恋愛に都合よく構成されたファンタジー世界が舞台ではなく、登場人物が特殊な能力を持っているわけでもなく、両思いになるまで波乱万丈のドラマがあるわけでもない、本当に地味な世界の地味な登場人物の話なのですが。
その分、まるで近所のお兄ちゃん達が悩んだり喧嘩したり悲しんだりしているように身近に感じられるお話です。
死とか運命とか世界の存亡なんかは関係ないけれど当人達には重い問題を扱っています。とはいえ、むちむちむきむきお肉とエロスとおいしい料理を堪能してるうちに自然に理解したり応援したくなるような巧妙なつくりなので、肩肘張らずに楽しめるはずです。
できれば、「最近のBLは悩まなくなった」と嘆いているお姉様方に見ていただきたいです。悩める主人公達は一周してまた別のレベルで苦悩して解決していってるんだよ、って。
1巻完結でもやもやが残らない気持ちいい作品でした。