表紙ではすごく色っぽい表情を見せている充知だけれど、中身はわりと精神年齢低め。
童貞であることに焦りを感じたところからなぜそっちの方向に行く??とつっこみたくなるけれど
そんな短絡的な行動がいっそ清々しくて、逆に充知の魅力として映りました。
大ちゃんの気持ちやこの先どうなるのか?という部分まで、ふたりの未来はある程度読めてしまうけれど。
先が見えていてもふたりのやり取りにはたくさんのキュンが詰まっていて、そこに面白さがプラスされているのも最高。
エロいことに頭を支配されてしまう高校生らしさもすごく好きでした。
こういうややこしくな゙い「ザ・BL」なお話を読むとなんだかホッとしますね。
王道ストーリーながらも見どころはしっかりあって楽しめました。
プロ棋士である柊馬とフリーターの倫太郎。
小さい頃から一緒の幼馴染同士で、いまはルームシェアをしているふたりのお話でした。
目指す目標をしっかりと持ち、プロとして努力も勉強も日々怠らない柊馬。
そのブレない姿勢はすごく格好良いのに
それ以外のことはまるでダメというチグハグなところから天才っぽさを感じました。
倫太郎はそんな柊馬の世話を焼きつつ一緒に暮らしているわけですが、ただの幼馴染ではない感情をお互いに持っているのは早い段階でわかるので
それぞれの気持ちの変化を感じながら読むことができたかなと思います。
柊馬を心から応援したいと思っているのは嘘ではないのに、倫太郎の胸の中にある小さな嫉妬は消えないままくすぶり続けていて。
そのせいで素直になれなかったりすれ違ったりして、ふたりが進む道は複雑にねじれていくことになりますが。
それでもきっと離ればなれにはならないだろうな。という安心感みたいなものが彼らからは感じ取れたので、ハラハラせずに見守れました。
遠回りしたようで、実は原点に戻ったような。
そんなシンプルな幸せに辿り着いたふたりを見届けられて嬉しかったです。
そして。和装姿って本当にいいですね…!
普段のだらしない格好の柊馬もあれはあれでいいけれど、和装だと何割増しにもいい男になって
見惚れてしまうほどでした。
あらすじ通りの『ギャップの塊』な恋之介のキャラ、最高すぎました。
登場人物わりとみんな個性的というかインパクト強めな感じですが、うまい具合にみんなぶつかっていなくて読みやすかったです。
何となくいつも機嫌が悪そうで日和にはスンッ…とした態度だけれど、コワモテの奥に純粋すぎる恋心を潜ませている恋之介。
その素の可愛らしさがたまらなく良くて、新たな一面を知るたびに心臓を掴まれたようにギュンギュンしてしまいました(笑)
どっしり肝が据わっているかと思えば時折子どもっぽい表情を見せたりと、恋之介の言動に揺さぶられまくり。
日和が自然と惹かれるのも納得でした。
佐久山に促されて始まったカップル化計画、両想いへのハードルはそれほど高くなかったけれど
むしろそれ以降の気持ちのすれ違いが切なかったです。
椿先生の存在によって仲が拗れ、離ればなれになってしまうかも…?とハラハラ。
でもそのすれ違いがあったからこそハッピーな結末に辿り着けたのがわかるので、ハラハラした部分ごと楽しめたかなと思いました。
ふたりは良いところに落ち着きましたが、椿先生と佐久山のことも気になる…!
スピンオフ期待しています。
何が起こっても元気いっぱい、いつもポジティブな亮。
そんな彼のキャラのおかげでずっと楽しく読めましたが、実は危ういシーンもヒヤヒヤするところも多めなお話でした。
夕星との再会の場面でもうすでに笑っていられない状況になっているのに、動揺しつつも流れにスッと身を任せられるのがすごい。
運が良いんだか悪いんだか…みたいなところばかりですが、カラッと明るい彼の笑顔は全部がチャラにするような力があったなと思います。
気持ちの変化も恋のはじまりも駆け足気味ではありましたが、だらだら駆け引きしたりせずにグッと距離を縮めていくのがふたりらしかったのかな、と。
甘かったりハラハラしたり空気感の変化も激しいけれど、サクサク進んでくれるテンポの良さが心地よくて違和感なく読むことができました。
最後の最後、まさか…!というオチも最高。
いろんな要素が詰まっていて面白かったです。
めちゃくちゃに心が抉られ、ものすごく消耗した前作。
それでもその先を知りたいという気持ちにさせてくれる終わり方だったので、何が起こってもしっかり受け止めよう。と覚悟して読みました。
再会から1年、付かず離れずな距離感を保っていて
表向きにはこれまでと変わらないふたりのように見えるけれど。
その心が交わるにはまだまだ遠くて、何度も胸がギュッとなりました。
苑の自己評価の低さは相変わらずですがさらにぴったりと心を閉ざしてしまっていて、
あの別れが苑にとってどれほどの重さがあったのかが伝わり、悲しみがぶり返してくるようでした。
ただそれほど危うい関係に思えなかったのは、明渡が前とは変わったなと感じたからだと思います。
病気の前後のような気持ちの変化ではなく
意識丸ごと変わったような、いい意味での余裕が生まれたような…そんな変化。
苑との今後についてある程度の焦りはあっても、長い時間を掛けて苑の閉じた心に寄り添っていこうという決意も感じて、前とはまったく同じではなくても、たしかにそこには愛があると感じられるのが嬉しかったです。
でもそのあたたかさは苑にも伝わっているはずなのに、手を伸ばすのも受け止めるのも簡単ではない彼の気持ちもよくわかるんですよね。
すぐそばの幸せをあえて掴めないもどかしさ、本当に切なかった…。
そんなふたりの日々には自分たちの問題以外にも
小さな痛みの種がいくつも散らばっていて、
すべてが彼らの道を阻んでいるのでは…?という錯覚に陥るほどでしたが。
ひとつひとつ目を背けずに向き合って、最善ではなかったとしても進む道を選択していくことを今度こそ苑が諦めないでくれたので、
ふたりは明るい場所に辿り着けたのではないかなと感じました。
それぞれにたくさんの傷を負って、違う種類の痛みを抱えて過ごしてきたけれど。
それがようやく報われた結末、本当に感動しました。
これからの日々にふたりなりの幸せが待っていてくれることを心から願います。
(明渡は頭の怪我に本当に気を付けてほしい)
通して読み返すには勇気が要るくらい重たい2作ですが、とっても心が満たされた作品でした。
こんなに泣いたのいつぶりだろう?ってくらい、
ものすごく泣きました。
苑があまりにも不憫。ツラすぎた…。
幼い頃から辛い境遇にあってそこから抜け出す術もなければ気力さえなく、子供らしからぬ諦めを抱えながら生きている苑。
彼の心の内側を知るたびに切なくなり、どこを見ても安らげる場所がないのが本当に悲しかったです。
そして苑とは対極のところにいながらも彼のために世話を焼く明渡が、苑にとって"唯一の光"になってくれたらいいなと思っていたのに。
結局はそれも叶わず、長い時間をかけて苑の傷が増えたことに何とも言えない憤りを感じました。
でも明渡を責めることはできない事情もあるので、ただただ遣る瀬さが募ってどうしようもなかったです。
暗闇に紛れてじっと息を殺して生きていた苑を連れ出し、道を作って手を引いて歩いてきた明渡。
すごく自分勝手だけどそこには確かに愛があって、どんな時でも無条件で愛を注いでくれることに苑も寄りかかっていたのだと思います。
でもようやく同じ場所に辿り着いたと思ったら今度は気持ちがすれ違うなんて…。
こんな悲しい別れがあるなんて思いもよらず、苑の苦しさが伝わって泣けて泣けて仕方なかった。
でも。彼の道にまったく光がないわけではなくて
たくさん苦しい思いをしながらも苑自身が「しっかり前を向いている」ということにすごく救われたなと思います。
そして自分の道を進む強さをくれたのは紛れもなく明渡なので、出会いもこれまでの日々も何一つ無駄なものなんて無かったのだなと感じました。
悲しいままではなく明るさを感じるラストだったのもすごく良かったです。
最後の最後、明渡らしさと苑らしさあふれるやり取りを見ることができて本当に救われました。
彼らに幸せが待っていることを願って、続編も読みたいと思います。
前巻の時点でいいところに収まった感じの終わりだったので、その後の彼らのことは土屋家ストーリー経由で知ることになるのかな?と思っていたら。
まさかの2巻!歓喜でした。
ふたりのお付き合いは順調で、お互い大切に想い合っているのが伝わるやり取りにほっこり。
まだ番にはなっていないけれども、それはタイミングと勢いでなんとかなるのではないかと思うくらい、甘さたっぷりだったのに…
そこからまさかのすれ違いルートに進んでしまってハラハラ。
でも周りの温かい支えのおかげで大きく拗れることはなく、むしろもっと仲が深まることになり。
結果的にはものすごーく幸せなところに着地してくれて、愛あふれるふたりの笑顔に胸がいっぱいになったのでした。
「嫌いでいさせて」シリーズは登場人物がたくさんで、どこを見ても本当に賑やかですね。
土屋家を含め、関わるみんながチームで家族!みたいな温もりたっぷりな作品でした。
旭が登場し、ハラハラするところで終わっていた1巻。
どうなるのか先は読めないし不安要素もいっぱいだしで、とてもハラハラしながら読み始めましたが…
思っていたよりずっと幸せがあふれていてなんだかホッとしました。
切ないシーンもあるけれどその向こうにはしっかり光があって、ふたりがこれまで感じてきたたくさんの苦しみを解放してくれるような展開が素敵でした。
運命の番と番えなかったという事実に縛られ、何年経ってもそこから動き出せなかったけれど
誉との出会いでどんどん意識が変わっていく遊馬。
やがて『運命とは』という部分に辿り着き、それが誉への愛おしさと結びついたらもう迷うことはなく、真っ直ぐにその想いを伝える潔さにシビれました。
自分がβであることに引け目を感じていた誉も
遊馬の愛に触れて考えが変わり、思うままに遊馬を求めてくれて嬉しかったです。
心を許しあって幸せそうに笑うふたりを見ることができて、ものすごく満たされました。
本当の意味で両想いになってからの甘くて重くて執着たっぷりなセックスもたまらなく良かったです。
そして。ただただ嫌な奴だと思っていた怜王の不器用さがわかると、彼の印象も変わりました。
彼のこともぜひ幸せにしてあげてほしいなと思いました。
インパクトのあるタイトルに惹かれて手に取った作品でしたが、衝撃の面白さでした…!
絶妙なキモさ(批判ではない)をまとうヒメにいと
構ってちゃんななーくんとの掛け合いが最高。
噛み合っていないようで実はピタッと合っている、そんな相性の良さが本当にクセになります。
何よりヒメにいが最後までブレることなく「おじさん」なのがツボでした。
社会的地位が高くルックスも完璧なのに、人柄はおじさん構文そのまんまなんて反則すぎる…!
でもただの若い子大好きキモおじなわけではなく、なーくん限定なのがこれまた推せる。
格好良いのにカッコつかないところが本当に好きでした。
おじさんフィルター越しにヒメにいを見ているなーくんはずっと抗っているけれど、いつしかスルッと絆されて。
なんだかんだラブラブなところに着地するのが素敵でした。
初読みの作家さんでしたが、キャラもストーリーもすごく好みすぎました…!過去作も絶対読もう。
続編、楽しみにしてました〜
帯によると『真剣交際編』とのことで、
これはそれぞれの新たな一面を発見できるに違いない!と、わくわくで読み進めました。
いつもクールな千堂が恋を知って変わっていった様子がツボで、前巻終わりの両想いになった時点でギャップにかなりやられていました。
そんな彼は会社ではライバル&良き理解者な同僚、家ではストレートに愛を伝えてくれる彼氏という魅力マシマシマンになっていて
これがスパダリってやつなんだな。と、しみじみ思うくらい格好良かったです。
お互いに以前よりだいぶ素直になっているので甘さはたっぷりですが、和泉の心の内側を探っていくシーンは切なくて、メリハリのついたストーリーにしっかり引き込ませてくれました。
和泉が無自覚に抱えていた傷を無理に癒そうとはせず、傷付いた和泉ごと包んでしまう千堂の大きな愛に感動。
本当に出会えて良かったふたりだなぁと改めて思ったのでした。
ふたりはこの先も、仕事面では刺激しあいプライベートでは支え合って、心地よい距離感で過ごしていくのでしょうね。
そんな素敵な未来が見えるような大満足な恋人編でした。