥落します…。

アッシュがカーライルに雄みを見せるときって、腰をギュッと抱いたりスキンシップが密。首筋や耳へのキス、とにかくカーライルに甘々で最高にかっこいい。

セックスに行き着くまでの描写も丁寧でカーライルの葛藤が丁寧に描かれています。そして、初めてのセックスはアッシュの優しさが神!加えて、何をするにもカーライルが真っ赤になってアッシュを受け入れる描写も神すぎて何回も読み返しました。もーとにかくカーライルが可愛すぎて悶絶しました!!

さらに普段は髪をオールバックにしているカーライルが、シャワーを浴びて髪を下ろすとめっちゃ可愛くて、受みがとたんに出てくるというマジック…眼福すぎて言葉なし。

セックスが終わったあと、キッチンでのキスシーンもまた神。カーライルが伏し目がちにキスを望むとそれに優しく応えるアッシュ。ここの描写は互いへの愛おしい雰囲気が伝わってきて大好きなシーンです。

カーライルは6年前のアッシュとのキスを明確に覚えていて、強烈に魅了されアッシュのことが好きだと自覚するんだけど、期限付きでいつかは終わるこの関係を自認し自分の気持ちに蓋をしようとする。

この関係を始めるとき、カーライルがアッシュに不必要な感情の介入をしないことを望むんですけど、カーライルはすでにアッシュのことが好きになっていて、アッシュはカーライルに愛情たっぷりに接しますが、まだどこか一線を引いてカーライルの出方を待っているような様子。今後の2人がどのようになっていくのか、毎週金曜日が待ちきれなさすぎて、何回も読み直してしまいます。

いずれニューヨークでの出来事の伏線を回収する流れになるのかな?と思いたいですが、まだ物語はこれからも続くので引き続き追っかけたいと思います。

快楽を探究するガチムチ受の可愛さよ

この作品は単話でも購入していてその際も完結前にレビューを投稿していたのですが、完結して販売されたため再度レビューを書きました。

さらなる快楽を探究しお尻の開発にいそしむ受の佐伯。だがチャレンジしすぎて消化器科のお世話になることに。そこで診察してくれたのが、長髪イケメンの医師、桐嶋。佐伯の飽くなき快楽への探究に付き合わされることになった桐嶋だったが…。というあらすじ。

以下ネタバレ含みますのでご注意ください。

とにかく受の佐伯がめちゃくちゃ可愛いんです。快楽への飽くなき探究(笑)まず二人が初めてセックスするのも、佐伯がどうしても前立腺の位置確認をしたくて(笑)桐嶋に迫るんですけど、最終的には佐伯の力技で強引にセックスに至るんです。こんな展開あるかーい!って感じなんですけど、とにかく未知の快楽へ素直に開放的に探究する佐伯が可愛くて仕方ない(笑)

その後、桐嶋も佐伯にペースを乱され絆され、二人はセフレの関係に。なんだかんだで佐伯のペースに乗せられ、あれよあれよという間にセフレになるんですけど、受け入れる桐嶋もすごい(笑)セフレになってからも、どうしてもメスイキしてみたい、と桐嶋に話す佐伯(笑)快楽に正直で、そこしかないのか?と思いつつも、嫌味もなくほんとに心底そう思っているところがまたまた可愛くて仕方ない(笑)

始まりこそ、かなり強引に桐嶋とセフレ関係に持ち込むんですけど、佐伯は回を追ってだんだんと桐嶋を本気で好きになっていくんですよね。

桐嶋への想いを自覚してからの佐伯は、いじらしくて、乙女で(笑)本当にピュアで一途。セフレ関係に慣れてきた頃、桐嶋がムードを出すために、セックス中、佐伯に好きですって囁くんですけど、桐嶋への想いを自覚した佐伯はそれが本物ではないことを知っているだけに苦しくなってくる。セフレから始まった関係だし、本気で桐嶋のことを好きになってしまって思い悩む佐伯のピュアな気持ちにキュンキュンしました。

後半はセフレ解消を伝えられた桐嶋が、佐伯が別の男性といるところに遭遇し嫉妬して激しく佐伯を抱いたりして、桐嶋自身も佐伯に対する感情が変化していく。

このときの桐嶋が男らしくって感情むき出しでめちゃくちゃかっこいいんです!佐伯から本当の気持ちを打ち明けられ、やっと自分の気持ちにも気づいた桐嶋のその後の男らしさったら!桐嶋は長髪のイケメンで頭も良く理性的なんですけど、最後にキメるとこはキメる。セックスすると甘えたになる佐伯もめちゃくちゃ可愛いし、それを見る桐嶋が佐伯のことをかーわいいって言うところなんかは二人の関係性がすごく出ていて最高のハッピーエンドでした。

単話で読んでいたときも、話のテンポがめちゃくちゃ良くて、どんどん読み進められたし、最初はコメディタッチなんですけど、佐伯が気持ちを自覚してからの展開がすごく可愛くて、話の流れがめちゃくちゃキレイにまとまっていると思います。ストーリー展開がしっかりしているので、何回読み返しても面白い。

それに絵がめちゃくちゃキレイなんです!私はガチムチ受が大好きなので購入した、というのもありますが、画力がすごく高くて絵が上手だなーって思って買った部分も多分にあります。やっぱり絵がキレイって本当に重要だなと。

またこの作品はとにかくエロい(笑)1話に必ず1回はヤッてるし(笑)画力も高いのですごい絵力なんです。個人的感想ですが、ガチムチの佐伯の身体が素晴らしく、こんな筋肉ガチムチ男が可愛らしく甘えたになって感じまくっているところが超絶ツボで、もう本当に最高。

長髪攻は私は個人的にはあまり刺さらなかったですが、一貫して二人は敬語で会話しているので、桐嶋の敬語攻がめちゃくちゃ良くて、エロさもたっぷり。凸凹カップルなんですけど、桐嶋が佐伯をちょっとSっぽく攻めてるところが、佐伯の甘えたと相まってこれまた最高なんです。

ストーリーも絵もとっても素晴らしく、この作者様の他の作品も読んでみたくなりました。エロエロなんだけど、ピュアで可愛いガチムチ受を愛でられて、最高の作品です!

「筋肉ガチムチ強強受好きすぎる」に尽きた

木原音瀬先生の大ファンであり、筋肉ガチムチの強強受を何よりも愛する私にとって、こんなにストライクな作品が読めるなんて…!
Twitterでこの作品の発売を知るや否や、真っ先に予約し配達される日を今か今かと待っておりました…。そしてすぐに読了。はぁ…。私は一生、筋肉ガチムチ受を愛していくんだなと、勝手に悟りました…。

すでに多くのレビュアー様があらすじや感想を書かれているので、あらすじは省略して感想を書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。

私は創作である以上はファンタジーの設定でもあまり気になりませんが、今回の設定はダメな方もいるかもしれません。私は同人誌などほとんど読まないのもあって、商業ではあまり見られない(のかな?)特殊設定みたいなものにとても疎く、実は帯にある、フタ✕✕というのが最初「?」だったんです。
で、読み始めて、✕✕のところに入る文字を調べて、へー、なるほど。そんな設定あるのね、みたいな感じでした。

ファンタジーなんですけど、そのように設定されていればあくまで物語の中の設定なので、そーゆーものなのね、ふむふむ。みたいな感じでどんどん読み進められました。国の名前や都市の名前、生息動物など非常に細かく設定されていて、あっという間に没頭していきましたが、主人公が暮らす国は北は降雪、南はジャングルとなっていて、すごい長細い国なのね…とか思ったりしました(笑)

まずは受のジャックは小野浜こわし先生の挿絵が小説の文字の中から飛び出てくるほど本当にそのまんま!黒髪に鍛えられた筋肉、ダダ漏れる色気…小野浜先生、天才としか言えない…。こんなガチムチ男が受だなんて…最高すぎてなんも言えない…。と、読み始めから夢中になりました。

好きなシーンは、ジャックが攻のガレの手からマンゴーの実を齧るシーン。挿絵もあるのですが、これもう小説の中からジャックの色気が匂い立つようなシーンなんです。

もう一つは、ジャックが結婚したあとガレにセックスしないという話をし、ガレが泣いていると、ジャックが「お前、どうして泣いているんだ?」と問うシーン。

木原先生は私の中では、『徹底的』というのが1番最初に思いつく言葉なんですが、このシーンはまさにそれに尽きる。攻と受のすれ違いがすごいんです。

攻のガレは執着して未練たらしくて、ウジウジしてるっちゃそうなんですけど、一方で、生死をかけた戦いや間近で見る人の死、簡単に死んでいく敵や仲間。戦争の悲劇をこれでもかと味わい、その後、最愛の人からレイプ犯として訴えられ軍法会議にかけられるという、普通の人ならメンタルやられて危うく廃人になってしまうんじゃないかと思われるくらい、かなりキツイ経験をするんです。
だからその後の卑屈な考え方や極端な妄想、不安に苛まれ勝手にダークに陥るのは仕方ないのかなと思いました。もちろん、もともとの性格もあるのですが。

またそれに輪をかけて、ジャックがガレの繊細な気持ちに気がつかないんですよね。それはジャックがガレのことを作戦遂行の駒としか見ていないからなんだと思います。この二人の気持ちの正反対さの徹底的な描写。木原先生はどうしてこんなにも鮮明に描き出せるのか、脱帽の極みです。

特に奇襲攻撃後にガレがある種の興奮状態となり無理やりジャックを犯したあとのジャックの冷静な描写は凄まじいほど繊細で、ジャックが生き残ることにしか集中していないことが克明に描かれています。

読者が作品を読んでいて作品世界に没頭し、作品世界の中の映画館の椅子からまるで二人を追跡しながらその一挙手一投足を間近で見ているような臨場感。この文章力、本当に凄まじいし、どうしたら頭の中の世界を文字だけでこんなにも克明に表現できるのか、そのすごさに毎回圧倒されます。

物語中盤から後半、ガレとジャックの奇妙な関係も楽しさもありながら鋭さもあり、上がったり下がったりで、どのあたりでドーンって突き落とされるんだろとビクビクしたり(←木原先生作品好きな方ならわかってくれるはず)、最後まで目が離せないストーリー展開でした。

でも、ガレって本当にジャックのことを愛しているんだなと。ジャックを自分のものにしておくために、絶対に言う事を聞くし無理強いしない。ジャックが楽しければどんなに楽しいこともさせてあげたい。
他のレビュアー様も書いていらっしゃいましたが、結局は法的にも認められた配偶者という最高のステイタスを手にして絶対に手放さなかったガレの粘り勝ちなのだと私も思いました。

描き下ろしは結局絆されるジャックと、愛する人をめいっぱい甘やかしめいっぱい愛するガレが可愛らしく描かれていて最高の締めくくり。私はガレが結婚指輪をジャックの左薬指にはめるシーンが大好きでした。ジャックが自分の中で受け入れれば、まぁいっかでガレのわがままを受け入れているところが、ジャックらしくて本当に可愛らしい。ガチムチのジャックが結婚指輪をするなんてそれだけで萌える。もちろんそのあと盛り上がる二人もかなり良き!

最初っから最後までひたすらにジャックが大好きな私でしたが、この作品は人間描写だけでなく、戦争の描写なども非常に細かくて読み応えもすごい。
筋肉ガチムチの強強受が好きな方はぜひオススメです!

葵木先輩の紳士と色気にやられまくり

待ちに待った4巻!かなり丁寧な流れで話が進んでいるのですが、今回は葵木先輩ちょっと押しが強めです!

4巻の表紙の葵木先輩のかっこよさったら!!『極上のα』…容姿、学力、財力、誠実さ、忍耐強さ、そしてノブレス・オブリージュ。すべてを兼ね備えた極上のαとは、まさに葵木先輩そのものです。

とても10代とは思えない葵木先輩の落ち着きとジェントルマンぶりは健在、ほんの少しずつですが春太との距離が縮まってきました。

さすが超お金持ち学校なだけあって、バレンタインのイベントも超破格!超豪華版リアル鬼ごっこみたいなプレイベントがあって、身を隠す四逸を見つけてバレンタインの材料を獲得するというもの。

春太は葵木先輩の助けもあって、葵木先輩からカカオの実をもらえます。
カカオの実(笑)そのまんまやないかい(笑)こういうところ、本当に葵木先輩ぽいというか(笑)

春太はカカオからチョコレートにする方法を一生懸命研究して、バレンタインイベントにチョコレートのお店を開くんだけど、惜しくも売上トップにはなれず。このイベントで売上トップの学生は択一生になれるとあって、春太も気合を入れてがんばるんだけども、春太の優しくピュアな行動から1位を逃します。

春太って本当にピュアで素直で裏とか闇とかまったく知らずに育ってきた少年で、きっと葵木先輩も春太のそういうところが気に入っていると思うんですよね。葵木先輩も紳士で完璧なαだけど、社会の裏側も、大人の駆け引きも知る人だからこそ、春太のピュアさに新鮮さを感じて、春太には特別な感情を抱いているのだと思います。

ただそんな春太だからこそ、こちらの世界に引きずり込んでいいのか、葵木先輩自身も悩んでいる様子が伺えます…。

択一生になるためにプレッジを受けることにした春太は葵木先輩のもとに。
葵木先輩の秘密の部屋はまるで美女と野獣に出てきた、野獣のお城にある図書館そのもの!あまりのすごさに圧倒される春太だったけど、外部の人間として、初めて春太を自分の秘密の部屋へ招いた葵木先輩へ、春太は笑顔で感謝の言葉を伝えます。

やっぱり葵木先輩にとって春太に対する特別な感情が垣間見える。

秘密の部屋でレコードをかけて二人だけのダンスタイム。4巻のハイライトはこのシーンかなぁと。二人の距離が縮まり、葵木先輩にリードされて踊る春太が葵木先輩に、もうプレッジは始まっているのか?と聞くと。
葵木先輩は春太の手の甲に優しくキスをして、

『さあな』

ここ!初めて葵木先輩がオスの顔を見せたところでもあると思うんです!常にジェントルマンの葵木先輩から、男らしい試すような駆け引きめいた言葉…!!

今作ではスイスにいる那治ともスカイプみたいので会話する春太も描かれていて、那治とも仲の良い関係を継続している様子。

春太が最終的に那治と葵木先輩、どちらとくっつくのか、はたまたまったく予想外の人とくっつくのか、まだまだわからない展開ではあるのですが、概ね那治派と葵木先輩派と分かれるかなぁとも思います。

私は葵木先輩とくっついてほしい派なので、4巻では葵木先輩が今まで以上に押していて、きゃーん!と胸が高鳴りました!(那治派の皆様、申し訳ありません…)

かなりいい感じにはなったのですが、葵木先輩はそれ以上は押さず…。でも、春太は葵木先輩の今までとは違う一面に触れて、ドキドキが止まらない!葵木先輩〜!どこまで奥手なのー!でも、本棚から落ちた本の間から何やら写真がチラリ…葵木先輩の忘れられない人なのか…。

その後、バレンタインイベントで頑張った生徒を招いての四逸がホストのお茶会があり、紅茶をこぼした春太のお世話をしながら、葵木先輩が春太の耳元で囁く。

『私が無意味なプレッジをしないのは事実だ』

かっこいいーー!!葵木先輩、どこまでかっこいいんですかー!それを聞いた春太も、それってー!?と、またまた胸がドキドキ!で、この巻は終わり。

なかなか進まない二人の関係にモダモダするも、葵木先輩らしい攻め方でもあり、キャラクターが完璧に確立されていて、ここで無理展開しなくて良かったなと思いました。

そして、他のレビュアー様も書いていらっしゃいますが、巻末にある参考文献の凄まじさと言ったらすごいです!この作品に膨大な時間を費やし、完璧な世界観を作るための研究と調査をされている作者様に、心からの敬意を表します。

四逸、択一生など独特な制度やそれになるための試験やらなにやら。とても複雑で、何だっけ?とか、読み直してしまうときもあるのですが、ここまでの巻数を費やしても、主人公の恋愛はまだ始まってもいない…!それにただの学校生活なのに、いろんな出来事もあって、登場人物たちそれぞれの恋愛もあって、情報量も半端ない。どんな大作になるのだろうか…予想もつきません。

ここまできたら、どんなに進みが遅くとも、この世界観、徹底的に貫いてほしいです!

愛だけが貫かれ、愛だけが残った結果

下巻では、愛だけが残る、というのがキーワードなのかと。上巻もかなりハードでしたが、下巻の最後はもう、どひゃーな展開からのはぁ~~~…と、まさにジェットコースターでした。

以下ネタバレありますのでご注意ください。

ある事件をきっかけに嘉藤は東京へ戻り、再び惣一のもとへ。下巻はヤクザならではの抗争や裏切り、粛清、とにかくバイオレンス満載です。私は小説は創作なので、バイオレンスでもバッドエンドでも作品である以上まったく気にならないのですが、苦手な方はいるかもしれません。

そんななか、惣一は嘉藤への愛だけは貫いているんですよね…離れていても、決定的な決別の言葉を投げかけられても、ただひたすらに嘉藤のことを好きでい続けている。

身内の裏切りを粛清して一段落つき、神戸の隠れ家的宿に惣一を迎えに行く嘉藤。その夜、惣一は嘉藤のひどい言葉の凌辱に耐えながら、嘉藤にお願いしてまで抱いてもらうんです。

この痛々しさったら…もう筆舌に尽くしがたい。こんなにも心をくれない相手に、泣きながら心を傷つけられながら抱かれる描写が痛すぎる。

でも、嘉藤も嘉藤で、もう惣一を自由にしてやれよ…とか思うんだけど、絶対に惣一には組長になってもらうと惣一を手放さないんです。違う意味なんだけど、二人の執着のベクトルは同じ…。

しかし、惣一を抱いた嘉藤にも少しずつ心境の変化が訪れ惣一が組長に就任してからの二人の関係は以前とは違うものに。嘉藤は惣一を愛してはいないんだけど、欲情はする。嘉藤自身もこの不思議な気持ちを消化できずにいるんだけど、暗雲立ち込めていた過去の関係に一筋の光が差される。

順調に進んでいたかにみえたが、最後の最後、バイオレンス、凌辱、クスリ、もうありとあらゆる痛々しさを含んだ大事件が起きて、どひゃー、うひゃーとページめくるのも怖くなるほどの徹底的な描写に、もはや心はお許しくだせ〜状態に。

誘拐・監禁されてクスリ漬けにされた惣一の性器切断という途方も無くキツイ描写は、これはもはやBL小説なのか?と思うほどに、徹底的で容赦がない、ここまでするんかい?と思うほどでした。

でも、この描写。あとから、これ必要なものだったんだと思いました。

嘉藤は異性愛者で、嘉藤は惣一に対し、愛に応えられない理由として、女を抱きたいから、ということを言っていました。そのため惣一は自分が女のようになれば、嘉藤は自分を抱いてくれると思い、豊胸手術をするんです。でも、ペニスは残ったまま。

その後、性器切断されるという痛ましい事件となり、クスリの影響で廃人同然となった惣一だったけど、事件のあと、惣一と嘉藤と二人だけで漁村で慎ましやかな暮らしをする中で、惣一が言うんです。「ペニスもなくていいと思ってたら短くなった」と。

つまり、ずっとなりたかった「女」になれた。やっと嘉藤に自分を愛してもらえる、抱いてもらえる。

そして最終章、ついに二人の愛は結実します。

クスリの影響ですべてを忘れても、すべてを失っても、嘉藤の名前と存在だけは覚えていた惣一。ただひたすらに嘉藤への愛だけを貫いた。なりたかった「女」にもなれた。そこまでに惣一の嘉藤への愛は揺らぎないものだったんだなと思いました。

そして、すべてを失っても自分への愛だけが残った惣一を前にして、男とか女とかそんなものは超越して、これからの自分のすべてを惣一に捧げようと、ついに惣一の愛を受け入れ、自らも惣一への愛を認識した嘉藤が描かれていました。

惣一は自分のすべてを引き換えに、1番欲しかった嘉藤の愛を手に入れる。他に何も要らない、という惣一の言葉には泣けてきました。そして凄惨であまりにも過酷な過去はすべて忘れて、今、目の前にいる嘉藤だけが現実であり、嘉藤の愛に包まれていることが、惣一のすべてとなったことに、惣一は唯一無二の幸福を手に入れたのだと思いました。

他の人からみたら大きすぎる代償だけれども、惣一はそれしか、嘉藤しかほしくなかったわけだし、嫌な過去はすべて記憶からなくなり、ただ嘉藤との穏やかな日々だけが続いていくのだから、惣一にとっては代償を払ってでも欲しかったものなのだと。

そして嘉藤はすべてを失ってもなお、自分を好きでいる惣一に、ついに愛を認識するんだけど、愛してるとか言葉で言うのではなく、惣一の中で自分が忘れ去られた存在になることへ恐怖を感じるんですよね。もちろん、こんな状態の惣一を見捨てられないという気持ちもあるんだと思いますが、惣一に自分を覚えていてほしいという、本当に純粋で無垢な気持ちを持つに至るんです。

もはや究極の愛。まったく汚れのない愛だけがそこに残る。

読了後、すごすぎて、なんも言えねー状態に。でもここまですごいからこそ、絶対見届けたいと思うのかもしれません。

これは人を愛する究極のカタチなのかもしれない…。
すごい作品に出会ってしまった…神以外の評価はできませんでした。

愛してもらえない人と愛されては困る人の凄まじい描写力

ちるちるさんのYou Tubeチャンネルで木原先生作品の紹介をしている動画を見て購入。私はアオイトリが大好きでそこから木原先生の過去作品を買い漁っていましたが読む時間が作れずしばらく本棚の前に置いていました。

しかし読み始めたら、結末が気になって気になってあっという間に読了してしまいました。

あらすじは他のレビュアー様が書かれているので感想を書きます。

この作品は受の一途な片想いを延々と見守るといえばそうなんだけど、そこはやはり木原先生だけあって、徹底的で容赦がなくて、あまりにすごすぎて、読了後、呆然自失。なんでこんなにすごいんだろう…と思わずにいられないほどの容赦のなさ。そして、もう攻・受の心理描写や行動描写が凄まじいほどに徹底的で救いがない。

でも一方でそこまでに徹底的なので、読者は作品世界にどっぷり浸かって、どんどん夢中になって読み進められます。木原先生の作品は読者の心に響く吸引力というのがすごいと思います。痛くて、もうやめてあげて…と思うけど、絶対に最後まで見届けたい感。とにかくすごい。

受の惣一の攻の嘉藤に対する愛情というのはもう凄まじくて、愛してもらえないのに絶対諦めたりしないんです。とにかくずーっとずーっと嘉藤のことが好きなんです。

過去にされた凌辱・レイプがトラウマとなる一方、身体的には男に愛される悦びを認識することとなった惣一。惣一にとって、嘉藤と最初に身体を重ねたときから、嘉藤のことが好きだったんだと思います。しかし、嘉藤にいとも簡単に拒絶される。

なんでも手にしてきた惣一からしてみれば、嘉藤の拒絶ってかなり堪えたと思うけれども、この上巻で綴られる惣一の嘉藤への執着は凄まじいもので、いくら仕事とはいえ、毎度、ワガママと無理難題、さらに応えられない愛情を一方的に押し付けられる嘉藤は超人的な忍耐力のある人だなーって思いました。

この嘉藤の惣一に対する本当に淡々とした受け答えも秀逸で、嘉藤というキャラクターの骨格がめちゃくちゃしっかりしていて、読んでいて安定感が半端ないです。

嘉藤も嘉藤で子供の頃に両親の事故をきっかけに人生が暗転。本当に可哀想すぎる子供時代を過ごし、生きていくために図太く諦めず生きてきた人というバックボーンがあるので、コレと決めた主人がどんなに自分を困らせても簡単には態勢を崩すことがないんですよね。

上巻で心に刺さったのは、惣一がアイマスクをしながら金で買われた男とのセックスをしている最中に嘉藤の名前を呼ぶ。行為が終わって嘉藤が惣一をバスルームに連れて行ったときのシーン。

惣一が嘉藤をバスルームの床に押し倒し胸ぐらを掴んで、さっき抱いていたのはお前だ、嘘でも認めろ、と嘉藤に迫る。
ややおいて、嘉藤が、そうです、私です。と答えると、泣きながら嘘つき!と嘉藤を罵倒する惣一。嘉藤が、自分をこれ以上幻滅させないでくれ、と惣一の耳元で囁くと、号泣して悲鳴する惣一。その悲鳴が耳障りで、それをキスして塞ぎ、惣一が暴れて怪我をしないように強く抱きしめる嘉藤。

このシーン、本当に何度も読み返しました。愛してもらえない苦しさをそのまま、オブラートに何も包まずにストレートに何度もぶつける惣一。それがわかっているけど、自分ではどうすることもしてやれない嘉藤。

作中、惣一が嘉藤に愛してもらえない苦しさからいろんなことをするのですが、その中でも、上記のシーンが本当に胸が痛くて痛くて…。惣一の弱さというか、女々しさというか、そういうのもあるんだけれども、愛してもらえないことをこんなにも苦しく、辛く、自分ではどうすることもできない、感情のコントロールがまったくできないところまで追い詰める描写力に、ただただ圧倒されました。

そして、上巻の最後に初めて嘉藤が、疲れた…、とつぶやくシーン。本当に心からそう思ったと思います。惣一を愛してやれないことの代償は大きく、嘉藤も追い詰められていきます。でも、惣一に対して、「恐怖」みたいなものはなく、哀れんだり呆れたりしているんです。

惣一って完全に嘉藤のストーカーだし、普通の人だったら、絶対恐怖に思うと思います(笑)でも、そのことよりも、嘉藤はヤクザとしての惣一に惚れ込んでいたってことなのかな…。そういう意味では、嘉藤も自分の理想を惣一に押し付けて、惣一の本質を否定、もしくは矯正しようとしているとも言えるかもしれません。まぁ、でも、嘉藤はもともと異性愛者だし、嘉藤としてもどうすることもできない過酷な状況には同情するほかなしでした…。

上巻の最後は、嘉藤がこのままではいけないと、自ら大阪へ行き、惣一と決別したところで下巻へ。

上巻はひたすら、愛してもらえない苦しさ、愛に応えられない苦しさをこれでもか!と緻密に徹底的に描写しています。あまりの苦しさですが止められない。圧倒的すぎて神評価しかありません。

アポロとフィーが最高すぎて、もう言葉もなし

待ってました。ほんとに、首をながーくして待ってました…。購入して自宅に届き、上着をかけるやいなや、ソッコーに封を開け、もう気持ちは正座して聴き入りました…。(実際はコミックス2巻を読みながら聴きました)

結果。なんなんでしょう、これは。最高オブ最高。もう、最高すぎて言葉もありませんでした。以来、鬼リピしております…。

今回も原作どおりに進みます。私はアポロ役の松田健一郎さんの大大大ファンでして。もう、こんなにもこんなにも!ハマり役ってあります?って言うくらい、松田さんのお声とアポロが…完全一致!!そしてそして、フィー役の中島ヨシキさんも…完全一致!!

こちら、もはや奇跡のドラマCDとなっております…。そして、絶対に初回限定盤の購入をオススメいたします。

2巻はフィーが何者かに付け回されて、過去との繋がりで誰かに狙われているような不穏な展開のなか、アポロとの距離も少しずつ近づく目の離せない展開。1巻では試情夫と男娼の関係だったのが、お互いになんとなく気になる存在になり始め、2巻の最後では初めてのキス、からの、2人で秘密の共有に至るという、非常に心理描写が難しい巻であったと思います。

もうこの複雑な2人を、中島さんと松田さんは完璧に演じていらして、このCDを聴いたあとあらためてコミックスを再読すると、フィーとアポロのセリフが頭の中でお二人の声に変換されるような感覚になります。それほどまでにお二人の演技は素晴らしく、フィーの困惑や不安、アポロの自身への自問自答のような複雑な気持ちがめちゃくちゃリアルに響いてきます。

私が好きなシーンは、Disc1で、フィーとアポロが二人で街へ飲みに行ったあと、フィーがアポロの部屋で寝たいと言って、アポロの部屋で一緒に過ごすシーン。

シャワーから出てきたアポロの着替をフィーが取り上げて二人で裸で寝るんだけど、フィーがいたずらしてアポロを困らせて。からの、アポロのセリフ。

「…頼むから、いい子で寝てくれ」

はい。ここ、私、昇天いたしました。あまりにもアポロがかっこよすぎて。なんでこんなにも松田さんのお声がかっこいいんでしょう。

Disc2はやはり最後の二人のシーンですよね。ここもですね、フィーの話を優しく聞いて相談に乗るアポロがもう…めちゃくちゃかっこいいです。もうほんと中島さんのフィーも完璧だからこそ、松田さんの完璧なアポロにもなるわけで。でも、やはり…。松田さん大ファンな私としては、どうしてもアポロの声に聴き入ってしまいました…。

他のレビュアー様も書いておられますが、本編が不穏な空気満載なので、Daytimeシリーズは癒やしです!

私は特にDaytime5のスーツを着たアポロの話と、Daytime7のアポロがフィーの彼氏のフリをする話が好きでした。

5はオーナーがめちゃめちゃ良いです!アポロに仕立てのいいスーツを着てほしい願望、それ、オーナーだけじゃありませんから。わかりみが深すぎます。それにフィーとのやり取りもすごく好き。日常の中のフィーとアポロのやり取りが垣間見えて、めちゃめちゃ可愛かったです。最後、フィーから「キスする?」って聞かれて、えっ?ってなりながらも、「しないが?」って答えるアポロが(笑)そう、そうなんたけど、松田さんの演技がすっごくアポロらしくなっているというか(笑)とにかく、アポロがめちゃめちゃ可愛い!

7はフィーがモテまくりで男女問わず歩けばナンパされ、ケバブのお店の前でもアポロを待ってるフィーはまたもや男にナンパされる。それを見ていたアポロの心の声がたまらない!ナンパ男に対して、(なんだあの男、馴れ馴れしいやつだな…)と、アポロがめったに見せない、ザ・心の声(笑)
フィーも可愛くてセクシーでもうコミックスで見たまんまのフィーがそこにいる感じです。仲良しな二人がもう尊い!!

とにかく、フィーもアポロもどこを切り取っても、どんなセリフでも本当に二人がそこに存在しているかのように錯覚してしまうほどのシンクロ率。オーナーやシェス、マルコ、カルナなど、二人を取り巻くキャラクターも1巻に続きみんな活き活きしているし、新キャラであるオーナーのパートナー、アシファクさんなど、とにかくもうすべてがパーフェクトな作品でした。

そして、限定盤付属のキャストトーク。中島さんと松田さんのお話が聴けちゃいます!松田さんって…あたりまえだけど…アポロじゃなくても、めちゃくちゃかっこいいお声…←おい(笑)

今までいろんなドラマCDを聴いてきましたが、もうダントツに松田さんのお声が好きな私にとって、シャングリラの鳥は神以外の何物でもありませんが、とにかく完成度、再現度、シンクロ度、どれをとっても間違いなく神作品であると思います。3巻が今から待ちきれません!!