名前も知らない一目惚れ相手を半年間密かに眺めて想い続け、ひょんなことから話すキッカケができて距離が近付いて…
と、トントン拍子に進んでいく序盤は
恋に浮かれる高良の高揚感がダイレクトに伝わってきたのとそれがあまりにも真っ直ぐな想いだったのもあって、自然と彼の恋を応援したい!という気持ちになっていたのだけど…
環紀の人物像や恋愛観が明らかになっていくたびになんとも言えぬモヤモヤが募りました。
性に奔放だった過去はある程度仕方ないとしても。
そのことで一度高良と衝突して自分自身『変わった』と言っているのに、なぜ宇津木のことは突き放せないのか。
そしてどうしてその部分こそを"変える"ことができなかったのか。本当に解せなかったです。
病気だからとか昔お世話になったからとかそんなこと言っていたらキリが無いし…
高良と幸せそうにしておきながらそんなことをしている環紀に裏切られた気持ちでした。
心が伴っていないセックスだからノーカン、みたいな発言にもがっかり。
最後の最後、宇津木に突き放され、高良に諭されなければ自分自身を見つめ直せなかった環紀にはもう言葉もありませんでした…。
人それぞれの価値観があると思うし、結局はふたりの問題なのでお互いに納得していたなら良いのでしょうけど…
本当にふたりの未来に幸せはあるのかな?という疑問は残ったし、どうにもうまく噛み砕くことができませんでした。
元ヤンの虎央に片想いし続けている一心。
タイトル通りのお話ですが…
ストーリーは虎央視点なのでなぜこのタイトルにしたのか疑問に思いつつ読み進めました。
長い間求愛し続けて(13年!)、いくらフラれても諦めない一心の健気さには胸を打たれる部分がたくさん。
小学生の頃からずっと、ですからね。
その歳月だけ見てもどれだけ虎央のことが好きなのかが伝わります。
フり文句のように虎央が言ったことでも素直に聞き入れて、彼に振り向いてもらうために努力する姿は本当に素敵でした。
対して虎央といったらどこまでいっても逃げ腰というか目を背けたままというか。
自分自身と向き合おうともしないのに一心のことは繋ぎとめておきたい、そんなズルさが透けて見える彼の言動にモヤモヤしてしまいました。
なんでここまで頑なに抗わなければならなかったのだろう。不思議です。
最終的にはみんなが幸せなところに着地するので良かったけれど、虎央のキャラにハマりきれずでした。
同じクラスだけれど、タイプの違うDKふたりのお話。
表紙だけ見るとエロ多そうですがそれほどでもなく、わりとピュアよりな恋模様を見せてくれていました。
優等生×一匹狼、なんて素敵な組み合わせ!と思って読み始めたのだけど、ふたりとも思っていたよりずっとその要素は薄め。
瀬戸にいたってはどの辺が優等生なんだろう?と思ってしまいました。
皆と居るときはにこにこしているので外面が良いのはわかったけど
そこから素に戻ってダークな部分が見える、とかではないので外面の良さも伝わりにくかったかな、と。
糸倉も人と関わらないようにしてるっぽいのに瀬戸にすぐ流されてアレコレしてしまうので、
"一匹狼"と呼ぶのはどうなのかな?という感じ。
家庭環境複雑なんだな…というところから繋がる母親のエピソードもちょっとさらっとしすぎていた気がしました。
全部が上手くいく結末になったのは良かったけれど、全体的にあっさりめだったなという印象でした。
パッと見てどんな風にも捉えることができるようなタイトルに惹かれがち。
なのでこちらの作品もあえてあらすじなどを見ず、タイトルから感じた印象だけを持って読み進めました。
もしかして実体がないのか?とか
死ネタ…?とか色々考えていたけれど、
『存在していない』という言葉の意味は思っていたよりずっと現実的で、そしてとても鋭く刺さるものでした。
偶然の出来事から交わることになったふたりの世界はそれぞれの意思のもと少しずつ動きはじめるわけですが、その関係はどこか歪に映ります。
それが年の差があるからとか生い立ちや環境などの違いによるモノではなく、
一緒にいる時間を大切にしているのにそこに求めているのが違うから歪さが生まれている、というのが本当に切なかったです。
"親から愛を与えられずに育った子ども"という共通点だけでは融合できなかった当時から、大人になって再会した後の現在まで。
ずっとシリアスめな展開ではあったけれど
難解にも思えるやり取りの中から正解や真実を探し出すのではなくて、
ふたりが『安心できる場所』に辿り着く結末になっていたことにものすごく救われました。
そして重たいストーリーなのでそれほど恋愛部分の主張は強くないけれど、
それぞれの激しい執着からしっかり相手への愛が感じられたのが良かったなと思います。
一つひとつのエピソードが深くて、とても読み応えのある作品でした。
人違いから始まるふたりの関係だけれど、
その出会いに"運命的"な部分はナシ。
序盤からエロに大暴走している彼らですが
本編通してずっとセックスしてるなぁ。という印象でした。
でも絡みにあまり色気が感じられなくて、AVをなぞったやり取りがどこか空々しい…。
所構わず欲情してそのままセックスに発展する流れは、それこそAVの世界でしかありえないのでは?という感じ。
トイレとかお互いの職場とか、そこでガッツリ盛ってしまうなんて…
倫理観があるとかないとか、そういう問題ではないレベルで逆に少し笑えました。
強引すぎる心矢と、チョロすぎるしのぶ。
ふたりの相性は良いのでしょうけど。
この先いろいろ大丈夫?と、心配になるようなお付き合いだなと思いました。
北原先生のイラストがめちゃくちゃ良かったけれど、ストーリーは刺さりませんでした。
表紙では熱量低めな感じなのに
帯ではガッツリ感情が表れている雪深の
表情のギャップにまず目がいって、
その変化はどんな風に起こっていくのか?という部分を知るのを楽しみに読み進めました。
家庭環境のせいで恋愛不信になった雪深ですが、
それ以外のところでも人との関わりかたは
わりとドライ気味。
仕事仲間とも上手くやっているし仕事自体にも情熱を持っているのは伝わるけれど、
どこか一歩引いているような印象がありました。
でも芽吹からの攻略宣言を受けて
これまで経験してこなかった様々なことが日常で起こっていく中で、
恋愛に関するところ以外でも成長していくのです。
そのキラキラした眼差しが本当に素敵で、芽吹から与えられる影響を良い方向に吸い上げていく様子は見ていてわくわくしました。
ただ肝心の恋愛部分にはそれほどのトキメキが無く、「攻略していいですか?」と大胆なことを言ったわりには芽吹のアプローチも控えめなんですよね…。
そこが彼の良さなのもわかるけれど、もう少し年下らしさを感じるようなエピソードがあればもっと引き込まれるところがあったのかなと感じました。
ふたりの日々は"この先"にもっと萌えが詰まっていそうですね。
両想いになるまでのアレコレを踏まえた上で萌え度が増す未来も見てみたいなと思いました。
先生の作品はシリアスめなお話が多いイメージだったのですが、
今作はラブコメということで楽しみにしていました。
イツキの元気なキャラとダウナー系のチカの組み合わせ、バランスが絶妙。
それがストーリーにメリハリを与えていてすごく面白かったです。
『恋人』だと言ってもおかしくないくらい近くにいて実際友達以上のこともしているのに、
なぜか関係を変えられないままのイツキとチカ。
どう見ても両想いなのにお互い向き合う勇気が出なくて、どうしても踏み出せないでいるふたりにヤキモキしつつ。
それが相手を好きすぎるがゆえに後ろ向きになっているだけなのがわかってくると、
うまく交わらない気持ちを抱えてグルグルするところごと愛おしいと思える展開でした。
一見イツキのほうが好き度が高いように見えるけれど、実はチカも重たい想いを拗らせているのがこれまたイイ…!
わかりにくい大きな愛って最高だな。と、しみじみ思ったのでした。
そしてドロっとした感情を持っていた過去が描かれていたのもすごく良かったです。
明るく楽しいだけではなくちょっぴりビターな部分を知るとより甘さが増した気がしました。
それぞれ『どうして大好きになったか?』というところは入り組んでいないのでさらっと読めるけれど、尊さはしっかり摂取できてものすごく美味しいお話でした…!
装丁があまりにも綺麗で思わず手に取った作品です。
(手触りもすごく好き)
色合いはちょっぴり物悲しげなんですが、
それぞれの表情からはふたりの間にある温かな繋がりが伝わってくる、そのコントラストが美しい…。
そして中の表紙には物語に関わる楽譜があって、細部までのこだわりを感じることができました。
調律師とピアニストという関係であり、昔からの友達でもある当真とすず。
でもお互いに"友達"以上の熱をこめた瞳で相手を見ていて、どのキッカケでその関係性が変わるのかとドキドキしていましたが…
ふたりに訪れるのは甘い変化ではなく、苦しい過去が絡まったすれ違いでした。
同じ気持ちでいるのは明らかなのに、
過去に阻まれて真っ直ぐに伝え合うこともできないなんて。
何かを選ぶために離ればなれにならなければならいのが本当に切なかったです。
でもその不器用なすれ違いの日々があったことでピアニストとしてのすずは大きく成長し、
ふたりそれぞれの意識が変わるキッカケにもなっていたので読み手としても救われた気持ちでした。
回想シーンはかなり胸クソで、その後もすっごくハラハラしたけれど。
お互いに本心を明かしずっと胸にわだかまっていたモノをようやく手放すことができて、
ふたり揃って前を向くことができる結末になってくれて本当に良かったです…!
彼らを結びつけた「ピアノ」はしっかりとストーリーの真ん中にありつつ、そこに絡めたふたりの想いを知ることができたのが良かったです。
井波先生の繊細な絵柄にマッチしたとても素敵なお話でした。
旅先で絶対よくないことが起こるな。というのは
タイトルを見ただけでも伝わりましたが、
思っていた以上にしっかり"事件"が起こる展開に釘付け。
ぐいぐい引き込まれて一気読みでした。
他の方たちも書かれていますがネタバレなしで読んだほうがよりストーリーに入り込めると思います。
でもお話自体がなかなか入り組んでいるので
もしも先に結末を知ってしまっても
ネタバレ部分を読みながら噛み砕いていく楽しさもあるのかなと感じました。
ただ、ミステリーとしては前のめりになるほど良かったけれど
あまりBLっぽくはなかったかな?という印象です。
というか、それほど恋愛要素を必要としないストーリーだった気もする。
とはいえ、ああいう状況で生まれた恋なのでドキドキできるところはしっかりあって、無理矢理感なく恋愛部分も楽しめました。
全体的にシリアスで重ためでしたが、ものすごく読み応えのあるお話でした。
「いつか自分の店を持つ」という夢に向かい、見習いコックとして日々努力している郁生とそんな彼を気に入っているヤクザとの恋が繰り広げられていくのかと思って読んでいたら、わりと序盤で方向性が変わって驚き。
ふたりの関係が変わるキッカケもなんとなく非現実的で、今どきこんな展開ある…??なんて最初は思ってしまいました。
でも。そこからの距離の近付き方や気持ちの移り変わっていく過程で起こるすれ違い具合がなんとも絶妙で、非現実的に感じていた部分をうまーく萌えに変えていってくれて。
恋愛になんて発展しそうにないところからひっくり返っていく様子に引き込まれまくりでした。
大人たちの意識が子どもに向きすぎてしまうお話は得意ではないのだけど、桜太朗の立ち位置もこれまた絶妙で。
パパ大好き!いくちゃん大好き!で、子どもの可愛らしさをしっかり見せてくれるのにふたりの邪魔は一切しないのです。
家族の温かいやり取りがありながら恋人時間もしっかり!というのは、子どもが登場するお話の理想形だなと思いました。
ちょっぴりドタバタした雰囲気もありつつ、エロありほのぼのありですごく面白かったです。