ナオトに対する激しすぎる執着は変わらぬまま…
と言いたいところですが。
手のうちを明かしたカズマのソレは確実にパワーアップしていて、前作とは比べものにならないくらいのゾクゾク感を味わった「deeper上巻」でした。
長い長い我慢の日々の末、ようやく自分のもとへオチてきたナオトを溺愛しまくるカズマ。
でもどんなに近くに居てもまだ足りないとでも言うように、"すべて"を自分のモノにするためじわじわと周りから固めていく様子には恐ろしさを感じるほど。
リミッターの外れた重たすぎる愛を与え続けているカズマの表情からも、そのドロドロした執着はしっかりと伝わってきます。
ここでナオトに恐怖心が芽生えてしまえばバランスは崩れてしまうと思うのですが。
そんなカズマをゾクゾクしつつも受け止めて"そっち側"だと気づいてしまうのです。
このシーン、ものすごく痺れました…!
カズマの中に20年居座り続ける「好き」という言葉には収まりきらない感情が、ようやくナオトに伝わり始めたのかもしれませんね。
今後彼らはどこまでぐちゃぐちゃに交わるのか…
早く知りたいけど知るのがコワい、そんな気持ちです。
上巻最後のカズマの笑顔は何を表しているのか…
幸せな微笑みにも、ダークな笑みにも見えてビクビクしてしまってます(笑)
下巻への期待が深まる終わり方、すごく良いなと思いました。
仕事中は相変わらず「喧々諤々」しているふたりですが(笑)
ふたりっきりになると甘えん坊将軍と化す綾川と
そんな将軍を上手にあやす山岸との微笑ましいやり取りもまた健在で、ふたりのお付き合いが順調なのがわかります。
繁忙期や納期前だけではなく、急な仕様の変更やら予期せぬトラブルやらで常に忙殺されているふたりですが、そんな日々でもすれ違うことなくラブラブで居られる相性の良さもしっかり伝わってきてほっこり。
タイトル通り波乱の展開は待ち受けていましたが
これまでの彼らを見ていればそこまでハラハラすることはなく、むしろそういう出来事がよりふたりの仲を深めるのだろうなと感じて。
カッコ悪い嫉妬も焦ってぐちゃぐちゃになる思考も、全部が相手への愛に繋がっているというのが最高に良かったです。
ふたりとも仕事人間なのでお仕事部分は多めですが、それ以上に甘さもたーっぷり。
お互いに「大好き」なのが伝わる描写もたくさんあって、ものすごく幸せを感じられた続編だったなと思います。
これからもずっとラブラブでいてほしいふたりでした。
夏休みに海の家で短期バイトをするDK…
めちゃくちゃ青春ですね〜
夏のマジックがたくさんあふれるその空間で、何も起きないわけがない!ということで(?)
ひと夏の恋と、わちゃわちゃ楽しい日々を描いたお話となっていました。
憂鬱な気持ちを抱えたまま海の家までやってきた大雅だったけれど、虎太郎が推しキャラにそっくりだという理由で俄然やる気になるチョロさがすごく好き。
都会っ子だけどもスレていなくて素直な大雅と元気いっぱいでピュアな虎太郎とのやり取りは、
甘酸っぱくて可愛くてめちゃくちゃ微笑ましかったです。
お互いに惹かれ合っているもののすんなり両想いにはならず、遠回りしてしまうところはありますが。
その時間すらも良いスパイスとなって、ふたりの仲を盛り上げてくれていたなと思いました。
最後には真っ直ぐに気持ちを伝え合って、無事に
くっついてくれて一安心…だけではなく!
初セックスまで見ることができて大満足でした。
本編とは毛色の違う番外編もゾクゾクしてすごく良かったです。
龍太郎は駆け落ちしていたことになっているけど、本当はこんなことになっていたんですね。
その後のふたりはどうなったのかすごく気になります…
明るいお話からホラーまで。2度美味しい作品でした。
フードデリバリーの配達員と客というだけの、何の接点もないふたり。
注文された食事を玄関先に届けたら顔を合わせることなく終わる、とっても無機質な関係だったけれど。
ある雨の日のトラブルをきっかけに、そのカタチが変わるところから始まるお話でした。
登場シーンのインパクトの強さだけではなく、知れば知るほど変わっているのがわかる仁坂。
大食いで、なぜか"温かい食事"にこだわっていて、すごく優しいのに掴みどころがなくて…
そんな彼と関わっていくうち、律人の考え方や周りとの付き合い方などが変わっていくのですが
そこには微笑ましさとか恋に浮かれたドキドキ感だけではなく、どこか不安になるような危うさがありました。
恋愛感情を抱くとは思っていなかったところから、自然と惹かれ合って。
同じ気持ちだから身体も重ね、一緒に過ごす時間が増えていくのは恋人同士なら普通のこと。
…なんですが、ふたりにはどこまでも交わることがない思考の隔たりがあるのがわかっていきます。
それは変えられない過去に繋がっているので、いくら"現在"の気持ちを整えてもどうにもならないことを思い知らされるだけなんですよね…。
好きだけでは一緒に居られないその状況が切なすぎました。
離れる決意をこめた仁坂の「お願い」からは律人のことが本当に大切だということが伝わってきて
ただただ胸が締め付けられましたが。
悲しい別れではなく、前に進むための一歩として
それぞれの転機になっていたのが素敵でした。
離れた時間があったからこそ、お互いに依存するだけの関係にならずに済んだのでしょうね。
想う気持ちは変わらぬまま、また新しく出会えたような再会シーンは本当に感動でした…!
これからのふたりの日々にたくさんの幸せが待っていることを祈ります。
(「さいごのごちそう」の仁坂による制作秘話もすごく良かったです!
drapHPにて読めます。本編を読んだ後、ぜひ。)
戸惑いながらも色っぽい表情を見せる光佑と、
それを愛おしそうに見つめる竜弥…そんな表紙のふたりに惹かれて購入。
帯には光佑を指して"モブ顔一般人"とありますがモブ顔ではないのはこの表紙からも明らかで、美しい彼らのやり取りを見るのを楽しみに読みました。
読み始めてすぐ、表紙と中の絵はだいぶ違うな…?と感じずにはいられませんでしたが…
幼なじみ同士のすれ違いが繰り広げられるストーリーには王道展開ならではの安心感があり、さまざまなBL"らしさ"を楽しむことができたように思います。
ただ、ずっと一緒にいるわりにふたりとも相手の気持ちを汲まない言動が多すぎて、それが見えるたびにモヤモヤ。
相手のことを思っているようで結局は自分のことしか考えていないので、すれ違いの原因にも目を背けたまま。
どこまでもすれ違いっぱなしなふたりに「うーん??」となってしまいました。
言葉にしなくてはわからないことがあるのは理解できるんですが、ここまで何も伝え合わずにきたなら逆に空気感でわかることがあってもいい気がするんですけどね。
誰に対しても塩対応な竜弥が自分にだけ笑顔を見せてくれる、その意味すらも。言葉で言われなければ光佑はわからなかったのだろうか…。
周りの人たちがみんな応援してくれているようなあたたかな世界だったし、とても幸せなお話だったなとは思うんですが。
ふたりのキャラが刺さらず、なかなか萌えを見つけることができませんでした。
7年ぶりに再会した幼なじみDKたちのお話。
表紙の紬は「それで挑発してるつもりなの…?」と思うくらい可愛くて(笑)
どんな手を使って湊音を"挑発"している紬が見れるのだろうかとわくわくで読み始めました。
ふたりが明らかに両想いなのはすぐにわかり、
恋愛的な駆け引きとか気持ちを自分の方に向かせるための攻防は無いんだな、と気付きましたが
「誘惑」ではなくあえて「挑発」とした意味を知るのを楽しみにその後のふたりのやり取りを見守りました。
でも。不器用とか素直になれないとかいうレベルではなく、ただただひねくれ者にしか見えない紬に戸惑ってしまって。
真っ直ぐに自分だけを見てくれる湊音を煽る必要あっただろうか。
そして何度も繰り返された「雑魚」と言葉も
「うーん??」という感じでした。
照れ隠しだとしても、本気で言っているわけではなくても。
そんなこと言わないでほしかったし、あのキャラでカースト上位に居られるわけないよなーと思ってしまいました。
…と、紬の気になるところは本当にたくさんあったんですが、湊音の器の大きさと紬への揺るがない想いがそのマイナス部分を補ってくれていました。
ぽやんとした天然なユルさに和み、なんだかんだあるけどふたりが幸せならそれでいいのかな?みたいに思わせてくれてありがたかったです。
色々と思うところはありましたが、無事に恋人同士になれたことを祝福したい気持ちで読み終えることはできたのは良かったです。
キラキラハートホログラムの可愛い表紙に一目惚れして購入。
こういう初回限定版すごく嬉しい…!テンションあがりました。
ストーリーは同じ大学に通うふたりが飲み会をきっかけに距離を縮めていくところから始まるのだけど。
どこにでもありそうな日常とはまたひと味違う、
ゆるくて個性的な日々が描かれていて。
塩谷と迫の掛け合いが本当に面白くて引き込まれまくりでした!
性格や考え方などまるで正反対なふたりなので、一緒にいても上手くいかないんじゃ…?みたいな心配はあったけれども。
お互いに無理せず自然体で付き合っているところをみると、色々と相性がいいのはしっかりと伝わってきます。
可愛い塩谷はずっと可愛らしいまま、セックスのときだけ急に男らしくなる!みたいなのが無かったのもすごく良かったです。
そして。基本適当なんだけども、大切なことをしっかりと言葉にして伝えていた最終話の迫は本当に格好良かったなと思いました。
恋愛面だけではなく周りの友達とのやり取りもすごく楽しくて、めちゃくちゃゆるいけど言ってることはマトモだし不真面目な適当さじゃないのもツボでした。
苦しくなったりハラハラしたりせず、ずっと楽しい気持ちのまま読むことができた作品でした。
このゆるさ、クセになります。
タイトルからすでにぶっ飛んでいる予感はしていましたが。
予想通りというか期待を裏切らないというか…
ツッコミどころ満載なストーリー、最高でした!
冒頭、銭湯で南の脳内が披露されていますが
完璧にひとつの世界を作り上げている妄想力には感心してしまうほど。
しかも理想の彼氏像を当てはめるのではなく、瀧澤のイメージに合うように妄想しているので自分勝手な感じが無いのが推せるなと思いました。
妄想しているだけで"その先"を望んでいたわけではなかった南だけど、
リアルに出会ってからあっという間に身体の関係を持ち、何が何だか分からぬまま素敵な温泉宿に一泊していたり(笑)
流され上手な南でさえ頭が全然追いついていないところを見ると、南のキャラの濃さの上をいく瀧澤は何者なの…?と謎は深まるばかり。
でも瀧澤自身のことや仕事のこと、出会いのきっかけまで。
謎だなと思った部分はきちんと明かしてくれているのでスッキリできます。
やっぱりキャラは濃いしなかなか変わっているけれども、南との相性がぴったりなのは伝わってきてすごくほっこりしたのでした。
たくさんの偶然が重なって、妄想よりもずっとドラマチックな展開になっていたふたりの日々。
すれ違いも乗り越えて無事に恋人同士になってくれて本当に嬉しかったです。
クスッと笑えるところはあるけれども完全ギャグにはならないという、その絶妙なバランスがクセになるようなお話でした。
あらすじを読んだとき"とび職系男子がテーマのアイドルグループ"というののイメージがわかず
面白い感じのお話なのかな…?と思ってしまったんですが。
全然そんなことはなくどちらかというとしっかり真面目(?)なお話で、アイドルとしての自分と素の自分自身との気持ちの切り替えに揺れる蒼の姿には切なさがいっぱいでした。
キラキラした見た目のその内側にたくさんの悩みを抱えている蒼は、孝一朗との出会いで自分を少し解き放てたことで逆にバランスが崩れてしまったのでしょうね。
結果、周りに迷惑を掛けることになってしまって
自分を責めている蒼の涙を見るのはすごく悲しいものがありました。
努力の積み重ねでやっと成功に近付けたのに、
ほんの小さなキッカケでそれが簡単に壊れてしまうなんてツラすぎる…。
と、結構切ない展開ではありましたが。
孝一朗と蒼はもちろん、メンバー全員がそれぞれ前に進んでいけるような結末になっていてものすごくスッキリ。
ふたりの恋がメインだったけれども、それ以外の人間模様にも見どころがあったのが良かったです。
ホストと警察官というなかなか無い組み合わせに惹かれ購入。
でも職業キッカケで知り合ったのではなくアパートの隣人同士ということで、あまりそこはお話と関係ないのかな?と思いきや。
いい感じにそれぞれの職業に関わったエピソードが挟みこまれていたのが面白かったです。
最初はお互いいい印象がなくて、もしかしたらずっとそのままだったかもしれないふたり。
でもひょんなことから仲良くなったらあっという間に距離は近くなって、やがて恋へと変わっていくわけです。
恋の始まり部分は曖昧というかぼんやりとしていて、明確なキッカケはないように見えたけど。
何気ないことからでも気持ちは変化して、思いも寄らないところに辿り着くのもまた恋の楽しさなのかもしれないなと思わせてくれました。
ところどころクスッと笑えるところもあり、でも完全にギャグではないのでストーリーはしっかりと楽しめて。
ふたりの気持ちを一緒に追いながら読むことができた作品でした。